散り際の向日葵

雪戸紬糸

文字の大きさ
6 / 57

私を覚えてるか

しおりを挟む

私を覚えてるか?

ああ、覚えてないのか

おまえの最初の先生だよ

おまえを取り上げたという意味ではない

おまえと一緒にいた

恋人同士だった

幼いおまえの中は

まあ良かった

おまえは必死に我慢していた

だから、褒美をやることにした

なぜ精神科医のあいつがおまえにだけ優しいと思う?

私がいるからだ

最初はそうだった

でも今は違う

まあまあ可愛いとは思ってるだろう

あのぶんだと

まあでもそうだ

あいつは本心を絶対に分からないようにするだろう

いま、私にしてほしいことはあるか?

いってみろ

なんだそれは

私に会いたいだと?

それは無理な話だ

なんでおまえと別れたと思ってる

おまえが成長したからじゃない

成長しても大事に思う

そうかそれなら

いつかお前を迎えに行ってやろう

でもそうだ

そのときは、彼と別れなければいけないよ

彼が嫉妬深いのはお前だって分かっているはずだ

ぼく?

ぼくはお前となんて番わないよ

お前が会いたいというなら会ってやってもいい、というだけのことだ

あんな思いはもうイヤなんだ

もうしたくないんだ

でもそうだ

お前はそういうやつだ

先生と離れたくないだろ?

だから簡単にそういう言葉を吐くな

分かったな

分かったならいい

お前を身守っているよ

お前が死ぬ瞬間に、また言葉をあげよう

助けてあげる、という言葉をきにいったのは、予想外だった

あの男は左遷させたよ

ぼくのお前にそんな言葉をはくなんて許されないだろ

ああ、愛してるよ

お前のことを、愛してる
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

BODY SWAP

廣瀬純七
大衆娯楽
ある日突然に体が入れ替わった純と拓也の話

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

残業で疲れたあなたのために

にのみや朱乃
大衆娯楽
(性的描写あり) 残業で会社に残っていた佐藤に、同じように残っていた田中が声をかける。 それは二人の秘密の合図だった。 誰にも話せない夜が始まる。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

処理中です...