42 / 68
俺と彼女の、せいしをかけた戦い
帆乃の家で
しおりを挟む
「ここ、が吉良坂さんの家」
学校の最寄り駅から三駅。そこからさらに徒歩十分の場所に、吉良坂さんの住むマンションはあった。
いかにも億越えですって感じの豪華な建物が威圧的に聳え立っている。
メインエントランスまで伸びている石畳の両側に等間隔で植えられている木は丸みを帯びた形に枝葉を刈られているし、設置されている水景からは心地よい水の音が聞こえてくる。
「お待ちしておりました。宮田下様」
石畳の上を歩いてメインエントランスまで向かうと、そこには草飼さんが立っていた。
「帆乃様からお出迎えに上がるよう申しつかっております」
その言葉を聞いて少しだけほっとする。ってかそりゃそうか。メイドなんだから草飼さんも一緒に住んでるに決まっているか。
「では、まいりましょう」
草飼さんがオートロックの自動ドアを開けてくれ、俺を先導してくれる。ってかすごすぎじゃね? 天井高すぎだし、シャンデリアあるし、常駐のコンシェルジュいたんですけど? この床はもしかして大理石ってやつですか? オートロックこれで三つ目ですよ? エレベーターホールはまだですか?
「なんか、すごいとこに住んでますね?」
「帆乃様が住む場所ですから、当然です」
「ははは。ですよね」
ようやくエレベーターホールにたどり着き、最上階の五階に向かう。このマンションには二階から五階の計四フロアに部屋が二つずつしかないらしい。
この広さでその部屋数コスパ悪すぎじゃない? なんて思ってしまいがちだが、それだけこのマンションの家賃が高いということなのだろう。
エレベーターが五階に到着する。
扉が開くと、そこには高級そうな赤い絨毯が敷かれていた。歩いてすぐの場所にダブルロックの深緑の扉が一つだけ壁に取りつけられている。ここが吉良坂さんの部屋ってことだろうか?
「あれ? さっき各階に部屋が二つあるって言いましたよね?」
俺はあたりを見渡しながら尋ねる。
「もう一つの部屋が見当たらないんですけど」
「当然です。私たちが乗ったエレベーターはこのお部屋に行くための専用機ですので」
「せ、専用?」
「一階のエレベーターホールにはエレベーターが計八基ありましたよね?」
「ってことは? 部屋ごとにエレベーターがあるってこと?」
「そういうことです」
なにそれどういうこと? 意味はわかるけど意味がわからない! 要するに、吉良坂さんの住む部屋に行くことのできるエレベーターは一基だけってことだよね? つまり他人と乗り合わせる心配もないってことか。
なーんだ金持ちってみんな人見知りだったんだ!
俺がカルチャーショックを受けている間に、草飼さんが部屋の扉を開け、
「どうぞ、お入りください」
と身体を開いた。
「あ、ありがとうございます」
恐縮しながら、部屋の中に足を踏み入れる。玄関は当然大理石。正面と右手に廊下が二つ伸びている。その廊下の壁には絵画がいくつも飾られていた。
「その廊下をまっすぐ行くとリビングです。帆乃様もその中にいらっしゃるはずです。他は必要に応じてご案内いたします」
草飼さんに急かされるようにして廊下を進み、リビングの扉を開ける。学校の教室を四つくらい並べてもまだ足りないくらいの広さに、思わず息をのむ。黒革のソファやおしゃれな形をしたダイニングテーブル、大型テレビ、おしゃれな照明器具がセンス良く配置されている。
「ん? これはなんですか?」
俺は部屋の右隅に歩いていく。そこには濃い磨りガラスで囲まれた謎の空間があった。入り口がないため入ることができないし、当然中も見えない。
「その空間は気にしないでください」
草飼さんの返事はそっけないものだった。ってか気にしないでと言われたら余計気になる。だって部屋の隅にポツンとあるんだよ? 俺はそのガラスの中にあるものが気になって、目を細めてみたり顔を近づけたりしたが、結局中は見えなかった。
そんな俺の行動が面白かったのか、草飼さんが後ろでくすくすと笑っている。
「覗こうとしないでください。後でご案内いたしますから、そちらのソファにお掛けになってお待ちください」
「わかりました」
もどかしさを抱えつつ、俺は磨りガラスから離れてソファに座る。
ただ、やはり気になってその磨りガラスの方をちらちらと見てしまう。
ってかその謎の空間もそうだけど、この部屋広すぎて全然落ち着かないな!
俺は気を紛らわすために背伸びをしてみた。
「……あれ? 吉良坂さんはどこにいるんですか? 待ってるって言ってましたよね?」
そういえばと草飼さんに尋ねる。部屋で待っていると言っていたのに、吉良坂さんはどこにもいない。
「なにをおっしゃっているんですか?」
草飼さんがきょとんと首をかしげる。
「帆乃様ならこの部屋にいるじゃありませんか?」
学校の最寄り駅から三駅。そこからさらに徒歩十分の場所に、吉良坂さんの住むマンションはあった。
いかにも億越えですって感じの豪華な建物が威圧的に聳え立っている。
メインエントランスまで伸びている石畳の両側に等間隔で植えられている木は丸みを帯びた形に枝葉を刈られているし、設置されている水景からは心地よい水の音が聞こえてくる。
「お待ちしておりました。宮田下様」
石畳の上を歩いてメインエントランスまで向かうと、そこには草飼さんが立っていた。
「帆乃様からお出迎えに上がるよう申しつかっております」
その言葉を聞いて少しだけほっとする。ってかそりゃそうか。メイドなんだから草飼さんも一緒に住んでるに決まっているか。
「では、まいりましょう」
草飼さんがオートロックの自動ドアを開けてくれ、俺を先導してくれる。ってかすごすぎじゃね? 天井高すぎだし、シャンデリアあるし、常駐のコンシェルジュいたんですけど? この床はもしかして大理石ってやつですか? オートロックこれで三つ目ですよ? エレベーターホールはまだですか?
「なんか、すごいとこに住んでますね?」
「帆乃様が住む場所ですから、当然です」
「ははは。ですよね」
ようやくエレベーターホールにたどり着き、最上階の五階に向かう。このマンションには二階から五階の計四フロアに部屋が二つずつしかないらしい。
この広さでその部屋数コスパ悪すぎじゃない? なんて思ってしまいがちだが、それだけこのマンションの家賃が高いということなのだろう。
エレベーターが五階に到着する。
扉が開くと、そこには高級そうな赤い絨毯が敷かれていた。歩いてすぐの場所にダブルロックの深緑の扉が一つだけ壁に取りつけられている。ここが吉良坂さんの部屋ってことだろうか?
「あれ? さっき各階に部屋が二つあるって言いましたよね?」
俺はあたりを見渡しながら尋ねる。
「もう一つの部屋が見当たらないんですけど」
「当然です。私たちが乗ったエレベーターはこのお部屋に行くための専用機ですので」
「せ、専用?」
「一階のエレベーターホールにはエレベーターが計八基ありましたよね?」
「ってことは? 部屋ごとにエレベーターがあるってこと?」
「そういうことです」
なにそれどういうこと? 意味はわかるけど意味がわからない! 要するに、吉良坂さんの住む部屋に行くことのできるエレベーターは一基だけってことだよね? つまり他人と乗り合わせる心配もないってことか。
なーんだ金持ちってみんな人見知りだったんだ!
俺がカルチャーショックを受けている間に、草飼さんが部屋の扉を開け、
「どうぞ、お入りください」
と身体を開いた。
「あ、ありがとうございます」
恐縮しながら、部屋の中に足を踏み入れる。玄関は当然大理石。正面と右手に廊下が二つ伸びている。その廊下の壁には絵画がいくつも飾られていた。
「その廊下をまっすぐ行くとリビングです。帆乃様もその中にいらっしゃるはずです。他は必要に応じてご案内いたします」
草飼さんに急かされるようにして廊下を進み、リビングの扉を開ける。学校の教室を四つくらい並べてもまだ足りないくらいの広さに、思わず息をのむ。黒革のソファやおしゃれな形をしたダイニングテーブル、大型テレビ、おしゃれな照明器具がセンス良く配置されている。
「ん? これはなんですか?」
俺は部屋の右隅に歩いていく。そこには濃い磨りガラスで囲まれた謎の空間があった。入り口がないため入ることができないし、当然中も見えない。
「その空間は気にしないでください」
草飼さんの返事はそっけないものだった。ってか気にしないでと言われたら余計気になる。だって部屋の隅にポツンとあるんだよ? 俺はそのガラスの中にあるものが気になって、目を細めてみたり顔を近づけたりしたが、結局中は見えなかった。
そんな俺の行動が面白かったのか、草飼さんが後ろでくすくすと笑っている。
「覗こうとしないでください。後でご案内いたしますから、そちらのソファにお掛けになってお待ちください」
「わかりました」
もどかしさを抱えつつ、俺は磨りガラスから離れてソファに座る。
ただ、やはり気になってその磨りガラスの方をちらちらと見てしまう。
ってかその謎の空間もそうだけど、この部屋広すぎて全然落ち着かないな!
俺は気を紛らわすために背伸びをしてみた。
「……あれ? 吉良坂さんはどこにいるんですか? 待ってるって言ってましたよね?」
そういえばと草飼さんに尋ねる。部屋で待っていると言っていたのに、吉良坂さんはどこにもいない。
「なにをおっしゃっているんですか?」
草飼さんがきょとんと首をかしげる。
「帆乃様ならこの部屋にいるじゃありませんか?」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件
暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』
まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。
朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。
「ご主人様の笑顔が見たいんです」
その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。
全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!?
甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる