うちのメイドがウザかわいい! 転生特典ステータスがチートじゃなくて【新偉人(ニート)】だったので最強の引きこもりスローライフを目指します。

田中ケケ

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第1章 3 はじめての敵、それはゴブリン

後だしじゃんけん

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 翌日。

 もうなにもかもどうでもいいと、俺が自室で昼までふて寝していると、申しわけなさそうにミライが入ってきた。

「すみません。誠道さん。私、あの、なんとお声をかければいいか」

「うるせぇ。俺をおだてて調子に乗らせて、その結末がこれだよ。どうせ俺はただの引きこもりですよーだ」

「本当に、申しわけありません」

「今さら謝ったって、お前が俺を笑った事実は消えないからな」

「え?」

 きょとんと首を傾げるミライ。

「そんなことありました?」

「あったよ。まさか忘れたとは言わせないからな」

「私の中では、もうなかったことになっていますが」

「脳内に修正テープでも常備してるの?」

「過去を振り返らない男って、ダンディで格好いいですよねぇ」

「昨日のことを忘れるのは、ただのジジィだよ」

「こんなに謝っているのに。なにを言っても通用しませんか」

 控えめに頬を膨らませるミライ。

 くそぉ、仕草がいちいち可愛いからずるいんだよなぁ。

 気を強く持て、俺。

「当然だろ。いくら謝ったって許してやらないから」

「昨日のことなど謝っていません。忘れたことにしていると言ったでしょう」

「おい! 忘れたことにしてるってことは、確実に忘れてないってことだからな!」

「私が今謝っているのは、女神様からもらったお金をすべて使い果たしたことについてなのですが」

「そっちかよ!」

 はぁ。

 後三回くらい謝ってくれれば許してやろうかなーなんて思ったけど、もうぜってぇ許してやらねぇ――――って。

「はぁあああ?」

 俺はベッドから飛び起きた。

「ちょっと待て。なんでそんな、あんなにあったじゃねぇか」

 使い切ったって、どうして、あんなにお金があったのに。

 女神様は五百万リスズものお金を用意してくれた。

 まだまだたんまり残っていたはずなのに、それがなくなったって、どういうことだよ。

「誠道さんは知らないかもしれませんが、この異世界で生活しようとすると、かなりのお金が必要になるのです。特に食費ですね。ここは物価が高いのです。昨日煮物の中に入っていた、日本でいうニンジンによく似た食材はユニコーンの角といって、この異世界で最も高級な食材のひとつです」

「はいダウトー。お金がなくなったのは絶対ユニコーンの角を買った影響だよね?」

「それはそうかもしれませんが、突然異世界に飛ばされた誠道さんに、日本食を食べて安心してもらおうとして」

「じゃあニンジンを買ってこいよ。ちゃんとこの世界にもあるんだろ?」

「それはそうですが、少しでも贅沢させてあげたくて……すみません」

 いつもの凛とした雰囲気を失い、おどおどしながら弁明するミライ。

 俺のため、なんて言われるともう強く言えないじゃないか。

「それなら仕方ない……か。どのみち、こういう生活をしていれば金はいつかなくなる。遅いか早いかの違いと思うしかないか」

「そうですよね。仕方ないですよね」

 ほっとしたように胸に手を添えるミライ。

「実はユニコーンの角を買っても、まだお金は二百万リスズほど残っていたのですが、私はどうしても、ユニコーンの角を買ったお金を取り戻したかったのです。それで一攫千金を狙ってギャンブルをしたものの惜しくも失敗し、借金まで背負ってしまいましたが、それもまぁ誠道さんの言う通り仕方ないことですよね」

「おいそれは聞いてないぞ!」

 なんだその金の失い方は!

 さぞそのギャンブルをしているときは、ざわざわしていたんでしょうなぁ。

「誠道さん。大事なのはギャンブルで勝てる、勝てないじゃなくて、やるか、やらないかです。挑戦を怖がってはいけません」

「ミライさんには、失ったものの大きさに早く気がついてほしいですね」

「仕方ないって言ったのは誠道さんです。男に二言はないですよね?」

「後出しジャンケンするようなやつに言われても説得力皆無! 俺はまた寝るから、失った金は自分で稼げよ」

 百人中百人が、俺の態度が正しいと断言してくれるだろう。

 なにもしていない俺が責任を取ること自体おかしい。

「わかりました。そうですよね。すべては私が元凶ですから。私がなんとかしないといけませんよね」

 あれれぇ、なんか今回すごい物わかりよくないか?

 めちゃくちゃ嫌な予感するんですけど。

「では、とりあえず闇ギルドにいってお金を借りて、それを元手にギャンブルでお金を稼いできます」

「俺が稼ぐからいいよ!」

 またまたベッドから飛び起きる。

 そんな俺を見たミライの瞳が不敵に光った。

 こいつ、図ったな。

「やりやがったな。そうやって騙された俺が動くとでも」

「お言葉ですが、誠道さん。もしこのままふて寝をつづけたら、それこそ昼夜逆転しがちだって、女神様から笑われますよ」

 そ、それを言うなそれを。

 自分でも薄々わかってたんだから。

「それに、変わるんじゃなかったんですか?」

「……だったな」

 俺はゆっくりと立ち上がる。

 それに関しては、男に二言はねぇ。

 それにしてもこいつ、俺の扱い上手くなってんなぁ。

「でも、どうやってお金を稼げばいいんだ?」

「それはもう手配済みです。この世界で一番弱いモンスター、ゴブリンの討伐依頼をギルドで受注しておきました」

「ギルド……ああ、俺には関係ないって思って放置してたんだよなぁ……って、勝手に登録したのか」

「はい。登録料は今日の夕方に後払いすることになっております」

「やっぱり最初から俺に稼がせる気だったんじゃねぇか」
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