60 / 86
すれ違いの再会3
しおりを挟む
今すぐにでも日本に帰りたいけれど、帰りの予約変更ができないタイプの航空券なので、それまでは韓国にいるしかない。なので数日間この部屋で過ごすことになる。洋服がしわくちゃにならないように、スーツケースから服を取りだし、ハンガーにかける。あとは洗面用具を洗面所に置き、シャンプーやボディーソープなども洗面所に置く。
荷物を出したりしていても、そんなに荷物があるわけではないからすぐに終わってしまう。嫌なことは忘れたいのに、どうしても頭から離れない。イジュンは綺麗系が好きなんだな。さっきの彼女はちょっときつめだけど綺麗だった。忘れようと思っているのに、頭はすぐに先ほどの映像を映し出してしまう。もう忘れたい。イジュンには綺麗だと言われたことがあるし、なにより最初に声をかけてきたのは俺を女と間違えてだった。でも、そんな外見でも、俺は男なんだ。それは変わらない。だからイジュンだって、日本にいたときは、身近にいたのが俺だったから好きだと勘違いしちゃったけど、現実の韓国に戻ってきて、なんで男なんかにって思ったのだろう。だから綺麗な彼女を作った。ただ、ソウルを案内するのは約束しているから、それだけは守ろうとしたんだろう。
考えたくないのに頭の中はイジュンでいっぱいだ。もうお昼を過ぎているけれど、お腹は空いていないし、食欲もないから昼は食べなくてもいいだろう。そう思ってベッドに寝転んでいると、部屋のドアがノックされた。ホテルの人だろうか? そう思って薄くドアを開ける。するとそこにいたのは、俺の頭の中を占拠しているイジュンだった。
「明日海! 探したよ」
「俺は探してない。帰れよ」
「怒ってる? 俺が見つからなかったから?」
「いいから帰れ!」
「なんで怒ってるの?」
「なんだっていいだろ。彼女のところへ帰れよ」
「彼女?」
俺が彼女という単語を出すとイジュンはきょとんとした顔をする。わけがわからないと言った顔だとでも言ったらいいだろうか。知らん顔したって無駄だからな。俺はこの目で見たんだから。イジュンが綺麗な女性と一緒にいるところを。なのに、イジュンは訳がわからないらしい。だから言った。
「空港で! 綺麗な彼女と一緒にいただろ。いくら俺との約束があったからって彼女と一緒にガイドをしようっていうのは、さすがに無神経だろ!」
そこまで言うとイジュンは笑い出した。なにがおかしいんだよ! さすがに腹がたってきた。
「俺のことなんて放って彼女のところに帰ればいいだろ。俺のガイドなんてしなくていいから。適当にツアーにでも乗るから心配しなくていいよ。それから、もう俺に連絡しないでくれ」
「明日海。それ誤解だから」
なにが誤解だと言うんだ。こっちは彼女と一緒にいたのをこの目で見ているんだ。
「空港で俺といた女のことでしょう? あれ、彼女なんかじゃないから。従姉妹だよ」
「いと……こ?」
「そう。友だちの帰国で迎えに来てたらしくて偶然会ったんだ」
「ぐう……ぜん?」
あの女性は彼女じゃなくて従姉妹? え? じゃあ、俺の勘違い? そう思うと恥ずかしくて下を向いてしまう。
「嬉しいなぁ。焼きもち焼くくらい俺のこと思ってくれてるんだ」
この恥ずかしいのはどうしたらいい? やっぱり帰って貰う? いや、その前に謝るべき?
「ちょっと中に入れて」
俺がどうしたらいいかと悩んでいると、イジュンはそう言って部屋の中に入ってくる。そうして、ドアを後ろ手で閉めると、俺を抱きしめてきた。
「ごめん。明日海は嫌な思いをしたっていうのに。だけど焼きもち焼いて貰えて俺は嬉しいよ。まぁいくら誤解とは言え、明日海は嫌な思いをしたわけだから、それに関しては謝るよ。誤解されるようなことしてごめんね。だけど、覚えてて。俺は明日海以外好きじゃないから」
抱きしめられて、耳元でそう言われたら、さっきまでの腹立ちなんて消えてなくなる。逆に1人で勝手にホテルに来て申し訳なかったなと思うけれど、素直には謝れない。
「俺は明日海としか過ごす気ないからね。お昼まだでしょ。そしたらお昼食べて、東大門市場に行って、夜は広蔵市場で麻薬キンパを食べよう。明日海、行くよ」
そう言って、俺の背を押して、部屋を出て行く。一言も行くなんて言ってないのにイジュンに押されてしまう。でも、相手がイジュンなら、それもいいかなと思ってしまった。
荷物を出したりしていても、そんなに荷物があるわけではないからすぐに終わってしまう。嫌なことは忘れたいのに、どうしても頭から離れない。イジュンは綺麗系が好きなんだな。さっきの彼女はちょっときつめだけど綺麗だった。忘れようと思っているのに、頭はすぐに先ほどの映像を映し出してしまう。もう忘れたい。イジュンには綺麗だと言われたことがあるし、なにより最初に声をかけてきたのは俺を女と間違えてだった。でも、そんな外見でも、俺は男なんだ。それは変わらない。だからイジュンだって、日本にいたときは、身近にいたのが俺だったから好きだと勘違いしちゃったけど、現実の韓国に戻ってきて、なんで男なんかにって思ったのだろう。だから綺麗な彼女を作った。ただ、ソウルを案内するのは約束しているから、それだけは守ろうとしたんだろう。
考えたくないのに頭の中はイジュンでいっぱいだ。もうお昼を過ぎているけれど、お腹は空いていないし、食欲もないから昼は食べなくてもいいだろう。そう思ってベッドに寝転んでいると、部屋のドアがノックされた。ホテルの人だろうか? そう思って薄くドアを開ける。するとそこにいたのは、俺の頭の中を占拠しているイジュンだった。
「明日海! 探したよ」
「俺は探してない。帰れよ」
「怒ってる? 俺が見つからなかったから?」
「いいから帰れ!」
「なんで怒ってるの?」
「なんだっていいだろ。彼女のところへ帰れよ」
「彼女?」
俺が彼女という単語を出すとイジュンはきょとんとした顔をする。わけがわからないと言った顔だとでも言ったらいいだろうか。知らん顔したって無駄だからな。俺はこの目で見たんだから。イジュンが綺麗な女性と一緒にいるところを。なのに、イジュンは訳がわからないらしい。だから言った。
「空港で! 綺麗な彼女と一緒にいただろ。いくら俺との約束があったからって彼女と一緒にガイドをしようっていうのは、さすがに無神経だろ!」
そこまで言うとイジュンは笑い出した。なにがおかしいんだよ! さすがに腹がたってきた。
「俺のことなんて放って彼女のところに帰ればいいだろ。俺のガイドなんてしなくていいから。適当にツアーにでも乗るから心配しなくていいよ。それから、もう俺に連絡しないでくれ」
「明日海。それ誤解だから」
なにが誤解だと言うんだ。こっちは彼女と一緒にいたのをこの目で見ているんだ。
「空港で俺といた女のことでしょう? あれ、彼女なんかじゃないから。従姉妹だよ」
「いと……こ?」
「そう。友だちの帰国で迎えに来てたらしくて偶然会ったんだ」
「ぐう……ぜん?」
あの女性は彼女じゃなくて従姉妹? え? じゃあ、俺の勘違い? そう思うと恥ずかしくて下を向いてしまう。
「嬉しいなぁ。焼きもち焼くくらい俺のこと思ってくれてるんだ」
この恥ずかしいのはどうしたらいい? やっぱり帰って貰う? いや、その前に謝るべき?
「ちょっと中に入れて」
俺がどうしたらいいかと悩んでいると、イジュンはそう言って部屋の中に入ってくる。そうして、ドアを後ろ手で閉めると、俺を抱きしめてきた。
「ごめん。明日海は嫌な思いをしたっていうのに。だけど焼きもち焼いて貰えて俺は嬉しいよ。まぁいくら誤解とは言え、明日海は嫌な思いをしたわけだから、それに関しては謝るよ。誤解されるようなことしてごめんね。だけど、覚えてて。俺は明日海以外好きじゃないから」
抱きしめられて、耳元でそう言われたら、さっきまでの腹立ちなんて消えてなくなる。逆に1人で勝手にホテルに来て申し訳なかったなと思うけれど、素直には謝れない。
「俺は明日海としか過ごす気ないからね。お昼まだでしょ。そしたらお昼食べて、東大門市場に行って、夜は広蔵市場で麻薬キンパを食べよう。明日海、行くよ」
そう言って、俺の背を押して、部屋を出て行く。一言も行くなんて言ってないのにイジュンに押されてしまう。でも、相手がイジュンなら、それもいいかなと思ってしまった。
0
あなたにおすすめの小説
カフェ・コン・レーチェ
こうらい ゆあ
BL
小さな喫茶店 音雫には、今日も静かなオルゴール調のの曲が流れている。
背が高すぎるせいか、いつも肩をすぼめている常連の彼が来てくれるのを、僕は密かに楽しみにしていた。
苦いブラックが苦手なのに、毎日変わらずブラックを頼む彼が気になる。
今日はいつもより温度を下げてみようかな?香りだけ甘いものは苦手かな?どうすれば、喜んでくれる?
「君の淹れる珈琲が一番美味しい」
苦手なくせに、いつも僕が淹れた珈琲を褒めてくれる彼。
照れ臭そうに顔を赤ながらも褒めてくれる彼ともっと仲良くなりたい。
そんな、ささやかな想いを込めて、今日も丁寧に豆を挽く。
甘く、切なく、でも愛しくてたまらない――
珈琲の香りに包まれた、静かで優しい記憶の物語。
孤毒の解毒薬
紫月ゆえ
BL
友人なし、家族仲悪、自分の居場所に疑問を感じてる大学生が、同大学に在籍する真逆の陽キャ学生に出会い、彼の止まっていた時が動き始める―。
中学時代の出来事から人に心を閉ざしてしまい、常に一線をひくようになってしまった西条雪。そんな彼に話しかけてきたのは、いつも周りに人がいる人気者のような、いわゆる陽キャだ。雪とは一生交わることのない人だと思っていたが、彼はどこか違うような…。
不思議にももっと話してみたいと、あわよくば友達になってみたいと思うようになるのだが―。
【登場人物】
西条雪:ぼっち学生。人と関わることに抵抗を抱いている。無自覚だが、容姿はかなり整っている。
白銀奏斗:勉学、容姿、人望を兼ね備えた人気者。柔らかく穏やかな雰囲気をまとう。
雪を溶かすように
春野ひつじ
BL
人間と獣人の争いが終わった。
和平の条件で人間の国へ人質としていった獣人国の第八王子、薫(ゆき)。そして、薫を助けた人間国の第一王子、悠(はる)。二人の距離は次第に近づいていくが、実は薫が人間国に行くことになったのには理由があった……。
溺愛・甘々です。
*物語の進み方がゆっくりです。エブリスタにも掲載しています
Candy pop〜Bitter&Sweet
義井 映日
BL
「完璧な先輩」が壊れるまで、カウントはもう、とっくに『0』を過ぎていた。
「185cmの看板男」が、たった一人の恋人の前で理性を失う。
三ヶ月の禁欲を経て、その愛は甘く、激しく、暴走する――。
「あらすじ」
大学の「看板男」こと安達大介は、後輩の一之瀬功(こう)を溺愛している。
ついに迎えた初めての夜。しかし、安達の圧倒的な「雄」の迫力に、功は本能的な恐怖で逃げ出してしまう。
「――お前は俺を狂わせる毒だと思ってた」
絶望した安達と、愛しているのに身体が竦む功。
三ヶ月の「じれったい禁欲生活」を経て、看板男の仮面が剥がれるとき、世界で一番甘い夜が始まる。
★本編全6話に加え、季節を巡る濃密な番外編1本も公開中!近日最新エピソードも追加予定!
(2月の看病編/3月のホワイトデー編公開予定です)
お話が気に入った、面白かった、と思ってくださったら、お気に入り登録、いいね、をお願い致します!
作者の励みになります!!
悋気応変!
七賀ごふん
BL
激務のイベント会社に勤める弦美(つるみ)は、他人の“焼きもち”を感じ取ると反射的に号泣してしまう。
厄介な体質に苦しんできたものの、感情を表に出さないクールな幼なじみ、友悠(ともひさ)の存在にいつも救われていたが…。
──────────
クール&独占欲強め×前向き&不幸体質。
◇BLove様 主催コンテスト 猫野まりこ先生賞受賞作。
◇プロローグ漫画も公開中です。
表紙:七賀ごふん
転生DKは、オーガさんのお気に入り~姉の婚約者に嫁ぐことになったんだが、こんなに溺愛されるとは聞いてない!~
トモモト ヨシユキ
BL
魔物の国との和議の証に結ばれた公爵家同士の婚約。だが、婚約することになった姉が拒んだため6男のシャル(俺)が代わりに婚約することになった。
突然、オーガ(鬼)の嫁になることがきまった俺は、ショックで前世を思い出す。
有名進学校に通うDKだった俺は、前世の知識と根性で自分の身を守るための剣と魔法の鍛練を始める。
約束の10年後。
俺は、人類最強の魔法剣士になっていた。
どこからでもかかってこいや!
と思っていたら、婚約者のオーガ公爵は、全くの塩対応で。
そんなある日、魔王国のバーティーで絡んできた魔物を俺は、こてんぱんにのしてやったんだが、それ以来、旦那様の様子が変?
急に花とか贈ってきたり、デートに誘われたり。
慣れない溺愛にこっちまで調子が狂うし!
このまま、俺は、絆されてしまうのか!?
カイタ、エブリスタにも掲載しています。
薄紅の檻、月下の契り
雪兎
BL
あらすじ
大正十年、華やかな文明開化の影で、いまだ旧き因習が色濃く残る帝都。
没落しかけた名家に生まれた“Ω(オメガ)”の青年・白鷺伊織は、家を救うため政略的な「番(つがい)」として差し出される運命にあった。
しかし縁談の相手は、冷酷無慈悲と噂される若き実業家であり“α(アルファ)”の当主・九条鷹司。
鉄道・銀行事業で財を成した九条家は、華族でもありながら成り上がりと蔑まれる存在。
一方の伊織は、旧華族の矜持を胸に秘めながらも、Ωであるがゆえに家族から疎まれてきた。
冷ややかな契約婚として始まった同居生活。
だが、伊織は次第に知ることになる。
鷹司がΩを所有物としてではなく、一人の人間として尊重しようとしていることを。
発情期を巡る制度、番契約を強制する家制度、そして帝都に広がる新思想。
伝統と自由のはざまで揺れながら、二人は「選ばされた番」から「自ら選ぶ伴侶」へと変わっていく——。
月明かりの下、交わされるのは支配ではなく、誓い。
大正浪漫薫る帝都で紡がれる、運命を超える愛の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる