うちのメイドがウザかわいい! 転生特典ステータスがチートじゃなくて【新偉人(ニート)】だったので最強の引きこもりスローライフを目指します。

田中ケケ

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第6章 2 旅館にて、契約

いろんな意味で小さい男

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「まあ、まだちょっと頭がくらくらする気がするけど、でもありがとう。のぼせたところを助けてくれて」

「そんな気にしないでください。困ったときはお互い様ですから」

 口に手を添えて上品に笑うイツモフさん。

 なんか不気味だけど、とりあえず先手を打って釘を刺しておくか。

 ちなみにミライはいま、タライの水を交換しに洗面所にいっており、ここにはいない。

「イツモフさん。湯船からの救出料を請求されても払わないからな」

「結構ですよ」

「だから払わないって……あれ? 本当にいいの?」

 想像と違う展開だぞ。

 物わかりの言いイツモフさんなんて、やっぱりすごい違和感ありまくりなんだけど。

「はい。湯船でのぼせた、つまり命の危機に瀕していた誠道くん助けた命の恩人ですけど、結構です。誠道さんが命の恩人に対する感謝をしないという罪悪感に押しつぶされないのであれば、一リスズも払わなくて構いません。私たちの善意と労力が無駄になるだけですから。人間の体は重く、私がジツハフを守るために貯めていたお金を使って身体強化した上で救出したことも気にしなくて構いません。今回使ったお金を誠道さんが補填しなかったばかりに、ジツハフの危機を救えなかったとしても、まったく誠道さんには関係ないで」

「わかったよ、払うよ! 補填させていただきますよ!」

 ちくちくと責められて、払う羽目になってしまう。

 まあ、たしかにここでケチるのはなんかちょっと違うよな。

 本来ならお礼の品とか、食事を奢るとかするべきなんだろうけど、イツモフさんたちにはお金を直接渡すのが一番喜ばれるしね。

 ステータス【金の亡者】を持つ生粋の金の亡者だからね。

 本当に、風情もへったくれもないなぁ。

「さすがだね、お姉ちゃん。すでにミライお姉ちゃんからお金をもらった上で誠道お兄ちゃんからもお金をもらう。これで二重請求成功だ!」

「あ、ジツハフそれは!」

「おいどういうことか説明しろ!」

 目を輝かせるジツハフ口をイツモフさんが慌てて抑えたが、でももう後の祭り。

 だからさぁ、俺はまだ頭が少しくらくらするんだよ。

 ツッコみ大連発させないでくれるかな?

「ってかミライがすでに払ってんのかよ!」

 それはなんか…………嫌な予感がするなぁ。

 ちょうど部屋に戻ってきたミライに聞くと。

「はい。こういうときはきちんとお礼をお支払いすべきかと思いまして。ものではなくお金がいいと思って、お渡ししたのですが」

「まあそうなんだけどさ。ちなみにいくら払ったんだ?」

「それは、イツモフさんに言われた通りの」

「まあまあそういうのはいいじゃないですか。こういうのは感謝の気持ちですから、額は問題ではありません」

 なぜか金額を言うところでイツモフさんが割って入ってきた。

 かなり焦っており、額には汗が浮かんでいる。

 これはもう、確定だ。

「よくないだろ! 絶対使った額より多く請求してんだろうが! なに誤魔化そうとしてんだよ!」

 ツッコみの勢いそのままに立ち上がる――タオルが落ちて、俺の大味な部分が露になった。

 そういや裸なんだったぁ!

 すぐにタオルを拾って隠すも。

「ふっ」

 俺の股間を見ていたイツモフさんは、嘲るように笑い。

「ケチ道――誠道くんはいろんな意味で小さい男なんですね」

「小さくねぇわ! お前が金にがめついだけだろ!」

「お姉ちゃん。僕、こんなことでキレちゃうような、いろんな意味で小さい男にはならないようにするよ」

「だからいろんな意味ってどういうことだよ! そもそも俺はどこも小さくねぇわ!」

「誠道さん。大丈夫です。男は大きさだけがすべてではありませんから」

「ミライはフォローしないで! なんか一番悲しくなるからそれ! ってか心の大きさの話してるはずなのに、どうしてみんな俺の股間を見てるのかなぁ?」
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