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第5章 4 運命のライブ、開催
開催前のぷりちーアイドル
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ライブの場所は、いつもホンアちゃんがライブをしていた舞台ではなく、グランダラのはずれにある広場になった。
俺とミライで草むしりはしたが、それでもまだ雑草が生い茂っている。
舞台は木でできた箱を建設現場から何個か持ってきて重ねただけ。
急遽だったためそんな場所しか取ることができなかったが、場所なんてどうでもいい。
だって、ぷりちーアイドルホンアちゃんが歌って踊れば、そこは世界最高のエンターテインメント空間になるのだから。
ホンアちゃんは、昨日一日、ただひたすらに踊っていた。
ライブで完璧なパフォーマンスを披露するために。
ライブにどれだけのファンが集まるのか、ファンたちからどんな言葉を浴びせられるのか、といった不安を考えないようにしたいという気持ちもあったのかもしれない。
――ライブ開始、十分前。
会場となる広場には、いつものライブ時と変わらない人数のファンたちが押し寄せていた。
ただ、いつもと違うのは、みんなが黙っていることだ。
世間話をする人すらいない。
ただじっと、固唾をのんで、ホンアちゃんの登場を待っている。
ここに集まったファンたちは、ホンアちゃんのすべてを知りにきた。
ホンアちゃんから裏切られる可能性もある中で、それでも集まってくれたのだ。
「ファンたち、結構集まってるな」
「そうですね」
俺とミライはささやくようにして会話をする。
いま俺たちは、広場に設置した簡易舞台の上手奥にある控室(テントにブルーシートを張って目隠ししただけの空間)にいる。
そんな俺たちのそばには、ピンクのフリフリワンピースに身を包んだホンアちゃんもいる。
ホンアちゃんは椅子に座って、背筋を伸ばして、目を閉じたまま微動だにしない。
呼吸のリズムは常に一定。
瞑想をして、集中力を極限まで高めようとしているのだ。
ライブ前のルーティンだから話しかけないでほしいと言われている。
口が常に動きつづけているが、それが今日歌う歌の最終確認なのか、自分を励ます言葉をささやいているのかはわからなかった。
洋服に負けないピンクのかわいらしいオーラが、彼女の体から出ている気がした。
「よしっ。今日もぷりちーモード全開っ」
やがて、ホンアちゃんがゆっくりと目を開ける。
誰も彼もを引きつける彼女の純真な笑顔を見て、俺は小さくうなずいた。
「じゃあ、俺たちも客席で見守ってるから」
「はい。ありがとうございます」
ホンアちゃんはきゃぴっとあざといウインクをしてから、俺たちに背を向ける。
その背中から感じる気迫が、俺の腹の底をずしりと震わせる。
アイドルアイドルしているピンクのフリフリ衣装を着ているのに、いまの彼女からは戦地に赴く勇者のような凛々しさが感じられた。
もう、大丈夫なんだな。
俺とミライは顔を見合わせてから控室を出て、客席の最後尾へと向かった。
俺とミライで草むしりはしたが、それでもまだ雑草が生い茂っている。
舞台は木でできた箱を建設現場から何個か持ってきて重ねただけ。
急遽だったためそんな場所しか取ることができなかったが、場所なんてどうでもいい。
だって、ぷりちーアイドルホンアちゃんが歌って踊れば、そこは世界最高のエンターテインメント空間になるのだから。
ホンアちゃんは、昨日一日、ただひたすらに踊っていた。
ライブで完璧なパフォーマンスを披露するために。
ライブにどれだけのファンが集まるのか、ファンたちからどんな言葉を浴びせられるのか、といった不安を考えないようにしたいという気持ちもあったのかもしれない。
――ライブ開始、十分前。
会場となる広場には、いつものライブ時と変わらない人数のファンたちが押し寄せていた。
ただ、いつもと違うのは、みんなが黙っていることだ。
世間話をする人すらいない。
ただじっと、固唾をのんで、ホンアちゃんの登場を待っている。
ここに集まったファンたちは、ホンアちゃんのすべてを知りにきた。
ホンアちゃんから裏切られる可能性もある中で、それでも集まってくれたのだ。
「ファンたち、結構集まってるな」
「そうですね」
俺とミライはささやくようにして会話をする。
いま俺たちは、広場に設置した簡易舞台の上手奥にある控室(テントにブルーシートを張って目隠ししただけの空間)にいる。
そんな俺たちのそばには、ピンクのフリフリワンピースに身を包んだホンアちゃんもいる。
ホンアちゃんは椅子に座って、背筋を伸ばして、目を閉じたまま微動だにしない。
呼吸のリズムは常に一定。
瞑想をして、集中力を極限まで高めようとしているのだ。
ライブ前のルーティンだから話しかけないでほしいと言われている。
口が常に動きつづけているが、それが今日歌う歌の最終確認なのか、自分を励ます言葉をささやいているのかはわからなかった。
洋服に負けないピンクのかわいらしいオーラが、彼女の体から出ている気がした。
「よしっ。今日もぷりちーモード全開っ」
やがて、ホンアちゃんがゆっくりと目を開ける。
誰も彼もを引きつける彼女の純真な笑顔を見て、俺は小さくうなずいた。
「じゃあ、俺たちも客席で見守ってるから」
「はい。ありがとうございます」
ホンアちゃんはきゃぴっとあざといウインクをしてから、俺たちに背を向ける。
その背中から感じる気迫が、俺の腹の底をずしりと震わせる。
アイドルアイドルしているピンクのフリフリ衣装を着ているのに、いまの彼女からは戦地に赴く勇者のような凛々しさが感じられた。
もう、大丈夫なんだな。
俺とミライは顔を見合わせてから控室を出て、客席の最後尾へと向かった。
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