妖の灯火

白井 華狐

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消えない傷痕

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「狐娘ちゃんと牙狼くん。君たちなんで夏なのに長袖を着ているの?」
猫田は長い前髪の間から狐娘たちを見た。
『…。』

「…妖牙狼あやかしがろう十三歳。4月18日生まれ。O型。身長168cm。好きな食べ物は苺。最近の悩みは狐娘が頭を撫でさせてくれないこと。」

「!?」

猫田が牙狼のことを分析し始めた。
牙狼はそれを顔を赤らめながら止めた。
猫田は狐娘の方を向きじっと見つめた。
狐娘は余裕そうにニコッと笑って見せた。

「あれ?なんで狐娘ちゃんのだけ見えないの?こんなの初めてなんだけど。」

しかめっ面で猫田は狐娘に質問した。

「たかが蒼や兄貴の心が読める程度で僕の心が読めるとでも?言っとくけどなんで僕が兄貴と蒼にボスって呼ばれてるか知ってる?この中で一番強いから。」

狐娘は血走った目で睨みつけた。
目の色が茶色から赤黒い色に変わる。
警戒しているのだろうか。
どこから出したのかわからないナイフを手に持っていた。
仕方ないことだろう数分前にあんなことをしたのだから。

「まあまあ、落ち着いて。腕見せてよ。」

猫田は苦笑いをしながら腕を見つめていた。
その瞬間狐娘の目の色が赤黒い色から藍色に変わった。

「…やだ…やだやだやだやだやだっ!ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」

狐娘は耳に手を当てて震えていた。
息が荒い事を知った牙狼は蒼に指示した。

「蒼!紙袋持ってこい!」

蒼は慌てて台所へ行った。
牙狼は冷静に狐娘に話しかけた。

「狐娘ー?大丈夫か?今兄ちゃんが楽にしてやるからなー。兄ちゃんと一緒に深呼吸しようなー。」

背中を擦りさすながら深呼吸をする。
猫田は狐娘の腕を掴み袖を捲った。

「!」

腕を見ると腕いっぱいにある痣と切り傷があった。

「妹に触れるな。これで分かっただろ。お前は壁に張り付いてろ。」

牙狼は鋭い目付きで猫田を睨んだ。
猫田の体が宙に浮き壁にすごい勢いで張り付いた。
蒼が紙袋を持ってきた。
狐娘の口元に持っていく。
数分後。狐娘の呼吸が落ち着いた。

「大丈夫か?あんま無理すんなよ。」

下を向いたまま狐娘はこくんと頷いた。
蒼は水の入ったコップを牙狼に渡した。

「てかそろそろおろしてやってあの猫。」

牙狼は言われた通り猫田を下ろした。
狐娘は牙狼に抱きしめられたまま泣き疲れて寝ている。

「…俺たち双子は里親に引き取られた。でもその引き取った男は妹に暴力をふり女はそれを見て笑っていた。俺が止めると俺も殴られるはめに。そのトラウマが狐娘の中で今でも抜け出せないままでいる。」

牙狼はいつもより低い声で自分たちにあった過去を話した。
猫田はそれを聞き目を丸くした。

「きみは大人のような喋り方をするね。そういうの嫌いじゃないよ。だから。君たちにしてもらいたいんだ。安心したまえ。君たちを死なせたりなんかはしないさ。さぁ、最初の依頼を言おう。」

蒼と牙狼は、耳を傾けた。

「最初の依頼は…簡単な話あるものを届けてくれ。」
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