切なくて、恋しくて〜zielstrebige Liebe〜

水無瀬 蒼

文字の大きさ
6 / 74

切なくて残酷で綺麗で3

しおりを挟む
 高校生の間はそうやって部活で作ったもの、たまに家で作ったものを大輝に差し入れしていた。お菓子以外の料理に関してはタッパーに入れてお昼休みに涼も一緒に3人で食べたりしていた。それらの料理は大輝にも涼にも好評だった。

「湊斗は将来カフェをやるのが夢なんだろ? スイーツも扱えるんじゃん?」
「普通にランチとかの軽食を扱うのもできるだろ。料理上手いから」

 涼も大輝もそう言ってくれる。料理部にいるのは料理を作るのが好きだからというのもあるけれど、そういったことができたらいいな、という思いもある。

「お金を取るのに値するかな?」
「大丈夫だと思うけどな。湊斗が作るのは料理もお菓子もそこら辺のお店で出してるのと遜色ないと思う。だから自信持って」
「俺はお菓子はたまにしか食べれないけど、それでも大輝のいうように下手なお店より美味しいと思うよ」

 俺が作るお菓子のほとんどは大輝が食べている。それは俺がお菓子を作るのは大概、部活でだからだ。家で作ることもあるけれど、家で作るのは普通の料理の方が多い。だから涼がお菓子を食べるのは長期休暇のときくらいになってしまっているのだ。

「大学生になったらサークルどうするの? 料理系のサークルってないんじゃないか」
「それなんだよ。俺の知っている限りではなくってさ。だからいっそサークルには入らないで、その時間をバイトに当てようかなとか考えてる」

「何か将来役に立ちそうなサークルあればいいな」
「まぁね。でも、サークルなくてもバイトで経験積んだり、他のカフェに行って研究したりって考えたらサークルなくてもいいかな、って考えたりする」
「そっか。確かに他のお店行って分析とか必要かもしれないよな。なんか俺たちの中で一番しっかり将来について考えてる気がする。でも、それ言ったら大輝もプロのサッカー選手になりたいんだろ」
「うん。海外のチームでプレーしたいと思ってる」
「海外か。だから大学では英語文化学科なんだろ? サークルはサッカーだろ」
「ああ。英語サークルとかもいいなと思うんだけど、将来サッカー選手としてやっていきたいならサッカーかなと思って」

 大輝は小学生の頃からプロのサッカー選手になると決めていて、高校に入ってからは海外のサッカーチームに入りたいと言っている。英語はそのために必要なのだろう。全世界英語が通用するわけではないけど、とっかかりとしては英語は有効なんじゃないかという考えからだ。
 海外のサッカーチームに入れたらいいな、と言っているし思っている。でも、ほんの少し国内のチームならいいのに、と思っているのは大輝には内緒だ。だって、海外のチームに入ったらお菓子も料理も差し入れできなくなる。それは傍にいられないことを意味する。
 大輝がずっと俺の作ったものを食べたいと言ってくれているように、俺はずっと大輝に食べて貰いたいと思っているからだ。俺の作ったものを食べて、それで頑張って欲しいなんて図々しいだろうか。でも、ずっと傍で応援していきたいと思っているんだ。大輝はそんなこと知らないだろうけれど。

「あーぁ。大輝も湊斗も将来設計がきちんとされているのに俺なんて経済学部に入りたいっていうのはあるけど、その先は不透明だもんなー」

 将来の話しをするといつも涼はそんなことを言う。でも経済学部ならなんらかの形で役に立ちそうだし、公認会計士や税理士っていう手もあるんじゃないかと思っている。そう言うと涼は苦笑いをする。俺は涼だってしっかり考えた上での経済学部志望だと思ってる。
 でも、カフェ経営希望の俺、海外のサッカーチーム希望の大輝、経済学部卒を活かして就職するであろう涼。3人が3人別々の道へ進むけれど、大人になってもずっと友だちでいたい。高校卒業まであと1年と少し。俺と大輝はこの先も一緒にいられるんだろうか。そんな不安を抱えていたりする。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

双葉の恋 -crossroads of fate-

真田晃
BL
バイト先である、小さな喫茶店。 いつもの席でいつもの珈琲を注文する営業マンの彼に、僕は淡い想いを寄せていた。 しかし、恋人に酷い捨てられ方をされた過去があり、その傷が未だ癒えずにいる。 営業マンの彼、誠のと距離が縮まる中、僕を捨てた元彼、悠と突然の再会。 僕を捨てた筈なのに。変わらぬ態度と初めて見る殆さに、無下に突き放す事が出来ずにいた。 誠との関係が進展していく中、悠と過ごす内に次第に明らかになっていくあの日の『真実』。 それは余りに残酷な運命で、僕の想像を遥かに越えるものだった── ※これは、フィクションです。 想像で描かれたものであり、現実とは異なります。 ** 旧概要 バイト先の喫茶店にいつも来る スーツ姿の気になる彼。 僕をこの道に引き込んでおきながら 結婚してしまった元彼。 その間で悪戯に揺れ動く、僕の運命のお話。 僕たちの行く末は、なんと、お題次第!? (お題次第で話が進みますので、詳細に書けなかったり、飛んだり、やきもきする所があるかと思います…ご了承を) *ブログにて、キャライメージ画を載せております。(メーカーで作成) もしご興味がありましたら、見てやって下さい。 あるアプリでお題小説チャレンジをしています 毎日チームリーダーが3つのお題を出し、それを全て使ってSSを作ります その中で生まれたお話 何だか勿体ないので上げる事にしました 見切り発車で始まった為、どうなるか作者もわかりません… 毎日更新出来るように頑張ります! 注:タイトルにあるのがお題です

この胸の高鳴りは・・・

暁エネル
BL
電車に乗りいつも通り大学へと向かう途中 気になる人と出会う男性なのか女性なのかわからないまま 電車を降りその人をなぜか追いかけてしまった 初めての出来事に驚き その人に声をかけ自分のした事に 優しく笑うその人に今まで経験した事のない感情が・・・

雨の放課後、君が泣いた理由

雪兎
BL
■あらすじ 放課後の教室。窓の外は冷たい雨。 偶然残っていた悠真は、教卓の端で俯く陸を見つける。 「…泣いてるのか?」 ふいに顔を上げた陸の目は赤く、唇が震えていた。 原因を聞き出そうとする悠真に、陸は小さく呟く。 「だって…悠真が、俺のこと避けるから…」 ほんの些細なすれ違いが、互いを苦しめていたことを知る二人。 雨音が消える頃、握られた手はもう離さないと決めていた。

はじまりの朝

さくら乃
BL
子どもの頃は仲が良かった幼なじみ。 ある出来事をきっかけに離れてしまう。 中学は別の学校へ、そして、高校で再会するが、あの頃の彼とはいろいろ違いすぎて……。 これから始まる恋物語の、それは、“はじまりの朝”。 ✳『番外編〜はじまりの裏側で』  『はじまりの朝』はナナ目線。しかし、その裏側では他キャラもいろいろ思っているはず。そんな彼ら目線のエピソード。

死ぬほど嫌いな上司と付き合いました【完結】

三宅スズ
BL
社会人3年目の皆川涼介(みながわりょうすけ)25歳。 皆川涼介の上司、瀧本樹(たきもといつき)28歳。 涼介はとにかく樹のことが苦手だし、嫌いだし、話すのも嫌だし、絶対に自分とは釣り合わないと思っていたが‥‥ 上司×部下BL

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

消えない思い

樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。 高校3年生 矢野浩二 α 高校3年生 佐々木裕也 α 高校1年生 赤城要 Ω 赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。 自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。 そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。 でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。 彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。 そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

旦那様と僕

三冬月マヨ
BL
旦那様と奉公人(の、つもり)の、のんびりとした話。 縁側で日向ぼっこしながらお茶を飲む感じで、のほほんとして頂けたら幸いです。 本編完結済。 『向日葵の庭で』は、残酷と云うか、覚悟が必要かな? と思いまして注意喚起の為『※』を付けています。

処理中です...