コンセプトバーのお兄さんと富豪くん

クリム

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猫耳裸エプロンでうしろから

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 子供がいる。

 カウンターから目を横にやると白シャツに黒ズボンの男児が、ボックス席に1人で座っている。

「ライコウさあ、今日役に立たないから、お子様の相手でもしてきなよ」

 時間は午後7時、薄暗いボックス席。大人の群れの中、背をピンと伸ばした子供が誰も接客していないボックスに座っている。

「わかった」

 さっき、ついさっき、8年も付き合った彼氏からLINE一本で捨てられたらいは、もう連絡すらつかないスマホをエプロンのポケットに押し込んだ。

「こんばんは、コンセプトバー『ジュエル』へようこそ。僕はライコウです。ジュースでいいですか?」

 泣いたからメイクはヨレヨレだが、直すヒマなんてくれなかったのは、最悪だ。

「ジンジャーエールある?」

 膝をついてオーダーを取る。

「かしこまりました、ニャン」

 今日のコンセプトは、猫耳裸エプロン。なんつー組み合わせだと思いながらも、刺さる猫尻尾プラグを尻ごと揺らす。コンセプトバーのしきたりはちゃんとしなくては。

「それは、本物?」

「あ、ひゃんっ」

 ぬ、ぬ、抜かれた。莱は慌てて肛門括約筋を引き締めた。粘液性の高いぺぺローションが溢れる。

「はい、2階にどうぞー。ごゆっくりー」

 カウンターで同僚が叫ぶ。ジンジャーエール入りグラスを手渡された。

「お子ちゃまと2階でゆっくりしてこい」

 2階にはエレベーターで上がって行き、小さな部屋に案内する。

「ジンジャーエールです。あ、あの、プラグ返してください」

 ローションが漏れ出てしまいそうで、内股気味になりベッドに座ると、オレンジ色の暖色ライトの中で、白いベッドに腰掛ける子供の手の中の尻尾付きプラグを返してもらいたくて、手を伸ばす。

「肛門性交するためのツール?コンセプトバーはウリもしてるの?」

 トンと肩を押されて、膝を閉じていてバランスが悪くて、コロンとベッドの下に転がってしまった。子供がベッドから降りて、手を貸してくれ、ベッドに両手をついて、膝立ちになる。

「ありがと。あのね、強制ウリじゃないよ。自由恋愛。でも、君はまだ早くて、だからーー、ひゃああんっ」

 中、中に温かいーー

 ベッドに座るために突き出した尻、莱の緩んだアナルに、ズボンの前立てを緩めた子供のペニスが入り込む。

「うしろからっていうんだよね、これ。動いていい?」

 うしろから?膝立ちバックじゃんか。

「あ、ああっ、やっ、ぅうーーーっ!!」

 別れた彼氏のお粗末な早漏ペニスよりもものよりぴたりと身体に合ってて、恥ずかしいくらいイキまくる。突かれるとイく。最近ご無沙汰だったせいだ。

 大きさがいい。

 長さもいい。

 太さとカリの小さな形もいい。

 奥イキってのが、莱には初めてだった。

「待って、待って、また、イくっ」

「うん、待つよ」

 しかも、優しい。

「じゃあ、動くからね」

「う、うんっ。あ、はぁんっ!」

 子供だからか軽く揺さぶる感じと、捏ねられる感覚と奥からやってくる痺れ、そして背中を突き抜ける白い稲妻の様なビリビリ感まで味わってしまった。

 浅黒い手足にまだ軽く痺れた様な感覚が残っていて、なんだか気だるく、莱は脚の間で動きを止めた子供の乱れた髪を見上げる。

 あ、出てる。射精してるんだ。中に出してる。じわりと熱くなる。

 莱も射精をしまくり、エプロンはベタバタだ。

「はあ……童貞卒業。プラグを戻してあげるよ、ライコウさん」

 子供はペニスを抜くと、莱が見下ろすアナルに猫尻尾プラグを差し込む。

「ライコウさん、俺のペニスはティッシュで拭けばいいんだよね」

「それでいいけど。あの、童貞卒業って。男はノーカウントでしょ。性病にならないように、すぐにおシッコしたほうがいいよ」

 下手くそすぎて、莱が丁寧に拭いてやる。恥毛は生えていない。莱は剃っているが、手抜きをするとぼうぼうになる。

「ライコウさんは性病になってるの?」

「なってない。月1店で検査があるからね。名前の下に張り出しあるよ、健康体」

 タイムカードを切ってから、20分経っている。自由恋愛はノーカウントだ。そろそろ戻ろうかと思ったが、子供に頬を触れられた。

「泣いていたのはなぜなの?俺は国一くにいち。日本国の国に、一番の一。男か女かは関係ないよ。最初の性行為がライコウさんだってこと」

 少しキーの高いアルト、ソプラノではなく。この店のことは少しくらいは、知ってるってことらしい。

「8年付き合ってた奴に振られたんだよ。LINE一言で『お前、重てえ』ってね」

 スマホを取り出すと、既読もつかないLINE画面を自傷気味に見せた。

「本当だ」

「8年だよ。国一くんなんて生まれたくらいじゃない?もう少し大きい?」

 8年前、高校生1年から付き合ってた。ほぼ同棲に近い状態になったのは、1年前くらい。ラブホ代が勿体無いって言われて、莱がアパートを借りた。

 涙が再び出てくる。

「はー、なんでなんだろうね。何がいけなかったのか分からないよ」

 もう繋がらないLINE。電話番号は知らない。意外にも繋がりはLINEのみ。あとは奴の自宅は知ってる。だけど、行きたくない。苦しい。死にたくなる。死にたい。すごく泣けて、泣いてしまった。

「ライコウさんって芸名?本名はらいって言うんだ。はい、俺のLINE入れておいたからね」

「芸名じゃなくて、源氏名。何やってんの、もう。あ、国一って入ってる。消すよ」

 スラッシュしようとして、手を伸ばされる。

「消さないで、絶対、絶対毎日連絡するから」

 莱からは連絡する気はない。多分、誰かお店の客の子供だろう。未成年と自由恋愛?だめだ、それは。ヘマをすれば辞めさせられかねない。捕まるかもだ。

 部屋を出ると、隣の部屋の前で中年男とキスを交わすロシアンブルーの猫耳同僚がいた。

「すごく良かったよ、猫ちゃん式舐め舐めが」

「あはは、ありがとう」

 同じくバイトキャストのヒガシのエプロンポケットには数万円の札が納められている。そのままプラグ尻尾尻を揉まれながらエレベーターで降りていく。

「あ、俺、お金持ってない。莱さん、幾ら?」

「ライコウ!あのさ、自由恋愛って言ったじゃん。いらないよ」

「でも」

「君からお金はダメだよ。働いた大人の経済交換なんだから」

 莱は膝をついて座り、泣きすぎで真っ赤になった顔を寄せた。

「国一くん、たくさん泣かせてくれてありがとう。少し、すっきりしたし、すごく気持ちよかったです」

 その頭に手を寄せると、小さな顔が近づいて唇を唇に合わせてきた。

「じゃあ。またね、莱さん」

 次はないでしょ。



 

 
 







 
 

 
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