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いつか君を見る5
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夜景を楽しみ、ストラップを貰ったあとはエレベーターで下まで降りる。そして外へ出ようとしたところでイジュンに声を掛けられる。
「ちょっとカフェ入りたい。あそこで甘いの食べたいな」
イジュンが指指した先には、東京タワーのフットタウンに併設された落ち着いたカフェが見える。大きな窓があって、観光客というよりは静かに休んでいるカップルや年配の人たちが多い。
「甘いの? プラペチーノ飲んでたじゃん」
「でも、歩いたから! あと、明日海も疲れたでしょう?」
ちょっと照れたような声色で言われて、俺は思わず笑った。
「じゃあ休憩がてら入ろうか。あそこのカフェ落ち着いてるっぽいね」
そう言って扉を開けると、冷房の効いた空気が流れ出てくる。木目調のインテリアと柔らかな音楽。騒がしさとは無縁の空間に、思わず肩の力が抜ける。
窓際の席に腰を下ろすと、イジュンはメニューをじっと見つめたまま、何やら真剣に悩んでいる。
「チーズケーキと抹茶ロール……両方……いや、チーズケーキにする」
結局、一番最初に口にしたやつに戻ったもがおかしくて、つい吹き出してしまった。
「悩んだ意味……」
「だって、日本のケーキって見た目可愛いし、味も美味しいから! 選ぶの難しいんだよ」
「じゃあ次は抹茶ロールだな」
「うん。次も明日海が案内してくれるならね」
その言葉に、俺は一瞬返す言葉を失った。窓の外に目をやって、見慣れた東京の街並みに視線を逃す。まだこの距離感が心地いい。そう思う自分がいるのと同時に、イジュンの言葉が胸の奥でふわりと響いているのも確かだった。
「また東京タワー来るのか?」
「今度は一番上に行ってみようか。今日は行かなかったから。そしたら、またここで甘い物を食べられる」
「結構甘党だよな」
「そうかな? 韓国人だから普通に辛いのも食べるよ」
「極端じゃん。真ん中がない」
「真ん中は日本食かな?」
「夕食はなににする?」
「とんかつが食べたい!」
「とんかつ? そしたら渋谷に出ようか。美味しいお店があるから」
「渋谷! 行ってみたかった。若い人が多いって」
「サラリーマンも多いけどな」
「楽しみ!」
目をキラキラとさせているイジュンは日本をとても楽しんでいるように見える。そんなイジュンを見ていると、俺が案内できるのならしてやろう、と言う気になる。そして、もっと日本を楽しんで欲しい。そう思う。そう思って、窓の外を見ているとイジュンがこちらを見ている。
「明日海って正面から見た顔もいいけど、横顔も綺麗だ。写真撮ってもいい?」
「だーめ。写真とか苦手なんだよ」
「なんで? そんなに綺麗なのに」
綺麗という言葉に俺はコーヒーを飲んでいる手を止める。俺はこの女顔が嫌いだから、綺麗だと言われるのが大嫌いだ。イジュンに悪気はないし、褒め言葉として言っているのはわかっている。わかっているけれど、トラウマだから嫌だ。
「明日海は綺麗って言われるの嫌いなんだね」
「子供の頃、散々からかわれたからな」
「子供の頃は、そういうことあるかもしれないね。でも、綺麗って悪いことじゃないよ。イケメンっていうのと一緒」
「お前はいいよ。イケメンって言われるだろう?」
「どうだろ。でも、目、一重だよ」
「それは関係ないだろ」
「そうなのかなー。よくわかんないや。でも、明日海が綺麗なのはわかる。だけどね、明日海。明日海が綺麗なのは顔の造作だけじゃないよ。内面から滲み出るものがあるんだよ。それがとても綺麗なんだ」
「それは自分ではわからないな」
「自分ではね。でも、俺が言っているのは顔だけじゃないっていうのは覚えていて」
「わかった」
顔が綺麗だとは散々言われてきた。でも、顔だけじゃないっていうのは初めて言われた。それはほんの少し嬉しいと思った。
「ちょっとカフェ入りたい。あそこで甘いの食べたいな」
イジュンが指指した先には、東京タワーのフットタウンに併設された落ち着いたカフェが見える。大きな窓があって、観光客というよりは静かに休んでいるカップルや年配の人たちが多い。
「甘いの? プラペチーノ飲んでたじゃん」
「でも、歩いたから! あと、明日海も疲れたでしょう?」
ちょっと照れたような声色で言われて、俺は思わず笑った。
「じゃあ休憩がてら入ろうか。あそこのカフェ落ち着いてるっぽいね」
そう言って扉を開けると、冷房の効いた空気が流れ出てくる。木目調のインテリアと柔らかな音楽。騒がしさとは無縁の空間に、思わず肩の力が抜ける。
窓際の席に腰を下ろすと、イジュンはメニューをじっと見つめたまま、何やら真剣に悩んでいる。
「チーズケーキと抹茶ロール……両方……いや、チーズケーキにする」
結局、一番最初に口にしたやつに戻ったもがおかしくて、つい吹き出してしまった。
「悩んだ意味……」
「だって、日本のケーキって見た目可愛いし、味も美味しいから! 選ぶの難しいんだよ」
「じゃあ次は抹茶ロールだな」
「うん。次も明日海が案内してくれるならね」
その言葉に、俺は一瞬返す言葉を失った。窓の外に目をやって、見慣れた東京の街並みに視線を逃す。まだこの距離感が心地いい。そう思う自分がいるのと同時に、イジュンの言葉が胸の奥でふわりと響いているのも確かだった。
「また東京タワー来るのか?」
「今度は一番上に行ってみようか。今日は行かなかったから。そしたら、またここで甘い物を食べられる」
「結構甘党だよな」
「そうかな? 韓国人だから普通に辛いのも食べるよ」
「極端じゃん。真ん中がない」
「真ん中は日本食かな?」
「夕食はなににする?」
「とんかつが食べたい!」
「とんかつ? そしたら渋谷に出ようか。美味しいお店があるから」
「渋谷! 行ってみたかった。若い人が多いって」
「サラリーマンも多いけどな」
「楽しみ!」
目をキラキラとさせているイジュンは日本をとても楽しんでいるように見える。そんなイジュンを見ていると、俺が案内できるのならしてやろう、と言う気になる。そして、もっと日本を楽しんで欲しい。そう思う。そう思って、窓の外を見ているとイジュンがこちらを見ている。
「明日海って正面から見た顔もいいけど、横顔も綺麗だ。写真撮ってもいい?」
「だーめ。写真とか苦手なんだよ」
「なんで? そんなに綺麗なのに」
綺麗という言葉に俺はコーヒーを飲んでいる手を止める。俺はこの女顔が嫌いだから、綺麗だと言われるのが大嫌いだ。イジュンに悪気はないし、褒め言葉として言っているのはわかっている。わかっているけれど、トラウマだから嫌だ。
「明日海は綺麗って言われるの嫌いなんだね」
「子供の頃、散々からかわれたからな」
「子供の頃は、そういうことあるかもしれないね。でも、綺麗って悪いことじゃないよ。イケメンっていうのと一緒」
「お前はいいよ。イケメンって言われるだろう?」
「どうだろ。でも、目、一重だよ」
「それは関係ないだろ」
「そうなのかなー。よくわかんないや。でも、明日海が綺麗なのはわかる。だけどね、明日海。明日海が綺麗なのは顔の造作だけじゃないよ。内面から滲み出るものがあるんだよ。それがとても綺麗なんだ」
「それは自分ではわからないな」
「自分ではね。でも、俺が言っているのは顔だけじゃないっていうのは覚えていて」
「わかった」
顔が綺麗だとは散々言われてきた。でも、顔だけじゃないっていうのは初めて言われた。それはほんの少し嬉しいと思った。
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