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出発
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ひたすら焼いただけのイノシシ肉だけど、それしか無いので、それを食べ、朝ご飯としました。
「何か…ベネの色が少し薄くなってない?」
『そうか?変わらないように見えるけど?』
「もっと柄が分かり辛いくらいに真っ黒じゃなかった?」
『そう言われてみれば、そんな気もするけど…子供だから、日々育つだろうし、育つにつれて、色も変わるんじゃないのか?』
『アギャ!ウギャウ!ガウガウ!』
「何だって?」
『んなわけねぇだろ!ってさ…。』
『ウガァ!ウギャッ!』
ベネがまたロンに噛みつこうとして、雷を落とされた。
「それでベネはどうする?一緒に行く?それともこの森に残る?」
『ガウ…。ウギャウギャウ…ギャウウウウ。』
『森の外れに着くまでに決めるって…それまでは付いてくるってさ。』
「分かった!それでヒースはどうするの?引き返すなら、今だよ?」
「俺は…いつか帰る日が来るかもしれないけど、取り敢えずはお前が無事に暮らせるようになるまでは、お前と一緒に居て、守るよ。」
「良いの?それで?後になればなるほど、帰るのが難しくなるんじゃないの?」
「…兄上を助けてもらった恩は返さなくてはだからな…。」
「そうか…ではもう暫く宜しくね!」
ロンは、結界を縮め、小屋とその周辺にのみ、かなり強い結界を張った。
『これで何かの時に、またここへきても、この小屋は朽ちる事はないからな。
じゃあ行くか!』
私たちは残ったイノシシ肉をふきの葉に包み、持った。
昼間だからなのか、森の中は、何か良からぬもの…恐らくは魔物がじっとこちらを見つめている気配はする。
気配はするけど、襲ってはこない。
上空からは、ファルコが見張ってくれているけど。
すると突然、ファルコが上空から降りてきた。
それと同時にベネが私の脚にしがみ付き、何かガウガウ言い始めました。
「何?!どうしたの?!」
『この先、やばそうな城が見えるんだよ!あれはきっと魔王城だよ!このまま進んじゃだめだよ!』
『ガウガウ!ガウウウ!ギャウギャウ!ギャオォォ!』
「…何だって?」
『同じことを言っている。この先に進んじゃダメだって。ついて来いって言ってる』
「ベネ、迂回路を知っているの?」
『ガウ!』
流石にこれは通訳なしに分かった。
「じゃあベネに任せるよ!」
『ガウ!』
何か偉そうだ…いや、誇らしげというところか?
相変わらず魔物の気配は感じるものの、襲っては来ない。
何でだろう?
『そりゃあ俺とノエルがいるからな…おいそれとは近寄ってこないよ…。』
「それはやはりノエルが聖女だってことだろうか…。」
『そうだな…聖女の上に、聖獣である俺がいるからな…。ファルコも居るし、余程の上位魔族じゃないと、勝ち目は無いぞ?』
隣国を目指す、そう決まったので、私たちは、向かう方向が決まった。
ベネの後について、どのくらい歩いたかな?
突然、歩いていた道の先に大きな黒いライオンが現れた。
「え!?ライオン?!」
突然、ベネがそのライオンに向かって唸りながら駆け出した。
『ゥゥゥウウウウギャオオオオォォォオオオ!!!!!』
「ベネ!ダメ!危ない!」
咄嗟に追いかけてベネとライオンの間に入り、ベネを抱き上げた。
その瞬間、ライオンが飛びかかってきた。
もうダメだっ!って思った瞬間、何故か私が光りました。
え!?私、光った?!何だこれ?!
「何だこれ!?えぇえぇぇえ!!!」
ライオンが弾き飛ばされた…。
「え?!…。」
何が起こったのか、分からなかった。
吹っ飛んだライオンが起き上がった…っと思ったら、何故か人型に…違う!人じゃない!魔族だ!この人!
「誰!?」
『我が名は魔王ベリアルである。お前は誰だ!何故我が息子を連れている!』
「え!?息子?!誰???」
『ギャウ!ギャウ!ガウガアァァアウ!!!!』
「ん?!息子って…ベネの事!?」
『我が息子を人質にするつもりか?!
だが我は息子のために魔王の森を売ったりはしないぞ。
そいつがお前にやられるのであれば、そいつはそれまでの力だという事だ。』
「だったら何でここに現れているのよ!この子が息子であっても助ける気が無いなら、ここに現れる必要は無いでしょ!」
『我は息子と一緒に移動する、怪しい力を感じて、見に来ただけだ。』
『何が息子だ!俺を魔獣たちの中に放り込んだくせに!このくそオヤジ!!!』
「「『え?!』」」
「ベネ!喋れるようになったの?!」
突然、ベネが喋り始めました。
しかもくそオヤジって…やっぱり魔王の子なの?!
『こいつは俺が黒ヒョウだったから、お袋が浮気したって決めつけて、魔獣たちの中に放り込んだんだ!
俺を殺そうとしたんだ!』
そう言って再び私の腕の中から飛び出し、魔王に向かって睨みつけて飛びかかろうとしました。
「何か…ベネの色が少し薄くなってない?」
『そうか?変わらないように見えるけど?』
「もっと柄が分かり辛いくらいに真っ黒じゃなかった?」
『そう言われてみれば、そんな気もするけど…子供だから、日々育つだろうし、育つにつれて、色も変わるんじゃないのか?』
『アギャ!ウギャウ!ガウガウ!』
「何だって?」
『んなわけねぇだろ!ってさ…。』
『ウガァ!ウギャッ!』
ベネがまたロンに噛みつこうとして、雷を落とされた。
「それでベネはどうする?一緒に行く?それともこの森に残る?」
『ガウ…。ウギャウギャウ…ギャウウウウ。』
『森の外れに着くまでに決めるって…それまでは付いてくるってさ。』
「分かった!それでヒースはどうするの?引き返すなら、今だよ?」
「俺は…いつか帰る日が来るかもしれないけど、取り敢えずはお前が無事に暮らせるようになるまでは、お前と一緒に居て、守るよ。」
「良いの?それで?後になればなるほど、帰るのが難しくなるんじゃないの?」
「…兄上を助けてもらった恩は返さなくてはだからな…。」
「そうか…ではもう暫く宜しくね!」
ロンは、結界を縮め、小屋とその周辺にのみ、かなり強い結界を張った。
『これで何かの時に、またここへきても、この小屋は朽ちる事はないからな。
じゃあ行くか!』
私たちは残ったイノシシ肉をふきの葉に包み、持った。
昼間だからなのか、森の中は、何か良からぬもの…恐らくは魔物がじっとこちらを見つめている気配はする。
気配はするけど、襲ってはこない。
上空からは、ファルコが見張ってくれているけど。
すると突然、ファルコが上空から降りてきた。
それと同時にベネが私の脚にしがみ付き、何かガウガウ言い始めました。
「何?!どうしたの?!」
『この先、やばそうな城が見えるんだよ!あれはきっと魔王城だよ!このまま進んじゃだめだよ!』
『ガウガウ!ガウウウ!ギャウギャウ!ギャオォォ!』
「…何だって?」
『同じことを言っている。この先に進んじゃダメだって。ついて来いって言ってる』
「ベネ、迂回路を知っているの?」
『ガウ!』
流石にこれは通訳なしに分かった。
「じゃあベネに任せるよ!」
『ガウ!』
何か偉そうだ…いや、誇らしげというところか?
相変わらず魔物の気配は感じるものの、襲っては来ない。
何でだろう?
『そりゃあ俺とノエルがいるからな…おいそれとは近寄ってこないよ…。』
「それはやはりノエルが聖女だってことだろうか…。」
『そうだな…聖女の上に、聖獣である俺がいるからな…。ファルコも居るし、余程の上位魔族じゃないと、勝ち目は無いぞ?』
隣国を目指す、そう決まったので、私たちは、向かう方向が決まった。
ベネの後について、どのくらい歩いたかな?
突然、歩いていた道の先に大きな黒いライオンが現れた。
「え!?ライオン?!」
突然、ベネがそのライオンに向かって唸りながら駆け出した。
『ゥゥゥウウウウギャオオオオォォォオオオ!!!!!』
「ベネ!ダメ!危ない!」
咄嗟に追いかけてベネとライオンの間に入り、ベネを抱き上げた。
その瞬間、ライオンが飛びかかってきた。
もうダメだっ!って思った瞬間、何故か私が光りました。
え!?私、光った?!何だこれ?!
「何だこれ!?えぇえぇぇえ!!!」
ライオンが弾き飛ばされた…。
「え?!…。」
何が起こったのか、分からなかった。
吹っ飛んだライオンが起き上がった…っと思ったら、何故か人型に…違う!人じゃない!魔族だ!この人!
「誰!?」
『我が名は魔王ベリアルである。お前は誰だ!何故我が息子を連れている!』
「え!?息子?!誰???」
『ギャウ!ギャウ!ガウガアァァアウ!!!!』
「ん?!息子って…ベネの事!?」
『我が息子を人質にするつもりか?!
だが我は息子のために魔王の森を売ったりはしないぞ。
そいつがお前にやられるのであれば、そいつはそれまでの力だという事だ。』
「だったら何でここに現れているのよ!この子が息子であっても助ける気が無いなら、ここに現れる必要は無いでしょ!」
『我は息子と一緒に移動する、怪しい力を感じて、見に来ただけだ。』
『何が息子だ!俺を魔獣たちの中に放り込んだくせに!このくそオヤジ!!!』
「「『え?!』」」
「ベネ!喋れるようになったの?!」
突然、ベネが喋り始めました。
しかもくそオヤジって…やっぱり魔王の子なの?!
『こいつは俺が黒ヒョウだったから、お袋が浮気したって決めつけて、魔獣たちの中に放り込んだんだ!
俺を殺そうとしたんだ!』
そう言って再び私の腕の中から飛び出し、魔王に向かって睨みつけて飛びかかろうとしました。
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