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自分の気持ち6
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「綺麗。飾り方が綺麗すぎて食べるのがもったいないです」
「食べろ。美味いぞ」
千景が箸を持ったまま食べれないというのを横目に俺は箸を進めていく。そんなに気に入ったならいくらでも連れてきてやるのに。そう言ったら食べるだろうか。試しに言ってみる。
「いつでも連れてきてやるから食べろ」
「そんな! だって絶対高いですよね」
食べるかと思ったけれど、金のことを気にしてきたか。そんなこと気にしなくていいのに。
「そんなこと気にするな。そんなに言うのなら、たまになら気にならないだろう。いいから食べろ」
「……はい」
千景のことだから連れてこようと思っても絶対に遠慮するんだろう。そんなに毎日贅沢をするわけじゃない。たまになら問題ないだろうに。
野菜に口をつけると、顔が明るくなった。
「美味しい! いつも食べているのと味が違います! 無農薬とかこだわって栽培されたものなんだろうな」
そんなに言うほどだろうか。確かに美味いとは思うけれど、千景ほどは思わない。大体、千景が作ったものだって俺は美味いと思って食べている。
俺が相づちをつかないからか千景は静かに、ゆっくりと箸を進めていく。かご盛りを食べ終わったと同時ににぎり寿司が運ばれてくる。にぎり寿司と言っても小ぶりなものだけど。
「お寿司だ!」
寿司が好きな千景は先ほどよりも目を輝かせ、そして海老を食べるとさらに目はキラキラとする。この笑顔をまたさせてやりたいと思うんだ。千景はほんとに美味そうに、大事に食べるから。
「ネタが美味しい! メインの料理じゃないのに。陸さん、ここのお寿司美味しいです」
食べる度に感想を言ってくる千景につい笑ってしまった。食レポでも見ている気分になる。でも俺が笑ったからか、千景は箸を止めポカンとした顔で俺を見る。俺が笑うといつもこの顔をする。そんなに珍しいか? いや、千景にとっては珍しいか。今まで笑うことは少なかったから。
「悪い。食レポでも見ているみたいで笑ってしまった。気に入ってくれたのなら良かった」
「すいません……。あまりにも美味しくて、つい。煩いですよね」
千景はそう謝ると、今度は静かに箸を進めていく。でも、顔の輝きは変わらない。それを見てほんとに気に入ってくれたのだとわかる。それなのなら、ほんとにいつでも連れてきてやる。
千景を見ているのが楽しくて、つい自分の箸が止まってしまう。でもすぐにメインのすき焼きが煮えてきたので蓋を開けると肉のいい匂いがする。
「うわ~。匂いからして美味しいのがわかる」
先ほど口を閉ざしたはずなのに、肉の匂いにつられて言葉になってしまったみたいだ。それに対してまた笑ってしまう。また近いうちに連れてきてやろう。そう思った。
「陸さん! 煩いの承知でいいますけど、美味しすぎます! 幸せだな」
美味いものを食べて幸せだと感じる千景が可愛く思える。まさかこんな風に思うことがあるなんて思わなかった。和真を失って、もう誰も愛することはないと思っていた。でも、千景は凍ってしまった俺の心を笑顔で溶かした。千景の笑顔はすごいな。その笑顔をずっと見ていたいと思う。
そんな千景の笑顔を見ていてふと思い出した。
「そう言えば、そろそろヒートじゃないのか」
俺のその言葉に千景の顔が赤くなって、小さく頷く。だからなんでヒートという言葉にそんなに恥ずかしがるのか。母さんの受け売りじゃないけどヒートは恥ずかしいものじゃない。
「今度ヒートが来ても鍵をかけなくていいから」
「でもっ! そうしたら陸さんにまた迷惑をかけてしまうから……」
「迷惑なんかじゃないから。だから鍵は必要ない。ただ、項は今はまだ噛めない」
千景を好ましいと思う。だからヒートのときに鍵は必要ない。千景の気が済むまで抱いてやる。でも、まだ項を噛んではやれない。自分の気持ちに気がついたばかりだから。
でも、いつかそう遠くないうちに、その項を噛むだろうと思う。だから、それまでもう少しだけ待って欲しい。
「番うのは、陸さんの気持ちが噛んでもいいと思ったときにでいいです」
「お前は嫌じゃないのか。俺と番になることが」
「嫌なんかじゃないです。だから、焦らないでいいですよ」
そう言う千景の顔は慈愛に満ちていた。俺の心をふわりと包み込むような微笑みだった。
「食べろ。美味いぞ」
千景が箸を持ったまま食べれないというのを横目に俺は箸を進めていく。そんなに気に入ったならいくらでも連れてきてやるのに。そう言ったら食べるだろうか。試しに言ってみる。
「いつでも連れてきてやるから食べろ」
「そんな! だって絶対高いですよね」
食べるかと思ったけれど、金のことを気にしてきたか。そんなこと気にしなくていいのに。
「そんなこと気にするな。そんなに言うのなら、たまになら気にならないだろう。いいから食べろ」
「……はい」
千景のことだから連れてこようと思っても絶対に遠慮するんだろう。そんなに毎日贅沢をするわけじゃない。たまになら問題ないだろうに。
野菜に口をつけると、顔が明るくなった。
「美味しい! いつも食べているのと味が違います! 無農薬とかこだわって栽培されたものなんだろうな」
そんなに言うほどだろうか。確かに美味いとは思うけれど、千景ほどは思わない。大体、千景が作ったものだって俺は美味いと思って食べている。
俺が相づちをつかないからか千景は静かに、ゆっくりと箸を進めていく。かご盛りを食べ終わったと同時ににぎり寿司が運ばれてくる。にぎり寿司と言っても小ぶりなものだけど。
「お寿司だ!」
寿司が好きな千景は先ほどよりも目を輝かせ、そして海老を食べるとさらに目はキラキラとする。この笑顔をまたさせてやりたいと思うんだ。千景はほんとに美味そうに、大事に食べるから。
「ネタが美味しい! メインの料理じゃないのに。陸さん、ここのお寿司美味しいです」
食べる度に感想を言ってくる千景につい笑ってしまった。食レポでも見ている気分になる。でも俺が笑ったからか、千景は箸を止めポカンとした顔で俺を見る。俺が笑うといつもこの顔をする。そんなに珍しいか? いや、千景にとっては珍しいか。今まで笑うことは少なかったから。
「悪い。食レポでも見ているみたいで笑ってしまった。気に入ってくれたのなら良かった」
「すいません……。あまりにも美味しくて、つい。煩いですよね」
千景はそう謝ると、今度は静かに箸を進めていく。でも、顔の輝きは変わらない。それを見てほんとに気に入ってくれたのだとわかる。それなのなら、ほんとにいつでも連れてきてやる。
千景を見ているのが楽しくて、つい自分の箸が止まってしまう。でもすぐにメインのすき焼きが煮えてきたので蓋を開けると肉のいい匂いがする。
「うわ~。匂いからして美味しいのがわかる」
先ほど口を閉ざしたはずなのに、肉の匂いにつられて言葉になってしまったみたいだ。それに対してまた笑ってしまう。また近いうちに連れてきてやろう。そう思った。
「陸さん! 煩いの承知でいいますけど、美味しすぎます! 幸せだな」
美味いものを食べて幸せだと感じる千景が可愛く思える。まさかこんな風に思うことがあるなんて思わなかった。和真を失って、もう誰も愛することはないと思っていた。でも、千景は凍ってしまった俺の心を笑顔で溶かした。千景の笑顔はすごいな。その笑顔をずっと見ていたいと思う。
そんな千景の笑顔を見ていてふと思い出した。
「そう言えば、そろそろヒートじゃないのか」
俺のその言葉に千景の顔が赤くなって、小さく頷く。だからなんでヒートという言葉にそんなに恥ずかしがるのか。母さんの受け売りじゃないけどヒートは恥ずかしいものじゃない。
「今度ヒートが来ても鍵をかけなくていいから」
「でもっ! そうしたら陸さんにまた迷惑をかけてしまうから……」
「迷惑なんかじゃないから。だから鍵は必要ない。ただ、項は今はまだ噛めない」
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でも、いつかそう遠くないうちに、その項を噛むだろうと思う。だから、それまでもう少しだけ待って欲しい。
「番うのは、陸さんの気持ちが噛んでもいいと思ったときにでいいです」
「お前は嫌じゃないのか。俺と番になることが」
「嫌なんかじゃないです。だから、焦らないでいいですよ」
そう言う千景の顔は慈愛に満ちていた。俺の心をふわりと包み込むような微笑みだった。
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