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路地裏の夕暮れ1
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カフェを出たのは夕方だった。
「イジュン。夕焼けと猫を見に行かないか?」
「夕焼けと猫?」
「そう。夕焼けがすごく綺麗なところで、猫が多いところがあるんだ。レトロ好きなイジュンは気に入ると思うんだけど」
「なになに、それ。すっごく気になる。行ってみたい」
「猫は大丈夫?」
「大丈夫どころか好きだよ。猫の写真見せただろう。それに景色が綺麗なところも、レトロも。全部俺好みだ」
「じゃあ行ってみようか」
「うん!」
店を出たときに今日は夕焼けが綺麗そうだなと思った。そう思ったときには提案していた。今から行って約30分。ギリギリか夕焼けが出ている頃には着けるはずだ。
途中でJRに乗り換え、揺られること約30分。最寄り駅に着く頃には空は薄ら紅色に染まっていた。これを階段の上から見るのがすごく綺麗なんだ。
「この辺、なんか雰囲気いいね。観光地って感じじゃないのに」
「観光客もいるけど、地元の人が普通に生活しているところだから。食べ歩きもできるし、路地裏を歩くのが好きなやつにもいい。イジュンは食べ歩きだろう?」
「もちろん!」
「さっきプリンアラモード食べたけど入るの?」
「入るよ。さっきのはお昼ご飯。食べ歩きはおやつ」
イジュンの言葉に俺は笑ってしまった。でも、ということはお昼ご飯、サンドイッチだけじゃ足りなかったってことじゃないか。何時に俺が帰るかも知らないで待つなんて無茶だ。そう思う反面、嬉しかったりもした。
食べ歩きをする商店街はゴールでイジュンに見せたいのは夕焼けの綺麗な階段と猫だった。駅から歩いてそんなにかからずに夕焼けの綺麗な階段に到着する。まさに夕焼け時だ。
「すごい綺麗だ……」
あまりの綺麗さにイジュンも言葉を失ってしまったようだ。写真撮らなくていいんだろうか。それが気になって声をかける。
「写真、撮らなくていいのか?」
「え? あっ! そうだ。写真。写真撮らなきゃ」
我に返ったイジュンは写ルンですで何枚か撮ったあと、スマホでも写真を撮っていた。するとイジュンの足元に猫がすり寄って行った。その猫が来たのが合図だったかのように数匹の猫が姿を現した。
「可愛い! なんて可愛いんだ!」
と言って猫にカメラを向ける。猫は知らん顔をして毛づくろいをしたりと、思い思いにすごしている。ここの地域猫は人慣れしていて、知らない人にでも寄っていく。猫好きにとってはたまらないスポットだ。
「明日海が猫は大丈夫かって訊いた理由がよくわかるよ。これ、猫が嫌いな人にはキツいね」
「だろ? その代わり、猫好きにはたまらないスポットだけど」
「俺は猫派だから嬉しい。昔は猫飼ってたけど、今は飼ってないんだ」
「じゃあ今日は思い切り猫と戯れとけ。食べ歩きは後で大丈夫だろ」
「大丈夫」
そう言ってイジュンは足元の猫の頭を撫でた。人に撫でられても猫は逃げようともしない。それくらい人慣れしている。猫と対面しているイジュンはとても優しい顔をしている。その顔を見て、つい写真を撮りたくなった。でも、黙って顔を撮るのも悪いと思い、猫を撫でている手元と頭を撫でられて、じっとしている猫を撮った。俺が写真を撮ったことを気配で察したのか顔を上げる。
「顔は写ってないよ。手元と猫だけ」
「別に撮られてもいいけど、それより今撮った写真頂戴」
「いいよ。送っとく」
「ありがと。それにしても可愛いなぁ。猫って警戒心の強い生き物なんだけど、ここの猫たちは違うみたいだね」
「逆にもう少し警戒心持った方がいいんじゃないかって思うよな」
「ほんとだよね。でも、今は警戒心薄いことに感謝したい。ここはいつもこんなに猫がいるの?」
「いるよ。猫が出るスポット」
「オバケが出るみたいな言い方やめてよ。猫は可愛いんだから」
そう言って猫の頭を撫でたり、体を撫でたりしているイジュンの顔はニヤけている。ほんとに猫が好きなんだとわかる表情だった。
「イジュン。夕焼けと猫を見に行かないか?」
「夕焼けと猫?」
「そう。夕焼けがすごく綺麗なところで、猫が多いところがあるんだ。レトロ好きなイジュンは気に入ると思うんだけど」
「なになに、それ。すっごく気になる。行ってみたい」
「猫は大丈夫?」
「大丈夫どころか好きだよ。猫の写真見せただろう。それに景色が綺麗なところも、レトロも。全部俺好みだ」
「じゃあ行ってみようか」
「うん!」
店を出たときに今日は夕焼けが綺麗そうだなと思った。そう思ったときには提案していた。今から行って約30分。ギリギリか夕焼けが出ている頃には着けるはずだ。
途中でJRに乗り換え、揺られること約30分。最寄り駅に着く頃には空は薄ら紅色に染まっていた。これを階段の上から見るのがすごく綺麗なんだ。
「この辺、なんか雰囲気いいね。観光地って感じじゃないのに」
「観光客もいるけど、地元の人が普通に生活しているところだから。食べ歩きもできるし、路地裏を歩くのが好きなやつにもいい。イジュンは食べ歩きだろう?」
「もちろん!」
「さっきプリンアラモード食べたけど入るの?」
「入るよ。さっきのはお昼ご飯。食べ歩きはおやつ」
イジュンの言葉に俺は笑ってしまった。でも、ということはお昼ご飯、サンドイッチだけじゃ足りなかったってことじゃないか。何時に俺が帰るかも知らないで待つなんて無茶だ。そう思う反面、嬉しかったりもした。
食べ歩きをする商店街はゴールでイジュンに見せたいのは夕焼けの綺麗な階段と猫だった。駅から歩いてそんなにかからずに夕焼けの綺麗な階段に到着する。まさに夕焼け時だ。
「すごい綺麗だ……」
あまりの綺麗さにイジュンも言葉を失ってしまったようだ。写真撮らなくていいんだろうか。それが気になって声をかける。
「写真、撮らなくていいのか?」
「え? あっ! そうだ。写真。写真撮らなきゃ」
我に返ったイジュンは写ルンですで何枚か撮ったあと、スマホでも写真を撮っていた。するとイジュンの足元に猫がすり寄って行った。その猫が来たのが合図だったかのように数匹の猫が姿を現した。
「可愛い! なんて可愛いんだ!」
と言って猫にカメラを向ける。猫は知らん顔をして毛づくろいをしたりと、思い思いにすごしている。ここの地域猫は人慣れしていて、知らない人にでも寄っていく。猫好きにとってはたまらないスポットだ。
「明日海が猫は大丈夫かって訊いた理由がよくわかるよ。これ、猫が嫌いな人にはキツいね」
「だろ? その代わり、猫好きにはたまらないスポットだけど」
「俺は猫派だから嬉しい。昔は猫飼ってたけど、今は飼ってないんだ」
「じゃあ今日は思い切り猫と戯れとけ。食べ歩きは後で大丈夫だろ」
「大丈夫」
そう言ってイジュンは足元の猫の頭を撫でた。人に撫でられても猫は逃げようともしない。それくらい人慣れしている。猫と対面しているイジュンはとても優しい顔をしている。その顔を見て、つい写真を撮りたくなった。でも、黙って顔を撮るのも悪いと思い、猫を撫でている手元と頭を撫でられて、じっとしている猫を撮った。俺が写真を撮ったことを気配で察したのか顔を上げる。
「顔は写ってないよ。手元と猫だけ」
「別に撮られてもいいけど、それより今撮った写真頂戴」
「いいよ。送っとく」
「ありがと。それにしても可愛いなぁ。猫って警戒心の強い生き物なんだけど、ここの猫たちは違うみたいだね」
「逆にもう少し警戒心持った方がいいんじゃないかって思うよな」
「ほんとだよね。でも、今は警戒心薄いことに感謝したい。ここはいつもこんなに猫がいるの?」
「いるよ。猫が出るスポット」
「オバケが出るみたいな言い方やめてよ。猫は可愛いんだから」
そう言って猫の頭を撫でたり、体を撫でたりしているイジュンの顔はニヤけている。ほんとに猫が好きなんだとわかる表情だった。
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