うちのメイドがウザかわいい！ 転生特典ステータスがチートじゃなくて【新偉人（ニート）】だったので最強の引きこもりスローライフを目指します。

第１章 １ プロローグ

バスガス爆発

　異世界転生の特典としてもらった巨大なデッサン用人形が、普通の人間――それも美少女へと変わっていく。俺がひそかに恋心を寄せていた二歳年上の女の子、鹿目未来かのめみらいの姿にそっくりだと気づいたときは、体がどうしようもなく熱くなった。

「……なんで鹿目さんが？」

　黒髪のボブヘア、グミのような唇、ぱっちりした瞳。身長も、長いまつ毛も、すべて鹿目さんそっくりだった。元々人形だとはとても思えない。

　――私が君の自信になってあげるよ。

　鹿目さんがかけてくれた言葉を思い出す。あのときの笑顔は本当に美しかった。鹿目さんに変わったデッサン人形はぱちぱちと瞬きをしてから、にこりと俺に微笑みかける。

「ご飯にしますか？　お風呂にしますか？　それとも私と一生引きこもりますか？」

　くそがっ！　たしかに俺は日本でも引きこもっていたけどさぁ！　異世界にきてまで引きこもりって……。

　いや、それもありかもしれないな。

　こうして、俺と美少女メイドの楽しい？　楽しくない？　異世界生活がはじまるわけだけど、そうなるに至ったきっかけを教えておこう。

　バスガス爆発。

　はい、復唱。この早口言葉を言えなかった人は、こんなふざけた異世界転生をくれやがった女神リスズに文句を言いまくってほしい。言えた人は、俺と鹿目さん（仮）の異世界生活をぜひ楽しんでいってくれ。