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もやもや7
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千景をベッドに寝かせた後、スーツを脱いでシャワーを浴びる。温かいシャワーを頭から被り、先ほどのことを思い出す。
仕事が遅くまでかかった上にロビーで千景を待っていたから正直疲れた。それでも待っていたのは自分が勝手にしたことだから千景に怒る気はないが、あの男に安心しきったように寄りかかっている姿を思い出すとなんとも言えない気持ちになる。
もちろん感謝はしている。帰る方向が違うというのにわざわざ送ってきてくれた彼には感謝しかない。それは確かだ。でも、千景を半分抱きかかえるようにしていた彼の姿にすっきりとしないものを感じるのだ。
安心しきった千景の姿。そしてそんな千景を半ば抱きかかえるようにしていた彼の姿。そこには誰も入れないような気がしたのだ。
安心しているのは当たり前だろう。中・高の6年間ずっと友人だったであろう男だ。クラス会の会場にはあの彼以外の男もいたわけで久しぶりの集まりだから嬉しくて楽しくて、ついお酒を飲んでしまったんだろう。仲の良かったメンバーなら当たり前だ。それでも、送ってきてくれた彼だけじゃなくて、千景と一緒に飲んでいたクラスメートもどうも面白くない。
シャワーを止め雑に体を拭くと清潔な部屋着を着る。こういった家事を嫌がらずにしてくれているのは千景だ。お互いに干渉しないと提案したが、家事をやらせてくれと言ったのは千景だ。確かに助かっている。今まで人にやって貰っていたし、それに仕事も夜遅くに帰ることがほとんどなので新居の洗濯機は乾燥機付きにした。だから洗剤を入れてボタンを押すだけだとわかってはいる。それでも、それすら面倒になることはわかっていた。だから千景の言葉に甘えたのだ。
洗濯だけじゃない。共有部の掃除も千景に任せている。もちろんお掃除ロボットは複数個置いてはあるものの、それだけでは済まないだろう掃除に嫌な顔をせずやってくれているのだ。掃除をさせていないのは俺の部屋だけだ。それ以外は千景がやっている。千景をお手伝いさんとは思っていない。心はないけれど、結婚相手だということはわかっている。そんな相手の洗濯をし、そんな相手も使っている共有部の掃除もやっている。面倒で嫌なことをさせられているのに、何が幸せなのか。そんな毎日を送っているのに幸せはないだろう。
自分の部屋に入り、ため息をつく。部屋にもお掃除ロボットを置いてあるけれど、拭き掃除はできていない。この部屋のきちんとした掃除は週末しかない。きっとお願いすれば千景はやってくれるだろう。でも、それはお手伝いさんではない千景にやらせることではない。
千景は幸せなのだろうか。愛想もなく、ろくに喋らない自分なんかと結婚をして。千景は愛想もいいし、オメガだけあって華奢で可愛い顔立ちをしている。千景がその気になれば番だってすぐにできるだろうし、結婚だってできただろう。なのに、親が決めたからと俺なんかと結婚したおかげでまだ番にさえなれていない。いや、この先いくら待っても俺と番になることはない。それに聞いたことはないけれど、自分の子供だって欲しかったのではないか。そうだとしたら千景は不幸だ。そんな千景のどこを見たら幸せに見えるのか俺にはわからなかった。それなのに彼は千景が幸せみたいだと言ったのだ。千景の気持ちがわからない。いや、わからないのは自分かもしれない。なぜこんなにもやもやして苛々しているのか。
1週間仕事で疲れたのにロビーで待っていたからだろうか。でも、それは誰かに頼まれたからではない。心配で落ち着かないから自分がしたくてしたことだ。だから苛々するのはお門違いだ。それでも、それしか心当たりはなかった。
明日は掃除をしよう。そう思ってベッドに横になり目を瞑る。わけのわからないことは考えたって無駄だ。疲れているのなら寝るに限る。そう思って思考を追い払った。
仕事が遅くまでかかった上にロビーで千景を待っていたから正直疲れた。それでも待っていたのは自分が勝手にしたことだから千景に怒る気はないが、あの男に安心しきったように寄りかかっている姿を思い出すとなんとも言えない気持ちになる。
もちろん感謝はしている。帰る方向が違うというのにわざわざ送ってきてくれた彼には感謝しかない。それは確かだ。でも、千景を半分抱きかかえるようにしていた彼の姿にすっきりとしないものを感じるのだ。
安心しきった千景の姿。そしてそんな千景を半ば抱きかかえるようにしていた彼の姿。そこには誰も入れないような気がしたのだ。
安心しているのは当たり前だろう。中・高の6年間ずっと友人だったであろう男だ。クラス会の会場にはあの彼以外の男もいたわけで久しぶりの集まりだから嬉しくて楽しくて、ついお酒を飲んでしまったんだろう。仲の良かったメンバーなら当たり前だ。それでも、送ってきてくれた彼だけじゃなくて、千景と一緒に飲んでいたクラスメートもどうも面白くない。
シャワーを止め雑に体を拭くと清潔な部屋着を着る。こういった家事を嫌がらずにしてくれているのは千景だ。お互いに干渉しないと提案したが、家事をやらせてくれと言ったのは千景だ。確かに助かっている。今まで人にやって貰っていたし、それに仕事も夜遅くに帰ることがほとんどなので新居の洗濯機は乾燥機付きにした。だから洗剤を入れてボタンを押すだけだとわかってはいる。それでも、それすら面倒になることはわかっていた。だから千景の言葉に甘えたのだ。
洗濯だけじゃない。共有部の掃除も千景に任せている。もちろんお掃除ロボットは複数個置いてはあるものの、それだけでは済まないだろう掃除に嫌な顔をせずやってくれているのだ。掃除をさせていないのは俺の部屋だけだ。それ以外は千景がやっている。千景をお手伝いさんとは思っていない。心はないけれど、結婚相手だということはわかっている。そんな相手の洗濯をし、そんな相手も使っている共有部の掃除もやっている。面倒で嫌なことをさせられているのに、何が幸せなのか。そんな毎日を送っているのに幸せはないだろう。
自分の部屋に入り、ため息をつく。部屋にもお掃除ロボットを置いてあるけれど、拭き掃除はできていない。この部屋のきちんとした掃除は週末しかない。きっとお願いすれば千景はやってくれるだろう。でも、それはお手伝いさんではない千景にやらせることではない。
千景は幸せなのだろうか。愛想もなく、ろくに喋らない自分なんかと結婚をして。千景は愛想もいいし、オメガだけあって華奢で可愛い顔立ちをしている。千景がその気になれば番だってすぐにできるだろうし、結婚だってできただろう。なのに、親が決めたからと俺なんかと結婚したおかげでまだ番にさえなれていない。いや、この先いくら待っても俺と番になることはない。それに聞いたことはないけれど、自分の子供だって欲しかったのではないか。そうだとしたら千景は不幸だ。そんな千景のどこを見たら幸せに見えるのか俺にはわからなかった。それなのに彼は千景が幸せみたいだと言ったのだ。千景の気持ちがわからない。いや、わからないのは自分かもしれない。なぜこんなにもやもやして苛々しているのか。
1週間仕事で疲れたのにロビーで待っていたからだろうか。でも、それは誰かに頼まれたからではない。心配で落ち着かないから自分がしたくてしたことだ。だから苛々するのはお門違いだ。それでも、それしか心当たりはなかった。
明日は掃除をしよう。そう思ってベッドに横になり目を瞑る。わけのわからないことは考えたって無駄だ。疲れているのなら寝るに限る。そう思って思考を追い払った。
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