275 / 360
第6章 2 旅館にて、契約
いろんな意味で小さい男
しおりを挟む
「まあ、まだちょっと頭がくらくらする気がするけど、でもありがとう。のぼせたところを助けてくれて」
「そんな気にしないでください。困ったときはお互い様ですから」
口に手を添えて上品に笑うイツモフさん。
なんか不気味だけど、とりあえず先手を打って釘を刺しておくか。
ちなみにミライはいま、タライの水を交換しに洗面所にいっており、ここにはいない。
「イツモフさん。湯船からの救出料を請求されても払わないからな」
「結構ですよ」
「だから払わないって……あれ? 本当にいいの?」
想像と違う展開だぞ。
物わかりの言いイツモフさんなんて、やっぱりすごい違和感ありまくりなんだけど。
「はい。湯船でのぼせた、つまり命の危機に瀕していた誠道くん助けた命の恩人ですけど、結構です。誠道さんが命の恩人に対する感謝をしないという罪悪感に押しつぶされないのであれば、一リスズも払わなくて構いません。私たちの善意と労力が無駄になるだけですから。人間の体は重く、私がジツハフを守るために貯めていたお金を使って身体強化した上で救出したことも気にしなくて構いません。今回使ったお金を誠道さんが補填しなかったばかりに、ジツハフの危機を救えなかったとしても、まったく誠道さんには関係ないで」
「わかったよ、払うよ! 補填させていただきますよ!」
ちくちくと責められて、払う羽目になってしまう。
まあ、たしかにここでケチるのはなんかちょっと違うよな。
本来ならお礼の品とか、食事を奢るとかするべきなんだろうけど、イツモフさんたちにはお金を直接渡すのが一番喜ばれるしね。
ステータス【金の亡者】を持つ生粋の金の亡者だからね。
本当に、風情もへったくれもないなぁ。
「さすがだね、お姉ちゃん。すでにミライお姉ちゃんからお金をもらった上で誠道お兄ちゃんからもお金をもらう。これで二重請求成功だ!」
「あ、ジツハフそれは!」
「おいどういうことか説明しろ!」
目を輝かせるジツハフ口をイツモフさんが慌てて抑えたが、でももう後の祭り。
だからさぁ、俺はまだ頭が少しくらくらするんだよ。
ツッコみ大連発させないでくれるかな?
「ってかミライがすでに払ってんのかよ!」
それはなんか…………嫌な予感がするなぁ。
ちょうど部屋に戻ってきたミライに聞くと。
「はい。こういうときはきちんとお礼をお支払いすべきかと思いまして。ものではなくお金がいいと思って、お渡ししたのですが」
「まあそうなんだけどさ。ちなみにいくら払ったんだ?」
「それは、イツモフさんに言われた通りの」
「まあまあそういうのはいいじゃないですか。こういうのは感謝の気持ちですから、額は問題ではありません」
なぜか金額を言うところでイツモフさんが割って入ってきた。
かなり焦っており、額には汗が浮かんでいる。
これはもう、確定だ。
「よくないだろ! 絶対使った額より多く請求してんだろうが! なに誤魔化そうとしてんだよ!」
ツッコみの勢いそのままに立ち上がる――タオルが落ちて、俺の大味な部分が露になった。
そういや裸なんだったぁ!
すぐにタオルを拾って隠すも。
「ふっ」
俺の股間を見ていたイツモフさんは、嘲るように笑い。
「ケチ道――誠道くんはいろんな意味で小さい男なんですね」
「小さくねぇわ! お前が金にがめついだけだろ!」
「お姉ちゃん。僕、こんなことでキレちゃうような、いろんな意味で小さい男にはならないようにするよ」
「だからいろんな意味ってどういうことだよ! そもそも俺はどこも小さくねぇわ!」
「誠道さん。大丈夫です。男は大きさだけがすべてではありませんから」
「ミライはフォローしないで! なんか一番悲しくなるからそれ! ってか心の大きさの話してるはずなのに、どうしてみんな俺の股間を見てるのかなぁ?」
「そんな気にしないでください。困ったときはお互い様ですから」
口に手を添えて上品に笑うイツモフさん。
なんか不気味だけど、とりあえず先手を打って釘を刺しておくか。
ちなみにミライはいま、タライの水を交換しに洗面所にいっており、ここにはいない。
「イツモフさん。湯船からの救出料を請求されても払わないからな」
「結構ですよ」
「だから払わないって……あれ? 本当にいいの?」
想像と違う展開だぞ。
物わかりの言いイツモフさんなんて、やっぱりすごい違和感ありまくりなんだけど。
「はい。湯船でのぼせた、つまり命の危機に瀕していた誠道くん助けた命の恩人ですけど、結構です。誠道さんが命の恩人に対する感謝をしないという罪悪感に押しつぶされないのであれば、一リスズも払わなくて構いません。私たちの善意と労力が無駄になるだけですから。人間の体は重く、私がジツハフを守るために貯めていたお金を使って身体強化した上で救出したことも気にしなくて構いません。今回使ったお金を誠道さんが補填しなかったばかりに、ジツハフの危機を救えなかったとしても、まったく誠道さんには関係ないで」
「わかったよ、払うよ! 補填させていただきますよ!」
ちくちくと責められて、払う羽目になってしまう。
まあ、たしかにここでケチるのはなんかちょっと違うよな。
本来ならお礼の品とか、食事を奢るとかするべきなんだろうけど、イツモフさんたちにはお金を直接渡すのが一番喜ばれるしね。
ステータス【金の亡者】を持つ生粋の金の亡者だからね。
本当に、風情もへったくれもないなぁ。
「さすがだね、お姉ちゃん。すでにミライお姉ちゃんからお金をもらった上で誠道お兄ちゃんからもお金をもらう。これで二重請求成功だ!」
「あ、ジツハフそれは!」
「おいどういうことか説明しろ!」
目を輝かせるジツハフ口をイツモフさんが慌てて抑えたが、でももう後の祭り。
だからさぁ、俺はまだ頭が少しくらくらするんだよ。
ツッコみ大連発させないでくれるかな?
「ってかミライがすでに払ってんのかよ!」
それはなんか…………嫌な予感がするなぁ。
ちょうど部屋に戻ってきたミライに聞くと。
「はい。こういうときはきちんとお礼をお支払いすべきかと思いまして。ものではなくお金がいいと思って、お渡ししたのですが」
「まあそうなんだけどさ。ちなみにいくら払ったんだ?」
「それは、イツモフさんに言われた通りの」
「まあまあそういうのはいいじゃないですか。こういうのは感謝の気持ちですから、額は問題ではありません」
なぜか金額を言うところでイツモフさんが割って入ってきた。
かなり焦っており、額には汗が浮かんでいる。
これはもう、確定だ。
「よくないだろ! 絶対使った額より多く請求してんだろうが! なに誤魔化そうとしてんだよ!」
ツッコみの勢いそのままに立ち上がる――タオルが落ちて、俺の大味な部分が露になった。
そういや裸なんだったぁ!
すぐにタオルを拾って隠すも。
「ふっ」
俺の股間を見ていたイツモフさんは、嘲るように笑い。
「ケチ道――誠道くんはいろんな意味で小さい男なんですね」
「小さくねぇわ! お前が金にがめついだけだろ!」
「お姉ちゃん。僕、こんなことでキレちゃうような、いろんな意味で小さい男にはならないようにするよ」
「だからいろんな意味ってどういうことだよ! そもそも俺はどこも小さくねぇわ!」
「誠道さん。大丈夫です。男は大きさだけがすべてではありませんから」
「ミライはフォローしないで! なんか一番悲しくなるからそれ! ってか心の大きさの話してるはずなのに、どうしてみんな俺の股間を見てるのかなぁ?」
0
あなたにおすすめの小説
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~
みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった!
無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。
追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる