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幽閉1
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捕らえられてしまった私は、元の豪華絢爛な部屋ではなく、どこぞの塔の一番上へ連行され、幽閉されることになりました。
しかも服も、この世界へ無理矢理召喚された時に来ていた、黒のシースルーブラウスに黒いスカート、そして黒のダブルのノースリーブロングジャケット…ついでに黒のハイヒール。
塔の天辺の部屋は、木の床に敷物も無く、窓にはカーテンも無く、窓にベランダはついているけど、落ちたら死ぬなという高さ。
更に簡素なベッドには、マットレスもなく、せんべい布団と毛布があるだけ。
それにライティングデスクとイスが一脚あるだけです。
一応、トイレはあるけど、風呂は無く。
閉じ込められてすぐに、騎士さんたちが二人やってきて、ついてくるように言われ、ついて行って、あらビックリ!
自分の飲み水を5階建ての塔なのに、自分で階段を使って下から上へ運べって。
これから裁判までの日々、毎日運べと言われました。
汚物の処理は、これまた恐ろしい事に、毎日自分で窓から下へ捨てなくてはいけないらしい。
塔は断崖絶壁に建っていて、窓の外、下は谷間です。
谷間というだけマシかな…元居た世界、ヨーロッパでは、国によっては近代まで、何と!窓から汚物を道路に撒き散らしていたらしいです。
何とかの都と呼ばれている有名なお洒落な街は、実は近代まで凄く不衛生な街だったという。
それにしても…裁判って何よ?!裁判って…私、何も悪い事をしていないのに…。
窓が開けられるから、逃げられない事はないと言えばない…。
けど問題なのは、断崖絶壁なのよ!断崖絶壁!無理!
さてどうしようかな…元の世界に帰れないのかな…。
何でこんな事になっちゃったんだろう…。
ベッドに腰掛け、ボーっとしていました。
騎士さんが一人やってきました。
食事を運んできてくれたようです。
置く場所も無いので、ライティングデスクへトレイを置き、こちらへやってきました。
「食事は朝と夜のみ、我らが運ぶ。
水は毎朝、我らが食事を運ぶ際に、先に言われた通り、自分で運ぶように。
裁判は三日後に決まった。」
「あの…私は何の罪に問われているのでしょうか?」
「この国を襲撃した罪だ…。」
「私、襲撃何てしていないのに…そもそも無理やり連れてきたのはあなた達の方で、私は来たくなんて無かったのに…。」
「…。」
「私が罪だというなら、私を無理やりこの国へ呼び寄せた方々は罪にはならないのですか?
その方々が私を無理矢理…む!り!や!り!連れてこなければ、そもそも私が罪に問われることも無かったはずですけど…。」
「お前を召喚したのは、陛下と大神殿だ…。」
「…理不尽ですね…。」
私は涙を堪えてその騎士さんを睨みつけ、言いました。
騎士さんは、そのまま黙って部屋を出ていきました。
食事は、硬いパンと、冷めた薄いスープのみでした。
「私…魔法って使えるのかな…。
私が聖女でも魔女でも何でも良いけど、異世界から召喚されたのだから、何かチートな能力、持っていないのかな?」
ひとりごとを言ってみた。
『持ってるよ!』
あの金魚鉢の中の白金の龍が姿を現した。
「え!?あなたどこから出てきたの?」
「ずっと近くに居たよ…姿を消していただけで。」
「あなた…龍だよね?…。」
『うん!お前から龍の気配がするんだよ…だから俺がお前を守護してやろうと思って出てきた。』
「龍の気配?どういうこと?」
『お前の元居た世界には、龍は居るのか?』
「空想上のものと言われているけど、でも神様として、あちこちに祀られているし、龍の名のついた地名とか、あちこちにあるよ。
私の郷里にも龍の名前のついた川があるし。」
『お前…龍、好きか?』
「うん、子供の頃から大好きよ。
だから東京にある金の龍の名のついたお寺も大好きだし、私の郷里の方にある、やはり龍の名前のついた神社も好き。
好きすぎて、外国の龍の名前のついた遺跡や、海へも行ったほどだよ。」
『だからお前から龍の気配がするんだな…。これからは俺が付いていてやる。』
「…ありがとう…あと三日かそこらの命だけどね…。」
『あぁ…この国の奴らはバカだな…お前の事を魔族か何かと勘違いしていただろ。
そもそも俺の姿を見て、魔物とか有り得ないけどな。
俺はこの国でも古くからいる神獣の一つだというのに…この国の奴らは、神獣と魔獣の区別もつかないのな』
「三日後に裁判だって…そこで私は、きっと、魔族と認定されて、この国を襲った罪とかで、処刑されるんだよ。」
『あいつらがお前を処刑は出来ないぞ…俺の加護があるからな。』
「ではどうなるの?私?」
『お前の命を奪うような発言も行為も出来ないんだよ、俺の加護がある限り。
無理矢理言おうとしたりやろうとすると、全てそいつに返るよ。』
しかも服も、この世界へ無理矢理召喚された時に来ていた、黒のシースルーブラウスに黒いスカート、そして黒のダブルのノースリーブロングジャケット…ついでに黒のハイヒール。
塔の天辺の部屋は、木の床に敷物も無く、窓にはカーテンも無く、窓にベランダはついているけど、落ちたら死ぬなという高さ。
更に簡素なベッドには、マットレスもなく、せんべい布団と毛布があるだけ。
それにライティングデスクとイスが一脚あるだけです。
一応、トイレはあるけど、風呂は無く。
閉じ込められてすぐに、騎士さんたちが二人やってきて、ついてくるように言われ、ついて行って、あらビックリ!
自分の飲み水を5階建ての塔なのに、自分で階段を使って下から上へ運べって。
これから裁判までの日々、毎日運べと言われました。
汚物の処理は、これまた恐ろしい事に、毎日自分で窓から下へ捨てなくてはいけないらしい。
塔は断崖絶壁に建っていて、窓の外、下は谷間です。
谷間というだけマシかな…元居た世界、ヨーロッパでは、国によっては近代まで、何と!窓から汚物を道路に撒き散らしていたらしいです。
何とかの都と呼ばれている有名なお洒落な街は、実は近代まで凄く不衛生な街だったという。
それにしても…裁判って何よ?!裁判って…私、何も悪い事をしていないのに…。
窓が開けられるから、逃げられない事はないと言えばない…。
けど問題なのは、断崖絶壁なのよ!断崖絶壁!無理!
さてどうしようかな…元の世界に帰れないのかな…。
何でこんな事になっちゃったんだろう…。
ベッドに腰掛け、ボーっとしていました。
騎士さんが一人やってきました。
食事を運んできてくれたようです。
置く場所も無いので、ライティングデスクへトレイを置き、こちらへやってきました。
「食事は朝と夜のみ、我らが運ぶ。
水は毎朝、我らが食事を運ぶ際に、先に言われた通り、自分で運ぶように。
裁判は三日後に決まった。」
「あの…私は何の罪に問われているのでしょうか?」
「この国を襲撃した罪だ…。」
「私、襲撃何てしていないのに…そもそも無理やり連れてきたのはあなた達の方で、私は来たくなんて無かったのに…。」
「…。」
「私が罪だというなら、私を無理やりこの国へ呼び寄せた方々は罪にはならないのですか?
その方々が私を無理矢理…む!り!や!り!連れてこなければ、そもそも私が罪に問われることも無かったはずですけど…。」
「お前を召喚したのは、陛下と大神殿だ…。」
「…理不尽ですね…。」
私は涙を堪えてその騎士さんを睨みつけ、言いました。
騎士さんは、そのまま黙って部屋を出ていきました。
食事は、硬いパンと、冷めた薄いスープのみでした。
「私…魔法って使えるのかな…。
私が聖女でも魔女でも何でも良いけど、異世界から召喚されたのだから、何かチートな能力、持っていないのかな?」
ひとりごとを言ってみた。
『持ってるよ!』
あの金魚鉢の中の白金の龍が姿を現した。
「え!?あなたどこから出てきたの?」
「ずっと近くに居たよ…姿を消していただけで。」
「あなた…龍だよね?…。」
『うん!お前から龍の気配がするんだよ…だから俺がお前を守護してやろうと思って出てきた。』
「龍の気配?どういうこと?」
『お前の元居た世界には、龍は居るのか?』
「空想上のものと言われているけど、でも神様として、あちこちに祀られているし、龍の名のついた地名とか、あちこちにあるよ。
私の郷里にも龍の名前のついた川があるし。」
『お前…龍、好きか?』
「うん、子供の頃から大好きよ。
だから東京にある金の龍の名のついたお寺も大好きだし、私の郷里の方にある、やはり龍の名前のついた神社も好き。
好きすぎて、外国の龍の名前のついた遺跡や、海へも行ったほどだよ。」
『だからお前から龍の気配がするんだな…。これからは俺が付いていてやる。』
「…ありがとう…あと三日かそこらの命だけどね…。」
『あぁ…この国の奴らはバカだな…お前の事を魔族か何かと勘違いしていただろ。
そもそも俺の姿を見て、魔物とか有り得ないけどな。
俺はこの国でも古くからいる神獣の一つだというのに…この国の奴らは、神獣と魔獣の区別もつかないのな』
「三日後に裁判だって…そこで私は、きっと、魔族と認定されて、この国を襲った罪とかで、処刑されるんだよ。」
『あいつらがお前を処刑は出来ないぞ…俺の加護があるからな。』
「ではどうなるの?私?」
『お前の命を奪うような発言も行為も出来ないんだよ、俺の加護がある限り。
無理矢理言おうとしたりやろうとすると、全てそいつに返るよ。』
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