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甘いデート5
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「まぁ!付き合うことになったなんて。あんたったらイケメンノンケを落としたのね。なにやったの? どうしたら落とせるのか教えてよ。私もイケメンノンケ落としてみたいから」
「別になにもしてないよ。普通にしてただけ」
「悠は普通にしてても可愛いから」
「まぁ。ごちそうさま。甘いわねー」
立樹と付き合うようになってあきママに報告に行った。
以前、立樹を連れてきたことがあるからあきママとしてはイケメンが来たっていうノリで話しかけてきたんだけど、そこで「付き合うようになった」と言うと、目を丸くして驚いた。
「イケメンノンケを落とす方法っていう本を書いたら、その辺のゲイがこぞって買うわよ。大体、ノンケは落とせないからゲイの敵なのに、落とせるなら希望が持てるじゃない?」
「儲かるかなー? 書けるなら書きたいけどなにもしてないから書けないよ。してたことって言ったら一緒にお酒呑んでただけだもん」
「一緒にお酒呑んだだけで落とせるなら誰も苦労しないわよ。ね、立樹さん、ほんとにどうしてこの子に落ちたの?」
「あ、立樹でいいですよ。どうして落ちたって可愛いからですね。特に酔って笑ったときのふわっとした笑顔が可愛いじゃないですか」
「あら、ありがと。でも、この子の酔っ払って笑うのなんて飽きるほど見てきてるけど、ノンケを落とせるような力があるとは思わなかったわ」
「ふにゃっとした顔で笑ったりするじゃないですか。それなんかほんとに可愛いと思いますよ」
「私もネコだからわからないのかしら。まさか立樹が受けなんてことは……」
「それはないですよ」
なんか恥ずかしい。
立樹の甘いのも恥ずかしいし、セックスについてなんてもっと恥ずかしい。立樹、はずかしくないのかな?
「そうよねー。じゃあ今度イケメンノンケの前で酔って笑ってみようかしら。この子みたいに骨のない笑った顔はできないけど、笑うくらいはできるからね。それでノンケ落とせるかしら」
「ママー。ママ、今彼氏いるじゃん。彼氏いるのにいいの? 浮気じゃん」
「それとこれは別よ。付き合うのは今の彼氏よ」
「うわー。ずっるい」
「なによ、イケメンノンケ落としといて。今日の飲み代倍にするわよ」
「やだやだ。嫉妬は醜いよ」
「まぁ! 自分がイケメンノンケ落としたからって。可愛くないわね。ソルティドッグでも飲む?」
「え、なんで? 今は他の呑んでるからいらない。というか俺、ソルティドッグなんてほとんど呑まないよ?」
「塩をたくさん入れてやろうと思ったのよ、あまりに可愛くないから」
「嫉妬してんじゃん。彼氏に言いつけちゃうよ。今日来ないの?」
「さあね」
俺とママの掛け合いを聞いて、立樹が隣で笑っている。
「立樹、なに笑ってるの?」
「いや、面白くて」
「この子とは大体いつもこうよ」
「うん。そうだね」
「可愛がって貰ってるんだな」
「可愛がって貰ってないよ」
「まぁ。ほんとに可愛くないわねー。これのどこが可愛がってないって言えるのかしら。存分に可愛がってるでしょ」
「そうやって言い合えるって仲良くないとできないから。なんか妬けるな」
「立樹! ママ相手に妬くのおかしいから!」
「悠はどこにいても誰といても可愛いんだっていうことがわかったよ」
甘い笑顔でそんなセリフを言う立樹に、俺は恥ずかしくなってしまった。きっと今、真っ赤になってるに違いない。
まだ今は一杯目だから赤くなるほど呑んでないのに。立樹の甘さは誰の前でも健在らしい。
「ご馳走様。さぁ、お酒作らなくっちゃ。あんたたちはまだいっぱい残ってるわね」
そう言ってママは他のお客さんのところに行く。良かった。これで第三者に聞かれることはなくなった。
「ねぇ立樹。恥ずかしくない?」
「なにが?」
「なにがって。可愛いとかさー」
「ん? 別に。悠が可愛いのなんて今さらだろ。ずっと前から可愛いって言ってるだろ」
「そうだけどさー。他の人に聞かれると恥ずかしい」
「恥ずかしがってる悠も可愛いよ」
ダメだ。なにを言っても甘い言葉が出てしまう。ママがいなくて良かった。
「でも、これ以上他のヤツに悠の可愛さ見せたくないから帰るぞ」
「え? もう?」
「ここだとゲイの男ばっかだろ。悠が無意識に落とすからダメ。呑むならうちで呑み直そう」
「誰も落ちてくれないのに」
「落ちるんだよ。じゃあ、ママ、ご馳走様でした」
立樹がママに声をかけるとママがこちらを向く。
「またいつでもいらっしゃい」
「はい」
ママに話している立樹の顔は普通。
調子に乗ってると思われそうだけど、立樹が甘い顔を見せるのは俺に対してだけだ。
それが恥ずかしい反面嬉しい。
いつも今のままでいたいな。
「別になにもしてないよ。普通にしてただけ」
「悠は普通にしてても可愛いから」
「まぁ。ごちそうさま。甘いわねー」
立樹と付き合うようになってあきママに報告に行った。
以前、立樹を連れてきたことがあるからあきママとしてはイケメンが来たっていうノリで話しかけてきたんだけど、そこで「付き合うようになった」と言うと、目を丸くして驚いた。
「イケメンノンケを落とす方法っていう本を書いたら、その辺のゲイがこぞって買うわよ。大体、ノンケは落とせないからゲイの敵なのに、落とせるなら希望が持てるじゃない?」
「儲かるかなー? 書けるなら書きたいけどなにもしてないから書けないよ。してたことって言ったら一緒にお酒呑んでただけだもん」
「一緒にお酒呑んだだけで落とせるなら誰も苦労しないわよ。ね、立樹さん、ほんとにどうしてこの子に落ちたの?」
「あ、立樹でいいですよ。どうして落ちたって可愛いからですね。特に酔って笑ったときのふわっとした笑顔が可愛いじゃないですか」
「あら、ありがと。でも、この子の酔っ払って笑うのなんて飽きるほど見てきてるけど、ノンケを落とせるような力があるとは思わなかったわ」
「ふにゃっとした顔で笑ったりするじゃないですか。それなんかほんとに可愛いと思いますよ」
「私もネコだからわからないのかしら。まさか立樹が受けなんてことは……」
「それはないですよ」
なんか恥ずかしい。
立樹の甘いのも恥ずかしいし、セックスについてなんてもっと恥ずかしい。立樹、はずかしくないのかな?
「そうよねー。じゃあ今度イケメンノンケの前で酔って笑ってみようかしら。この子みたいに骨のない笑った顔はできないけど、笑うくらいはできるからね。それでノンケ落とせるかしら」
「ママー。ママ、今彼氏いるじゃん。彼氏いるのにいいの? 浮気じゃん」
「それとこれは別よ。付き合うのは今の彼氏よ」
「うわー。ずっるい」
「なによ、イケメンノンケ落としといて。今日の飲み代倍にするわよ」
「やだやだ。嫉妬は醜いよ」
「まぁ! 自分がイケメンノンケ落としたからって。可愛くないわね。ソルティドッグでも飲む?」
「え、なんで? 今は他の呑んでるからいらない。というか俺、ソルティドッグなんてほとんど呑まないよ?」
「塩をたくさん入れてやろうと思ったのよ、あまりに可愛くないから」
「嫉妬してんじゃん。彼氏に言いつけちゃうよ。今日来ないの?」
「さあね」
俺とママの掛け合いを聞いて、立樹が隣で笑っている。
「立樹、なに笑ってるの?」
「いや、面白くて」
「この子とは大体いつもこうよ」
「うん。そうだね」
「可愛がって貰ってるんだな」
「可愛がって貰ってないよ」
「まぁ。ほんとに可愛くないわねー。これのどこが可愛がってないって言えるのかしら。存分に可愛がってるでしょ」
「そうやって言い合えるって仲良くないとできないから。なんか妬けるな」
「立樹! ママ相手に妬くのおかしいから!」
「悠はどこにいても誰といても可愛いんだっていうことがわかったよ」
甘い笑顔でそんなセリフを言う立樹に、俺は恥ずかしくなってしまった。きっと今、真っ赤になってるに違いない。
まだ今は一杯目だから赤くなるほど呑んでないのに。立樹の甘さは誰の前でも健在らしい。
「ご馳走様。さぁ、お酒作らなくっちゃ。あんたたちはまだいっぱい残ってるわね」
そう言ってママは他のお客さんのところに行く。良かった。これで第三者に聞かれることはなくなった。
「ねぇ立樹。恥ずかしくない?」
「なにが?」
「なにがって。可愛いとかさー」
「ん? 別に。悠が可愛いのなんて今さらだろ。ずっと前から可愛いって言ってるだろ」
「そうだけどさー。他の人に聞かれると恥ずかしい」
「恥ずかしがってる悠も可愛いよ」
ダメだ。なにを言っても甘い言葉が出てしまう。ママがいなくて良かった。
「でも、これ以上他のヤツに悠の可愛さ見せたくないから帰るぞ」
「え? もう?」
「ここだとゲイの男ばっかだろ。悠が無意識に落とすからダメ。呑むならうちで呑み直そう」
「誰も落ちてくれないのに」
「落ちるんだよ。じゃあ、ママ、ご馳走様でした」
立樹がママに声をかけるとママがこちらを向く。
「またいつでもいらっしゃい」
「はい」
ママに話している立樹の顔は普通。
調子に乗ってると思われそうだけど、立樹が甘い顔を見せるのは俺に対してだけだ。
それが恥ずかしい反面嬉しい。
いつも今のままでいたいな。
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