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第6章 1 私は買い物上手です
怪しい人の正体②
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「ついにやりやがったなお前!」
心出がコハクちゃんに好意を抱いていることは知っていたが、後戻りができないところまで恋心をこじらせているとは。
いや、そもそも猫族の里についてきた時点で、その前兆は現れていたから、接触禁止令を事前に出すべきだったのかもしれない。
「やりやがったって、いきなり襲ってきたのは誠道くんたちじゃないか」
「ストーカーに言われたかねぇよ」
「ストーカー? いったい誰が?」
「お前だよ! コハクちゃんのストーカーをしているじゃないか」
「ち、違うに決まっているだろう!」
一向に自分の罪を認めない心出。
「俺はただ、コハクさんにストーカーがいないか監視していただけで」
「その思考と行動こそがストーカーなんだよ!」
「ボランティア探偵と呼びたまえ!」
「ストーカーだ!」
「ボランティア探偵だ!」
俺と心出の意見は平行線をたどりつづける一方だ。
だが、正しいのは明らかに俺なので、ここで折れるわけにはいかない。
「何度言えばわかるんだ。お前の行動はただのストーカーなんだよ」
「だからボランティア探偵だと言っているだろう。そもそも、俺の方がストーカー被害者なんだ!」
「は?」
心出の突然の告白に、一瞬だけ頭が真っ白になったが。
「そんなわけあるかぁ! 心出をストーキングするなんてありえな」
「どうやら心出さんの言うことは正しいみたいです」
俺の会話をミライが遮ったミライが、向かいの路地に指をさしている。
「あちらから、なにやらこちらを覗く人影が」
「なに?」
俺はミライが指さした先を見る。
すると、これまたフードを深く被った怪しげな人がさっと体を路地のゴミ箱の陰に引っ込めたのがわかった。
だが今回は頭隠して尻隠さず状態になっているので、きっとあのストーカーは心出よりもバカだ。
でも、本当に心出のストーカーがいたなんて。
なぜかわからないけど、心がたとえようのないショックを受けて凹む。
「これでわかっただろう。俺は紛れもない被害者なんだ。早く俺じゃなくてあいつを捕まえるんだ」
そして、なぜか自慢げな心出。
優越感に浸っているのがまるわかりだ。
「ミライ、頼む。今度はあいつに【拘束】だ」
「ええ。あの方が、私たちが追い求めていた変態かもしれませんしね」
「ストーカーのストーカーだからな。可能性は高いぞ」
「ちなみに私が追い求めている変態は、これからもずっと誠道さんですよ!」
「だから俺は変態じゃねぇ!」
俺のツッコみを無視してミライが向かいの路地に向かって鞭を伸ばす。
体をぐるぐる巻きにされた怪しい人が、路地裏で「ああんんっ!」という声とともに倒れたので、すぐに駆け寄ってフードを取り、顔を確認する。
マーズだった。
「ああっ! もっと、もっときつくしばってぇ!」
顔を紅潮させ、あえぐような息づかいのマーズが体をうねうねさせている。
「これよっ! 私はこれをっ! ああっ、もっとちょうだいぃぃぃ!」
俺たちはそれを無視しつづけた。
ちなみに、なぜマーズが心出のストーカーをしていたかというと。
「だって、心出くんは扱いが雑で有名でしょ。だから、そんな彼の行動を真似すれば、私も扱いが雑というご褒美を享受できると思って、彼の行動を観察するために後をつけていたのよ。そうしたら……ああぁぁっ!」
鞭で縛られたまま謎の弁明を開始したマーズはとても幸せそうでしたとさ。
ミライも難事件を解決した後みたいに、緊張感が緩み切っている。
「これで一件落着ですね。めでたしめでたしです」
「そうだな……じゃねえーよ! コハクちゃんの店を脅かす変態を捕まえるのが当初の目的だっただろうが!」
心出がコハクちゃんに好意を抱いていることは知っていたが、後戻りができないところまで恋心をこじらせているとは。
いや、そもそも猫族の里についてきた時点で、その前兆は現れていたから、接触禁止令を事前に出すべきだったのかもしれない。
「やりやがったって、いきなり襲ってきたのは誠道くんたちじゃないか」
「ストーカーに言われたかねぇよ」
「ストーカー? いったい誰が?」
「お前だよ! コハクちゃんのストーカーをしているじゃないか」
「ち、違うに決まっているだろう!」
一向に自分の罪を認めない心出。
「俺はただ、コハクさんにストーカーがいないか監視していただけで」
「その思考と行動こそがストーカーなんだよ!」
「ボランティア探偵と呼びたまえ!」
「ストーカーだ!」
「ボランティア探偵だ!」
俺と心出の意見は平行線をたどりつづける一方だ。
だが、正しいのは明らかに俺なので、ここで折れるわけにはいかない。
「何度言えばわかるんだ。お前の行動はただのストーカーなんだよ」
「だからボランティア探偵だと言っているだろう。そもそも、俺の方がストーカー被害者なんだ!」
「は?」
心出の突然の告白に、一瞬だけ頭が真っ白になったが。
「そんなわけあるかぁ! 心出をストーキングするなんてありえな」
「どうやら心出さんの言うことは正しいみたいです」
俺の会話をミライが遮ったミライが、向かいの路地に指をさしている。
「あちらから、なにやらこちらを覗く人影が」
「なに?」
俺はミライが指さした先を見る。
すると、これまたフードを深く被った怪しげな人がさっと体を路地のゴミ箱の陰に引っ込めたのがわかった。
だが今回は頭隠して尻隠さず状態になっているので、きっとあのストーカーは心出よりもバカだ。
でも、本当に心出のストーカーがいたなんて。
なぜかわからないけど、心がたとえようのないショックを受けて凹む。
「これでわかっただろう。俺は紛れもない被害者なんだ。早く俺じゃなくてあいつを捕まえるんだ」
そして、なぜか自慢げな心出。
優越感に浸っているのがまるわかりだ。
「ミライ、頼む。今度はあいつに【拘束】だ」
「ええ。あの方が、私たちが追い求めていた変態かもしれませんしね」
「ストーカーのストーカーだからな。可能性は高いぞ」
「ちなみに私が追い求めている変態は、これからもずっと誠道さんですよ!」
「だから俺は変態じゃねぇ!」
俺のツッコみを無視してミライが向かいの路地に向かって鞭を伸ばす。
体をぐるぐる巻きにされた怪しい人が、路地裏で「ああんんっ!」という声とともに倒れたので、すぐに駆け寄ってフードを取り、顔を確認する。
マーズだった。
「ああっ! もっと、もっときつくしばってぇ!」
顔を紅潮させ、あえぐような息づかいのマーズが体をうねうねさせている。
「これよっ! 私はこれをっ! ああっ、もっとちょうだいぃぃぃ!」
俺たちはそれを無視しつづけた。
ちなみに、なぜマーズが心出のストーカーをしていたかというと。
「だって、心出くんは扱いが雑で有名でしょ。だから、そんな彼の行動を真似すれば、私も扱いが雑というご褒美を享受できると思って、彼の行動を観察するために後をつけていたのよ。そうしたら……ああぁぁっ!」
鞭で縛られたまま謎の弁明を開始したマーズはとても幸せそうでしたとさ。
ミライも難事件を解決した後みたいに、緊張感が緩み切っている。
「これで一件落着ですね。めでたしめでたしです」
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