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自分の気持ち5
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初めての日光は見どころが多く楽しかった。今回は日帰りだったので少ししか見れなかったから、今度は今回行けなかったところに行ってみたいと思った。そしたら千景のことを誘っていた。
週末は顔をあわせているせいか千景といることにストレスを感じたりすることはない。それは千景が気を使ってくれているからかもしれない。それでも千景と一緒にいることに違和感を感じなくなっていた。
それに千景が見せる笑顔に癒やされている自分にも気づいている。週末、その笑顔を見ると週明けの仕事も頑張ろうと思える。この感情に覚えはある。和真に感じていたのと同じような気持ちだ。まさか千景のことを?
車を運転しながら千景のことを考えていた。事故に気をつけなくては。和真があったように歩行者にはねてもいけないし、乗っている千景に怪我があってもいけない。
「帰りになにか食べて帰るか。あれだけだとお腹すくだろう」
「そうですね。変な時間にお腹空いちゃいそうです」
「なんでもいいか?」
「はい。陸さんにお任せします」
焼きおにぎりを食べたとは言え、ひとつだけなのですぐにお腹が空くだろう。千景の誕生日祝いも兼ねているから、きちんとしたお店で食べたい。間違えても高速のサービスエリアなどでは済ませたくない。どこがいいだろうか。
まずは個室のあるところがいいか。その方がゆっくり食べられる。メニューとしてはなにがいいだろう。そうだ。最近すき焼きを食べてない。すき焼きにしようか。すき焼きで個室のあるところ。ディナーコースがあるといい。
ちょうどそんな店を知っていたので、次のサービスエリアで予約をしておこうか。
「すき焼きでいいか?」
「すき焼きですか。うわぁ。最近食べてないです」
「それならいいな」
「はい! すごく楽しみです」
千景に訊くと、すき焼きでいいようなのでトイレ休憩をした際に電話で予約をする。別に予約なしでもいいのだけど、個室が良かったので、念のための予約だ。
高速は週末なので多少混雑してはいるが大きな渋滞もなく、予想通りの時間に都内に着いた。
すき焼きの店は街中にあるので、こういうときはちょっと駐車場に困るが、店の近くのパーキングに運良く空きがあったので入れる。
「うわ。こんなところにあるすき焼きなんていいんですか?」
「いいもなにも俺が予約したんだからいいんだろう」
「そうですけど……。お肉、美味しいんだろうな」
「あぁ、いい和牛を使ってる」
「楽しみ」
以前、この店で会食をしたことがある。そんな風に使える店ではあるけれど、普通のディナーとしても使える。それになにより個室があるのがいい。ゆっくりと食事を楽しむのなら個室がいいと俺は思っている。
店内に入ると奥の個室に通される。そこのテーブルには既に野菜と小さなごま豆腐の入ったかご盛りが置かれていた。
席に着き、そのかご盛りを見た千景は目をキラキラさせる。この顔をした千景が好きだと思った。この笑顔を守りたい。そう思った自分に一瞬驚いたけれど、どこか納得もできた。
千景のクラス会の帰り、安心しきって寝てしまった千景を送ってきてくれた彼にもやもやした。クラス会で仲の良かったメンバーに会えて楽しくて、良く知ったメンバーだから無防備にも寝てしまったのだろう。そしてそんな千景を当然のように送って来た彼。もしかしたらオメガの千景を守ってもいてくれたのかもしれない。俺も千景を守りたいと思ったのだろう。そのときはぼんやりとした感情だったけれど。
そして俺の高校のクラス会のとき、俺は千景のことを考えていた。金もクレジットカードも渡しているのに千景はどこかに美味いものを食べに行ったりしている様子はない。だからせめて俺が美味い店に食べに連れて行ってやりたいと思った。そして実際にクラス会の翌週、元町のフレンチの店に連れて行った。
2階の大正時代あたりの和の中に洋を感じるお座敷個室で食べたコース料理はとても美味しく、デザートも美味しかったので、帰りに千景にケーキを買ってやった。そのときも今と同じく目をキラキラさせていた。嬉しそうに楽しそうに食べる姿を見て、また食べさせてやりたいと思った。
そんな風に考えるのは好きだからだ。俺は和真が好きだった。今だって和真のことを考えると辛い。それでも、千景の笑顔を守ってやりたいと思ってしまうんだ。
いや、今までの俺が酷すぎて、今さらそんなことを言ったって信じて貰えないかもしれないし、虫の良いことを言っているかもしれない。それでも、今までのことを挽回して、これからは守りたい。そう思うんだ。
週末は顔をあわせているせいか千景といることにストレスを感じたりすることはない。それは千景が気を使ってくれているからかもしれない。それでも千景と一緒にいることに違和感を感じなくなっていた。
それに千景が見せる笑顔に癒やされている自分にも気づいている。週末、その笑顔を見ると週明けの仕事も頑張ろうと思える。この感情に覚えはある。和真に感じていたのと同じような気持ちだ。まさか千景のことを?
車を運転しながら千景のことを考えていた。事故に気をつけなくては。和真があったように歩行者にはねてもいけないし、乗っている千景に怪我があってもいけない。
「帰りになにか食べて帰るか。あれだけだとお腹すくだろう」
「そうですね。変な時間にお腹空いちゃいそうです」
「なんでもいいか?」
「はい。陸さんにお任せします」
焼きおにぎりを食べたとは言え、ひとつだけなのですぐにお腹が空くだろう。千景の誕生日祝いも兼ねているから、きちんとしたお店で食べたい。間違えても高速のサービスエリアなどでは済ませたくない。どこがいいだろうか。
まずは個室のあるところがいいか。その方がゆっくり食べられる。メニューとしてはなにがいいだろう。そうだ。最近すき焼きを食べてない。すき焼きにしようか。すき焼きで個室のあるところ。ディナーコースがあるといい。
ちょうどそんな店を知っていたので、次のサービスエリアで予約をしておこうか。
「すき焼きでいいか?」
「すき焼きですか。うわぁ。最近食べてないです」
「それならいいな」
「はい! すごく楽しみです」
千景に訊くと、すき焼きでいいようなのでトイレ休憩をした際に電話で予約をする。別に予約なしでもいいのだけど、個室が良かったので、念のための予約だ。
高速は週末なので多少混雑してはいるが大きな渋滞もなく、予想通りの時間に都内に着いた。
すき焼きの店は街中にあるので、こういうときはちょっと駐車場に困るが、店の近くのパーキングに運良く空きがあったので入れる。
「うわ。こんなところにあるすき焼きなんていいんですか?」
「いいもなにも俺が予約したんだからいいんだろう」
「そうですけど……。お肉、美味しいんだろうな」
「あぁ、いい和牛を使ってる」
「楽しみ」
以前、この店で会食をしたことがある。そんな風に使える店ではあるけれど、普通のディナーとしても使える。それになにより個室があるのがいい。ゆっくりと食事を楽しむのなら個室がいいと俺は思っている。
店内に入ると奥の個室に通される。そこのテーブルには既に野菜と小さなごま豆腐の入ったかご盛りが置かれていた。
席に着き、そのかご盛りを見た千景は目をキラキラさせる。この顔をした千景が好きだと思った。この笑顔を守りたい。そう思った自分に一瞬驚いたけれど、どこか納得もできた。
千景のクラス会の帰り、安心しきって寝てしまった千景を送ってきてくれた彼にもやもやした。クラス会で仲の良かったメンバーに会えて楽しくて、良く知ったメンバーだから無防備にも寝てしまったのだろう。そしてそんな千景を当然のように送って来た彼。もしかしたらオメガの千景を守ってもいてくれたのかもしれない。俺も千景を守りたいと思ったのだろう。そのときはぼんやりとした感情だったけれど。
そして俺の高校のクラス会のとき、俺は千景のことを考えていた。金もクレジットカードも渡しているのに千景はどこかに美味いものを食べに行ったりしている様子はない。だからせめて俺が美味い店に食べに連れて行ってやりたいと思った。そして実際にクラス会の翌週、元町のフレンチの店に連れて行った。
2階の大正時代あたりの和の中に洋を感じるお座敷個室で食べたコース料理はとても美味しく、デザートも美味しかったので、帰りに千景にケーキを買ってやった。そのときも今と同じく目をキラキラさせていた。嬉しそうに楽しそうに食べる姿を見て、また食べさせてやりたいと思った。
そんな風に考えるのは好きだからだ。俺は和真が好きだった。今だって和真のことを考えると辛い。それでも、千景の笑顔を守ってやりたいと思ってしまうんだ。
いや、今までの俺が酷すぎて、今さらそんなことを言ったって信じて貰えないかもしれないし、虫の良いことを言っているかもしれない。それでも、今までのことを挽回して、これからは守りたい。そう思うんだ。
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