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勉強と兵役と5
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「大学生って社会にでる執行猶予みたいなものなのかもしれないな」
俺がそう言うと、イジュンが執行猶予なんて怖いよと笑う。その笑顔を見てホッとする。大人な表情をするのもイジュンだけど、笑ってる顔が一番似合うと思うし、その顔が好き。だから笑顔を見せて欲しい。そう思う。
「まあ兵役終わったっていうのが一番大きいと思うよ。韓国人の男にとって一番大きな役目だから、それが終わるってすごく意味がある。兵役前と後だと微妙に違うし」
「やっぱり兵役って大きいんだ」
「そりゃそうだよ」
「厳しいんだろ?」
「もう行きたくないとは思うね。それでも、上の世代の人に話すと甘っちょろいって言われる」
「それ、昔はもっと厳しかったってことだろ。どれだけ厳しかったんだって話しだよな。でも、まだ終戦迎えてないんだから厳しいのも当然か」
「それ、韓国人に言ってもピンと来ないよ」
そう言ってイジュンは笑うけれど、なにがピンと来ないというのだろうか? わからなくて首をかしげてしまう。するとイジュンは笑みを深くした。だからなんで笑うんだよ!
「韓国はまだ終戦を迎えてないって。当の本人たちはまだ戦時中だなんて思ってないというか忘れてる」
「えー! 徴兵制度があって、男はみんな軍隊行くんだろ。なのに忘れちゃうの?」
「忘れちゃってるね。俺は出てきたばかりだから覚えてるけど、兵役前はやっぱり忘れてるようなものだったよ」
日本は戦争中じゃないし、徴兵制度もないからわからないけれど、戦争中だってことを忘れることがあるっていうことが信じられない。でも、それだけ普段は平和だっていうことか。そう言えば、日本人だって韓国に旅行に行ったり留学したりする人がいる。それは普段は平和だからっていうことだろう。それは韓国が戦争中だということを忘れているっていうことだろう。
「考えてみたら、日本人も韓国が戦争中だと忘れてるよな。だって旅行するし、留学するし」
「でしょ。というか日本人だけじゃないよ。世界中から来るんだから、来る人みんな忘れてると思う」
「韓国には徴兵制度がある、ということは知識として知ってはいるんだけどね」
「そんなもんだよ。まぁでも、兵役終わっても予備兵ってあるんだけどね」
「予備兵?」
それは聞いたことのない言葉だった。俺が聞き返すとイジュンは生クリームをすくって食べ、予備兵について教えてくれる。
「兵役を終えたあと一定期間は予備軍として登録されて、有事に備えて訓練を受けるんだ。だから、兵役が終わっても、すぐにフリーというわけにはいかないんだ。」
「じゃあまた訓練とか行くの?」
「そうだね」
「うへー。韓国人の男大変だな。日本人で良かったぁ」
「俺も日本に生まれたかったよ。でも、そしたら明日海とこうやって出会ってないね」
イジュンが日本人だったら。どちらかが旅行して旅先で出会うっていう可能性はゼロではないけれど、年も違うし、会う確率の方が低いんじゃないだろうか。でも、そこで気づいた。イジュンが韓国人だとしたって出会う可能性は低い。イジュンが日本人だとした方が出会っている可能性高いんじゃないだろうか。
「でもさ、イジュンが韓国人だとしなくても出会った確率は低いと思うよ」
「そうか。1日ズレていたら出会わなかったよね」
「というか、数時間ズレていたら出会わなかったよ」
「そうか。出会ったのは運命だ」
――運命。
その言葉に心臓がとくりと音を立てた。
俺がそう言うと、イジュンが執行猶予なんて怖いよと笑う。その笑顔を見てホッとする。大人な表情をするのもイジュンだけど、笑ってる顔が一番似合うと思うし、その顔が好き。だから笑顔を見せて欲しい。そう思う。
「まあ兵役終わったっていうのが一番大きいと思うよ。韓国人の男にとって一番大きな役目だから、それが終わるってすごく意味がある。兵役前と後だと微妙に違うし」
「やっぱり兵役って大きいんだ」
「そりゃそうだよ」
「厳しいんだろ?」
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そう言ってイジュンは笑うけれど、なにがピンと来ないというのだろうか? わからなくて首をかしげてしまう。するとイジュンは笑みを深くした。だからなんで笑うんだよ!
「韓国はまだ終戦を迎えてないって。当の本人たちはまだ戦時中だなんて思ってないというか忘れてる」
「えー! 徴兵制度があって、男はみんな軍隊行くんだろ。なのに忘れちゃうの?」
「忘れちゃってるね。俺は出てきたばかりだから覚えてるけど、兵役前はやっぱり忘れてるようなものだったよ」
日本は戦争中じゃないし、徴兵制度もないからわからないけれど、戦争中だってことを忘れることがあるっていうことが信じられない。でも、それだけ普段は平和だっていうことか。そう言えば、日本人だって韓国に旅行に行ったり留学したりする人がいる。それは普段は平和だからっていうことだろう。それは韓国が戦争中だということを忘れているっていうことだろう。
「考えてみたら、日本人も韓国が戦争中だと忘れてるよな。だって旅行するし、留学するし」
「でしょ。というか日本人だけじゃないよ。世界中から来るんだから、来る人みんな忘れてると思う」
「韓国には徴兵制度がある、ということは知識として知ってはいるんだけどね」
「そんなもんだよ。まぁでも、兵役終わっても予備兵ってあるんだけどね」
「予備兵?」
それは聞いたことのない言葉だった。俺が聞き返すとイジュンは生クリームをすくって食べ、予備兵について教えてくれる。
「兵役を終えたあと一定期間は予備軍として登録されて、有事に備えて訓練を受けるんだ。だから、兵役が終わっても、すぐにフリーというわけにはいかないんだ。」
「じゃあまた訓練とか行くの?」
「そうだね」
「うへー。韓国人の男大変だな。日本人で良かったぁ」
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イジュンが日本人だったら。どちらかが旅行して旅先で出会うっていう可能性はゼロではないけれど、年も違うし、会う確率の方が低いんじゃないだろうか。でも、そこで気づいた。イジュンが韓国人だとしたって出会う可能性は低い。イジュンが日本人だとした方が出会っている可能性高いんじゃないだろうか。
「でもさ、イジュンが韓国人だとしなくても出会った確率は低いと思うよ」
「そうか。1日ズレていたら出会わなかったよね」
「というか、数時間ズレていたら出会わなかったよ」
「そうか。出会ったのは運命だ」
――運命。
その言葉に心臓がとくりと音を立てた。
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