うちのメイドがウザかわいい! 転生特典ステータスがチートじゃなくて【新偉人(ニート)】だったので最強の引きこもりスローライフを目指します。

田中ケケ

文字の大きさ
357 / 360
最終章 3 ミライへ

懐かしのあの人

しおりを挟む
 俺は今回のいきさつについて、ミライから説明を受けることになった。

「はじまりは、誠道さんが私に告白するかどうか悩んでいることと新必殺技の獲得条件について、マーズさんから教えてもらった日でした」

 どうもマーズは、俺から相談を受けた後すぐにミライのもとに行って、その話をしたのだとか。

「当日って普通に口軽すぎだろっ!」

 マーズに冷めた視線を送るが、当事者のマーズはミライの鞭に縛られたまま、大変幸せそうな顔をしている。

 ……はぁ、もう責める気を失いましたよ。

 だってすでに物理的に責められてるんだもの。

 俺は変態大魔法使いを無視して、ミライに話をつづけるよう促した。

「マーズさんから説明を受けた時、ビビッときたんです! すぐに『肝心なところで必ずひよってしまう奥手で意気地なしの誠道さんから告白されよう大作戦』を思いついたのです!」

「あのさ、作戦名が俺のことディスってる気がするんだけど」

「はい、普通にディスってます」

「そこは否定して誤魔化すところだろ!」

「だっていつまでも告白してこなかったじゃないですか!」

「それは……恥ずかしかったというか、なんというか」

 告白したことないし、告白の仕方とかもわからなかったんだからしょうがないっていうか。

「だいたい、ミライから告白してくればよかっただろ」

「それだと違うんです! 誠道さんはもっと乙女心というものを理解してください!」

 なぜか怒られてしまった。

 すぐに「話が逸れましたね」とミライはかわいらしく咳払いをする。

「私はまず、今回の大まかな作戦を考えました。フェニックスハイランド所有者のマダムさんに使用許可を申し出ると、快くOKを貰うことができました」

 ここあいつの所有物だったのかよ!

「なんなら、経年劣化で取り壊しが決定していた遊園地だったので、ジェットコースターでも観覧車でも盛大に壊していいとおっしゃっていただきました。本当にありがたかったです。ド派手な演出により信憑性も増しましたし」

「おいちょっと待て。いま経年劣化って言わなかったか?」

「はい。だから遠慮なく壊せたんです。いくら私でも、無断でアトラクションを破壊しませんよ」

「俺が言いたいのはそこじゃねぇ! 俺たちはそのジェットコースターに乗ったじゃないか」

 そう指摘すると、ミライはしまったと口を開け、てへっ! と舌を出した。

「すみません。忘れてました」

「忘れるようなことじゃないだろ!」

 だからあのロボット、変なことばっかり言ってやがったのか。

 いやそもそも自動ロボットが危険なアトラクションに乗せるのを容認するって、そのロボットが一番経年劣化してるだろ!

「すみません。だって、誠道さんの怖がっている姿を見たくて」

「そうやっていじらしく言ったって意味ないからな」

「ああでもしないと、誠道さんと手をつなげないと思いまして。せっかくのデートなのに」

「……おお、そそ、そうか」

 そういや、あのとき手を握られたんだっけ?

 いろいろとありすぎて、つい数時間前の出来事なのに何日も前のことのように思えてきた。

「えっ? この言いわけで納得してくれるなんて、ちょろっ!」

「おいミライ。いま、ちょろいって言ったな」

「そんなことより、無事にフェニックスハイランドの協力を得た私は、次にこの脚本の軸となる強敵を探すことにしました」

 ああ、無視されちゃいましたね。

「最初はまあ、なんか聖ちゃんが闇落ちした的な展開でいいかと思っていたのですが、なんと運よくあの方々がグランダラに来ているという情報がっ!」

「あの方々?」

「はい。一人目は創流御九条つくるごくじょうさんで」

「そいつ本当に実在する人間だったのかよ!」

 前章のオチに使われただけの人じゃなかったのね!

「もう一人が天才魔術師リト・ディアさんです!」

「…………えっと、そいつはえっと……あ! あの過去が見える水晶を作り出したナルシストか!」

 ずいぶん前のことだったので忘れかけていたが、ようやく思い出せた。

 天才魔術師、リト・ディア。

 過去を覗ける水晶の発動に必要な呪文を、

『この水晶を作った天才魔術師リト・ディアは超イケメン! 私、今にも惚れちゃいそうですぅぅ!』

 なんてふざけた文言にするくらいの、超絶ナルシスト。

 ほんと、ずいぶんと懐かしい名前ができたものだ。

「そして! なんと本日はお二方ともこちらに来ていただいております!」

 やけにテンションの高いミライが拍手を求めてきたので仕方なく応えてやると、ミライは満足げにうなずき。

「ではお二方とも、どうぞこちらにお越しください!」

 ぱちんと指を鳴らすと地面に魔法陣が浮かび上がり、軽い爆炎とともに二人の人影が出現する。

 一人目は、禿げ散らかした頭と四角い黒縁の眼鏡が特徴的なおじいさんで、油汚れまみれの白いタンクトップが、そのでっぷりと膨らんだお腹を殊更に強調させている。

 右手にはスパナを持っており、いかにも自分の容姿にまるで興味がない、発明家然とした出で立ちだ。

 二人目は、毎日二時間は手入れに費やしているんじゃないかってくらい艶やかな黒髪長髪を持つやせ型の男で、深緑色のマントに身を包んでおり、いかにもな魔法の杖を持っている。

 そのニヒルに笑う姿からは若干のナルシストなオーラがにじみ出ていた。

 うん、二人ともイメージ通りでなんかちょっとだけ安心したような、ショックなような。

 だって、こういうときって二人とも実は美少女だった、みたいな展開になるのが普通だと思ってたからね。

 ま、俺にはすでに彼女がいるから、今さら美少女が出てきたってもう遅いんだけど。

「誠道さん。これから出会う女性たちが自分に惚れるみたいな、荒唐無稽な考えはやめてください。ありえませんから」

「なんでミライは俺の思考を読み取ってんだよ!」

 今は【無敵の二人ラブ・ユニバース】を解除してるよね?

「誠道さんの考えることなんてお見通しですよ。なんてたって私は誠道さんの彼女ですから!」

「その彼氏をバカにしたような発言してるんですけど! 俺が美少女からモテないって決まってるわけじゃねぇだろうが!」

「いや、決まってます」

 真顔のミライにきっぱりと告げられる。

 おい即答はやめろよ。

 本当っぽく聞こえるじゃねぇか。

「だって、誠道さんはこれまで出会った女性たちに惚れられてないじゃないですか」

「……うぐっ」

 胸に抉られたような痛みが走る。

「なのに、これから出会う女性たちに惚れられるわけがないじゃないですか」

 本当っぽく聞こえるじゃなくて、本当でした。

「誠道さんに惚れたのはこの私だけです。ですから、誠道さんは私を一生大事にしないといけないんですよ。私と別れたらもう終わりなんですからね」

 そう言われ、傷ついていた心が急激に熱くなる。

 頬を赤らめたミライと目が合い、その熱が全身に広がったところで。

「ほぉ、君が噂の誠道少年か。わしの若いころにそっくりだ」

 いつの間にか目の前まで来ていた、禿げ散らかしタンクトップ肥満おじさんがニンマリと笑う。

 そして、なんかめちゃくちゃ汚れている手を差し出してきた。

「は、はじめまして。石川誠道です」

 正直、そんな汚い手を握りたくはなかったが、発明家にとってはその汚れた手こそが勲章なのだろう。

 そもそも、目上の人からの握手を断るのは印象が悪すぎる。

「こちらこそ、はじめましてじゃな」

 禿げ散らかしタンクトップ肥満おじさんは、どこか子供を思わせる純粋な笑身を浮かべて。

「わしがかの有名な、天才魔術師のリト・ディアだ」

「普通逆だろうが!」

 はぁ。

 心のどこかでこうなるかもとは思ってたけどね!

 前フリが丁寧すぎたし。

 なんで魔術師が発明家っぽくて、発明家が魔術師っぽい格好してんだよ。

「ってかイケメンって思われたいならもうちょっと容姿を気にしろよ!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~

Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」 病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。 気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた! これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。 だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。 皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。 その結果、 うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。 慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。 「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。 僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに! 行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。 そんな僕が、ついに魔法学園へ入学! 当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート! しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。 魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。 この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――! 勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる! 腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

処理中です...