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三. セトの章
45. 蟲の襲来 ①
しおりを挟むジリジリ…
―――バチン!!
始まりはこんな音からだったと思う。
辛うじて残っていた屋敷本館の柱の、それなりに金を掛けた玄関口の脇に掲げた油たっぷりのカンテラの火が、光に集まる習性を持つ翅蟲によって消された音だった。
我が身を省みず、まさに己を犠牲にして炎を消した。
その様を、その開始の合図を。僕らはただ見ている事しかできない。
夕刻、陽が落ちたその瞬間に、蟲は攻撃を開始した。
炎に飛び込む蟲は積み重なった躰を更に繋ぎ合わせて、炎の残骸すら残さない。
並々の油にたくさんの屍が浮き、浮いた端から湧き出る様は不気味で、地獄の糸を手繰り寄せる古のおとぎ話のようだとニーナは言った。
僕はついに訪れたその刻に慄き、籠城する部屋に用意した毛布を頭から被る。
残りの者は無駄だと分かっていながら、それでも足掻く。窓という窓、ドアというドアにトリモチを使った粘着質のテープを貼って、何とか時間稼ぎを施そうとする人たちを、僕は手持ち無沙汰に毛布の隙間から見ていた。
父と使用人、僕らを助けてくれるギルドの人達が結託して齷齪働いている中、僕と、あともう一人だけが何もしていない。
ほんの数時間前までは険悪な仲だったのに、今は一緒になって励まし合っているのだから笑える。
ああ、どうしてこうなったんだろうね。
その理由は11年前から既に、仕組まれていた事だったんだろうけど。
「ひゃああああああ!!!!」
厨房で悲鳴が聴こえる。
メイド長の女が、顔を歪ませ頭を抱えて隣接の応接間に転がり込んできた。
彼女は若作りで素顔が派手で、化粧が良く映える美しい女だった。長年この屋敷に仕えてきた古株で、いつも取り繕ったすまし顔で朝をキスと共に起こしてくれていた。
その顔は激しく醜く、泣き叫びながら罵るその姿は滑稽で見てられなくて、騙された感もしてガッカリする。
女はどんな時でも、「女性」を振舞えなければ終わりだと思う。
男は女の聡明さと芯の強さに惹かれるものだ。それを失ってしまえばただの肉塊になるというのに。
「虫が、蟲が入り込んできましたわああああ!!」
「チっ、油持ってこい!あぶらぁ!!」
蟲は換気に開けた穴から次々に入り込んでくる。
アッシュは輪違いの触媒を胸元から取り出し、その塊を目掛けて炎の弾を発動した。
――#火・弾__イグニス__#!!――
ゴオオオオォォォォオ!!!
炎の弾は這い出る蟲に命中する。その効果を物理的に上げる為、立ち直ったメイド長が髪をざんばらに振り乱しながら油を撒く。
瞬く間に炎は高く立ち昇り、厨房の天井を黒焦げにした。
「や、やめろ!家を丸焼きにする気か!!」
何でも協力すると言っておきながら、実際に想定以上に壊されるとなると話は違う。
屋敷の所有者である父は、顔面蒼白で怒鳴った。
しかし魔法を放った当の本人――アッシュは動じない。
「家が焼けるか、蟲に食い殺されるか、好きなのを選びやがれってんだ!!あんたもその覚悟で残ったんだろうが!」
何という二択だ。どっちに転んでも、損をすることには変わりない。
だけど最後の台詞には僕も同意する。
父は敢えて残ったのだ。占い師の言う通り、四方を鉄に囲まれた父の自室に他の連中と篭っていれば、高い確率で生き残れたはずなのに。
その真意は不明だけど、父は危険なのを重々理解した上でこの場にいる。なのに文句だけは一丁前って、さっきと何も変わっていない。
「せ、せめて湯で蒸し焼きに…!」
「そんなのチンタラ待ってる場合か!湯が沸く前に取り囲まれちまうぞ!」
父は油圧式の排水ポンプを捻った。
金にものを言わせて引かせた最新式の水道システムだ。
いちいち水を汲みに行かなくても、蛇口を捻ると砂漠の綺麗な地下水が出てくる。
「ひ、ひぃっ!!」
しかし捻って出てきたものは、粘膜を伴った大量の蟲だった。
ボトリボトリと音を立てて、蛇口から凄まじい勢いで飛び出してくる。
なんておぞましい図だ。蟲は一瞬で蛇口を覆い尽くし、その範囲をどんどん広げている。
気色悪すぎだ。
メイド長の女は大の虫嫌いである。あんなものを間近で見せられて、彼女は白目を剥いて失神寸前だ。
「余計な事すんな!おっさん!!」
逆にアッシュに怒鳴られた父は、敢え無く厨房から撤退する。
「魔法使い」という胡散臭い輩を鼻で笑って見下していたのに、立場が完全にひっくり返っている。
なかなか面白くない構図だが、父も僕も戦いには慣れていない。それに小っちゃな蟲を剣でちまちま叩き潰すより、広範囲の魔法の方が効果的なのだから、ここはアッシュに任せて然るべきだろう。
「ぎゃああぁぁあああ!!!」
今度は応接間から悲鳴だ。
華美な調度品が自慢だった絢爛豪華な応接間も、今はすっかり見る影もない。
目張りしていた窓から、じわりじわりと小さな蟲が這い出ていたのだ。
窓にはびっしりと翅蟲がへばり付き、外の様子を窺い知る事は叶わない。
その窓の遠くの方から、あちこちで轟音と悲鳴が聴こえていた。
蟲の襲来は僕の屋敷だけではない。物語に沿っているのなら、全ての民が対象なのだ。恐らくは他の家や避難施設も蟲に襲われているだろう。
今朝は一度襲来を受けている。補強も大して意味は成さなかったし、町の住民らは無事であろうか。
僕専用の、大事な娼婦たちが応接間に集まっていた。
床下からむくむくと絨毯を隆起させる大型の蟲が湧き出るのを、ヒールの高い靴で一心不乱に踏みつけまくっている。
こちらもメイド長に劣らず凄い形相だ。
目を血走らせ、赤いルージュを引いた唇は裂け、ガンガン床を踏む様はまさに鬼神。
僕の娼婦は全部で6人いた。その内の半分は鉄の金庫に籠城し、残りの半分は何故かここにいる。
訊けば打算的な目論見があったようで、こっそり本音をニーナに耳打ちしたそうだ。
一人は隠れた三人とは仲が悪く、一人は僕に寄り添えば妻にしてもらえるはずだと将来を考え、最後の一人はあわよくば財産を持ち逃げするのも有りだと火事場泥棒を画策していた。
色気も何もあったものじゃない。
過度に着飾って媚びを売り、あまつさえこの惨状を利用しようとするとは恐れ入る。
あんなものに興奮していた自分を恥じたくなった。
「この、このぉ!!」
「やだやだやだやだ死にたくない!!」
「ちょっと、どうにかしなさいよぉ~!壊れちゃったら価値がなくなるじゃない」
「やだあ、キモイんだけどお!」
「ふええ…セト様ぁ、抱っこしてぇ?」
好き勝手叫ぶ姿も美しくない。
僕は大袈裟に溜息を吐き、何をするでもなく鬼女達の振る舞いを観察する。
いっそ死んでくれたら楽なのにと、頭の端で願いながら。
「――そんなの凍らせちゃえばいいじゃん。おっぱいばかりに栄養がいって、頭の中はカラッポなのかな~!」
挑発的な台詞と共に、黒いドレスを纏ったふわふわ巻き毛のテルマ嬢が前へ進み出て、徐に手をかざした。
ビキビキビキビキっ!!
なんと一瞬で、床に厚い氷が張られた。
テルマ嬢の場合、アッシュらと違って詠唱を必要としない。魔法を使う為に絶対に必要と云われた触媒すらも彼女は持ち合わさない。
ほんの僅かなひと時の後、蟲が顕れる前のほんの束の間に、ニーナは僕に教えてくれた。
彼女の正体は、やはりというかほぼ確信していたが、人間ではなかった。複雑すぎて簡潔な説明が難しいと言いつつも、最も適した表現は『精霊』なのだそうだ。
可視化できる精霊なんて聞いた試しがない。だけどそれを可能にしたのが魔法使いのギルドマスターで、僕はそこでも底知れぬ恐ろしさを、ギルドマスターと名乗る未知なる男に感じてしまうのである。
精霊ならば宙も浮けるし、魔法も思いのまま。直接マナに関与できるのだから、魔法使いからしてみればチートな存在なのが精霊である。
テルマ嬢は「怖いけど面白い」と、この状況を愉しんでいる。
その彼女の放った魔法の属性は氷。
氷は絨毯ごと床を侵食し、何もかもを凍らせた。
女たちのヒールも一緒に凍ってしまった。動くには靴を脱ぐしかない。
娼婦らは冷たい氷に素足を浸し、涙目でテルマ嬢を罵る。
しかしどこ吹く風のテルマ嬢は、調子に乗って関係ない壁の絵画や調度品までどんどん凍らせていく。
「や、やめろ!これらは高いんだぞ!お前達風情が一生働いても買えないぐらいっ…ぐは!!」
また父が登場する。
父は慌てて現れ、颯爽と僕の目の前から消えた。
氷に足を滑らせてしまったのだ。情けなくもツイと滑って部屋の角で頭を打ち、テルマ嬢がそれを見てケタケタと笑う。
意地悪そうな紅い瞳で、父を見据えた。
「じゃあ、死んじゃえば?もう働かなくてもよくなるよ」
数時間前に、父がニーナにしてしまった暴力のお返しなのか。可愛い顔して辛辣な台詞だ。
こんな年端もいかない少女ではなく、これがもう少し大人であれば僕好みの気の強い女になれただろうに。
精霊にアレがあるのかは知らないけれど、色々と惜しいと思った。
蟲は迫るが、僕らも必死に対処している。
夕陽は沈み、夜も更けた。
僕らは次第に疲れていくのに、蟲の攻撃は激しさを増している。
休憩もあったものじゃなかった。
時刻は分からない。
業を煮やした蟲たちが強行突入に踏み切るのも、もはや時間の問題であった。
窓にへばり付き、僕らの抵抗をじっと観察していた翅蟲が、一斉にその翅を動かし始めた。
ヴヴヴヴヴヴヴヴーーーー!!!!
何て音だ。巨大な鐘の中で、外側からガンガン槌で殴られているような、凄まじい音と振動だった。
両耳を塞いでも尚、羽音は激しく鳴り響く。屋敷は騒音に支配される。
するとどうした事か。
奴らが集っていた窓のガラスが一部グニャリと変形し、なんと穴が開いたのである。
「げぇ!!」
父の発した下品な悲鳴に、娼婦らが身を寄せ合って震えている。
互いに僕を獲り合っていかに優位に立とうと画策していた女達が、今だけ共同戦線を張って協力的だ。
かと思えば、窓の近くは嫌だと押せ押せの攻防戦を繰り広げている。死に際の醜い生存争いは、人と蟲の争いだけではなくなった。
「―――熱殺蜂球」
「は?」
その時だった。
占い師が、小さな声で呟いたのだ。
彼女は僕らを感覚を残したまま硬直させて数時間も放置した後、腰が引けて応接間に戻ってきた僕らを見ても一言も口を利かなかった。労いも謝罪も怒りもなかった。
あれから特に何もせず、蟲が顕れてもじっと部屋の隅に突っ立って、同胞のギルドメンバーやメイド達が四苦八苦しているのをただ見ているだけだったのに。
「なにさ、その必殺技みたいな名前は…」
全身を真っ黒なローブで身を隠し、顔さえも窺い知れない怪しい女。
だが僕は知っている。
その野暮ったいローブの下に、かつてないほどの甘い闇が広がっている事を。ベールに隠された美しい金髪は、その一凛だ。
「時に虫は、外敵を殺す手段に自らの躰を震わせ、高温を発する事で蒸し焼きにする方法を取るという」
「それが何だというのさ」
「……」
占い師は肩を竦める。
食えない女だ。何を考えているのか、何をしようとしているのか。女性の心情に長けた僕でも見極められない。
「その蟲が何百何千と集まって熱を出し、ガラスと溶かした…というわけかい?これは二重窓だよ!ガラスの強度は地震や洪水にも耐え得る仕様なのに有り得ない」
「……」
女はまた黙り込んだ。
喋ったのは単なる気まぐれだったのか。
この女は殆ど喋らない。昨日は気が乗ったかで初めて彼女の声を聴く事が出来たが、出会った時から会話の輪に混じらず、皆が喋るのをじっと黙って聴いている。
そういえば、ついぞ僕と会話を成した試しがなかった。
さっきの呟きは、彼女と僕が出会って初めてのコミュニケーションだ。蟲の必殺技が初めて交わした言葉だなんて、色気が無いのも程がある。
占い師は寡黙だが、逆に彼女が連れてきた魔法使いのギルド員たちはよく喋った。
あの赤毛の男など特にそうだ。
それに10歳ほどの少女も、ませた口調で僕にちょっかいを掛けてくる。
ふと思い出した。占い師の仲間には、もう一人女性がいたはずであると。
濃い青髪できっちりとした身なりの、僕鶏も少し年上の女性。神経質そうだが敢えて強がっている節もあって、愛嬌のある可愛い顔をしていた――ニーナの姿がない。
占い師に間接的に叱られたニーナは解除と同時に泣き崩れ、それから片時も占い師の傍から離れなかったというのに、何処に行ってしまったのか。
「ちょ、まっ…!のおおおおおおぉぉぉぉお!!!」
父の雄叫びがした。
廊下を出て突き当りの方で、父の嘆きが聴こえてくる。
いつ移動したのか。応接間のテルマ嬢に邪魔者扱いされて、豪華だけが取り柄の机の下に潜り込んで震えていたのに。
するとひょっこりニーナが顔を覗かせた。
「天井裏はもうだめですね。梁がやられてしまいました」
ニーナの後ろから、ドタドタと父が転がり込んでくる。
見ると彼女の周りに、何体もの球体間接人形が不気味と浮いているではないか。父は蟲ではなく、その人形を見て悲鳴を上げたのだ。
ニーナは何でもないような顔をして、占い師にそう告げる。
あの人形は父の三人目の妻の形見だったか。父の自室のコレクション棚に保管していたはずの人形は、精巧な造りと出来の良さから価値が高く、眠らせておけば眠らせるだけ価値が高騰するからと、父が大事にとっておいたものだった。
その大事な大事な人形たちが、見るも無残なボロボロの姿に変わり果てている。
陶器の身体は割れ、グラスアイは取れて窪み、一本一本生やした髪は丸焦げだ。
「き、貴様っ!!ワシの人形たちに何をしたっ!!」
唾を飛ばして父が叫ぶ。
ニーナは勝手に拝借したことをまずは詫び、それからにっこりと微笑んだ。
「だって蟲のたくさんいる天井に、生きた人間は行けないでしょ?あなたの代わりに偵察してくれたんだから、怒るんじゃなくて感謝してもらわないと」
「うがああああ!!!さっきの仕返しか、小娘!?」
「何のことかしら。私は全く気にしていませんよ。でも随分と攻撃的な蟲だったわ…。人形達が一瞬でボロボロになるくらい」
ゴトン、ゴトン―――ゴトン
用済みと云わんばかりに人形たちが力なく床に落ちた。
「私の傀儡の魔法です。得意なんですよ」
床に転がった反動で人形たちの首がもげ落ちた時、今度こそ父は完全に崩れ落ちた。
「いやじゃあああ!!!なんでこんな目に、もう嫌じゃあああああ!!!ワシの家、ワシの財産、ワシの地位、ワシの全てが蟲に殺される!!なんで、なんでこんな目に遭わねばならんのじゃああああああ!!!」
子どもの駄々っ子のようにゴロゴロと転がる様は滑稽だ。
実の父ながら、飽きれて果ててしまう自分がいる。
そんな僕も同じ穴の貉であるのは分かっているけれど、父みたいに唾を飛ばして理性を失わないだけでもマシだと思っている。
―――なんでこんな目に。
それは僕が訊きたい。
―――全てが蟲に殺される。
たかが虫ケラ如きに、人間様が殺せるものか。
しかし蟲は確実に、徐々に、ゆっくりと。僕らを蝕んでいく。
小さいが故の利を活かし、集団行動の真髄を見せつける。
数に勝るものはないと、以前何処かで読んだ兵法の下りを思い出した。占い師の忠告通りじゃないか。
僕らは数人。対して敵は数万…いや、数千万。
今や町全体が蟲に食い殺され、絶滅寸前に陥っている。
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※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
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