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すれ違いの再会4
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「お昼はまだでしょう?」
「うん。食べてない」
「じゃあ東大門で美味しいと言われてるチキン屋に行こう」
「さっそくチキン屋か。いいよ」
「ほんとに韓国はチキン屋が多いんだよ。歩けばわかると思うけど。あ、交通カード買ってあるから」
ホテルから地下鉄の駅に行くとイジュンが言った。韓国も日本と同じく交通カードらしい。前もって買っておいてくれたのはありがたい。いくらチャージしてあるかわからないけど、あとで訊いて、その分は現金で渡そう。
地下鉄のホームに行くと日本と違ってホームと線路の間には天井から足元まで全面がガラス張りになっていた。日本だと乗り越えなければ落ちることがないっていう高さなので、フルサイズを見るとちょっと圧迫感があるけど、安全ではある。
地下鉄では数駅乗っただけですぐに降りた。地理がまったくわかってないけれど、ホテルから東大門へは近いらしい。駅を出てしばらく歩くと別の地下鉄の駅が見えて来た。
「ここだよ。美味しいって言われてる。夜になるとサラリーマンやOLがチキンを食べながらビールを飲むんだ」
「韓国の人はそんなにチキンを食べるの?」
「食べるよ。さ、入ろう」
お店に入るとお昼を少し過ぎたからか、それともお昼にチキンを食べる人は少ないのか、そんなに混んでいなかった。店内はチープなテーブルと椅子。古いテレビがニュースを映している。
「明日海は辛いの苦手なんだっけ?」
「少しは食べられるけど。チキンでそんなに辛い?」
「いや、そんなに辛くはないよ。ちょっと辛いだけ」
「じゃあ食べられると思う」
「そっか。じゃあ普通のと辛いのと両方頼むよ」
「うん」
イジュンが日本で言っていたけれど、店内で1人で食べている人はいなかった。たまたまなのかわからないけれど、日本なら1人くらいお一人様がいそうだけど、ここにはお一人様はいなかった。
「1人で食べてる人いないね。たまたまかな?」
「いや、1人で食べている人を見かけるのなんてほとんどないよ」
「日本でそう言ってたね」
日本と韓国は近いのに、やっぱり違うんだなと思った。日本では普通にお一人様がいる。焼肉だって1人で行く人がいるくらいだ。だけど、韓国ではそれはないんだろうな。そう言えば、イジュンが俺をナンパしてきたのもお昼どきだった。食事に誘う気だったんだろうな。そう思うとなんだか笑えてきた。
「なに笑ってるの」
「ん? イジュンがナンパしてきたときのこと。お昼どきだったから食事に誘う気だったのかなと思って」
俺がそう言うとイジュンは顔を赤くした。
「それはもういいでしょ。忘れてよ。あ、チキンきたよ」
出されたチキンは、普通の色のと赤いの。この赤い方が辛いんだな。
「赤い方がヤンニョムチキンでちょっと辛めだけど、そんなに辛くないから大丈夫だと思うんだけど。食べてみてダメなら俺が食べるよ」
そう言われて、さっそくヤンニョムチキンを口にする。日本にもある某チェーン店の辛いチキンもそんなにたくさんでなければ食べられるから大丈夫だと思うけれど。辛いかな、と身構えていたけど、某チェーン店のと変わらないくらいだったから、これなら俺でも食べられる。
「これくらいなら食べられる」
「そっか。良かった。日本は個人経営のチキン屋ってなさそうだったね」
「うん、見ないね。日本でチキンって言ったらチェーン店のになる」
「そっか。韓国は個人経営の店が多いから、ほんとに店によって味が違うけど、ここは美味しいって評判なんだ。味はどう?」
「普通に美味しい」
「油は大丈夫?」
「そんなに気になるほどではないかな」
「良かった。日本では揚げ物でも全然油っこくなかったから、韓国のは大丈夫なのか心配だった。まだ昼だから、そんなに揚げてないのかな? だとしたらラッキーだ」
イジュンが言う通りかもしれないけど、油っこさはたいして気にすることもなく美味しくチキンを食べた。韓国はチキン屋が多いっていうから、韓国滞在中に何件もみることになるのかな。まずはここのお店の大体の場所を覚えておこう。
「韓国人のイジュンとして、ここのチキンはやっぱり美味しい?」
「そうだね。普通よりは美味しい方だと思うけど、もっと美味しいところも知ってる。うちの実家の近くなんだ。宅配してるから結構食べるけど、そこは美味しい。うちに行ったときにでも食べよう」
イジュンの家に行ったとき……。そういえば紹介するとか言ってたもんな。いや、でも確かに恋人として紹介しなくても一緒にお店をやるのなら、挨拶はしておいた方がいいもんな。そう思うけれどイジュンの両親に会うのだと思うと今から緊張した。
「うん。食べてない」
「じゃあ東大門で美味しいと言われてるチキン屋に行こう」
「さっそくチキン屋か。いいよ」
「ほんとに韓国はチキン屋が多いんだよ。歩けばわかると思うけど。あ、交通カード買ってあるから」
ホテルから地下鉄の駅に行くとイジュンが言った。韓国も日本と同じく交通カードらしい。前もって買っておいてくれたのはありがたい。いくらチャージしてあるかわからないけど、あとで訊いて、その分は現金で渡そう。
地下鉄のホームに行くと日本と違ってホームと線路の間には天井から足元まで全面がガラス張りになっていた。日本だと乗り越えなければ落ちることがないっていう高さなので、フルサイズを見るとちょっと圧迫感があるけど、安全ではある。
地下鉄では数駅乗っただけですぐに降りた。地理がまったくわかってないけれど、ホテルから東大門へは近いらしい。駅を出てしばらく歩くと別の地下鉄の駅が見えて来た。
「ここだよ。美味しいって言われてる。夜になるとサラリーマンやOLがチキンを食べながらビールを飲むんだ」
「韓国の人はそんなにチキンを食べるの?」
「食べるよ。さ、入ろう」
お店に入るとお昼を少し過ぎたからか、それともお昼にチキンを食べる人は少ないのか、そんなに混んでいなかった。店内はチープなテーブルと椅子。古いテレビがニュースを映している。
「明日海は辛いの苦手なんだっけ?」
「少しは食べられるけど。チキンでそんなに辛い?」
「いや、そんなに辛くはないよ。ちょっと辛いだけ」
「じゃあ食べられると思う」
「そっか。じゃあ普通のと辛いのと両方頼むよ」
「うん」
イジュンが日本で言っていたけれど、店内で1人で食べている人はいなかった。たまたまなのかわからないけれど、日本なら1人くらいお一人様がいそうだけど、ここにはお一人様はいなかった。
「1人で食べてる人いないね。たまたまかな?」
「いや、1人で食べている人を見かけるのなんてほとんどないよ」
「日本でそう言ってたね」
日本と韓国は近いのに、やっぱり違うんだなと思った。日本では普通にお一人様がいる。焼肉だって1人で行く人がいるくらいだ。だけど、韓国ではそれはないんだろうな。そう言えば、イジュンが俺をナンパしてきたのもお昼どきだった。食事に誘う気だったんだろうな。そう思うとなんだか笑えてきた。
「なに笑ってるの」
「ん? イジュンがナンパしてきたときのこと。お昼どきだったから食事に誘う気だったのかなと思って」
俺がそう言うとイジュンは顔を赤くした。
「それはもういいでしょ。忘れてよ。あ、チキンきたよ」
出されたチキンは、普通の色のと赤いの。この赤い方が辛いんだな。
「赤い方がヤンニョムチキンでちょっと辛めだけど、そんなに辛くないから大丈夫だと思うんだけど。食べてみてダメなら俺が食べるよ」
そう言われて、さっそくヤンニョムチキンを口にする。日本にもある某チェーン店の辛いチキンもそんなにたくさんでなければ食べられるから大丈夫だと思うけれど。辛いかな、と身構えていたけど、某チェーン店のと変わらないくらいだったから、これなら俺でも食べられる。
「これくらいなら食べられる」
「そっか。良かった。日本は個人経営のチキン屋ってなさそうだったね」
「うん、見ないね。日本でチキンって言ったらチェーン店のになる」
「そっか。韓国は個人経営の店が多いから、ほんとに店によって味が違うけど、ここは美味しいって評判なんだ。味はどう?」
「普通に美味しい」
「油は大丈夫?」
「そんなに気になるほどではないかな」
「良かった。日本では揚げ物でも全然油っこくなかったから、韓国のは大丈夫なのか心配だった。まだ昼だから、そんなに揚げてないのかな? だとしたらラッキーだ」
イジュンが言う通りかもしれないけど、油っこさはたいして気にすることもなく美味しくチキンを食べた。韓国はチキン屋が多いっていうから、韓国滞在中に何件もみることになるのかな。まずはここのお店の大体の場所を覚えておこう。
「韓国人のイジュンとして、ここのチキンはやっぱり美味しい?」
「そうだね。普通よりは美味しい方だと思うけど、もっと美味しいところも知ってる。うちの実家の近くなんだ。宅配してるから結構食べるけど、そこは美味しい。うちに行ったときにでも食べよう」
イジュンの家に行ったとき……。そういえば紹介するとか言ってたもんな。いや、でも確かに恋人として紹介しなくても一緒にお店をやるのなら、挨拶はしておいた方がいいもんな。そう思うけれどイジュンの両親に会うのだと思うと今から緊張した。
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