【第二章開幕】男子大学生は二度召喚される

皇める

文字の大きさ
29 / 33
第二章 二度目の異世界

27.困惑

しおりを挟む





———て、そんなことはないわけで


「動揺しすぎて、おかしなこと言ってしまった……ごめんね、ユリウス」

「いや……大丈夫だ」

 はぁ……と俺は息を吐き

(そうだ、この世界はオメガバースでも何でもない。αやΩ、βもいない……だけど)

「ユリウス……俺はね、再会してからずっと困惑続きなんだ」

 二度目の異世界から周りの変化や事情に正直ついて行けていない。

「なんか……俺だけ置いてけぼり感があって、蚊帳の外っていうか……俺の意思を無視してるみたいで………悲しい」

「っ、シュウそれは」

 俺はユリウスの口を両手で塞いで溜めてた不安を言った。

「ユリウスはそんなつもりはなかったのは分かってる。でもこれは俺の気持ちの問題なんだ」

 ユリウスはそれ以上言わないでくれた。

「再会出来たのは凄く嬉しいし、またあの時みたいに楽しく暮らしたいって思ったよ。でもね」

 ずっと胸に刺さっていた小さなトゲ。

「いざ異世界にまた来たらユリウスは大人になってて、実は王子様で、俺は花嫁だとか番だって言われても、実感なんて全く湧かなかった。むしろずっとどこかで他人事だと思ってた……その上で陛下から王家の事情も聞いて、俺が居た世界と比べたらあまりにもスケールが大きすぎて、もう訳がわからないよ」

 ダメだ……言い出したらもう止まらない。

「ユリウスは俺の事を好きだと言ってくれて、大切にしてくれる。衣食住だって用意してくれて、凄く助かってるし感謝もしてる。 それに俺だってユリウスに負けないくらい大好きだし大切だよ。でもそれが家族としてなのか、恋愛としてなのか正直わからない」

 ヤる事はやってるのに、自分でも何言ってるんだって思うよ、でもね。

「この刻印だってそうだ。相談なしに勝手に付けて、その上子どもを産んでほしいって、それはまた別の問題なんだよ」

 そうだ。俺がユリウスの花嫁で番だから、子どもが産めるよ。と言われて
 そうですか。はい、わかりました。
 なんて簡単に言えない。

「俺は男だし、例えこの世界では珍しい事じゃなくても、俺にとっては未知数で怖いんだよっ」

 頬がいつの間にか濡れていた。

「シュウっ、ごめん。俺はただ」

 ふいっと、ユリウスの手を避けた。

「ユリウス、他にも俺に隠してることあるよね?」

「っ……それは」

 ユリウスは咄嗟に目を逸らした。

「やっぱり……まだあるんだ」

「………ごめん。でもこれはシュウを守るためで「守る、守られるじゃないんだ。話してくれない、相談や意見を聞いてくれない事が、俺はすごく悲しいんだよ」

 俺は涙を服の裾でぬぐった。

「………ごめん。今日はユリウスと一緒に居たくない」

「シュウっ」

 ユリウスが俺の腕を掴んだ。
 しかし、俺はそれを振り解き

「お願いだからしばらく一人にしてほしい」

 心がぐちゃぐちゃでこれ以上ユリウスに酷いことを言ってしまいそうだった。

「………ごめん、シュウ。でもこれだけは言わせてほしい。俺はシュウの事を傷つけるつもりはなかったんだ」

 そう言ってユリウスは部屋から出て行った。

 ユリウスが出て行ったドアをしばらく眺めて、ぼすっとソファに置いてあるクッションに倒れこんだ。

「………っ、やつ当たりとか最低だな、俺は」

 そう呟いて、俺はしばらくソファの上から動けなかった。








ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いきなりなに?っとびっくりされたと思います。でもやっぱり一人だけ話に入れない、分からないのってつらいと思うんです。
溜まってたもやもやがここで爆発したシュウでした。

次回、ユリウス視点です。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

病み墜ちした騎士を救う方法

無月陸兎
BL
目が覚めたら、友人が作ったゲームの“ハズレ神子”になっていた。 死亡フラグを回避しようと動くも、思うようにいかず、最終的には原作ルートから離脱。 死んだことにして田舎でのんびりスローライフを送っていた俺のもとに、ある噂が届く。 どうやら、かつてのバディだった騎士の様子が、どうもおかしいとか……? ※欠損表現有。本編が始まるのは実質中盤頃です

身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される

秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました! 最終17位でした!応援ありがとうございます! あらすじ 魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。 ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。 死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――? 傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。

小学生のゲーム攻略相談にのっていたつもりだったのに、小学生じゃなく異世界の王子さま(イケメン)でした(涙)

九重
BL
大学院修了の年になったが就職できない今どきの学生 坂上 由(ゆう) 男 24歳。 半引きこもり状態となりネットに逃げた彼が見つけたのは【よろず相談サイト】という相談サイトだった。 そこで出会ったアディという小学生? の相談に乗っている間に、由はとんでもない状態に引きずり込まれていく。 これは、知らない間に異世界の国家育成にかかわり、あげく異世界に召喚され、そこで様々な国家の問題に突っ込みたくない足を突っ込み、思いもよらぬ『好意』を得てしまった男の奮闘記である。 注:主人公は女の子が大好きです。それが苦手な方はバックしてください。 *ずいぶん前に、他サイトで公開していた作品の再掲載です。(当時のタイトル「よろず相談サイト」)

この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜

COCO
BL
「ミミルがいないの……?」 涙目でそうつぶやいた僕を見て、 騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。 前世は政治家の家に生まれたけど、 愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。 最後はストーカーの担任に殺された。 でも今世では…… 「ルカは、僕らの宝物だよ」 目を覚ました僕は、 最強の父と美しい母に全力で愛されていた。 全員190cm超えの“男しかいない世界”で、 小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。 魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは── 「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」 これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

花屋の息子

きの
BL
ひょんなことから異世界転移してしまった、至って普通の男子高校生、橘伊織。 森の中を一人彷徨っていると運良く優しい夫婦に出会い、ひとまずその世界で過ごしていくことにするが___? 瞳を見て相手の感情がわかる能力を持つ、普段は冷静沈着無愛想だけど受けにだけ甘くて溺愛な攻め×至って普通の男子高校生な受け の、お話です。 不定期更新。大体一週間間隔のつもりです。 攻めが出てくるまでちょっとかかります。

腐男子♥異世界転生

よしの こひな
BL
ある日、腐男子で新卒サラリーマン・伊丹トキヤの自室にトラックが突っ込む。 目覚めたトキヤがそこで目にしたのは、彼が長年追い続けていたBL小説の世界――。しかも、なんとトキヤは彼が最推しするスパダリ攻め『黒の騎士』ことアルチュール・ド・シルエットの文武のライバルであり、恋のライバルでもあるサブキャラの「当て馬」セレスタン・ギレヌ・コルベールに転生してしまっていた。 トキヤは、「すぐそばで推しの2人を愛でられる!」と思っていたのに、次々と原作とは異なる展開が……。 ※なろうさん、Caitaさん、PIXIVさんでも掲載しています。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

処理中です...