死後の世界はMMORPGでした

よもぎ

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1年後

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あの草原での会話から今日で丸一年がたった。はやいものだ、と俺は心の中で言いながら『冥剣・エクスカリバー』を握りしめる。

やはり死後の世界はMMORPGらしい。

目の前に湧いた鬼ゴブリンの群れを一瞬にして蒸発させアイテムを回収する。

ここは、死森ダンジョンの第10層。
多くの古参プレイヤーも苦戦を強いられる激戦の地。森の四方八方から高レベル鬼属性のモンスター達が容赦なく襲ってくる。
当然ここで命を落とすプレイヤーも少なくない。

だが俺は違う。
元廃人ニートだ!

ボスの鬼ドラゴンのブレスを冥剣の1振りでさばききり、スキル「鬼殺し」によって一撃で首を落とす。

「グオォォォオ!」

鬼ドラゴンは何度聴いたかわからない悲鳴と共に赤く光ると爆散していく。耐久が0になった証拠だ。
『ダンジョンクリア』の文字が現れる。
クリアタイムは23秒。まあ平均くらいか。

「お、やっとレベルアップ」

目の前のウィンドウにレベルアップの文字。Lv67→Lv68。その表示をみた途端どっと疲れが押し寄せてきた。

「今日はここまでにしとくかぁ」

俺はダンジョンアウトボタンを押して城下町へとワープし、自宅へと帰る。
今までやっていたのは周回だ。

現状、一番経験値効率のいいダンジョンである死森ダンジョン10層はその割には人は少ない。未だにその理由はわからないのだが。
俺はソロプレイヤーということもあり情報源はすべて自分だ。

俺はソロプレイヤーなので他の攻略勢の情報などはよく入ってこないのだ。
一年、とりあえず死後の世界とやらをプレイしてみた結果、わかったことが4つある。

①普通のファンタジー系MMORPGと仕様がなんら変わらないこと。変わるのはアイテムやモンスターの名前がやたら冥界っぽくなることくらいだ。
まあ死後の世界だし。

②ここはやはり死後の世界らしいがここでモンスターに殺されるとどこへ行くかはわからないという。

③あるクリア条件を満たすと生き返れるらしい(みんなそれを目指して攻略をしているという)

④ダンジョンは「死森」「雲」「死海」の3つの種類からなり各自、100層くらいまである、と言われている

とまあこんな感じ。
死んだときの記憶はあるのだが今死んでいるという実感はまるでない。
モンスターに攻撃されれば痛いしダンジョンに長い時間籠ったりすれば疲れたりもする。生きている、という感じは割にあって不思議だ。

一年前、あの草原で女の子と出会ったが彼女は「入口の園」という初心者ギルドのリーダーだった。
死んでこの世界にきた初心者を受け入れノウハウを教えている、と言っていたな。
俺はとりあえず攻略とか教えられたりとかされたくない主義で全部自分で体験するまで気が済まないのでその話を断ってしまった。そしてそのままロクに攻略軍団とも関わらずソロの今に至るというわけだ。

最近は周回に明け暮れる日々だ。
午前中はダンジョンで取った珍しい食材で料理をふるまい午後から夜までは周回。

午前中から周回しろって?
そうはいかないのだ。

今俺はある女の子におれは朝ごはんを振舞わなくてはいけないからだ!
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