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第一章 一度目の異世界
02.転移
しおりを挟む——って思ってたけど……異世界、行けたね……ははっ
ドサッ
「え?」
男の子がいきなり倒れ込んだ。
「大丈夫!?」
はぁはぁと荒い息。
「すごく苦しそう……しっかりして!」
とにかく床はダメだと思い、急いで抱き起こした。その時にかぶっていたフードが落ちた。
「え……耳?それに尻尾もある」
大きな耳にふさふさの尻尾。それは異世界ものでよくみる獣人そのものだった。
「けほっけほっ…」
はっ!
「今はそんな事よりも、この子をベッドに運ばないと」
部屋の隅にあったベッドに寝かし額に手をかざした。
「うわっ、すごい熱……早く冷やさないと」
しかし水道はなく、その代わりに水瓶らしきものを見つけたので、持っていたハンカチを濡らし男の子の額にあてた。
「とにかく熱を下げないと、でも薬が……」
ここが本当に異世界なら薬は貴重品。手に入れるのは難しいだろ。一体どうしたら……
「げほっげほっ!……はぁはぁ」
「……っ」
「……かぁ、さま……」
男の子が苦しそうに手を伸ばす、俺はその子の手を取り、両手で握った。
「しっかりして!俺が絶対何とかするから!」
このままだとこの子の命が……!
なんとか出来ないかと思い、辺りを見渡した。そして床に俺が転移されたであろう場所の近くにさっきまで荷造りしていたバッグを発見した。
「あ!一緒に転移されたんだ」
俺は藁をも掴む思いでバックを掴んだ。
「確か常備薬はポーチに入れてたはず……あった!」
俺は薬と水の入ったコップを持って子どものところへ。
「本当は何か食べさせてからがいいんだけど…緊急事態だ」
男の子の頭を少し起こし、ゆっくり飲ませた。
コクコク……
「けほっ……すぅ」
男の子はそのまま眠った。これで熱が下がってくれたらひとまず安心だ。
「ゆっくりおやすみ」
俺は男の子の頭を優しく撫でた。
改めて見ると痩せて細い体と腕……きっとまともに食べれていないんのだろう。この子はここに一人で住んでいるのだろうか?親は?兄弟は?もしずっと一人で生きていたのなら、どんなに寂しくて辛かっただろう。
そう考えると胸が苦しくなり涙が溢れてきた。
俺はもう一度部屋を見渡した。6畳程の部屋にベッド、本棚、薬草らしきもの、そして入りきれていない本などが床に積みあがっていて小さなキッチンとテーブル、椅子が2脚などがあった。
しかし何日も掃除がされていないのか、あちこちに埃と蜘蛛の巣があった。この子の以外にも誰かいる?
「……いや、だったら何でこんな状態の子どもを一人、放置してるの?」
今はとにかく、この子の熱が下がってから聞いてみよう。
「にしてもすごい汗……タオルはあるけど、やっぱり冷えシートほしいなぁ」
再びバックからタオルを取り出すために手を入れながらつぶやいた。
そう、ただつぶやいただけなのだ——
手にはタオルと冷えシート。
「え?なんで冷えシートがあるの?俺、バックには入れてないよ??」
謎に思い、バックの中を覗くと俺が入れた服などではなく………
バックの中に広がる四次元の宇宙空間……そう、それはまさしく誰もが知っている超国民的アニメ、青いネコ型ロボットがお腹に付けているあのポケット。誰しも一度は欲しいと思ったあの夢の詰まったポケット、まさにそれだった。
え?待って???どうなってるの??え?え???意味がわからない??
助けて!ド◯えもーーーーーーーーーんっ!!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
四◯元ポ◯ットならぬ四次元バックです笑
常備薬は半分にすれば子どもも服用出来るものだと思ってください。
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