Dear my roommates

heil/黒鹿月

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小さな「約束」

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 なんでこんなことに………………。私はタオルと腕で隠せる限りのとこを覆い隠しながら恐る恐る大浴場に入る。
「…………白峰さん、そんなに恥ずかしがらなくても…………」
「う、うるさい………………そういうあなたは恥ずかしくないの!?」
「あー、まぁ、少しは、ね…………」
 そう言って少しはにかむ墨森さん。お風呂だからか、トレードマークのアンダーリムもかけていない。私と違って、筋肉のついてない少しぷにっとした白いお腹。…………少し、羨ましい。
「じゃ、じゃあ、体とか洗っちゃおっか」
 墨森さんが二人分のスペースを見つけて手招きしてくる。二人並んで座ると、墨森さんは早速体を洗い始める。
「………………白峰さん、どうしたの?」
「…………体洗う間、後ろ向いてて貰える?」
「う、うん…………」
 私だけ見られて不公平、とか呟くのが聞こえた気がするけど、それでも墨森さんは後ろを向いてくれる。その間に、私は手早く全身を拭いて墨森さんを待つ。
「あれ、もう終わったんだ…………」
「ええ、元から早い方だから」
「そうなんだ………………後は頭だけど、白峰さん自分で洗える?」
「ば、馬鹿にしないでっ………………で、でも、今日は…………お願い、しようかしら」
 両腕を使うってことは、見られちゃうわけだし…………結局、好奇心が勝った。
「じゃ、じゃあ、始めるよ」
ざぁぁ、とシャワーのお湯が降り注ぐ。それが終わると、冷たいシャンプーが首筋にかかる。
「ひゃう…………ん」
「へ、変な声立てないでよ…………。他にも人いるんだからっ」
「だって………………」
 そう言っている間にも、私の髪はかき回される。
「…………流すよ」
再び、ざぁぁ、とシャワーに流される。
「それにしても、ほんとにキレイな髪………………。そうだ、私のリンス使わせて」
「いいけど…………リンスの名前は?」
「ん?椿だけど。」
「待って、それ私も使ってるわ」
「ほんと!?」
 驚いたわね………………半年以上一緒にいて、同じのを使ってることに気が付かなかったことと、墨森さんのセンスに。
「…………同じの使っててどうしてこんなに違うのかなぁ」
 と、墨森さんはブツクサ言いながらもリンスを髪に馴染ませていく。
「………………丁寧ね」
「自分も髪長いかんね。それに、こうやって誰かの髪をいじるのがボクの夢だったんだ」
「…………あなた、今までどんな学生生活を送ってきたのよ…………」
 と、少し呆れてから、
「………………私、髪結ぶの苦手だから大抵お団子なの。…………のの…………墨森さん。明日から、結ばせてあげ…………いや、結んで、くれる?」
「………………いいの?」
「………………特別、よ?」
「ありがと。………………と、とりあえず髪流しちゃおっか」
 どこか照れたような墨森さんの手が、やさしく私の髪を洗い流していく。

 誰かと入るお風呂も、いいものね。
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