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初めての4
「久しぶりにステーキが食べたいな。それとスープ。それでいい」
「え? そんなのでいいんですか?」
「ステーキは肉を焼くだけだが、今俺が食べたいのがそれだ」
「スープはなにがいいですか?」
「それは千景に任せる。美味いのを作ってくれ」
「わかりました。そしたら少しでもいいお肉を買ってきたいので買い物に行ってきます」
「下じゃないのか」
「ええ。隣の駅まで」
「そうしたら車を出す」
陸さんの要望がステーキだったので、少しでもいいお肉を焼いてあげたいと思った。
下のスーパーにも牛肉は売っているけれど、ちょっとでもいいお肉をと思ったらちょっといいスーパーに行った方が美味しいお肉が売っているだろうから、隣の駅にある少しリッチなスーパーに行くことにした。
普段なら下のスーパーで十分だけど、今回陸さんは大変な目にあったのだからそれくらいのことは贅沢にならないだろう。
でも、車を出してくれるという陸さんに、いいのだろうかと思う。だって、陸さんのプライベートな空間だ。いや、もう何度か乗せて貰っているけれど。
だけど、車を出してくれるというのに電車で行くと言い張るのは違う気がするのでそこは甘えることにする。最近はこうやって車を出したりしてくれるようになって、ほんの少し距離が縮まった気がするのは気のせいではないはずだ。年末には熱海にまで連れて行ってくれたほどだ。
「お肉は陸さんが選んで下さいね」
「わかった。たまには贅沢してもいいだろう」
陸さんがたまにの贅沢をするのはいいと思う。でも、僕まで贅沢してしまってもいいんだろうか。僕1人なら下のスーパーで十分だけど、違うのをわざわざ買いに行くのも変なので、せめてほんの少しでも安いものを選ぼうと思う。
「目的地を教えてくれ」
「はい」
目的地をナビに入力し、車が出る。お天気が良くて陽射しが強いので陸さんはサングラスをかけた。その姿を見た僕はまた息が止まるかと思った。それくらい格好良いのだ。助手席からその姿が見れるなんて、なんて贅沢なんだろう。お肉が贅沢という以前にそんなに格好良い陸さんを見れることが贅沢だ。でも、じーっと見ているのも不審者っぽいので、なんでもない振りをして窓の外に目をやる。
僕は子供の頃から陸さんが好きだけど、一緒に住むようになってから以前よりも好きだという気持ちが大きくなっている。結婚した当初は離婚にならなければいいと思っていたけれど、今はほんの少しでもいいから僕の方を見てくれないかなと思うようになった。
わがままだ。わかってる。でも、少しでいいから僕のことを好きになって欲しい。陸さんの好きな人の次でいいから。そう願ってしまう。
そんなことを考えているうちにスーパーに着いた。元々近い距離だからすぐだ。
「ここなら陸さんが食べたいと思うお肉もあると思います」
そう言って僕は買い物カゴを持って店内に入る。
「米とか重い物は大丈夫か? 下のスーパーからでも持ってあがるのは大変だろう。今日は俺が持つから重い物も遠慮なく買え」
陸さんはそう言ってくれる。陸さんのこういう優しさが僕は好きだなと思う。
「ありがとうございます。でも、お米は先日買ったばかりなので大丈夫です」
「そうか。いつもすまない」
ほら、陸さんの優しさ。その優しさに触れて僕の心はほんわりと温かくなった。
「え? そんなのでいいんですか?」
「ステーキは肉を焼くだけだが、今俺が食べたいのがそれだ」
「スープはなにがいいですか?」
「それは千景に任せる。美味いのを作ってくれ」
「わかりました。そしたら少しでもいいお肉を買ってきたいので買い物に行ってきます」
「下じゃないのか」
「ええ。隣の駅まで」
「そうしたら車を出す」
陸さんの要望がステーキだったので、少しでもいいお肉を焼いてあげたいと思った。
下のスーパーにも牛肉は売っているけれど、ちょっとでもいいお肉をと思ったらちょっといいスーパーに行った方が美味しいお肉が売っているだろうから、隣の駅にある少しリッチなスーパーに行くことにした。
普段なら下のスーパーで十分だけど、今回陸さんは大変な目にあったのだからそれくらいのことは贅沢にならないだろう。
でも、車を出してくれるという陸さんに、いいのだろうかと思う。だって、陸さんのプライベートな空間だ。いや、もう何度か乗せて貰っているけれど。
だけど、車を出してくれるというのに電車で行くと言い張るのは違う気がするのでそこは甘えることにする。最近はこうやって車を出したりしてくれるようになって、ほんの少し距離が縮まった気がするのは気のせいではないはずだ。年末には熱海にまで連れて行ってくれたほどだ。
「お肉は陸さんが選んで下さいね」
「わかった。たまには贅沢してもいいだろう」
陸さんがたまにの贅沢をするのはいいと思う。でも、僕まで贅沢してしまってもいいんだろうか。僕1人なら下のスーパーで十分だけど、違うのをわざわざ買いに行くのも変なので、せめてほんの少しでも安いものを選ぼうと思う。
「目的地を教えてくれ」
「はい」
目的地をナビに入力し、車が出る。お天気が良くて陽射しが強いので陸さんはサングラスをかけた。その姿を見た僕はまた息が止まるかと思った。それくらい格好良いのだ。助手席からその姿が見れるなんて、なんて贅沢なんだろう。お肉が贅沢という以前にそんなに格好良い陸さんを見れることが贅沢だ。でも、じーっと見ているのも不審者っぽいので、なんでもない振りをして窓の外に目をやる。
僕は子供の頃から陸さんが好きだけど、一緒に住むようになってから以前よりも好きだという気持ちが大きくなっている。結婚した当初は離婚にならなければいいと思っていたけれど、今はほんの少しでもいいから僕の方を見てくれないかなと思うようになった。
わがままだ。わかってる。でも、少しでいいから僕のことを好きになって欲しい。陸さんの好きな人の次でいいから。そう願ってしまう。
そんなことを考えているうちにスーパーに着いた。元々近い距離だからすぐだ。
「ここなら陸さんが食べたいと思うお肉もあると思います」
そう言って僕は買い物カゴを持って店内に入る。
「米とか重い物は大丈夫か? 下のスーパーからでも持ってあがるのは大変だろう。今日は俺が持つから重い物も遠慮なく買え」
陸さんはそう言ってくれる。陸さんのこういう優しさが僕は好きだなと思う。
「ありがとうございます。でも、お米は先日買ったばかりなので大丈夫です」
「そうか。いつもすまない」
ほら、陸さんの優しさ。その優しさに触れて僕の心はほんわりと温かくなった。
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