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キセル屋と猫又の薬屋
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キセル屋
煙管を作って売っている兎。キセルの他に刻み煙草や香炉、お香を作っている。
煙管の修繕や掃除も受ける職人。
人望が厚く、世話焼き。べらんめぇ調でしゃべる、喧嘩っ早い江戸っ子。
猫又の薬屋
毛生え薬から火傷の薬まで多種多様な薬を売っている猫又。
皮肉屋で面白いことが好き。
キセル屋とは犬猿の仲。
+++
猫又「おいおい!そこにいるのは型遅れのキセル屋じゃあ、ないですかい?」
キセル屋「おやぁ?こいつぁ、猫又の薬屋じゃあないか?型遅れたぁご挨拶だなぁ。ええ?」
猫又「そりゃぁ、今時刻み煙草なんぞ商売で扱っているからさ」
キセル屋「へっ!余計なお世話だってんだい!あっしに何の用だよ?」
猫又「そりゃぁ、頼まれていた煙草の葉さ。ほらよ」
キセル屋「…ほぉ、そうかいそうかい。ほら、駄賃だ。釣りはいらねぇ」
猫又「こりゃ毎度どうも。型遅れのキセル屋さん」
キセル屋「うるせいやい!その型遅れのキセル屋と商売しているのはどこのドイツだ!」
猫又「おお、そこのそいつだな」
キセル屋「本当にお前とは気が合わねぇ!」
猫又「そりゃお互い様ってやつだね」
キセル屋「今日という今日は、煙草の葉が自生している場所を吐いてもらおうじゃねぇか!で、さっさとお前さんとの取引はやめてやる!」
猫又「そりゃ無理な相談だね。あっしの大切な商売が一つ潰れちまう」
キセル屋「そんなこと言ってお前、独り占めして自分だけ得するつもりだろう!」
猫又「はぁ…こりゃ随分な言い方だ。お前さん、何か誤解してるみたいだけど、煙草の葉がこの山の中で自生しているわけねぇだろう。ありゃ難しい植物だ。そもそも土壌が適していないからね」
キセル屋「はぁ?じゃあお前さん、あの大量の煙草の葉をどこから持ってくるんだ?」
猫又「人里に降りて取ってくるに決まっているだろう。もちろん、人間に化けて。きちんと手間賃を払ってね」
キセル屋「…意外としっかりしてるんだな…」
猫又「本当にお前さん、失礼な奴だね…。昔は猫の姿のまま畑に入っていたんだが、最近は畑に罠が仕掛けられるようになって、うまく近づけなくてね。そこで苦肉の策、化けて人と商売をすることにしたのさ。ま、お前さんが化けてたばこ農家と直接商売するってんなら、あっしとはきっぱり商売をやめることができるが…どうする?」
キセル屋「ったく…、いやらしい顔で笑いやがって…くそ!今後とも、是非によろしくお願いいたします!」
猫又「うんうん、よろしい。そっちのほうが賢明な判断だ」
+++
キセル屋「…おめぇ、何の用できた?」
猫又「何のとは、ご挨拶だねぇ。見ての通り、客としてきたのさ」
キセル屋「はぁ?客?お前さんが?」
猫又「妖連中(あやかしれんちゅう)がキセル屋の香(こう)はいいと噂しててね。そんなにいいならあっしも、と」
キセル屋「冷やかしならさっさっと帰っとくれ」
猫又「冷やかしなもんかい。季節を感じる香りをひとつ」
キセル屋「季節…なら、梅花(ばいか)かな。ほらよ」
猫又「ほぉ…こりゃ中々…お前さん、キセル屋じゃなくて香司(こうし)にでもなったらどうだい?いい腕してるぜ?」
キセル屋「ほっとけ」
猫又「しかし…煙草の葉はあっしからってのはわかってるが…香木(こうぼく)なんかはどこで集めているんだい?こんな上質なもの、中々見つからないだろう」
キセル屋「そりゃ、教えるわけにはいかねぇな。あっしの大切な商売が潰れちまう」
猫又「ほぉ…そうかい。なら、探るのはよしておこうかな。でも、お前さん。香炉やら香を作る技術はどこで学んだんだい?」
キセル屋「特にこれといったことはしてねぇよ。全部独学だ」
猫又「独学…ほぉ。なら、今後も通わせてもらおうかな。ついでにマタタビなんかも用意してくれると嬉しいね」
キセル屋「…気が向いたらな」
猫又「おや、いつものように食って掛かってくるかと思えば…珍しい」
キセル屋「客にはそれ相応に礼は尽くす」
猫又「フーン、そうかいそうかい。本当にお前さんは面白い兎だよ」
キセル屋「…あっしはお前さんのそういうところが嫌いだ」
煙管を作って売っている兎。キセルの他に刻み煙草や香炉、お香を作っている。
煙管の修繕や掃除も受ける職人。
人望が厚く、世話焼き。べらんめぇ調でしゃべる、喧嘩っ早い江戸っ子。
猫又の薬屋
毛生え薬から火傷の薬まで多種多様な薬を売っている猫又。
皮肉屋で面白いことが好き。
キセル屋とは犬猿の仲。
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猫又「おいおい!そこにいるのは型遅れのキセル屋じゃあ、ないですかい?」
キセル屋「おやぁ?こいつぁ、猫又の薬屋じゃあないか?型遅れたぁご挨拶だなぁ。ええ?」
猫又「そりゃぁ、今時刻み煙草なんぞ商売で扱っているからさ」
キセル屋「へっ!余計なお世話だってんだい!あっしに何の用だよ?」
猫又「そりゃぁ、頼まれていた煙草の葉さ。ほらよ」
キセル屋「…ほぉ、そうかいそうかい。ほら、駄賃だ。釣りはいらねぇ」
猫又「こりゃ毎度どうも。型遅れのキセル屋さん」
キセル屋「うるせいやい!その型遅れのキセル屋と商売しているのはどこのドイツだ!」
猫又「おお、そこのそいつだな」
キセル屋「本当にお前とは気が合わねぇ!」
猫又「そりゃお互い様ってやつだね」
キセル屋「今日という今日は、煙草の葉が自生している場所を吐いてもらおうじゃねぇか!で、さっさとお前さんとの取引はやめてやる!」
猫又「そりゃ無理な相談だね。あっしの大切な商売が一つ潰れちまう」
キセル屋「そんなこと言ってお前、独り占めして自分だけ得するつもりだろう!」
猫又「はぁ…こりゃ随分な言い方だ。お前さん、何か誤解してるみたいだけど、煙草の葉がこの山の中で自生しているわけねぇだろう。ありゃ難しい植物だ。そもそも土壌が適していないからね」
キセル屋「はぁ?じゃあお前さん、あの大量の煙草の葉をどこから持ってくるんだ?」
猫又「人里に降りて取ってくるに決まっているだろう。もちろん、人間に化けて。きちんと手間賃を払ってね」
キセル屋「…意外としっかりしてるんだな…」
猫又「本当にお前さん、失礼な奴だね…。昔は猫の姿のまま畑に入っていたんだが、最近は畑に罠が仕掛けられるようになって、うまく近づけなくてね。そこで苦肉の策、化けて人と商売をすることにしたのさ。ま、お前さんが化けてたばこ農家と直接商売するってんなら、あっしとはきっぱり商売をやめることができるが…どうする?」
キセル屋「ったく…、いやらしい顔で笑いやがって…くそ!今後とも、是非によろしくお願いいたします!」
猫又「うんうん、よろしい。そっちのほうが賢明な判断だ」
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キセル屋「…おめぇ、何の用できた?」
猫又「何のとは、ご挨拶だねぇ。見ての通り、客としてきたのさ」
キセル屋「はぁ?客?お前さんが?」
猫又「妖連中(あやかしれんちゅう)がキセル屋の香(こう)はいいと噂しててね。そんなにいいならあっしも、と」
キセル屋「冷やかしならさっさっと帰っとくれ」
猫又「冷やかしなもんかい。季節を感じる香りをひとつ」
キセル屋「季節…なら、梅花(ばいか)かな。ほらよ」
猫又「ほぉ…こりゃ中々…お前さん、キセル屋じゃなくて香司(こうし)にでもなったらどうだい?いい腕してるぜ?」
キセル屋「ほっとけ」
猫又「しかし…煙草の葉はあっしからってのはわかってるが…香木(こうぼく)なんかはどこで集めているんだい?こんな上質なもの、中々見つからないだろう」
キセル屋「そりゃ、教えるわけにはいかねぇな。あっしの大切な商売が潰れちまう」
猫又「ほぉ…そうかい。なら、探るのはよしておこうかな。でも、お前さん。香炉やら香を作る技術はどこで学んだんだい?」
キセル屋「特にこれといったことはしてねぇよ。全部独学だ」
猫又「独学…ほぉ。なら、今後も通わせてもらおうかな。ついでにマタタビなんかも用意してくれると嬉しいね」
キセル屋「…気が向いたらな」
猫又「おや、いつものように食って掛かってくるかと思えば…珍しい」
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