愛のない婚約者は愛のある番になれますか?

水無瀬 蒼

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小さな幸せ4

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 昨日はお魚だったから今日は肉にしようかな。そう思って冷蔵庫を開ける。お肉とはいえ、何にしようか。鶏もも肉があるからそれを使ってチーズをとろけさせて焼くのがいいかもしれない。
 そしたらサラダはさっぱりめがいいだろうか。トマトときゅうりがあるから、それでサラダにしよう。ドレッシングはレモン汁とオリーブオイルでさっぱりと。
 それだけだと少し寂しいからミネストローネでもつけようか。トマト缶もあるし。そうすれば野菜もたくさん摂れる。あ、ベーコンがない。下のスーパーに行って買ってこなきゃ。そう思ってお財布を持って家を出た。
 夕方のスーパーは買い物客でいっぱいだった。1人で買っている人、家族で買っている人、色々だけど夫婦で買い物をしている人を見ると、つい足が止まってしまう。旦那さんと一緒に買い物に来てる人が羨ましいな、と思ってしまったのだ。いつか僕もああやって陸さんと一緒に買い物に来れたらいいな、と思ってしまう。
 いやいや、やっと週末の夜だけ作ってあげられるようになったんだ。まずは食べて貰えるだけでも嬉しいんだから欲をかくのはやめよう。1人で買い物に来たって、以前のように自分の分を作るだけの買い物よりも陸さんのことを考えながら買い物ができるんだから十分じゃないか。それ以上は望みすぎだ。
 それでも夫婦で買い物をしている人を見ると羨ましいから、ベーコンだけを買って急いで家に帰った。
 家に帰るとすぐに食事の支度をする。
 まずはトマトときゅうりでイタリアン風のサラダを作る。と言ってもトマトときゅうりを切って、レモン汁、オリーブオイル、黒胡椒、塩でドレッシングを作るだけだ。
 できたサラダを冷蔵庫に入れ、次に鶏肉に塩、胡椒で下味をつける。そして、トマト、ケチャップ、コンソメ、塩、胡椒、オリーブオイルを耐熱容器に入れて、電子レンジで約
 3分間チンしている間に、フライパンにオリーブオイルを中火で熱し、焼いていく。
 お肉を焼いている間にミネストローネを作る。
 ベーコン、キャベツ、ジャガイモ、人参、玉葱を切っていき、ジャガイモは水にさらして、水を切る。オリーブオイルを鍋で熱し、べーコーン、玉葱を入れ玉葱が透き通るまで炒め、炒まったところで残りの具材を入れて軽く炒める。そこにトマト缶を入れ、コンソメ、塩、水を入れて煮たったところで弱火にして再度煮立たせたら終わりだ。
 そうしている間に鶏肉が両面いい色に焼けてきたので、レンジで温めたものを鶏肉に乗せてチーズを乗せてチーズがとろけるまで蓋をして焼く。
 鶏肉が焼き上がったところでミネストローネを軽く温め、冷蔵庫からサラダを取りだしダイニンテーブルに置き、鶏肉とミネストローネも置く。そして買って来たバゲットを切り、テーブルの真ん中に。イタリア料理なのにバゲットはどうなんだろう、と思ったけど、ご飯という気もしなくてバゲットにした。そこで、陸さんの部屋の前に行き声を掛ける。

「陸さん。お待たせしました。夕食できました」

 すると、少ししてドアが開いて出てくる。そして洗面所へ行って手を洗ったのだろう、そしてダイニングの席につく。

「今日はイタリアンにしてみました」

 そう言うと、その言葉にはなにも返さず、いただきますと手を合わせてからサラダに手をつけ、鶏肉、ミネストローネと口をつけていく。どうだろう。変な味はしていないけど、陸さんの口に合うだろうか? それが気になって、昨日のように自分の分に口もつけずに陸さんの表情を見てしまう。
 僕がガン見しているのに気づいたのか、俺の顔を見て、美味いよと一言言ってくれた。良かった。陸さんの口に合った。その一言にホッとして自分もようやく食事を口にする。口にしながらも陸さんが美味いよと言ってくれたことが嬉しくて、ついニコニコしてしまう。これって危ないヤツみたいだけど、嬉しいんだ。週末だけとは言え、陸さんに作れるのは嬉しい。来週はなにを作ろうか、なんて来週のことまで考えてしまった。
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