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未来を探す歩幅6
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梨大をあとにして汝矣島の船着場へ行き、乗船カードを記入して乗船チケットを貰う。時間的にサンセットクルーズになった。乗船するまでまだ少し時間があるので、近くのカフェで温かいコーヒーを飲んで時間を待つ。
「今日見た候補地だけど、弘大か梨大がいいかなと思ったんだけどイジュンはどう? 賃料を考えたら梨大なんだけど。梨大といっても新村寄りがいいなと思うんだけど」
「明日海、真面目だなぁ。でも、賃料考えて新村寄りの梨大っていうのは賛成。新村寄りなら新村の学生も行けるからね。観光客呼べる梨大っていうのは大きいよね。確かに男性を切り捨てるけれど、まぁあまり来ないならいいかな。男1人や男だけのグループでクレープって食べるのは稀だと思うから。いや、ないかな」
「そうだよね。そしたら梨大の物件探しはイジュンにお願いするよ。俺は日本にいるからさ。画像と映像を送ってくれれば」
「わかった。仕入れ先なんかも調べておく」
「うん。色々任せちゃうけどお願い。大学の卒業式が終わったらこっち来るよ」
「物件探しで時間食うだろうな」
「一番時間かかるだろうな。俺は俺で親を説得して、あとは店名とかデザインとか細かいことは俺も考えておくよ」
「もし、必要なら日本に行くから」
「ありがと」
「なんだか現実になるんだなって思うとドキドキするけど、楽しみだ。あと、住むところも考えないとね」
「それはこっちに来てから探すよ」
そんなふうにお店のことを話して時間を潰し、船が出る時間に船着場に戻った。漢江の岸辺に着いた頃、空はゆっくりと色を変えはじめていた。昼の青さを残しながらも、西の空が淡いオレンジに染まり、光が川面に揺らいでいる。桟橋に停泊しているクルーズ船は、白く大きな船体を夕陽に照らされて、静かに人々を迎えていた。
「わぁ……」
思わず声が漏れた。昼間の喧噪から離れた川辺は、どこか別の都市に来たような雰囲気だった。隣でイジュンがチケットを見せ、俺の腕を軽く引いた。
「明日海、船に乗るよ。時間だ」
「うん」
タラップを渡り船内に入ると、シンプルな内装のデッキが広がっていた。窓の外には夕陽を反射して輝く川面。しばらく綺麗な空を見ていると、しばらくして船が低い汽笛を鳴らし、ゆっくりと岸を離れた。窓から外を見て、その夕焼けの綺麗さに息を呑んだ。
「すごい……ほんとに綺麗だ」
川の真ん中から見るソウルは、まるで別世界だった。橋のアーチが光を帯び、ビル群は夕焼けのグラデーションに包まれている。
「隅田川もいいけど、ここはまた違うな」
「また別の魅力じゃない?」
「そうだな」
イジュンは立ち上がり、俺を手招きする。
「ちょっと寒いけどデッキにでよう」
風に少し押されながら外に出ると、夕暮れの空が広がっていた。船内で見るよりも綺麗だ。太陽は川面に長い道を描くように沈みかけていて、周囲の建物も黄金色に染まっている。
「2人で写真撮ろう」
イジュンが俺の隣に立ち、スマホを構える。バックは朱く染まる漢江だ。シャッター音が響くと、イジュンは満足そうに画面を確認して笑った。
「なんだよ」
「ん? 明日海の顔が少し赤いのは夕陽のせいかな?」
「からかうなよ」
思わずむっとした顔をすると、イジュンはさらに笑って肩を軽くぶつけてきた。その仕草さえ、川風と一緒に心地よく感じた。
しばらく手すりにもたれて、ただ流れる景色を眺めた。
「明日海」
「ん?」
「こうやってソウルを見てると、まだ紹介したい場所がたくさんあるんだって思う」
「……まだって?」
「うん。つまり、これから何度でも一緒に歩きたいってこと」
イジュンのその言葉にじんと胸が熱くなる。どう返したらいいのかわからなくて、俺はただ頷いた。沈黙の中で、川の水音と船の揺れが妙に優しく響いていた。
やがて太陽はさらに傾き、空が濃い朱に染まる。西の端が燃えるように赤く、反対は深い群青が広がっていた。
「色の移り変わりがすごいな」
「サンセットクルーズのいいところは、この時間を全部見られることだね」
イジュンが低く言い、川面を指さす。そこには、沈みゆく太陽の残光が一本の道のように輝いていた。気づけば俺の心は静かに安らいでいた。昨日の不安も、街で感じた緊張も、この瞬間だけは遠くにあるように感じた。
「今日見た候補地だけど、弘大か梨大がいいかなと思ったんだけどイジュンはどう? 賃料を考えたら梨大なんだけど。梨大といっても新村寄りがいいなと思うんだけど」
「明日海、真面目だなぁ。でも、賃料考えて新村寄りの梨大っていうのは賛成。新村寄りなら新村の学生も行けるからね。観光客呼べる梨大っていうのは大きいよね。確かに男性を切り捨てるけれど、まぁあまり来ないならいいかな。男1人や男だけのグループでクレープって食べるのは稀だと思うから。いや、ないかな」
「そうだよね。そしたら梨大の物件探しはイジュンにお願いするよ。俺は日本にいるからさ。画像と映像を送ってくれれば」
「わかった。仕入れ先なんかも調べておく」
「うん。色々任せちゃうけどお願い。大学の卒業式が終わったらこっち来るよ」
「物件探しで時間食うだろうな」
「一番時間かかるだろうな。俺は俺で親を説得して、あとは店名とかデザインとか細かいことは俺も考えておくよ」
「もし、必要なら日本に行くから」
「ありがと」
「なんだか現実になるんだなって思うとドキドキするけど、楽しみだ。あと、住むところも考えないとね」
「それはこっちに来てから探すよ」
そんなふうにお店のことを話して時間を潰し、船が出る時間に船着場に戻った。漢江の岸辺に着いた頃、空はゆっくりと色を変えはじめていた。昼の青さを残しながらも、西の空が淡いオレンジに染まり、光が川面に揺らいでいる。桟橋に停泊しているクルーズ船は、白く大きな船体を夕陽に照らされて、静かに人々を迎えていた。
「わぁ……」
思わず声が漏れた。昼間の喧噪から離れた川辺は、どこか別の都市に来たような雰囲気だった。隣でイジュンがチケットを見せ、俺の腕を軽く引いた。
「明日海、船に乗るよ。時間だ」
「うん」
タラップを渡り船内に入ると、シンプルな内装のデッキが広がっていた。窓の外には夕陽を反射して輝く川面。しばらく綺麗な空を見ていると、しばらくして船が低い汽笛を鳴らし、ゆっくりと岸を離れた。窓から外を見て、その夕焼けの綺麗さに息を呑んだ。
「すごい……ほんとに綺麗だ」
川の真ん中から見るソウルは、まるで別世界だった。橋のアーチが光を帯び、ビル群は夕焼けのグラデーションに包まれている。
「隅田川もいいけど、ここはまた違うな」
「また別の魅力じゃない?」
「そうだな」
イジュンは立ち上がり、俺を手招きする。
「ちょっと寒いけどデッキにでよう」
風に少し押されながら外に出ると、夕暮れの空が広がっていた。船内で見るよりも綺麗だ。太陽は川面に長い道を描くように沈みかけていて、周囲の建物も黄金色に染まっている。
「2人で写真撮ろう」
イジュンが俺の隣に立ち、スマホを構える。バックは朱く染まる漢江だ。シャッター音が響くと、イジュンは満足そうに画面を確認して笑った。
「なんだよ」
「ん? 明日海の顔が少し赤いのは夕陽のせいかな?」
「からかうなよ」
思わずむっとした顔をすると、イジュンはさらに笑って肩を軽くぶつけてきた。その仕草さえ、川風と一緒に心地よく感じた。
しばらく手すりにもたれて、ただ流れる景色を眺めた。
「明日海」
「ん?」
「こうやってソウルを見てると、まだ紹介したい場所がたくさんあるんだって思う」
「……まだって?」
「うん。つまり、これから何度でも一緒に歩きたいってこと」
イジュンのその言葉にじんと胸が熱くなる。どう返したらいいのかわからなくて、俺はただ頷いた。沈黙の中で、川の水音と船の揺れが妙に優しく響いていた。
やがて太陽はさらに傾き、空が濃い朱に染まる。西の端が燃えるように赤く、反対は深い群青が広がっていた。
「色の移り変わりがすごいな」
「サンセットクルーズのいいところは、この時間を全部見られることだね」
イジュンが低く言い、川面を指さす。そこには、沈みゆく太陽の残光が一本の道のように輝いていた。気づけば俺の心は静かに安らいでいた。昨日の不安も、街で感じた緊張も、この瞬間だけは遠くにあるように感じた。
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