うちのメイドがウザかわいい! 転生特典ステータスがチートじゃなくて【新偉人(ニート)】だったので最強の引きこもりスローライフを目指します。

田中ケケ

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第1章 4 魔本には男子の夢が詰まっている

てへぺろ

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 その後、俺と聖ちゃんはすぐにオークション会場へ戻った。

 入口付近に立ち、いよいよエロティックモード発動というところで、聖ちゃんが俺の背後を陣取る。

 なるほど。

 俺の後ろにいれば見られないからね――いやそもそも見る気なんて全然これっぽっちも針の穴の大きさくらいしか考えてないから!

 よっしゃあやるぞ。

 いざ楽園へ!

 エロティックモード!

 唱えた瞬間に目の前が真っ白になったが、視界が徐々に鮮明になってくる。

「おおぉぉ」

 やべぇ、視界に映る肌色の面積が明らかに違うぞ。

 ああ、二の腕だぁ。肩だぁ。鎖骨だぁ。

 肌色がいっぱいだぁ…………ん?

 服を着たままの人もいるぞ?

 でもまあいいや。

 だって半分は裸だしね。

 待ち望んでいた光景に、俺は頬が緩むのをこらえきれない。

 ああ、太くて盛り上がった二の腕――これは男だ、違う!

 フライパンでも入っていそうなほど盛り上がった胸板――これも男だ、違う!

 ギャランドゥに胸毛――これも男だ、違う!

 ああもう!

 あいつもこいつもそいつもどいつも男、男、男ばっかりだよ。

 俺の楽園はどこですかぁ……って。

「裸になってんの全部男じゃねぇか!」

 俺はすぐにピンクの魔本を開く。

 そこにはたしかに、

《エロティックモードと心の中で唱えなさい。これであなたは、服が透けて見えるようになるでしょう》

 と書かれてあったが、よく見ると右下に、テレビショッピングの『あくまで個人の感想です』よりも小さな文字で。

《ただし男子限定です。てへぺろ》

「これ作ったやつ性格悪すぎだろ! いじる気しかないじゃん! こいつの思惑通りに動いてんじゃん俺!」

 俺は膝から崩れ落ち、床に両手をついた。

 ああ、もう恥ずか死にたい。

 もしこの魔本の作成者が今の俺を見ていたら、さぞ大爆笑していることだろう。

 しかもこの作成者、『てへぺろ』なんて恥ずかしげもなく死語を……あ、これは古の魔本だからいいのか。

「あの……もしかして誠道さん」

 聖ちゃんから声をかけられる。

 笑いをこらえているのか声が揺れている気がしたんですけど、気のせいにしておこう、てへぺろ。

「男性の裸しか見られなかったって、それはつまり誠道さんはそっち系の人だったって」

「いやそれは断じて違う」

「でも今、誠道さんは四つん這いですし、まるでその体勢は」

「気にするな。さーて。犯人はどこかなぁ」

 慌てて立ち上がって、泣いている自分に気づかないふりをしながらオークション会場を見渡す。

 うん、やっぱり男の服しか透けてないけど……もしかしてここの観客はみんなそれを知っていたのかな?

 その可能性を考慮したくはないので、もう考えるのやめます。

 それに……。

「聖ちゃん。いた。あいつだ」

 紆余曲折波乱万丈艱難辛苦あって俺はこの世界からひどい裏切りを受けたが、聖剣ジャンヌダルクを盗んだやつを発見することができた。

「え、あの人、ですか?」

「そうみたいだ」

 聖ちゃんも少し戸惑っている。

 無理もない。

 想像としていた犯人像と違っていたのだろう。

 俺はその人物に声をかけるべく、ゆっくりと近づいていった。
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