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第3章 2 いざ、混浴へと!
移動手段確保!
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「誠道さん、このお方は?」
「そうか。ミライは知らないよな。…………えっと」
そういや、俺この人の名前知らないや。
「すみません。まだ名乗っていませんでしたよね。俺の名前は石川誠道で、こっちはメイドのミライです」
「ミライです。以前、誠道さんがお世話になったようで」
恭しくお辞儀をするミライ。
「そんなご丁寧に。私は石川くんと一緒にこの世界にやっ――――いや、私の運転するバスで石川くんをこの世界に導いた、もはや神様と同等の存在の!」
ああ、もうだめだこの人。
あのバスの事故をものすごく都合のいいように解釈して神様を名乗りはじめちゃったよ。
「彦宇木鉄道と申します」
「なんでその名前でバスを選んだんだよ!」
もうやだ。
異世界転生者、変な人多すぎるよ……。
「私がバスを選んだ理由ですか? それは、みんなをいろいろな場所に連れていきたいと思ったからです。そして、その中でバスの運転手が一番楽に目指せると思ったからです」
「そんな理由かよ! たしかにバスの運転手ってそんなイメージあるけど!」
年がら年中、『運転手募集』の張り紙見るし。
「ただし、現実は違いました」
彦宇木さんは、がっくりとうなだれる。
まあ、そうだよね。
バスの運転手だって乗客の命を背負うわけだから、簡単にはなれないよね。
イメージだけで語ってすみませんでした。
「バスは毎日決まったルートを運転する乗り物で、すぐに飽きてしまったんです。これじゃあみんなを色々な場所に連れていくという夢が叶っていないと、絶望もしておりまして」
「飽きんなよ! ってかなる前に普通気づくよね? バカなの? どういう人生歩んできたらそういう勘違い起こすの?」
飛行機も鉄道も同じことが言えると思うけど?
「誠道さん。このお方のことをバカなんて言わないでください」
ミライが俺たちの会話に割って入る。
しかも、彦宇木さんの味方の立場で。
「この人は私と誠道さんをめぐり合わせてくれた、いわば神様ですから!」
「ミライはすぐ洗脳されないでー」
こいつも物事を都合のいいように解釈する節があるんだった。
「そうですよ! 私は皆さんをこの世界に導いた神様なんです! さぁ、早く崇め奉りなさい!」
ああもう。
どうして俺の周りには、こうも変な人ばっかり集まってくるのさ!
***
馬車に揺られること約十二時間。
俺たちはついに温泉街フーユインの地に降り立った。
「しっかし、さすがプレミアムってだけはあるな」
「はい。揺れを感じることすらありませんでした」
ミライと感動を分かちあう。
彦宇木さんが運転してくれた馬車は快適すぎた。
動いているのは窓の外の景色なんじゃないかと錯覚するほどの乗り心地。
旅行の移動時間は意外と疲れるものだが、今回ばかりはもっと移動していたいと名残惜しく感じた。
「褒めていただき光栄です。帰りは三日後ですよね?」
「はい。その予定です」
「かしこまりました。では、またそのときに――――いや」
馬に出発の鞭を打とうとした彦宇木さんが、その手を止める。
「私は石川さんたちのおかげで自分を神様だと思えるようになりました。なので、今回の旅行の移動だけでなく、今後も必要とあらば、この神、彦宇木鉄道が無料であなた方をどこへでも運んでしんぜよう。ありがたく思いたまえ」
ああ、しゃべっている間に神様化が進んだし、せっかくどこまでも遠くへ飛んでいけそうな素敵な苗字が、神を名乗ったことによってしょぼいものに変わっちゃったよ。
だって神彦宇木だもん。
でも、裏を返せば。
こうして俺たちは、いきたいところへ無料でいける交通集団を手に入れたのだった。
「そうか。ミライは知らないよな。…………えっと」
そういや、俺この人の名前知らないや。
「すみません。まだ名乗っていませんでしたよね。俺の名前は石川誠道で、こっちはメイドのミライです」
「ミライです。以前、誠道さんがお世話になったようで」
恭しくお辞儀をするミライ。
「そんなご丁寧に。私は石川くんと一緒にこの世界にやっ――――いや、私の運転するバスで石川くんをこの世界に導いた、もはや神様と同等の存在の!」
ああ、もうだめだこの人。
あのバスの事故をものすごく都合のいいように解釈して神様を名乗りはじめちゃったよ。
「彦宇木鉄道と申します」
「なんでその名前でバスを選んだんだよ!」
もうやだ。
異世界転生者、変な人多すぎるよ……。
「私がバスを選んだ理由ですか? それは、みんなをいろいろな場所に連れていきたいと思ったからです。そして、その中でバスの運転手が一番楽に目指せると思ったからです」
「そんな理由かよ! たしかにバスの運転手ってそんなイメージあるけど!」
年がら年中、『運転手募集』の張り紙見るし。
「ただし、現実は違いました」
彦宇木さんは、がっくりとうなだれる。
まあ、そうだよね。
バスの運転手だって乗客の命を背負うわけだから、簡単にはなれないよね。
イメージだけで語ってすみませんでした。
「バスは毎日決まったルートを運転する乗り物で、すぐに飽きてしまったんです。これじゃあみんなを色々な場所に連れていくという夢が叶っていないと、絶望もしておりまして」
「飽きんなよ! ってかなる前に普通気づくよね? バカなの? どういう人生歩んできたらそういう勘違い起こすの?」
飛行機も鉄道も同じことが言えると思うけど?
「誠道さん。このお方のことをバカなんて言わないでください」
ミライが俺たちの会話に割って入る。
しかも、彦宇木さんの味方の立場で。
「この人は私と誠道さんをめぐり合わせてくれた、いわば神様ですから!」
「ミライはすぐ洗脳されないでー」
こいつも物事を都合のいいように解釈する節があるんだった。
「そうですよ! 私は皆さんをこの世界に導いた神様なんです! さぁ、早く崇め奉りなさい!」
ああもう。
どうして俺の周りには、こうも変な人ばっかり集まってくるのさ!
***
馬車に揺られること約十二時間。
俺たちはついに温泉街フーユインの地に降り立った。
「しっかし、さすがプレミアムってだけはあるな」
「はい。揺れを感じることすらありませんでした」
ミライと感動を分かちあう。
彦宇木さんが運転してくれた馬車は快適すぎた。
動いているのは窓の外の景色なんじゃないかと錯覚するほどの乗り心地。
旅行の移動時間は意外と疲れるものだが、今回ばかりはもっと移動していたいと名残惜しく感じた。
「褒めていただき光栄です。帰りは三日後ですよね?」
「はい。その予定です」
「かしこまりました。では、またそのときに――――いや」
馬に出発の鞭を打とうとした彦宇木さんが、その手を止める。
「私は石川さんたちのおかげで自分を神様だと思えるようになりました。なので、今回の旅行の移動だけでなく、今後も必要とあらば、この神、彦宇木鉄道が無料であなた方をどこへでも運んでしんぜよう。ありがたく思いたまえ」
ああ、しゃべっている間に神様化が進んだし、せっかくどこまでも遠くへ飛んでいけそうな素敵な苗字が、神を名乗ったことによってしょぼいものに変わっちゃったよ。
だって神彦宇木だもん。
でも、裏を返せば。
こうして俺たちは、いきたいところへ無料でいける交通集団を手に入れたのだった。
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