うちのメイドがウザかわいい! 転生特典ステータスがチートじゃなくて【新偉人(ニート)】だったので最強の引きこもりスローライフを目指します。

田中ケケ

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第6章 5 目指せ! 敗北!

乙女の奥ゆかしさ

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 控室に戻った俺は、一旦落ち着いて状況を整理しようと思って、静かな場所を探して、会場の外に出た。

 会場の裏手に誰もいない場所を見つけたので、そこにあったベンチに座る。

 会場から漏れる観客の歓声を聞きながら、ぼけっと空を見上げる。

「……なんで俺、勝っちゃってるんだろう」

 本当ならば、適当に戦って適当に接戦を演じて、頃合いを見て攻撃を受けたふりをして負けるはずだったのに。

 適当に接戦を演じる隙すら与えてもらえず、相手が棄権してしまった。

 うん。

 いま考えても、俺が負けるチャンスなんてどこにもなかった。

「誠道さん、こんなところにいたんですか。探したんですよ」

 とそこへミライがやってきた。

 息が上がっているということは、俺のことを走って探し回っていたということだろうか。

「なんだ、ミライか。ちょっとひとりになりたくてな」

「ひとりになりたくて、じゃないですよ。なんで試合に勝ってるんですか!」

 ミライはどこか苛立っているように見える。

 え?

 なんで?

「いや、あれはどう考えてもしょうがないだろ。相手が勝手に俺に恐れを抱いて、勝手に棄権したんだから」

「そんなのどうでもいいんです! 誠道さんが勝ったせいで、私は大損したんですよ!」

「おおぞん?」

 言葉の意味は知っているが、頭が理解したくないと叫んでいる。

「そうです! ギャンブルに負けて大損したんです! だって当然私は、誠道さんの対戦相手に、多額の借金までしてベッドしてたんですから!」

「なんでギャンブルのために借金するんだよ! なんで当然俺に賭けないんだよ! 俺の力を信用してなかったってのか!」

「わざと負ける約束のはずですよね? 勝ち確定のギャンブルに大金を突っ込むのは普通では?」

「そうでしたねごめんなさい!」

 さすがに今回はミライの主張が正しい。

 もし俺が逆の立場だったら、ミライ同様、借金をしてでも俺が負ける方に大金を賭けたと思う。

 本当に、俺もミライもウンニー・ミハナサ・レーテルよ!

「あれ? でもさ、ギャンブルで大金を得たいなら、なんで俺のネガティブキャンペーンをしてたんだ? 相手のオッズを上げるためには、俺に賭ける人を増やさないとだめだろ? だったら俺が強い男だってことをアピールした方がよかったんじゃ……」

 実際は俺が勝ってしまったから元も子もないんだが。

 少しでも配当金を増やそうとするなら、あの会場でのミライの振る舞いは、まったく理にかなっていない。

「それは……そんなの、言わせないでくださいよ」

 ミライはなぜか恥ずかしそうに身をよじらせ、ちらっと俺を見てから目を伏せる。

「ギャンブルなんて関係ないんです。誠道さんのことをあえて悪く言ったのは、乙女の純情といいますか、奥ゆかしさですよ」

「奥ゆかしいって言葉の意味、俺が間違って覚えてるのかなぁ」

 人の悪口を言うことが奥ゆかしさであってたまるか!
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