うちのメイドがウザかわいい！ 転生特典ステータスがチートじゃなくて【新偉人（ニート）】だったので最強の引きこもりスローライフを目指します。

第６章 ５ 目指せ！ 敗北！

真夏のラッキーボーイ決定戦！

「誠道さん、誠道さん。早く起きてください！」

「……んんん、朝からなんだよ」

　重い瞼をほんのわずかだけ開けると、俺の肩をゆするミライの姿がかすかに確認できた。

　昨日は、メンタルブレイククソリアルマネー闇堕ち人生の辛さ身に染みる人生ゲームの世界から脱出したあと、すぐに布団にバタンキューして熟睡した。

　ほんと、旅館の布団ってなんであんなにふかふかなんだろうな。

　寝たことないけど雲の上くらいふかふかで、俺は死んだように爆睡した。

　……え？

　そんなことより『バタンキュー』って言葉が古いって？

　いまはどうでもいいだろそんなの。

　だってまだまだとっても眠いんだから。

「なんだよじゃありません。早く起きてください」

「いいだろ別に。もうちょっと寝させてくれ」

　昨日、創流雅楽太のせいで本当に疲れたんだ。

　肉体的だけではなく、精神的にも。

　もっと具体的に言えば、幼なじみをクラスメイトに寝取られるという希望のない人生に心が抉られて、生きる気力自体が疲れてしまったんだ。

「よくありません。だって創流雅さんがここ、ハグワイアムに来てるそうなんですよ。なんでも、今日ビーチで行われる大会に参加するらしくて。聖ちゃんが言ってたやつです」

「よし！　いますぐいって創流雅をとっちめよう！　あんなクソゲーで作らされた借金なんか無効に決まってる！　いや無効にして見せる！」

　俺はすぐさま飛び起きて、速攻で着替える。

　机の上に置いていたメンタルブレイククソリアルマネー闇堕ち人生の辛さ身に染みるゲームによって発生した借用書を鷲掴みにして部屋を飛び出すと。

「誠道さん！　借金を踏み倒すのはよくありません！」

　こういうときだけ正論をぶちかましてくるミライも、慌てた様子で俺の後を追いかけてきた。





　ビーチへと向かって走っている最中に、ミライに尋ねる。

「ところで、その創流雅が参加する大会って、どんな大会なんだ？」

　創流雅への怒りが先走ってしまい、大会名を聞くのを忘れていた。

　ビーチで行われる大会。

　なんかさ、冷静に考えるとなんかそれって、すごくそそられるし興味が湧くよね。

　ビーチと言えば水着でしょ？

　冷静に考えて、冷静じゃいられないよ！

「はい。なんでも、屈強な男どもを集めて最強を決める大会だそうです」

　うわぁ、なんか一気に萎えた。

　ビーチで行われる大会っていうから、美女たちの水着お色気ショー的なやつじゃないかって、ちょっと期待してたんだけどなぁ。

　ミライの説明から推測するに、今回行われる大会は、筋肉ムキムキの男たちが集まって、変なポーズとって、日焼けさせた体にオイルを塗りたくって黒光りさせて、白い歯見せて笑う、ボディービル大会やん。

　肩にショベルカー背負ってんのかい、って掛け声かけるやつやん。

「えっと、大会名はたしか……『勝者はハーレム確定？　美女にあーんなことやこーんなこと、なんでも好きなことができる？　ドキドキ、真夏のラッキーボーイ決定戦！』」

　俺は颯爽と走る速度を早めた。