春は君のとなり 〜Tokyo & Seoul 〜

水無瀬 蒼

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また会う日のために5

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 今内定を貰っている会社のことを考える。簿記、つまり経理で内定を貰っているから、大学で勉強していることは活かせない。これは公認会計士の試験に落ちた自分が悪いけれど、普通の経理をやりたいかと言えば、正直やりたくなくて。やっぱり自分がやりたいのは公認会計士や、それに近い仕事だ。となると、日本で仕事をするのなら、受かるまで試験を受け続けるしかない。でも、仕事って日本でしなくてはいけないものっていう決まりはない。それなら韓国でやったっていいんじゃないか。それこそイジュンの仕事を手伝うのなら、勉強したことを完全に活かすことができる。それなりの年齢になってからだとやり直しはキツいけれど、若いうちなら失敗してもやり直しが効く。それこそ、イジュンとやる仕事が失敗しても、それから就職活動をしたっていいだろう。そうしたらイジュンの話しに乗ってみるのもいいかもしれない。そう考えてからイジュンに返事を書くべく便せんと封筒を用意した。

 『イジュンへ

 手紙をありがとう。東京で過ごした時間がいい思い出になっているのなら良かった。そして、撮った写真が思った以上に綺麗に撮れていたのにびっくりした。暗いところはやっぱりダメみたいだけど、そうでないところならば綺麗に撮れるんだな。
 そしてイジュンの夢の話し。俺もどうしたいか考えてみた。今、内定を貰っている会社は普通の経理だから、正直やりたい仕事じゃない。多分、そこに入ったとしても早々に転職活動をするだろうなというのが今から想像できる。結局、俺がしたいのはほんとに大学で勉強したことを活かす仕事なんだ。日本では、公認会計士っていう仕事がある。それには試験に受からないといけないけれど。だから多分、このままだと受かるまで受け続けることになる。でも、イジュンの起業の手伝いなら試験を受けなくても活かせるよね。そして、もうひとつ重要なことを考えた。若い今のうちなら思い切ったこともできるんじゃないかって思ったんだ。それなら、イジュンがほんとに起業をすると言うのであれば、手伝いをしてみたいと思う。
 チキン屋かクレープ屋か。韓国での受け入れられ方とか好まれ方がわからないから、どちらがいいのかは今の俺には判断できない。ただ、そんなにチキン屋が多いのならば、オンリーワンを目指してクレープ屋がいいかもしれないね。でも、クレープ屋にするのならば、どんなメニューがあるのか視察した方がいいね。日本式クレープとしてオープンするのなら、日本のクレープとお店を視察するのがいいと思う。形だけ日本っぽいっていうのではなく、どうせならほんとに日本式に近づけてみた方がいいんじゃないかなと思った。そうしたら、もう一度東京に来た方がいいね。原宿には有名なクレープ屋があるし、他にもたくさんある。だから、視察して無駄になることはないと思うんだ。数字を読むこととそういうことは手伝いができると思う。こういった話しは手紙やメッセージではなく、直接会って話しをした方がいいと思う。だから、冬休みになったらほんとに韓国へ行くよ。そのときに話しをしよう。でも、その前にご両親にはきちんと話しておいた方がいいと思う。俺としても、話しを詰めたのに、結局ダメになったというのでは困るから。その点だけお願いしたい。
 ネットで調べたら、冬の韓国は寒いんだね。防寒をして、と言われたのがよくわかったよ。東京はソウルほど寒くないから、俺としてはそんなに寒いところなんてスキー場くらいしか知らない。だから覚悟をしていくよ。でも、これは俺の初めての海外旅行だし、俺は韓国語がわからないからガイドをしてくれ。そして、起業することを前提として街を歩きたい。俺はソウルの街のことをなにも知らないから。とりあえずパック旅行は日数が短くて動けないから、フリーで行く。フライトとホテルの予約ができたら連絡する。
 
 明日海』

 英語で手紙を書いたのは初めてかもしれない。便せんを封筒に入れて宛名を書く。会いたいとか可愛いことは書けなかったけれど、わかってくれるだろう。好きじゃなかったら将来の話しなんて考えるはずがないから。
 冬休みまで時間はある。少し韓国語の勉強をして行こうか。言葉ができて困ることはないから。明日、学校の帰りにでもテキストを買ってこよう。そう考えると、冬休みが少し楽しみになった。
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