82 / 83
第二章
アンドリューの事情
しおりを挟む
少しはこちらを信用してくれたのか、アンドリューも何故レイモンドを追っているのか、話し始めた。
「父から、これ以上、兄が愚行を起こさないように見張って、行動に移す直前で止めるように言われました。
直前で止める理由は、愚行を起こそうとしたことを理由に、この先の兄の行動を制限するためです。」
要するに軟禁か下手すれば幽閉だろう…これ以上は問題を起こさせないためにというところかな。
「それでここ数ヶ月、護衛や他のものと交代で、ドナテッロ家を見張らせていただいておりました。
兄は必ず現れるだろうと。
実際に兄は現れました。現れて、兄はずっとドナテッロ家の邸を見張っているようでした。
リーナ嬢の居場所を探っていたのだと思うのですが、フェデリコ殿が戻られてから、兄の行動に変化が出まして、急にどこかへ向けて出発したのです。
それで追ってきました。」
「…おそらく、私がリーナの居た場所から戻ったのだろうと踏んで、そのルートを辿っているのだと思いますよ。
実際に私が居た先にリーナは居ます…。
レイモンド殿がトマスに接触した以上は、この先はトマスが上手く誘導してリーナの居場所周辺までは連れてきてくれるでしょうから、先回りするという手もありますが、どうしますか?」
「そこまで協力してくださる理由は…やはり、兄を捕まえたいということでしょうか…。」
「…レイモンド殿については…捕まえたいというよりも、これ以上問題は起こして欲しくないという方が正しいかな。というか、レイモンド殿が何かすれば、リーナが傷つくんだ…もうあの子に傷ついて欲しくないというのが私たちの総意だよ。
だからレイモンド殿が何をするつもりなのか、見張っているところだよ。
リーナを傷つけることがなければ、別に彼を捕まえようとか考えてはいない。」
「そうですか…。では出来る事なら、協力していただけるととても助かります。」
それからこの先の行動について、話し合った。
私が戻ったルートを逆に辿っているのだろうから、それを追いかける案が一つ。
もしくはいっそ先回りして待ち伏せるというのが一つである。
「先回りする場合、トマスとの連絡は取れなくなるな…。
そうするとレイモンド殿の目的などの情報が遅れることになる。」
「ではこれまで通り、後を追う形にした場合のデメリットは?」
「もしもレイモンド殿が最終的に何かの行動に走ろうとした場合に、止めるのに間に合わない可能性がある…。」
「…では途中までは後を追い、あと数日で到着という時点で、兄上を追い越して先回りするのはどうでしょうか。」
「そうだな…現時点では、それが良いかもしれない…到着直前までに、新たな情報が得られれば、その時点でまた計画は変更すればよいかな。」
「彼らは、今夜中にこの街を立つと思われる。なので我らは早朝に立つとしよう。
君たちはどこに泊まる予定かな?」
「私たちは今夜は幌馬車の中で寝るつもりです…。」
「…今夜は我らの宿に泊まりなさい。まだ話したいこともあるから、君の護衛は私の護衛と一緒の部屋で良いかな?
アンドリュー殿は私の部屋へ。
この先はさらに厳しい旅になるかもしれないから、まともに休める時は、しっかり休みなさい。
明日の朝は、日の出前に出立で良いかな?」
こうして我らは行動を共にすることになった。
宿で一緒に過ごしながら、アンドリュー殿からレイモンド殿の話を聞いていると、彼は非常に優秀な兄だったらしい。
そしてリーナの事も、本当に想っていたらしい。
最初は、リーナを婚約者に望んでいたのは、アンドリュー殿だったとか。
しかしアルフレッドに対抗するにはと、レイモンド殿が出てきて、一緒に過ごすうちに、やがてはレイモンド殿自身がリーナにすっかり心奪われていたらしい。
そして兄思いでもあったアンドリュー殿は、レイモンドにだったらと、リーナを諦めたとか。
アンドリュー殿は、最初から自分がリーナとアルフレッドの間に横やりを何て考えなければと落ち込んでいた。
しかしリーナが遭遇した危険や不幸の数々は、別にレイモンドのせいではない。
それに彼らの家は、かなり落ちぶれてきている。
現状ではレイモンド殿が後を継ぐのだろうが、彼が責めを負うほどの何かをしたわけではない。
彼はまだ若いのだから、何とか立ち直って欲しい。
まあまずはレイモンド殿がこれ以上何も問題を起こさないように、いや、起こさせないようにするのが先だろう。
「父から、これ以上、兄が愚行を起こさないように見張って、行動に移す直前で止めるように言われました。
直前で止める理由は、愚行を起こそうとしたことを理由に、この先の兄の行動を制限するためです。」
要するに軟禁か下手すれば幽閉だろう…これ以上は問題を起こさせないためにというところかな。
「それでここ数ヶ月、護衛や他のものと交代で、ドナテッロ家を見張らせていただいておりました。
兄は必ず現れるだろうと。
実際に兄は現れました。現れて、兄はずっとドナテッロ家の邸を見張っているようでした。
リーナ嬢の居場所を探っていたのだと思うのですが、フェデリコ殿が戻られてから、兄の行動に変化が出まして、急にどこかへ向けて出発したのです。
それで追ってきました。」
「…おそらく、私がリーナの居た場所から戻ったのだろうと踏んで、そのルートを辿っているのだと思いますよ。
実際に私が居た先にリーナは居ます…。
レイモンド殿がトマスに接触した以上は、この先はトマスが上手く誘導してリーナの居場所周辺までは連れてきてくれるでしょうから、先回りするという手もありますが、どうしますか?」
「そこまで協力してくださる理由は…やはり、兄を捕まえたいということでしょうか…。」
「…レイモンド殿については…捕まえたいというよりも、これ以上問題は起こして欲しくないという方が正しいかな。というか、レイモンド殿が何かすれば、リーナが傷つくんだ…もうあの子に傷ついて欲しくないというのが私たちの総意だよ。
だからレイモンド殿が何をするつもりなのか、見張っているところだよ。
リーナを傷つけることがなければ、別に彼を捕まえようとか考えてはいない。」
「そうですか…。では出来る事なら、協力していただけるととても助かります。」
それからこの先の行動について、話し合った。
私が戻ったルートを逆に辿っているのだろうから、それを追いかける案が一つ。
もしくはいっそ先回りして待ち伏せるというのが一つである。
「先回りする場合、トマスとの連絡は取れなくなるな…。
そうするとレイモンド殿の目的などの情報が遅れることになる。」
「ではこれまで通り、後を追う形にした場合のデメリットは?」
「もしもレイモンド殿が最終的に何かの行動に走ろうとした場合に、止めるのに間に合わない可能性がある…。」
「…では途中までは後を追い、あと数日で到着という時点で、兄上を追い越して先回りするのはどうでしょうか。」
「そうだな…現時点では、それが良いかもしれない…到着直前までに、新たな情報が得られれば、その時点でまた計画は変更すればよいかな。」
「彼らは、今夜中にこの街を立つと思われる。なので我らは早朝に立つとしよう。
君たちはどこに泊まる予定かな?」
「私たちは今夜は幌馬車の中で寝るつもりです…。」
「…今夜は我らの宿に泊まりなさい。まだ話したいこともあるから、君の護衛は私の護衛と一緒の部屋で良いかな?
アンドリュー殿は私の部屋へ。
この先はさらに厳しい旅になるかもしれないから、まともに休める時は、しっかり休みなさい。
明日の朝は、日の出前に出立で良いかな?」
こうして我らは行動を共にすることになった。
宿で一緒に過ごしながら、アンドリュー殿からレイモンド殿の話を聞いていると、彼は非常に優秀な兄だったらしい。
そしてリーナの事も、本当に想っていたらしい。
最初は、リーナを婚約者に望んでいたのは、アンドリュー殿だったとか。
しかしアルフレッドに対抗するにはと、レイモンド殿が出てきて、一緒に過ごすうちに、やがてはレイモンド殿自身がリーナにすっかり心奪われていたらしい。
そして兄思いでもあったアンドリュー殿は、レイモンドにだったらと、リーナを諦めたとか。
アンドリュー殿は、最初から自分がリーナとアルフレッドの間に横やりを何て考えなければと落ち込んでいた。
しかしリーナが遭遇した危険や不幸の数々は、別にレイモンドのせいではない。
それに彼らの家は、かなり落ちぶれてきている。
現状ではレイモンド殿が後を継ぐのだろうが、彼が責めを負うほどの何かをしたわけではない。
彼はまだ若いのだから、何とか立ち直って欲しい。
まあまずはレイモンド殿がこれ以上何も問題を起こさないように、いや、起こさせないようにするのが先だろう。
188
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います
りまり
恋愛
私の名前はアリスと言います。
伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。
母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。
その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。
でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。
毎日見る夢に出てくる方だったのです。
【完結】十分我慢しました。もう好きに生きていいですよね。
りまり
恋愛
三人兄弟にの末っ子に生まれた私は何かと年子の姉と比べられた。
やれ、姉の方が美人で気立てもいいだとか
勉強ばかりでかわいげがないだとか、本当にうんざりです。
ここは辺境伯領に隣接する男爵家でいつ魔物に襲われるかわからないので男女ともに剣術は必需品で当たり前のように習ったのね姉は野蛮だと習わなかった。
蝶よ花よ育てられた姉と仕来りにのっとりきちんと習った私でもすべて姉が優先だ。
そんな生活もううんざりです
今回好機が訪れた兄に変わり討伐隊に参加した時に辺境伯に気に入られ、辺境伯で働くことを赦された。
これを機に私はあの家族の元を去るつもりです。
エミリーと精霊
朝山みどり
恋愛
誰もが精霊と契約する国。エミリーの八歳の誕生日にやって来たのは、おもちゃのようなトカゲだった。
名門侯爵家の娘としてありえない恥。家族はエミリーをそう扱った。だからエミリーは居場所を得るために頑張った。役に立とうとした。
【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!
りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。
食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。
だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。
食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。
パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。
そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。
王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。
そんなの自分でしろ!!!!!
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ化企画進行中「妹に全てを奪われた元最高聖女は隣国の皇太子に溺愛される」完結
まほりろ
恋愛
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行中。
コミカライズ化がスタートしましたらこちらの作品は非公開にします。
部屋にこもって絵ばかり描いていた私は、聖女の仕事を果たさない役立たずとして、王太子殿下に婚約破棄を言い渡されました。
絵を描くことは国王陛下の許可を得ていましたし、国中に結界を張る仕事はきちんとこなしていたのですが……。
王太子殿下は私の話に聞く耳を持たず、腹違い妹のミラに最高聖女の地位を与え、自身の婚約者になさいました。
最高聖女の地位を追われ無一文で追い出された私は、幼なじみを頼り海を越えて隣国へ。
私の描いた絵には神や精霊の加護が宿るようで、ハルシュタイン国は私の描いた絵の力で発展したようなのです。
えっ? 私がいなくなって精霊の加護がなくなった? 妹のミラでは魔力量が足りなくて国中に結界を張れない?
私は隣国の皇太子様に溺愛されているので今更そんなこと言われても困ります。
というより海が荒れて祖国との国交が途絶えたので、祖国が危機的状況にあることすら知りません。
小説家になろう、アルファポリス、pixivに投稿しています。
「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
小説家になろうランキング、異世界恋愛/日間2位、日間総合2位。週間総合3位。
pixivオリジナル小説ウィークリーランキング5位に入った小説です。
【改稿版について】
コミカライズ化にあたり、作中の矛盾点などを修正しようと思い全文改稿しました。
ですが……改稿する必要はなかったようです。
おそらくコミカライズの「原作」は、改稿前のものになるんじゃないのかなぁ………多分。その辺良くわかりません。
なので、改稿版と差し替えではなく、改稿前のデータと、改稿後のデータを分けて投稿します。
小説家になろうさんに問い合わせたところ、改稿版をアップすることは問題ないようです。
よろしければこちらも読んでいただければ幸いです。
※改稿版は以下の3人の名前を変更しています。
・一人目(ヒロイン)
✕リーゼロッテ・ニクラス(変更前)
◯リアーナ・ニクラス(変更後)
・二人目(鍛冶屋)
✕デリー(変更前)
◯ドミニク(変更後)
・三人目(お針子)
✕ゲレ(変更前)
◯ゲルダ(変更後)
※下記二人の一人称を変更
へーウィットの一人称→✕僕◯俺
アルドリックの一人称→✕私◯僕
※コミカライズ化がスタートする前に規約に従いこちらの先品は削除します。
【完結】領主の妻になりました
青波鳩子
恋愛
「私が君を愛することは無い」
司祭しかいない小さな教会で、夫になったばかりのクライブにフォスティーヌはそう告げられた。
===============================================
オルティス王の側室を母に持つ第三王子クライブと、バーネット侯爵家フォスティーヌは婚約していた。
挙式を半年後に控えたある日、王宮にて事件が勃発した。
クライブの異母兄である王太子ジェイラスが、国王陛下とクライブの実母である側室を暗殺。
新たに王の座に就いたジェイラスは、異母弟である第二王子マーヴィンを公金横領の疑いで捕縛、第三王子クライブにオールブライト辺境領を治める沙汰を下した。
マーヴィンの婚約者だったブリジットは共犯の疑いがあったが確たる証拠が見つからない。
ブリジットが王都にいてはマーヴィンの子飼いと接触、画策の恐れから、ジェイラスはクライブにオールブライト領でブリジットの隔離監視を命じる。
捜査中に大怪我を負い、生涯歩けなくなったブリジットをクライブは密かに想っていた。
長兄からの「ブリジットの隔離監視」を都合よく解釈したクライブは、オールブライト辺境伯の館のうち豪華な別邸でブリジットを囲った。
新王である長兄の命令に逆らえずフォスティーヌと結婚したクライブは、本邸にフォスティーヌを置き、自分はブリジットと別邸で暮らした。
フォスティーヌに「別邸には近づくことを許可しない」と告げて。
フォスティーヌは「お飾りの領主の妻」としてオールブライトで生きていく。
ブリジットの大きな嘘をクライブが知り、そこからクライブとフォスティーヌの関係性が変わり始める。
========================================
*荒唐無稽の世界観の中、ふんわりと書いていますのでふんわりとお読みください
*約10万字で最終話を含めて全29話です
*他のサイトでも公開します
*10月16日より、1日2話ずつ、7時と19時にアップします
*誤字、脱字、衍字、誤用、素早く脳内変換してお読みいただけるとありがたいです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる