8 / 18
小さな「約束」
しおりを挟む
なんでこんなことに………………。私はタオルと腕で隠せる限りのとこを覆い隠しながら恐る恐る大浴場に入る。
「…………白峰さん、そんなに恥ずかしがらなくても…………」
「う、うるさい………………そういうあなたは恥ずかしくないの!?」
「あー、まぁ、少しは、ね…………」
そう言って少しはにかむ墨森さん。お風呂だからか、トレードマークのアンダーリムもかけていない。私と違って、筋肉のついてない少しぷにっとした白いお腹。…………少し、羨ましい。
「じゃ、じゃあ、体とか洗っちゃおっか」
墨森さんが二人分のスペースを見つけて手招きしてくる。二人並んで座ると、墨森さんは早速体を洗い始める。
「………………白峰さん、どうしたの?」
「…………体洗う間、後ろ向いてて貰える?」
「う、うん…………」
私だけ見られて不公平、とか呟くのが聞こえた気がするけど、それでも墨森さんは後ろを向いてくれる。その間に、私は手早く全身を拭いて墨森さんを待つ。
「あれ、もう終わったんだ…………」
「ええ、元から早い方だから」
「そうなんだ………………後は頭だけど、白峰さん自分で洗える?」
「ば、馬鹿にしないでっ………………で、でも、今日は…………お願い、しようかしら」
両腕を使うってことは、見られちゃうわけだし…………結局、好奇心が勝った。
「じゃ、じゃあ、始めるよ」
ざぁぁ、とシャワーのお湯が降り注ぐ。それが終わると、冷たいシャンプーが首筋にかかる。
「ひゃう…………ん」
「へ、変な声立てないでよ…………。他にも人いるんだからっ」
「だって………………」
そう言っている間にも、私の髪はかき回される。
「…………流すよ」
再び、ざぁぁ、とシャワーに流される。
「それにしても、ほんとにキレイな髪………………。そうだ、私のリンス使わせて」
「いいけど…………リンスの名前は?」
「ん?椿だけど。」
「待って、それ私も使ってるわ」
「ほんと!?」
驚いたわね………………半年以上一緒にいて、同じのを使ってることに気が付かなかったことと、墨森さんのセンスに。
「…………同じの使っててどうしてこんなに違うのかなぁ」
と、墨森さんはブツクサ言いながらもリンスを髪に馴染ませていく。
「………………丁寧ね」
「自分も髪長いかんね。それに、こうやって誰かの髪をいじるのがボクの夢だったんだ」
「…………あなた、今までどんな学生生活を送ってきたのよ…………」
と、少し呆れてから、
「………………私、髪結ぶの苦手だから大抵お団子なの。…………のの…………墨森さん。明日から、結ばせてあげ…………いや、結んで、くれる?」
「………………いいの?」
「………………特別、よ?」
「ありがと。………………と、とりあえず髪流しちゃおっか」
どこか照れたような墨森さんの手が、やさしく私の髪を洗い流していく。
誰かと入るお風呂も、いいものね。
「…………白峰さん、そんなに恥ずかしがらなくても…………」
「う、うるさい………………そういうあなたは恥ずかしくないの!?」
「あー、まぁ、少しは、ね…………」
そう言って少しはにかむ墨森さん。お風呂だからか、トレードマークのアンダーリムもかけていない。私と違って、筋肉のついてない少しぷにっとした白いお腹。…………少し、羨ましい。
「じゃ、じゃあ、体とか洗っちゃおっか」
墨森さんが二人分のスペースを見つけて手招きしてくる。二人並んで座ると、墨森さんは早速体を洗い始める。
「………………白峰さん、どうしたの?」
「…………体洗う間、後ろ向いてて貰える?」
「う、うん…………」
私だけ見られて不公平、とか呟くのが聞こえた気がするけど、それでも墨森さんは後ろを向いてくれる。その間に、私は手早く全身を拭いて墨森さんを待つ。
「あれ、もう終わったんだ…………」
「ええ、元から早い方だから」
「そうなんだ………………後は頭だけど、白峰さん自分で洗える?」
「ば、馬鹿にしないでっ………………で、でも、今日は…………お願い、しようかしら」
両腕を使うってことは、見られちゃうわけだし…………結局、好奇心が勝った。
「じゃ、じゃあ、始めるよ」
ざぁぁ、とシャワーのお湯が降り注ぐ。それが終わると、冷たいシャンプーが首筋にかかる。
「ひゃう…………ん」
「へ、変な声立てないでよ…………。他にも人いるんだからっ」
「だって………………」
そう言っている間にも、私の髪はかき回される。
「…………流すよ」
再び、ざぁぁ、とシャワーに流される。
「それにしても、ほんとにキレイな髪………………。そうだ、私のリンス使わせて」
「いいけど…………リンスの名前は?」
「ん?椿だけど。」
「待って、それ私も使ってるわ」
「ほんと!?」
驚いたわね………………半年以上一緒にいて、同じのを使ってることに気が付かなかったことと、墨森さんのセンスに。
「…………同じの使っててどうしてこんなに違うのかなぁ」
と、墨森さんはブツクサ言いながらもリンスを髪に馴染ませていく。
「………………丁寧ね」
「自分も髪長いかんね。それに、こうやって誰かの髪をいじるのがボクの夢だったんだ」
「…………あなた、今までどんな学生生活を送ってきたのよ…………」
と、少し呆れてから、
「………………私、髪結ぶの苦手だから大抵お団子なの。…………のの…………墨森さん。明日から、結ばせてあげ…………いや、結んで、くれる?」
「………………いいの?」
「………………特別、よ?」
「ありがと。………………と、とりあえず髪流しちゃおっか」
どこか照れたような墨森さんの手が、やさしく私の髪を洗い流していく。
誰かと入るお風呂も、いいものね。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
せんせいとおばさん
悠生ゆう
恋愛
創作百合
樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。
※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。
春に狂(くる)う
転生新語
恋愛
先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/
カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761
身体だけの関係です‐原田巴について‐
みのりすい
恋愛
原田巴は高校一年生。(ボクっ子)
彼女には昔から尊敬している10歳年上の従姉がいた。
ある日巴は酒に酔ったお姉ちゃんに身体を奪われる。
その日から、仲の良かった二人の秒針は狂っていく。
毎日19時ごろ更新予定
「身体だけの関係です 三崎早月について」と同一世界観です。また、1~2話はそちらにも投稿しています。今回分けることにしましたため重複しています。ご迷惑をおかけします。
良ければそちらもお読みください。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/500699060
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる