うちのメイドがウザかわいい! 転生特典ステータスがチートじゃなくて【新偉人(ニート)】だったので最強の引きこもりスローライフを目指します。

田中ケケ

文字の大きさ
14 / 360
第1章 2 俺のステータスだけ特別すぎないか

【新偉人】の特殊性

しおりを挟む
「あれ、でもそれじゃあおかしくないか?」

 冷静になって考えるととある疑問が浮かんだので、ミライに尋ねることにする。

「おかしい、というのは、もしかしてやっぱり私のおっぱいが人間のものとは違うと」

「そうじゃないっつってんだろ。戦闘経験なら、俺はすでに積んでたって話だ」

「え? いつですか?」

「だから、その……なんつーか、大度出たちにその、まあ、ボコられて……」

 あれも考えようによっては戦闘だ。

 経験値が入っていてもおかしくはないと思う。

「つらいことを思い出させてしまったようですね。すみません」

「いや、別にこんな雰囲気にするために言ったんじゃねぇから」

 あくまで疑問を解消するためだ。

「その、大変申し上げにくいのですが、大度出さんたちのいじめ……じゃなくてボコら……でもなくて暴力行為は」

「わざわざ言いかえなくてもいいから。気にしてないし。いじめられてたとかボコられてたでいいよ」

「よくありません。一方的な暴力は立派な犯罪行為ですから、被害者が卑屈になるのはおかしいです。きちんと暴力行為と表現すべきです」

 ミライは語気を荒らげて、俺のねじれた考えを正そうとしてくれる。

 その優しさが俺の心に染み渡った。

「ありがとう。そうだよな。俺が卑屈になっちゃだめだよな」

「感謝なんてしないでください。私はあなたのサポートアイテムですから。いつでもあなたの味方です」

 嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか。

 涙が出てきちゃうよ。

「では、誠道さん。改めまして、ひとつ聞きたいことがあるのですが」

「おう。なんでも聞いてくれ」

「どこでその『い・じ・め』は行われていたのですか?」

「さっきの言葉忘れたのかなぁ? すぐいじめって言葉使ってるんですけど。強調させちゃってるんですけど」

「すみません。間違えました」

「絶対確信犯だろ!」

「本当に間違えました」

「なんならちょっといじってるだろ!」

「はい。その通りです」

「間違ってるって言えよ! いつでも味方じゃないのかよ!」

 もういい。こんなことやっていても埒があかない。

 俺はごほんと咳払いをして、場の空気をリセットする。

「で、どこでって話だったよな。たしか勅使が作った、経験値が二倍稼げるっていう、なんか変な空間だったな」

「なるほど。そういうことですか」

 難しい顔をして、深くうなずくミライ。

「あなたが大度出さんたちに暴力行為……じゃなくていじめら」

「はい今のは言い直したので確実に意図的でしたー」

「れていた場所が原因です」

「おい無視すんな……って、え?」

 場所が原因って、どういうこと?

「実は、この【新偉人】というステータスには特殊性があるのです」

「特殊性?」

 なんか嫌な予感がするんだけど。

「はい。【新偉人】を持つものは、自分のパーソナルスペースかつ閉じられた空間で戦闘や訓練を積むことでのみ、経験値を獲得することができるのです。特別ですよ、やりましたね!」

「やりましたね! じゃねぇんだよ。なにその厳しい条件。おかしくない? パーソナルスペースかつ閉じられたって、ほぼ自分の家じゃん!」

「はい。だからステータスの名前が【新偉人】なのです」

 きっぱりと断言するミライ。

 なるほどそういうことね、だいたい理解した。

 つまり、【新偉人】という固有ステータスを持っている俺は、自分の部屋に引きこもって訓練することでのみ経験値を稼げるってことだ。

 すげぇじゃん。

 引きこもりの俺にぴったりの固有ステータスってことか。

 さすが女神様。

 適材適所完璧すぎ!

 やりましたね!

「ってふざけんなぁああ! なんだよその無駄によくできたルール! おかしくはないけどおかしいだろ!」

 違う意味でやりましたね! だわ。

「ってか固有ステータスは異世界転生の特典なんだろ? なんで俺のだけ足かせになってんだよ!」

「でも誠道さんは引きこもりですよね? ニートですよね?」

 それを言われるとなにも言い返せないからやめてくれ。

 いいかげん、俺だって開き直るぞ。

「ああそうだよ。引きこもりでなにが悪い。ってか引きこもりは家にこもってなにもしないから引きこもりなんだよ。ただ家にいるだけで経験値になれよ!」

「違います。それはただの甘えです」

 即座に正論を言われ言葉を失う。

 ミライは姿勢を正したまま、まっすぐ俺を見据えていた。

「なにかつらいことがあって家に逃げ込む。それ自体を否定はしません。心が傷ついているのですから。ですが、大事なのは『引きこもっている間になにをするか』です。なにもしないただの引きこもりを世間は許してくれません。異世界でも同じです」

 ぐうの音も出ない。

 そうだよな。

 せっかく異世界にきたのに、ここで変わらなくてどうする。

 惨めな引きこもりから卒業できる絶好の機会じゃないか。

「たしかにミライの言う通りだわ。引きこもることは許してくれても、ただ引きこもりつづけることは許してくれないんだよな」

 まさか、俺に与えられたこの【新偉人】というクソみたいな固有ステータスに大事なことを教えられるなんて思わなかった。

「そうです。自分の心を修復するため、精神を回復させるために引きこもるのならいいのです。ただ、いずれは変わらなければいけない。変わりたいと思ったなら、引きこもったままでも行動しなければいけません」

「だな。俺、がんばってみるよ」

「いい顔になりましたね。それに家に引きこもったままレベルアップできるのはむしろ利点です。他の方はモンスターと戦闘しないと経験値が稼げないんですから」

「そっか。たしかにそうだな」

 ミライの言葉は一理ある。

 俺は危険を冒さずに経験値を稼ぐことができる。

 そう考えると、このへんてこな仕様も悪くない気がしてくるから不思議だ。

「それに、独りきりだとサボったりしてつづかないかもしれないけど、ミライが一緒ならがんばれそうだし」

「はい。私と一緒に引きこもってどんどんステータスをレベルアップさせて、伝説の引きこもりニートになりましょう」

「それは嫌ですごめんなさい」

 まあ、いくらステータス名が【新偉人】というふざけた名前でも、神様から与えられた固有ステータスなのだから、【?????】で隠れている技は、きっとものすごいチート技に違いない。

「あ、それとひとつだけ。俺も言いたいことがあるんだけど」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~

Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」 病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。 気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた! これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。 だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。 皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。 その結果、 うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。 慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。 「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。 僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに! 行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。 そんな僕が、ついに魔法学園へ入学! 当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート! しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。 魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。 この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――! 勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる! 腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

処理中です...