58 / 86
すれ違いの再会1
しおりを挟む
「当機は間もなく金浦国際空港に到着いたします……」
飛行機が着陸態勢になり、下降していく。よく飛行機の下降を怖いという人がいるけれど、それほど怖いとは思わなかった。なんなら上昇の方が怖かったような気がする。だけど、そんなことはどうでもいい。空港について無事にイジュンに会えるだろうか。フライトを知らせたときに、迎えに行くと言っていたけれど、空港は広い。いや、それを言うなら羽田空港で会えたのは奇跡のような物だけど、そんなのが続くとも思えない。だけど、空港からソウル市内への行き方とかは、ぼんやりとしかわからない。というか、韓国語がわからないで行けるとは到底思えない。だからイジュンに会えないと困るんだけど。
そんなことをグルグル考えていると機体は無事着陸し、順番に空港建物とを結ぶガラス張りの搭乗通路へと出て行く。ここがもう韓国だと思うとドキドキしてきた。イジュンの生まれ育った国。そう思うとまだ街中を見ていないというのに愛おしく感じる。だって、今、このときだってイジュンはここにいるんだ。そう考えるとドキドキして当然だと思う。
そして、そんなドキドキした状態で入国審査を済ませ、スーツケースをピックアップする。自動ドアの向こうが空港ロビーだ。イジュンが待っていてくれるところだ。ドアが開き、俺は空港ロビーに足を進める。イジュン曰く金浦空港は狭いからと言っていたが、それでもたくさんの人がいる。まさに、人、人、人だ。こんなたくさんの人の中からイジュンを探すのなんて大変だ。そう思い、人の邪魔にならないところで足を止め、イジュンの姿を探す。すると、ロビー奥の中央辺りにイジュンの姿を見つけた。良かった、これで安心だ。……と足を踏み出そうとしたところで足を止めた。なぜなら隣には綺麗な女性がいたからだ。
長くストレートな髪の毛を真っ直ぐに背へと垂らしている姿は、俺の中の、ザ・韓国女性というイメージだ。色白で少しキツめの顔をしているけれど、美人の部類に入るだろう。イジュンはそんな女性と親しげに話し、笑っている。そのイジュンの顔は力が抜けていて、2人がただの顔見知りではないことが見てとれる。そんな光景を目にして胸がざわつく。その女性は誰? イジュンの元へ行ってそう訊けばいいだけだけれど、それが出来ない。その場に足が縫い付けられたように動けない。
「来るんじゃなかったかも……」
日本と韓国と離れている間に、彼女が出来たのかもしれない。そして、その彼女を俺に紹介しようと思って2人で空港に迎えに来たのかもしれない。そんな最悪なシーンを想像してしまったら余計に声などかけられなくなってしまった。
「彼女がいるなら、俺の出番なんてないよな。そもそも俺、男だし。日本に帰りたいな……」
これが予約が必要な飛行機でなければ、ここでUターンして日本に帰るのに。でも、そうも行かないので、ひとまずホテルへ行こう。韓国語は話せないから電車やバスは無理だ。となると、選択肢はタクシーしかない。重い足をなんとか動かしてタクシー乗り場へ行ったけれど、世の中はそんなに甘くなかった。ホテル名を告げても発音が違うからか、タクシーの運転手は疑問顔だ。えっと、確か予約したときの紙は……。鞄の中をあさり、それを運転手に見せる。それでやっと車が発車した。後はイジュンに断りのメッセージでも入れればいいだけだ。そして明日からは1人でソウル観光をすればいい。ガイドブックが手元にないからわからないけれど、観光ツアーバスくらいはあるだろう。それを探して観光すればいい。
「イジュンの馬鹿……」
なんで日本を出発する前に教えてくれなかったんだよ。なにも考えずに来た俺って馬鹿みたいじゃないか。そう思うと涙が出そうになって歯を食いしばる。こんなところで泣くんじゃない。ホテルの部屋に入るまで泣くのは我慢だ。でも、そう思っている自分が惨めに感じた。
飛行機が着陸態勢になり、下降していく。よく飛行機の下降を怖いという人がいるけれど、それほど怖いとは思わなかった。なんなら上昇の方が怖かったような気がする。だけど、そんなことはどうでもいい。空港について無事にイジュンに会えるだろうか。フライトを知らせたときに、迎えに行くと言っていたけれど、空港は広い。いや、それを言うなら羽田空港で会えたのは奇跡のような物だけど、そんなのが続くとも思えない。だけど、空港からソウル市内への行き方とかは、ぼんやりとしかわからない。というか、韓国語がわからないで行けるとは到底思えない。だからイジュンに会えないと困るんだけど。
そんなことをグルグル考えていると機体は無事着陸し、順番に空港建物とを結ぶガラス張りの搭乗通路へと出て行く。ここがもう韓国だと思うとドキドキしてきた。イジュンの生まれ育った国。そう思うとまだ街中を見ていないというのに愛おしく感じる。だって、今、このときだってイジュンはここにいるんだ。そう考えるとドキドキして当然だと思う。
そして、そんなドキドキした状態で入国審査を済ませ、スーツケースをピックアップする。自動ドアの向こうが空港ロビーだ。イジュンが待っていてくれるところだ。ドアが開き、俺は空港ロビーに足を進める。イジュン曰く金浦空港は狭いからと言っていたが、それでもたくさんの人がいる。まさに、人、人、人だ。こんなたくさんの人の中からイジュンを探すのなんて大変だ。そう思い、人の邪魔にならないところで足を止め、イジュンの姿を探す。すると、ロビー奥の中央辺りにイジュンの姿を見つけた。良かった、これで安心だ。……と足を踏み出そうとしたところで足を止めた。なぜなら隣には綺麗な女性がいたからだ。
長くストレートな髪の毛を真っ直ぐに背へと垂らしている姿は、俺の中の、ザ・韓国女性というイメージだ。色白で少しキツめの顔をしているけれど、美人の部類に入るだろう。イジュンはそんな女性と親しげに話し、笑っている。そのイジュンの顔は力が抜けていて、2人がただの顔見知りではないことが見てとれる。そんな光景を目にして胸がざわつく。その女性は誰? イジュンの元へ行ってそう訊けばいいだけだけれど、それが出来ない。その場に足が縫い付けられたように動けない。
「来るんじゃなかったかも……」
日本と韓国と離れている間に、彼女が出来たのかもしれない。そして、その彼女を俺に紹介しようと思って2人で空港に迎えに来たのかもしれない。そんな最悪なシーンを想像してしまったら余計に声などかけられなくなってしまった。
「彼女がいるなら、俺の出番なんてないよな。そもそも俺、男だし。日本に帰りたいな……」
これが予約が必要な飛行機でなければ、ここでUターンして日本に帰るのに。でも、そうも行かないので、ひとまずホテルへ行こう。韓国語は話せないから電車やバスは無理だ。となると、選択肢はタクシーしかない。重い足をなんとか動かしてタクシー乗り場へ行ったけれど、世の中はそんなに甘くなかった。ホテル名を告げても発音が違うからか、タクシーの運転手は疑問顔だ。えっと、確か予約したときの紙は……。鞄の中をあさり、それを運転手に見せる。それでやっと車が発車した。後はイジュンに断りのメッセージでも入れればいいだけだ。そして明日からは1人でソウル観光をすればいい。ガイドブックが手元にないからわからないけれど、観光ツアーバスくらいはあるだろう。それを探して観光すればいい。
「イジュンの馬鹿……」
なんで日本を出発する前に教えてくれなかったんだよ。なにも考えずに来た俺って馬鹿みたいじゃないか。そう思うと涙が出そうになって歯を食いしばる。こんなところで泣くんじゃない。ホテルの部屋に入るまで泣くのは我慢だ。でも、そう思っている自分が惨めに感じた。
0
あなたにおすすめの小説
カフェ・コン・レーチェ
こうらい ゆあ
BL
小さな喫茶店 音雫には、今日も静かなオルゴール調のの曲が流れている。
背が高すぎるせいか、いつも肩をすぼめている常連の彼が来てくれるのを、僕は密かに楽しみにしていた。
苦いブラックが苦手なのに、毎日変わらずブラックを頼む彼が気になる。
今日はいつもより温度を下げてみようかな?香りだけ甘いものは苦手かな?どうすれば、喜んでくれる?
「君の淹れる珈琲が一番美味しい」
苦手なくせに、いつも僕が淹れた珈琲を褒めてくれる彼。
照れ臭そうに顔を赤ながらも褒めてくれる彼ともっと仲良くなりたい。
そんな、ささやかな想いを込めて、今日も丁寧に豆を挽く。
甘く、切なく、でも愛しくてたまらない――
珈琲の香りに包まれた、静かで優しい記憶の物語。
孤毒の解毒薬
紫月ゆえ
BL
友人なし、家族仲悪、自分の居場所に疑問を感じてる大学生が、同大学に在籍する真逆の陽キャ学生に出会い、彼の止まっていた時が動き始める―。
中学時代の出来事から人に心を閉ざしてしまい、常に一線をひくようになってしまった西条雪。そんな彼に話しかけてきたのは、いつも周りに人がいる人気者のような、いわゆる陽キャだ。雪とは一生交わることのない人だと思っていたが、彼はどこか違うような…。
不思議にももっと話してみたいと、あわよくば友達になってみたいと思うようになるのだが―。
【登場人物】
西条雪:ぼっち学生。人と関わることに抵抗を抱いている。無自覚だが、容姿はかなり整っている。
白銀奏斗:勉学、容姿、人望を兼ね備えた人気者。柔らかく穏やかな雰囲気をまとう。
雪を溶かすように
春野ひつじ
BL
人間と獣人の争いが終わった。
和平の条件で人間の国へ人質としていった獣人国の第八王子、薫(ゆき)。そして、薫を助けた人間国の第一王子、悠(はる)。二人の距離は次第に近づいていくが、実は薫が人間国に行くことになったのには理由があった……。
溺愛・甘々です。
*物語の進み方がゆっくりです。エブリスタにも掲載しています
悋気応変!
七賀ごふん
BL
激務のイベント会社に勤める弦美(つるみ)は、他人の“焼きもち”を感じ取ると反射的に号泣してしまう。
厄介な体質に苦しんできたものの、感情を表に出さないクールな幼なじみ、友悠(ともひさ)の存在にいつも救われていたが…。
──────────
クール&独占欲強め×前向き&不幸体質。
◇BLove様 主催コンテスト 猫野まりこ先生賞受賞作。
◇プロローグ漫画も公開中です。
表紙:七賀ごふん
Candy pop〜Bitter&Sweet
義井 映日
BL
「完璧な先輩」が壊れるまで、カウントはもう、とっくに『0』を過ぎていた。
「185cmの看板男」が、たった一人の恋人の前で理性を失う。
三ヶ月の禁欲を経て、その愛は甘く、激しく、暴走する――。
「あらすじ」
大学の「看板男」こと安達大介は、後輩の一之瀬功(こう)を溺愛している。
ついに迎えた初めての夜。しかし、安達の圧倒的な「雄」の迫力に、功は本能的な恐怖で逃げ出してしまう。
「――お前は俺を狂わせる毒だと思ってた」
絶望した安達と、愛しているのに身体が竦む功。
三ヶ月の「じれったい禁欲生活」を経て、看板男の仮面が剥がれるとき、世界で一番甘い夜が始まる。
★本編全6話に加え、季節を巡る濃密な番外編1本も公開中!近日最新エピソードも追加予定!
(2月の看病編/3月のホワイトデー編公開予定です)
お話が気に入った、面白かった、と思ってくださったら、お気に入り登録、いいね、をお願い致します!
作者の励みになります!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる