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うさぎのキセル屋とシャボン玉
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キセル屋
煙管を作って売っている兎。キセルの他に刻み煙草や香炉、お香を作っている。
煙管の修繕や掃除も受ける職人。
人望が厚く、世話焼き。べらんめぇ調でしゃべる、喧嘩っ早い江戸っ子。
ぬしさま
妖たちが住む山の頂上にある神社を根城にする山と森の守り神。
どちらかというと妖に近い存在。
感情の起伏が薄いが、興味を持ったものにはとことん情けをかける。
普段感情を出さない分、幼いところがある
+++
キセル屋「ぬしさまー。キセル屋、参りましたよー!(間を開ける)あれ…?いらっしゃらないのか?おーい?ぬしさまー?」
ぬしさま「聞こえておる、そう大きな声を出すな」
(キセル屋の後ろからすっと音もなく現れる)
キセル屋「おおう!?ぬしさま、急に現れないでください!あっしの心臓が止まるところでしたよ!」
ぬしさま「何を言うか、お主は妖だろう?そう簡単に心の臓は止まらん」
キセル屋「いえ…妖だからとか、そういうことではなく…あっしはうさぎですよ。うさぎは心臓が弱いものなんでさ」
ぬしさま「それこそ、今更な…。我を前にして堂々と文句を言い返せるうさぎはおぬし以外におらぬ」
キセル屋「へ、へえ…そうでやんすか…。あ、ところでぬしさま、あっしをお呼びたてして、何か御用でしたか?」
ぬしさま「ああ、そうだ。これを見てほしくてな」
(パイプ型のシャボン玉のおもちゃを取り出す)
キセル屋「おおおお!?ぬしさま、こいつぁ、西洋の煙管…パイプじゃねぇですか!」
ぬしさま「やはり、お主なら知っておったか」
キセル屋「知っていますとも、知っていますとも!ずいぶん昔に西洋の妖ものに見せてもらったことがあるのですが…はぁ、この美しい曲線、惚れ惚れとしますねぇ…うんー?でも、何か違うような…」
ぬしさま「実は、このキセルが賽銭箱の隣に置いてあってな、恐らく供えるつもりで置いたのだろう」
キセル屋「はぁ…ぬしさまにキセルを供えるたぁ、中々粋な人の子がいたもんで…」
ぬしさま「で、キセルと一緒に手紙も置いてあった」
キセル屋「へぇ、手紙ですか」
ぬしさま「ああ、だが読めなかった」
キセル屋「はい?読めなかった?」
ぬしさま「ああ、汚く、非常に読みづらい。まるでミミズの這ったようだ」
キセル屋「どれ…確かに、汚い…えー、なになに?『神様へ、遊んでいてとても楽しかったので、お供えします。神様も遊んでみてね』…こいつぁ、子供の字ですね…うん?てぇこたぁ、子供がキセルを持ってきた…?しかも、遊んだ…?今時の人の子供は…キセルで遊ぶのか…?」
ぬしさま「…おぬし、よく読めたな」
キセル屋「へぇ…まあ…なんとなくですが…」
ぬしさま「…このキセルを持ってきたのは座敷童たちと遊んでいる子供たちの誰かだろう」
キセル屋「ああ、あの双子の座敷童と遊んでいる、町の子供たちですね。よく境内に遊びに来るんでしたっけ?」
ぬしさま「ああ。とてもいい子たちだ。座敷童たちと一緒に境内を掃除してくれた」
キセル屋「へぇ!そりゃいい子たちですね」
ぬしさま「ああ、だから…この供えられたキセルを、使ってみたくてな」
キセル屋「ぬしさまがですか?」
ぬしさま「我はキセルの扱い方がわからぬ、お主は専門だから教えてくれるかと思うてな」
キセル屋「なるほど、そういうことでしたら、いくらでもお教えしますよ!」
(少し間を置いて)
キセル屋「ぬしさま、大変申し上げにくいのですが…こいつぁ、キセルじゃねぇようです」
ぬしさま「なに?では、なんだというのだ?」
キセル屋「へぇ、このキセルはシャボン玉、というものを飛ばす遊びで使われるものでさぁ」
ぬしさま「シャボン玉?なんだそれは」
キセル屋「人間が見つけた、石鹸の泡の、もうちょいおおきいやつでさぁ。実際に見ていただいたほうがわかりやすいですかね?こいつにちょちょいとこのシャボン液を入れて、吸い口に口を当ててふぅ…と息を吐きますと…」
ぬしさま「おおっ!?水晶…いや、水の泡が…宙に浮いておる!キセル屋!おぬし、妖術の類を使ったのではあるまいな!?」
キセル屋「いえいえ!何もしとりませんよ!ぬしさまもやってみますか?吸い口にふう…と息を吹きかけるんですよ」
ぬしさま「吸い口に…ふぅ…」
(シャボン玉が飛ぶ)
ぬしさま「これは…中々に面白い。人は粋なものを作るな。今も昔も」
キセル屋「へぇ、そうでやんすね」
ぬしさま「よきかな、よきかな」
煙管を作って売っている兎。キセルの他に刻み煙草や香炉、お香を作っている。
煙管の修繕や掃除も受ける職人。
人望が厚く、世話焼き。べらんめぇ調でしゃべる、喧嘩っ早い江戸っ子。
ぬしさま
妖たちが住む山の頂上にある神社を根城にする山と森の守り神。
どちらかというと妖に近い存在。
感情の起伏が薄いが、興味を持ったものにはとことん情けをかける。
普段感情を出さない分、幼いところがある
+++
キセル屋「ぬしさまー。キセル屋、参りましたよー!(間を開ける)あれ…?いらっしゃらないのか?おーい?ぬしさまー?」
ぬしさま「聞こえておる、そう大きな声を出すな」
(キセル屋の後ろからすっと音もなく現れる)
キセル屋「おおう!?ぬしさま、急に現れないでください!あっしの心臓が止まるところでしたよ!」
ぬしさま「何を言うか、お主は妖だろう?そう簡単に心の臓は止まらん」
キセル屋「いえ…妖だからとか、そういうことではなく…あっしはうさぎですよ。うさぎは心臓が弱いものなんでさ」
ぬしさま「それこそ、今更な…。我を前にして堂々と文句を言い返せるうさぎはおぬし以外におらぬ」
キセル屋「へ、へえ…そうでやんすか…。あ、ところでぬしさま、あっしをお呼びたてして、何か御用でしたか?」
ぬしさま「ああ、そうだ。これを見てほしくてな」
(パイプ型のシャボン玉のおもちゃを取り出す)
キセル屋「おおおお!?ぬしさま、こいつぁ、西洋の煙管…パイプじゃねぇですか!」
ぬしさま「やはり、お主なら知っておったか」
キセル屋「知っていますとも、知っていますとも!ずいぶん昔に西洋の妖ものに見せてもらったことがあるのですが…はぁ、この美しい曲線、惚れ惚れとしますねぇ…うんー?でも、何か違うような…」
ぬしさま「実は、このキセルが賽銭箱の隣に置いてあってな、恐らく供えるつもりで置いたのだろう」
キセル屋「はぁ…ぬしさまにキセルを供えるたぁ、中々粋な人の子がいたもんで…」
ぬしさま「で、キセルと一緒に手紙も置いてあった」
キセル屋「へぇ、手紙ですか」
ぬしさま「ああ、だが読めなかった」
キセル屋「はい?読めなかった?」
ぬしさま「ああ、汚く、非常に読みづらい。まるでミミズの這ったようだ」
キセル屋「どれ…確かに、汚い…えー、なになに?『神様へ、遊んでいてとても楽しかったので、お供えします。神様も遊んでみてね』…こいつぁ、子供の字ですね…うん?てぇこたぁ、子供がキセルを持ってきた…?しかも、遊んだ…?今時の人の子供は…キセルで遊ぶのか…?」
ぬしさま「…おぬし、よく読めたな」
キセル屋「へぇ…まあ…なんとなくですが…」
ぬしさま「…このキセルを持ってきたのは座敷童たちと遊んでいる子供たちの誰かだろう」
キセル屋「ああ、あの双子の座敷童と遊んでいる、町の子供たちですね。よく境内に遊びに来るんでしたっけ?」
ぬしさま「ああ。とてもいい子たちだ。座敷童たちと一緒に境内を掃除してくれた」
キセル屋「へぇ!そりゃいい子たちですね」
ぬしさま「ああ、だから…この供えられたキセルを、使ってみたくてな」
キセル屋「ぬしさまがですか?」
ぬしさま「我はキセルの扱い方がわからぬ、お主は専門だから教えてくれるかと思うてな」
キセル屋「なるほど、そういうことでしたら、いくらでもお教えしますよ!」
(少し間を置いて)
キセル屋「ぬしさま、大変申し上げにくいのですが…こいつぁ、キセルじゃねぇようです」
ぬしさま「なに?では、なんだというのだ?」
キセル屋「へぇ、このキセルはシャボン玉、というものを飛ばす遊びで使われるものでさぁ」
ぬしさま「シャボン玉?なんだそれは」
キセル屋「人間が見つけた、石鹸の泡の、もうちょいおおきいやつでさぁ。実際に見ていただいたほうがわかりやすいですかね?こいつにちょちょいとこのシャボン液を入れて、吸い口に口を当ててふぅ…と息を吐きますと…」
ぬしさま「おおっ!?水晶…いや、水の泡が…宙に浮いておる!キセル屋!おぬし、妖術の類を使ったのではあるまいな!?」
キセル屋「いえいえ!何もしとりませんよ!ぬしさまもやってみますか?吸い口にふう…と息を吹きかけるんですよ」
ぬしさま「吸い口に…ふぅ…」
(シャボン玉が飛ぶ)
ぬしさま「これは…中々に面白い。人は粋なものを作るな。今も昔も」
キセル屋「へぇ、そうでやんすね」
ぬしさま「よきかな、よきかな」
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