うちのメイドがウザかわいい! 転生特典ステータスがチートじゃなくて【新偉人(ニート)】だったので最強の引きこもりスローライフを目指します。

田中ケケ

文字の大きさ
226 / 360
第5章 1 私はぷりちーアイドル!

人類みなユニセックス時代

しおりを挟む
 その後、ホンアちゃんはミライに話があると言って二人で部屋を出ていった。

「男、男の娘……あの可愛さで、男、なんて……」

 俺はソファにぐったりと寝そべる。

 もうだめだ。

 頭が混乱してオーバーヒートして沸騰しそうだよ!

 いや、沸騰してからオーバーヒートするのか?

 そんな順序なんかどうでもいいよ!

 でも、ホンアちゃんの股のことを考えると、なにが現実でなにが夢なのかわからなくなる。

 もしかしたら、性別について考えることはもう時代遅れなのかもしれない。

 人類みなユニセックス時代突入なのかもしれない。

「って……」

 俺は自分の股の間に視線を落とす。

 なにより俺の心をざわつかせているのは、ホンアちゃんのもっこりとしていたものが、俺よりはるかに大きかったからである。

 かわいさでも、男の象徴の凛々しさでも負けてしまうなんて。

 それから十分くらいたって、ホンアちゃんミライがリビングに帰ってきた。

 俺は二人の顔を見て、嫌な予感を覚える。

 なんか二人とも、自社の命運をかけた契約を勝ち取ってきた営業マンみたいに、晴れやかで誇らしげな表情を浮かべてるんですけど。

 俺の前で二人が改めて顔を見合わせて、がっしりと握手を交わしたんですけど。

 ホンアちゃんが一歩前に出て、軽く一礼した。

「石川さん。これから、すべてをお話しします」

 動画のサムネに書かれている、思わせぶりセリフ第一位を言うホンアちゃん。

 そして、その動画内ではしょうもないことしか言わないのが世の常なのだが、今回は……。

「いやもうホンアちゃんすべてを話してるよね? 実は男です、以上の衝撃爆弾があったら細胞レベルで粉々になるわ!」

「誠道さん。一旦落ち着いてください。いくらホンアさんに大きさで負けているとはいえ、冷静さでも負けてしまったらもう誠道さんには勝ち目がないです」

「これが落ち着いていられるかぁ!! ってなんでミライが大きさで負けてること知ってんだよ! 俺負けてるなんて思ってねぇからな!」

「誠道さん、強がりは…………虚しいだけです」

「どうして悲壮感漂わせんだよ! 涙拭うフリするなっ!」

 鼻水を啜る演技をするミライはもう放っておくことにする。

「ほら、ホンアちゃん、早くつづきを」

 俺はホンアちゃんに早く話をつづけるよう促した……のだが、なぜかホンアちゃんは不服そうだ。

「私が話そうとしたのをぶった切ったのは石川さんだった気がするのですが……。えー、ごほん。とりあえず、彼氏になってほしい理由はお話ししましたよね?」

「ファンが恋人だって言ってるのに、実は彼氏がいるっていう背徳感が欲しい、歌って踊ってる自分を応援してくれるファンに笑顔を振りまきながら、内心で『バカどもが。応援乙』って見下したい、そういうことだよね?」

「……え?」

 ホンアちゃんが目を見開く。

「たしかに見下したいとは言いましたし思ってますけど、さすがに他人をバカって思うのはちょっとひどすぎますよ」

「なんで俺が叱られてんのかなぁ? おかしいよねぇ?」

「それに、石川さんがクズだからって理由が抜けてますよ。イケメンならまだしも、つき合ってるのがあんなクズ男だなんて……とショックを受けるファンの顔を想像したら、もうたまりません!」

「だから俺はクズじゃねぇ!」

「誠道さんはクズではありません」

 ミライが俺をかばってくれる。

 自分の支援する対象がバカにされて我慢ならなかったみたいだ。

「誠道さんはクズではなくて、ただ引きこもりなだけです」

「そのただの引きこもりを、世間一般ではクズと言うのでは?」

「…………」

 ホンアちゃんの指摘を受け、ミライはきまりが悪そうに目を伏せた。

 いや、すぐ負けないで!

 なんか言い返して!

 黙り込んでしまったミライの代わりに、とりあえずなにか言い返すことにする。

「ホンアちゃん。正論を突きつけることは正しくないって、いいかげん学ぼうか」

 言葉はナイフなんですよ。

 使い方を間違えると大変なことになるんだよ。

 俺がホンアちゃんに注意をすると、ホンアちゃんは唇を尖らせたあとに首を傾げて。

「えぇー、どうして私が怒られないといけないのー? それに私ってぷりちーアイドルだから、難しいことよくわかんなーい。きゃぴっ」

「もう遅いからねそんな態度とっても!」

「ちっ」

「いま舌打ちしやがったぞこの腹黒アイドルッ!」

 しかもめっちゃ嫌そうな顔してた。

 とてもアイドルとは思えない顔だったぞ!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

魔法使いが無双する異世界に転移した魔法の使えない俺ですが、陰陽術とか武術とか魔法以外のことは大抵できるのでなんとか死なずにやっていけそうです

忠行
ファンタジー
魔法使いが無双するファンタジー世界に転移した魔法の使えない俺ですが、陰陽術とか武術とか忍術とか魔法以外のことは大抵できるのでなんとか死なずにやっていけそうです。むしろ前の世界よりもイケてる感じ?

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

処理中です...