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番外編4
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陸さんが予約してくれた、サンセット・ディナークルーズは集合が17時45分だった。車でそこまで向かい少し早めに着いた。首にレイをかけられて、ウエルカムフラを見つつ船に乗るとウエルカムドリンクでマイタイで迎えられる。
夕方になって風が心地よくなってきた。ハワイは南国だけど陽がささずに風が吹くと熱くはなくほどよい気温に感じられる。そして僕が水平線を見ていると陸さんに呼ばれた。
「千景、行くぞ」
「あ、はい」
そう言えば、出港して少しすれば夕食だと言ってたな。なら船内に入らなければ。陸さんと2人でスタッフさんの後を着いて行く。するとみんなが集まっている広い部屋を通り過ぎて行く。あれ? 他にも広いところあるのかな? そう思っていると個室に案内された。
え? まさかの個室なの?
「陸さん。個室なんですか?」
「ああ。食事の間だけだけどな。食後のショーなんかを見たければ広間に行かなくてはいけないが。でも、この部屋でゆっくりすることもできる」
まさかクルーズに個室があるなんて思わなかった。みんな一緒に広間かと思ってた。でも、広間じゃなくていいかも。だって、陸さん人目を引くんだ。
船に乗り込むときだって、女性が陸さんをチラチラ見ていた。隣に同じ指輪をした僕がいるから夫夫だということはわかるけれど、遠目だと指輪なんて見えないから僕のことは友人だと思われているかもしれない。恋人に見えていたらいいけど、あまり望めないかもしれない。
「どうだ、酒は美味いか」
「美味しいです。僕でも飲みやすいです」
「でも、飲むなよ。千景は飲むと寝てしまうからな」
そう言って陸さんは笑う。きっと僕のクラス会のときのことを思い出してるんだ。陸さんは笑ってるけど、あのときは心配かけたのに。まぁ、でもお酒飲んで寝ちゃったら船から下りるの大変だよね。それに、元々あまりお酒を飲む方ではないので今日もこの後は飲まない。そして陸さんは車の運転があるから今日はお酒を飲めない。
「そろそろ食事が来る頃だと思うが」
陸さんがそう言ったのが合図かのように、料理が運ばれてきた。コース料理かと思ったら略式のようで、まずはじめにサラダが出てきた。
瑞々しい野菜にはサウザンドレッシングがかかっている。赤と黄色のパプリカが入っているからカラフルに見える。
そしてサラダの後には魚料理。クリーミーなアボカドソースのかかった魚だけど、これはなんだろう。
「この魚はなんですか?」
「多分、マヒマヒだろう。食べたことはあるか?」
「あ! マヒマヒなら1度パスタで食べたことあります。淡泊で美味しいですよね」
「そうだな」
そうだ。美味しかった。でも、日本ではあまり食べないからパッと出てこなかったけれど、ここはハワイだ。
マヒマヒ自体は淡泊なので、アボカドソースがよく合っている。うん、美味しい。別にハワイでは珍しいわけではないけど、滞在中に食べるのは今日くらいだろうな、と思うとゆっくり食べてしまう。
「どうした? 美味くないか?」
僕がゆっくり食べているから、美味しくないと思わせてしまった。違う! 違うのに。僕ったら。
「逆です。美味しいし、滞在中にまた食べるかわからないなと思ったら食べるのがもったいなくて」
そう言うと陸さんは笑い出した。そんなに笑うことだろうか。僕は真剣に話しているのに。陸さんはなんとか笑いをおさめてから、また食べれるよと言った。
「ホテルで食事をしようといっただろう。そこでも出るんじゃないかな? 出ないのならスーパーに行って買えばいい。ハワイでは大衆魚だ」
「はい」
そうだ。別にこれが珍しいわけじゃない。プレートランチのパスタにさえ使われるくらいだ。そう思ったら、ぱくぱくと食べる。それに陸さんがまた笑い出してしまったけれど。
夕方になって風が心地よくなってきた。ハワイは南国だけど陽がささずに風が吹くと熱くはなくほどよい気温に感じられる。そして僕が水平線を見ていると陸さんに呼ばれた。
「千景、行くぞ」
「あ、はい」
そう言えば、出港して少しすれば夕食だと言ってたな。なら船内に入らなければ。陸さんと2人でスタッフさんの後を着いて行く。するとみんなが集まっている広い部屋を通り過ぎて行く。あれ? 他にも広いところあるのかな? そう思っていると個室に案内された。
え? まさかの個室なの?
「陸さん。個室なんですか?」
「ああ。食事の間だけだけどな。食後のショーなんかを見たければ広間に行かなくてはいけないが。でも、この部屋でゆっくりすることもできる」
まさかクルーズに個室があるなんて思わなかった。みんな一緒に広間かと思ってた。でも、広間じゃなくていいかも。だって、陸さん人目を引くんだ。
船に乗り込むときだって、女性が陸さんをチラチラ見ていた。隣に同じ指輪をした僕がいるから夫夫だということはわかるけれど、遠目だと指輪なんて見えないから僕のことは友人だと思われているかもしれない。恋人に見えていたらいいけど、あまり望めないかもしれない。
「どうだ、酒は美味いか」
「美味しいです。僕でも飲みやすいです」
「でも、飲むなよ。千景は飲むと寝てしまうからな」
そう言って陸さんは笑う。きっと僕のクラス会のときのことを思い出してるんだ。陸さんは笑ってるけど、あのときは心配かけたのに。まぁ、でもお酒飲んで寝ちゃったら船から下りるの大変だよね。それに、元々あまりお酒を飲む方ではないので今日もこの後は飲まない。そして陸さんは車の運転があるから今日はお酒を飲めない。
「そろそろ食事が来る頃だと思うが」
陸さんがそう言ったのが合図かのように、料理が運ばれてきた。コース料理かと思ったら略式のようで、まずはじめにサラダが出てきた。
瑞々しい野菜にはサウザンドレッシングがかかっている。赤と黄色のパプリカが入っているからカラフルに見える。
そしてサラダの後には魚料理。クリーミーなアボカドソースのかかった魚だけど、これはなんだろう。
「この魚はなんですか?」
「多分、マヒマヒだろう。食べたことはあるか?」
「あ! マヒマヒなら1度パスタで食べたことあります。淡泊で美味しいですよね」
「そうだな」
そうだ。美味しかった。でも、日本ではあまり食べないからパッと出てこなかったけれど、ここはハワイだ。
マヒマヒ自体は淡泊なので、アボカドソースがよく合っている。うん、美味しい。別にハワイでは珍しいわけではないけど、滞在中に食べるのは今日くらいだろうな、と思うとゆっくり食べてしまう。
「どうした? 美味くないか?」
僕がゆっくり食べているから、美味しくないと思わせてしまった。違う! 違うのに。僕ったら。
「逆です。美味しいし、滞在中にまた食べるかわからないなと思ったら食べるのがもったいなくて」
そう言うと陸さんは笑い出した。そんなに笑うことだろうか。僕は真剣に話しているのに。陸さんはなんとか笑いをおさめてから、また食べれるよと言った。
「ホテルで食事をしようといっただろう。そこでも出るんじゃないかな? 出ないのならスーパーに行って買えばいい。ハワイでは大衆魚だ」
「はい」
そうだ。別にこれが珍しいわけじゃない。プレートランチのパスタにさえ使われるくらいだ。そう思ったら、ぱくぱくと食べる。それに陸さんがまた笑い出してしまったけれど。
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