314 / 360
第6章 6 絶世の美女と真実の愛
本気を出してなかっただけ
しおりを挟む
「だってそうでしょう」
ムキになったオリョウが言い返してくる。
「あなたはおっぱいを凝視しているのに私には惚れていない。つまり私ではなく大きなおっぱいそのものに見惚れていた。誰のでもいいのよ。大きなおっぱいが好きなだけなのよ。スカートの中をのぞこうとしたのも、単に女性のスカートの中をのぞきたかっただけ。つまりあなたは、ただの巨乳大好きエロ大魔神なのよ!」
「そんな称号貰うくらいなら引きこもり様って呼ばれた方がましだな!」
俺がそうツッコんだときだった。
「誠道さ――いえ、巨乳大好きエロ大魔神さん。誰のおっぱいでもいいなんて、正直かなり引いてますし、かなりショックです」
後方から声がしたので振り返ると、観客席の最前列にごみを見るような目をしたミライが立っていた。
その隣には聖ちゃんもいて。
「誠道さん。あなたの睾丸はもうないものだと思ってください。そんなに巨乳がいいんですか! そもそも私はまだ成長する余地を残していますからね!」
そういや、監視の目を盗んで潜入できるなら潜入するって言ってたんだっけ。
でもなんでこんな最悪なタイミングなんだよ!
「違うんだ二人とも! これはこいつのただの妄言で」
「妄言? 真実に決まってるじゃない」
ミライと聖ちゃんに弁明しようとしていたのに、オリョウがそれを阻止しやがった。
「二人とも! こいつは敵なんだ! こいつの言葉を信じちゃいけない! 全部嘘なんだ!」
「私だってこんなこと信じたくはないのよ!」
オリョウがこめかみを押さえながら叫ぶ。
また胸の中央に手を添えてもだえ苦しみ出す。
「私だってわけがわからないの。この胸の中にふつふつと湧き上がってきた、狂おしくも愛おしい感情が説明できないんだから!」
ん?
なんか、オリョウが変なことを言い出しはじめたぞ。
流れが変わったな!
「だって、私は絶世の美女で、スタイルも抜群。そんな私に見惚れない男なんていなかった。私に見惚れない人は、悔しいけど……この男がはじめてなの」
オリョウは頭を抱えてうずくまる。
「私にとって、男を惚れさせるのなんて簡単だった。すべての男を惚れさせて、意のままに操ることができたから……ずっと虚しかったの。どいつもこいつも単純すぎて、本当の恋なんて無理だと思って、お金だけが私のすべてになっていたのに!」
突然動きを止めたオリョウが、ゆっくりと顔を上げる。
「なに、この感情は」
オリョウの頬はピンク色に染まっていた。
とろんとした目で俺のことを見ている。
女の顔、というより純情な乙女の顔だ。
「こんなの、はじめて」
えっと、あの、これってもしかして。
これまで恋愛経験皆無――恋愛経験に乏しかった俺でもわかる。
こいつは、俺の目の前にいる絶世の美女、ゼイ・ダッツ・オリョウは。
「私の心をこんなにも乱す男はあなたがはじめてなの! 石川誠道くん!」
ヤバい。
マジでマジでマジで?
「本当にわけがわからないけれど、私も私の心がわからないけど、私はあなたに惚れちゃったみたいなの!」
「ひゃっほーーーーーーい!!」
なぜかわからないけど、絶世の美女に告白される俺。
惚れられている俺。
こんなのテンション爆上がりだよね。
ついに俺の真の実力が顕現しちゃったか。
俺が本気を出せば、絶世の美女を惚れさせることなんて、昼夜逆転生活を送ることより簡単なんだよなぁ。
俺はこれまで本気を出していなかっただけなんだよなぁ。
ムキになったオリョウが言い返してくる。
「あなたはおっぱいを凝視しているのに私には惚れていない。つまり私ではなく大きなおっぱいそのものに見惚れていた。誰のでもいいのよ。大きなおっぱいが好きなだけなのよ。スカートの中をのぞこうとしたのも、単に女性のスカートの中をのぞきたかっただけ。つまりあなたは、ただの巨乳大好きエロ大魔神なのよ!」
「そんな称号貰うくらいなら引きこもり様って呼ばれた方がましだな!」
俺がそうツッコんだときだった。
「誠道さ――いえ、巨乳大好きエロ大魔神さん。誰のおっぱいでもいいなんて、正直かなり引いてますし、かなりショックです」
後方から声がしたので振り返ると、観客席の最前列にごみを見るような目をしたミライが立っていた。
その隣には聖ちゃんもいて。
「誠道さん。あなたの睾丸はもうないものだと思ってください。そんなに巨乳がいいんですか! そもそも私はまだ成長する余地を残していますからね!」
そういや、監視の目を盗んで潜入できるなら潜入するって言ってたんだっけ。
でもなんでこんな最悪なタイミングなんだよ!
「違うんだ二人とも! これはこいつのただの妄言で」
「妄言? 真実に決まってるじゃない」
ミライと聖ちゃんに弁明しようとしていたのに、オリョウがそれを阻止しやがった。
「二人とも! こいつは敵なんだ! こいつの言葉を信じちゃいけない! 全部嘘なんだ!」
「私だってこんなこと信じたくはないのよ!」
オリョウがこめかみを押さえながら叫ぶ。
また胸の中央に手を添えてもだえ苦しみ出す。
「私だってわけがわからないの。この胸の中にふつふつと湧き上がってきた、狂おしくも愛おしい感情が説明できないんだから!」
ん?
なんか、オリョウが変なことを言い出しはじめたぞ。
流れが変わったな!
「だって、私は絶世の美女で、スタイルも抜群。そんな私に見惚れない男なんていなかった。私に見惚れない人は、悔しいけど……この男がはじめてなの」
オリョウは頭を抱えてうずくまる。
「私にとって、男を惚れさせるのなんて簡単だった。すべての男を惚れさせて、意のままに操ることができたから……ずっと虚しかったの。どいつもこいつも単純すぎて、本当の恋なんて無理だと思って、お金だけが私のすべてになっていたのに!」
突然動きを止めたオリョウが、ゆっくりと顔を上げる。
「なに、この感情は」
オリョウの頬はピンク色に染まっていた。
とろんとした目で俺のことを見ている。
女の顔、というより純情な乙女の顔だ。
「こんなの、はじめて」
えっと、あの、これってもしかして。
これまで恋愛経験皆無――恋愛経験に乏しかった俺でもわかる。
こいつは、俺の目の前にいる絶世の美女、ゼイ・ダッツ・オリョウは。
「私の心をこんなにも乱す男はあなたがはじめてなの! 石川誠道くん!」
ヤバい。
マジでマジでマジで?
「本当にわけがわからないけれど、私も私の心がわからないけど、私はあなたに惚れちゃったみたいなの!」
「ひゃっほーーーーーーい!!」
なぜかわからないけど、絶世の美女に告白される俺。
惚れられている俺。
こんなのテンション爆上がりだよね。
ついに俺の真の実力が顕現しちゃったか。
俺が本気を出せば、絶世の美女を惚れさせることなんて、昼夜逆転生活を送ることより簡単なんだよなぁ。
俺はこれまで本気を出していなかっただけなんだよなぁ。
0
あなたにおすすめの小説
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~
みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった!
無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。
追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
魔法使いが無双する異世界に転移した魔法の使えない俺ですが、陰陽術とか武術とか魔法以外のことは大抵できるのでなんとか死なずにやっていけそうです
忠行
ファンタジー
魔法使いが無双するファンタジー世界に転移した魔法の使えない俺ですが、陰陽術とか武術とか忍術とか魔法以外のことは大抵できるのでなんとか死なずにやっていけそうです。むしろ前の世界よりもイケてる感じ?
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる