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第3章 3 ミライと謎の猫娘
眼鏡のミライと人気作
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「ええっと、これとこれと……後はこれ……で」
本棚からマーズ・シィのことが書かれていそうな本を片っ端から手に取る。
合計十冊。
かなり重い。
しかも隣にいる猫又さんは運ぶのを手伝ってくれない。
それどころか、『感動した人は涙する!』という帯のついた、
『正しい彼女の縛り方 始まりの物語・アナザーストーリー・ファイナル・リターンズ・エピソードゼロ・もう一つの物語』
という謎の本を俺が抱えている本の上に置いた。
「いや、自分で運べよ! ってかこの本はいったい何度最終回迎えて何回始まりを迎えてんの? アナザーストーリーファイナルくらいで、この本の読者はいい加減新作考えろよ!」
こんな読者をバカにしたようなことをする作者が誰なのか気になって調べる。
「えっと作者は……あった。オムツおじさん――またお前かよ! ってかよく見たらおかしいじゃん! そりゃあ『感動した人は涙する』だろ!」
ああ、この本がよくて聖ちゃんの本をダメだと言っている、この図書館の判断基準がわかんねぇ。
聖ちゃんの味方をしているわけじゃないけどね。
「閲覧スペースは……あっちだな」
「あそこまで無事に運べたら褒美として蹴ってやるのにゃ」
「ふざけんな! せめて肩を揉め!」
俺は、なんとかすべての本を閲覧スペースの机の上に置いた――が、勢いよく置いてしまったため、ドンッ! と衝撃で結構な音がなってしまった。
向かいに座って熱心に本を読んでいた制服姿の人から睨まれる。
「すみません。うるさくし――――って、ミライ?」
そこにいたのは、分厚いビンゾコ眼鏡をかけ、髪をおさげにしている、優等生然としたミライだった。
「な、誠道さんっ!」
慌てたようにがばっと立ち上がるミライ。
「どうしてここ―ーいや、あなたはどなたですか? 図書館でうるさくするのはやめてください」
なぜかとぼけ始めたミライ。
ずれた眼鏡をかけ直して、何事もなかったかのように椅子に座って本に視線を落とす。
「いや、もう俺の名前呼んじゃってるからね。ってかなにその格好?」
「ですから、私は誠道さんのこことなんて知りませんから。気安く話しかけないでください」
「ほらまた名前呼んだ」
「気安く話しかけないでください。引きこもりさん」
「名前よりも詳しい情報が出てきてんぞ!」
ミライは俺に対して他人行儀な態度を取りつづけている。
なぜそんなことをする必要がある?
「おーい、ミライ? どうしたんだよ?」
「ミライじゃなくて、私はミイラです」
「それ死んでるから! 発掘されるやつだから!」
「じゃあシライです!」
「床の王子様か!」
「なーくん、いいかげん気づいてあげるのにゃ」
「な、なーくん?」
聞きなれない呼び方をされ、背筋がびくりとする。
俺の手を引っ張ている猫又さんがそう呼んだのだ。
「なーくんは鈍感すぎにゃ。この女の人は、本当は知っているのに知らない人のふりをするという、ドSプレイを」
「そんなわけないだろっ!」
……本当にそんなわけないよね?
なんか自信なくなってきた。
でも、ミライがこんなことをする理由がそれ以外に考えられない。
「こら、なーくん、騒ぐでにゃい。いくら周囲の女の子からの冷たい視線がご褒美でも、ここは図書館にゃ。後で、我がいっぱい冷たい視線を送ってやるから我慢するのにゃ」
猫又さんに指摘されて気づく。
俺は周囲の利用客から完全に注目を浴びてしまっていた。
「あ、すみません。すみません」
ヘコヘコ謝った後、猫又さんの耳元で。
「冷たい視線がご褒美なわけないだろ。ってかなーくんってなんだよなーくんって」
「誠道さん。その女の子は誰ですか?」
ビンゾコ眼鏡を外したミライが猫又さんを指差している。
ミライは驚いているような悲しんでいるような、複雑な顔をしていた。
ってかもう知らない振りやめたんですねぇ。
「ミライ、これは……この子は……」
ミライの悲しそうな表情を見て、なぜか胸がひどく痛んだ。
腹の奥が冷たく、そして重く感じる。
本棚からマーズ・シィのことが書かれていそうな本を片っ端から手に取る。
合計十冊。
かなり重い。
しかも隣にいる猫又さんは運ぶのを手伝ってくれない。
それどころか、『感動した人は涙する!』という帯のついた、
『正しい彼女の縛り方 始まりの物語・アナザーストーリー・ファイナル・リターンズ・エピソードゼロ・もう一つの物語』
という謎の本を俺が抱えている本の上に置いた。
「いや、自分で運べよ! ってかこの本はいったい何度最終回迎えて何回始まりを迎えてんの? アナザーストーリーファイナルくらいで、この本の読者はいい加減新作考えろよ!」
こんな読者をバカにしたようなことをする作者が誰なのか気になって調べる。
「えっと作者は……あった。オムツおじさん――またお前かよ! ってかよく見たらおかしいじゃん! そりゃあ『感動した人は涙する』だろ!」
ああ、この本がよくて聖ちゃんの本をダメだと言っている、この図書館の判断基準がわかんねぇ。
聖ちゃんの味方をしているわけじゃないけどね。
「閲覧スペースは……あっちだな」
「あそこまで無事に運べたら褒美として蹴ってやるのにゃ」
「ふざけんな! せめて肩を揉め!」
俺は、なんとかすべての本を閲覧スペースの机の上に置いた――が、勢いよく置いてしまったため、ドンッ! と衝撃で結構な音がなってしまった。
向かいに座って熱心に本を読んでいた制服姿の人から睨まれる。
「すみません。うるさくし――――って、ミライ?」
そこにいたのは、分厚いビンゾコ眼鏡をかけ、髪をおさげにしている、優等生然としたミライだった。
「な、誠道さんっ!」
慌てたようにがばっと立ち上がるミライ。
「どうしてここ―ーいや、あなたはどなたですか? 図書館でうるさくするのはやめてください」
なぜかとぼけ始めたミライ。
ずれた眼鏡をかけ直して、何事もなかったかのように椅子に座って本に視線を落とす。
「いや、もう俺の名前呼んじゃってるからね。ってかなにその格好?」
「ですから、私は誠道さんのこことなんて知りませんから。気安く話しかけないでください」
「ほらまた名前呼んだ」
「気安く話しかけないでください。引きこもりさん」
「名前よりも詳しい情報が出てきてんぞ!」
ミライは俺に対して他人行儀な態度を取りつづけている。
なぜそんなことをする必要がある?
「おーい、ミライ? どうしたんだよ?」
「ミライじゃなくて、私はミイラです」
「それ死んでるから! 発掘されるやつだから!」
「じゃあシライです!」
「床の王子様か!」
「なーくん、いいかげん気づいてあげるのにゃ」
「な、なーくん?」
聞きなれない呼び方をされ、背筋がびくりとする。
俺の手を引っ張ている猫又さんがそう呼んだのだ。
「なーくんは鈍感すぎにゃ。この女の人は、本当は知っているのに知らない人のふりをするという、ドSプレイを」
「そんなわけないだろっ!」
……本当にそんなわけないよね?
なんか自信なくなってきた。
でも、ミライがこんなことをする理由がそれ以外に考えられない。
「こら、なーくん、騒ぐでにゃい。いくら周囲の女の子からの冷たい視線がご褒美でも、ここは図書館にゃ。後で、我がいっぱい冷たい視線を送ってやるから我慢するのにゃ」
猫又さんに指摘されて気づく。
俺は周囲の利用客から完全に注目を浴びてしまっていた。
「あ、すみません。すみません」
ヘコヘコ謝った後、猫又さんの耳元で。
「冷たい視線がご褒美なわけないだろ。ってかなーくんってなんだよなーくんって」
「誠道さん。その女の子は誰ですか?」
ビンゾコ眼鏡を外したミライが猫又さんを指差している。
ミライは驚いているような悲しんでいるような、複雑な顔をしていた。
ってかもう知らない振りやめたんですねぇ。
「ミライ、これは……この子は……」
ミライの悲しそうな表情を見て、なぜか胸がひどく痛んだ。
腹の奥が冷たく、そして重く感じる。
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