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第二章
レイモンドとトマス
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フェデリコ様の護衛である私は、レイと名乗る少年に接触された。
ドナテッロ家のものとバレたのかと焦ったが、そうではなかった。
向かう方向が同じであり、こちらは馬を持っていることもあり、同行を願えないかとの事だった。
私の馬は、元々は軍馬なので、大荷物でなければ、私の他に少年一人を乗せても余裕で走れる事が出来る。
あまりお金を払えるわけではないが、もし出来たらと頼んできた。
諸事情あって、先を急ぎたいので、乗合馬車では時間が掛かり過ぎてしまうとか。
「何をそんなに急いでいるのですか?」
「詳しくは申し上げられないのですが…ある人の身に危険が迫っているかもしれなくて、それを止めなければいけないのです。」
「それを相手の方や、相手の方の身内に早馬などで知らせては?」
「…私が悪いのですが、私は今、彼らとの信頼関係が全く無いので、知らせたところで信じてもらえるとは思えません…それに危害を加えようとしている人物を捕まえなくてはならないのです…。」
「それは…とにかく急がなければということですね?」
「はい…なので行く先が同じ場所までで構いませんのでご協力いただければ…。」
「最終的にどこの街へ行かれるつもりなのでしょうか。」
「まだ完全には分からないのです…行く先々で情報を拾いながら向かっているので…。」
「わかりました…私は明確な目的地があるわけでもないので、乗り掛かった舟ですから可能な限りご一緒いたしましょう。」
「ありがとうございます…とりあえずはこの街でつかんだ情報で、ここから普通に移動したら、二日ほど掛かる街までの情報が得られましたので、そこまで急ぎたいと思います。」
どうもレイモンド様には、私たちが知らない何か事情があるようだ…。
それをフェデリコ様へお伝えしたいのだが、しばらくは難しい。
それにそうはいってもまだレイモンド様が私を完全に信用しているとは言い難く、ここで失敗をしてしまうと、事態を更に悪化させる可能性もある。
ここは慎重に動かなければいけない。
なので私の方から積極的にフェデリコ様へ繋ぎをつけるのはやめておこう。
レイモンド様とは、一旦別れた。
私は馬を休ませて、更に出来るだけ早く出立する準備をしなくてはならないし、レイモンド様も何か準備があるらしい。
深夜に再び、馬を預けた厩近くで合流することになった。
私は水と食料を入手しようと街の中心地へ向かおうとし、運良くフェデリコ様を見付けた。
さり気なく近付き、そっと告げた。
「向かう方角が同じなら、同行させてほしいと頼まれ、対象者と行動を共にすることになりました…」
「了解」
そして私は喧騒の中へ紛れ込んだ。
準備は早々に済ませ、私の馬が見えるところにあるベンチに横になり、仮眠を取った。
深夜、人の気配を感じ、いかにも寝ぼけ眼を無理やり開けていると言わんばかりに大あくびをしながら身体を起こした。
「レイ様…もう時間ですか?」
「こんな夜中に急き立てるようですまない。しかしどうしても少しでも早く向かいたいんだ。」
「お急ぎって事は分かっていますから、大丈夫ですよ。」
私は微かに微笑み、レイモンド様の荷物を受け取り、私の荷物と共に、馬の背に固定した。
馬の鞍は一人用ではあるが、私の身体に対して大きめなので、まだ細い少年一人、乗せた所で問題はないだろう。
しかし彼に背を向けるのは、流石にそこまでの信頼は持てないので、彼には私の前に座ってもらおう。
「レイ様は、申し訳ないが、私の前に座ってもらえますかな?
流石に二人乗せて飛ばす事はないので、鞍の前の部分をしっかり掴んでください。
先ずは私が乗って、引っ張り上げますね。」
そう言って私は愛馬に飛び乗った。
彼に手を差し出し、つかんだ腕を引き上げた。
男二人でぴったり着くのもあれだが、仕方がないので、安定感のために、レイ様と私の腰を紐を巻いてしっかり結んだ。
「うん…やっぱり野郎同士でというのは微妙だな…」ボソッと呟いたが、レイ様に言ったつもりではなかった。
しかし聞こえてしまったようで、耳を赤くしてやはりボソッと「すまない…」と返ってきてしまった。
「さて!出発しますか!」
明るくそう言って、馬に合図を送った。
この馬は、とても賢いので、叩いたり強く蹴ったりせずとも、手綱と軽い合図で動いてくれる。
今夜も黙って歩き始めた。
街の門のところまで来ると、門番が詰所から出てきた。
「こんな時間に出かけるのか?」
「すまない!こいつが早く婚約したての彼女のところへ帰りたいと急かすもんでなぁ。悪いが通して貰えないか?」
そう言って、馬の上からこっそりとドナテッロ家の家臣という身分証と、銅貨を2枚出した。
「あんたも大変だなぁ。」
そう言いつつ、快く門を開けてくれた。
「夜道は盗賊にも気を付けろよ!」
そう言って見送ってくれた。
ドナテッロ家のものとバレたのかと焦ったが、そうではなかった。
向かう方向が同じであり、こちらは馬を持っていることもあり、同行を願えないかとの事だった。
私の馬は、元々は軍馬なので、大荷物でなければ、私の他に少年一人を乗せても余裕で走れる事が出来る。
あまりお金を払えるわけではないが、もし出来たらと頼んできた。
諸事情あって、先を急ぎたいので、乗合馬車では時間が掛かり過ぎてしまうとか。
「何をそんなに急いでいるのですか?」
「詳しくは申し上げられないのですが…ある人の身に危険が迫っているかもしれなくて、それを止めなければいけないのです。」
「それを相手の方や、相手の方の身内に早馬などで知らせては?」
「…私が悪いのですが、私は今、彼らとの信頼関係が全く無いので、知らせたところで信じてもらえるとは思えません…それに危害を加えようとしている人物を捕まえなくてはならないのです…。」
「それは…とにかく急がなければということですね?」
「はい…なので行く先が同じ場所までで構いませんのでご協力いただければ…。」
「最終的にどこの街へ行かれるつもりなのでしょうか。」
「まだ完全には分からないのです…行く先々で情報を拾いながら向かっているので…。」
「わかりました…私は明確な目的地があるわけでもないので、乗り掛かった舟ですから可能な限りご一緒いたしましょう。」
「ありがとうございます…とりあえずはこの街でつかんだ情報で、ここから普通に移動したら、二日ほど掛かる街までの情報が得られましたので、そこまで急ぎたいと思います。」
どうもレイモンド様には、私たちが知らない何か事情があるようだ…。
それをフェデリコ様へお伝えしたいのだが、しばらくは難しい。
それにそうはいってもまだレイモンド様が私を完全に信用しているとは言い難く、ここで失敗をしてしまうと、事態を更に悪化させる可能性もある。
ここは慎重に動かなければいけない。
なので私の方から積極的にフェデリコ様へ繋ぎをつけるのはやめておこう。
レイモンド様とは、一旦別れた。
私は馬を休ませて、更に出来るだけ早く出立する準備をしなくてはならないし、レイモンド様も何か準備があるらしい。
深夜に再び、馬を預けた厩近くで合流することになった。
私は水と食料を入手しようと街の中心地へ向かおうとし、運良くフェデリコ様を見付けた。
さり気なく近付き、そっと告げた。
「向かう方角が同じなら、同行させてほしいと頼まれ、対象者と行動を共にすることになりました…」
「了解」
そして私は喧騒の中へ紛れ込んだ。
準備は早々に済ませ、私の馬が見えるところにあるベンチに横になり、仮眠を取った。
深夜、人の気配を感じ、いかにも寝ぼけ眼を無理やり開けていると言わんばかりに大あくびをしながら身体を起こした。
「レイ様…もう時間ですか?」
「こんな夜中に急き立てるようですまない。しかしどうしても少しでも早く向かいたいんだ。」
「お急ぎって事は分かっていますから、大丈夫ですよ。」
私は微かに微笑み、レイモンド様の荷物を受け取り、私の荷物と共に、馬の背に固定した。
馬の鞍は一人用ではあるが、私の身体に対して大きめなので、まだ細い少年一人、乗せた所で問題はないだろう。
しかし彼に背を向けるのは、流石にそこまでの信頼は持てないので、彼には私の前に座ってもらおう。
「レイ様は、申し訳ないが、私の前に座ってもらえますかな?
流石に二人乗せて飛ばす事はないので、鞍の前の部分をしっかり掴んでください。
先ずは私が乗って、引っ張り上げますね。」
そう言って私は愛馬に飛び乗った。
彼に手を差し出し、つかんだ腕を引き上げた。
男二人でぴったり着くのもあれだが、仕方がないので、安定感のために、レイ様と私の腰を紐を巻いてしっかり結んだ。
「うん…やっぱり野郎同士でというのは微妙だな…」ボソッと呟いたが、レイ様に言ったつもりではなかった。
しかし聞こえてしまったようで、耳を赤くしてやはりボソッと「すまない…」と返ってきてしまった。
「さて!出発しますか!」
明るくそう言って、馬に合図を送った。
この馬は、とても賢いので、叩いたり強く蹴ったりせずとも、手綱と軽い合図で動いてくれる。
今夜も黙って歩き始めた。
街の門のところまで来ると、門番が詰所から出てきた。
「こんな時間に出かけるのか?」
「すまない!こいつが早く婚約したての彼女のところへ帰りたいと急かすもんでなぁ。悪いが通して貰えないか?」
そう言って、馬の上からこっそりとドナテッロ家の家臣という身分証と、銅貨を2枚出した。
「あんたも大変だなぁ。」
そう言いつつ、快く門を開けてくれた。
「夜道は盗賊にも気を付けろよ!」
そう言って見送ってくれた。
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