TS巫女が圧倒的強者足る雄に惨めにも全裸土下座にて安産型のむち尻掲げた挙句の果てに交尾を懇願する程に雌落ちした隷属花嫁に至るまでの軌跡

ユキリス

文字の大きさ
47 / 182

愚者

しおりを挟む
 衝撃さえ伴い、颯爽と己の眼前へと対峙するかの様に、疾風の如く現れた黄金の救世主アレスを前にして、龍鬼は僅かながらに、その彫像の如き表情を動かした。

「貴様、もしや‥アレスか?」

 力強い瞳に鋭い眼光を称えた龍鬼は、毅然とした立ち振る舞いで、眼前に立ち塞がる偉丈夫を見据え、誰何の言葉を投げかける。

「そうだ。覚えていてくれたか。戦役時代共に戦ったアレスだ」

 問いかけに対して、その美麗で端正な顔立ちを再開の歓喜に緩ませて、朗らかな笑みを浮かべるアレス。

「ほう‥久しいな。息災であったか」

 平素の穏やかな表情から豹変し、口の端を吊り上げ、壮絶な笑みでもって応じる龍鬼は、快活に言葉を続ける。

「して、今更俺に何用で、こんな山奥まで兵を引き連れてきた?」

 しかしながら、即座に笑みを消失させた龍鬼は、無機質な瞳で、アレスを油断なく見据えた。

「ああ、お前はもしかしたら断るかもしれないが‥。再び俺と共に肩を並べて、魔軍と戦って欲しいのだ」

 簡潔に潔く用件を述べたアレスは、獰猛な笑みを浮かべ、片手を龍鬼へと差し出す。

「‥すまないな。己に誓ったのだ。ユキを守るために生きることを」

 突き出された片手を一瞥した龍鬼は、その手を握ることなく、彼は無常にも左右に首を振り、にべもなく拒絶の意思を示した。

「‥そうか‥それなら致し方あるまい」

 暫しの間互いに真剣な瞳で視線を交わしていた両者であったが、遂に諦観の面持ちを浮かべたアレスが、潔く踵を返し、アレキサンダーの肩に手を置いた。

「あ、ああ。だがいいのか?」

 本来の予定とは異なるアレスの突飛極まる行動に、困惑の表情を浮かべるアレキサンダーである。

「独り身であれば無理にでも連れて行けたかもしれないが、奴にはもう守るべき者がいる」

 静かながら、荘厳な、それでいて諭す様な低い声音で、言い含めたアレスは、この場で処なさげになく立ち竦む兵等へと向き直る。

「これより王都へと帰還する!」

 腹の底から響き渡る、張り上げた怒号のように大きなアレスの声に、兵等は皆一様に佇まいを正し、敬礼する。

「先陣はこの私が切ろう。無事に辿り着きたいのであれば私に続けぇ!」

 そしてアレスが歩み出すべく、一歩地面を踏み出すと共に兵等は、綺麗に足並みを揃え、一切の淀みさえ見せることなく後に続く。

 その中には、先程まで龍鬼と対峙していた、白銀の勇者アレキサンダーの姿も見受けられた。

「いいのかよ親父‥」

 未だ遺憾を残した面持ちの、アレキサンダーが、アレスへと声をかけ、不満を入り混じらせた声音で言葉を投げかけた。

「王には私から報告しよう。お前が案ずることではない。それに‥」

 力強い瞳で己の息子を見据え、きっぱりと断言するアレスは、続く言葉に僅かながらの躊躇いを見せたが、次の瞬間には微苦笑を浮かべて、口を開いた。

「例え奴に挑んだとして、微塵も勝算はあるまい。お前とてそれは理解しているだろう?」

 次いで、なんら容赦なくアレスから紡がれた、無常なる認め難い事実は、アレキサンダーの勇者としての矜持を、深く傷つける。

「それは‥」

 なんらかの反論を試みるべく舌を動かそうとした、アレキサンダーであったが、先程の龍鬼との戦闘が脳裏をよぎり深く頭を項垂れて、か細い声を漏らすしかなかった。

「しかし、よくもまぁ奴に単独で挑みかかったものだ。そこは誇っていい。流石は我が息子だ」

 沈んだ面持ちを見せている己の息子に対して、先程の真剣な表情から一転、誇らしげな笑顔を浮かべ、賞賛の言葉を送るアレス。

「いや、あれは戦いとも呼べない。一方的に遊ばれていただけだ」

 しかしながら、己の父から受けた賛辞の言葉に対して、緩慢な動作で左右に首を振るアレキサンダーの面持ちは、一向に晴れる様子を見せない。

 そして、僅かながらに気落ちした姿を見せる彼は、暫くの間口を噤み、沈黙を保っていた。

「─いつかは届かせてみせる」

 しかし、言葉の繋がりが見られない様な、了見が得られない、意図の不明瞭な言葉を唐突に吐き出したアレキサンダーは、俯けていた視線を正面へと向ける。

「─ふ」

 そんな彼の瞳に宿る、強靭で不屈な意志の光をか垣間見て、アレスはその精悍で美麗なかんばせに爽やかな笑みを浮かべる。

 我が息子の瞳から窺える感情の色は、貪欲に強者へと至るために必要な最低限の資質。

「シッ」

 唐突に目の前に現れた、巨大なる異形に向けて、僅かな呼吸を吐き出すと共に、己の銀刀を一閃させた。

 相手に自らの危機を悟らせることさえなく、確殺に至るための脅威が、その強大な命を刈り取った。

 強靭な肉体を撫でる銀光の煌めきが、迅雷の如き神速を伴い、肉薄した存在を二つに分かち、瞬時に両断する。

 一泊遅れて熱の感じられる鮮血が、美麗に両断された肉の断面から、悍しい程に噴き出した。

 剣身を濡らして、纏わりつく醜悪な臭いを漂わせる血液を、返す刃で振り払い、地面へと赤黒い跡を残す。

 異形の怪物が、激痛に絶叫をあげる間もなく、地面へとくずおれて、その衝撃によってあたりに砂塵を巻き上げる。

 虚空に存在していた砂埃が舞い落ちて、斬首された異形の巨体が顕となった。

「‥すごい」

 兵等の中でも未だ、若輩の齢である新兵の一人が、一連の人外染みた芸当を目の当たりにして、感嘆の声を漏らす。

 しかしながら、己の息子の未来へと思いを馳せるアレスは、その称賛の言葉に応じることもなく、僅かながらに湧き上がる、高揚感に身を任せて、再び前方の暗い森の奥深くを見据えた。


 *










 聖王国が誇る、黄金の救世主アレスの息子である白銀の勇者アレキサンダーは、先程に目にした漆黒の、神秘的なまでに美しい、麗しの乙女を想起する。

 赤銅色の岩男の如き強大な鬼人に、一眼見ただけでも欲情を催してしまう程に蠱惑的で豊満な肢体を預け、しなだれかかる姿は、瞠目に値する。

 それ程までに美しく、魔性と称して差し支えない美貌を誇る少女であった。

 腰元まで伸びた、漆黒の癖一つない艶やか長髪からは、まるで魔力が宿り発光している様にも幻視した。

 宝石の如く透き通る切長の涼やかな瞳は、憂を帯びて、何処か儚げな印象を受けた。

 否応なしに惹きつけられる、当然の様に整った人形の如き美貌には翳りが差して、圧倒的なまでの強烈な色香を漂わせていた。

 凡そこの世に現存する生き物とは思えない程に、隔絶した、全てを超越せし美貌が脳裏に刻まれて離れなかった。

 幾度となく意識を逸らそうと試みようとも、その意志は呆気なく覆され、無常にも美貌の少女へと思考は引き戻される。

 それは、アレキサンダーだけではなく、彼女との邂逅を果たした者達が一様に悩まされるている事柄だった。

 無論アレスとて例外ではないが、彼は自らが操を立てている相手に対して、呆れる程に極めて一途である。

 故に多少の心の揺らぎを感じたとしても、それは例外中の例外であり、あの漆黒の少女が異端であることを理解していた。

 だからこそ、即座にあの場を離れ、少女の前から離脱したことにより、正気を取り戻すことができた。

 昔からの旧友との再会を心底から歓喜していたのは事実であり、共に酒をあおり、語り合いたいくはあった。

 しかしながら、あの魔性の少女は、数々の戦場を経験し勲功を残して、王国の象徴とされる黄金の救世主と称されるまでに至った彼であっても戦慄し得る程に危険性を秘めている。

 長年己と共にあるアレスの第六感、或いは天性の感覚、獣の本能と称されるそれが、警笛を鳴らしていたのだった。

 それもその筈、それは偶然ではなく、感じて然るべき極必然な事象であった。

 その未来予知と称しても過言ではない程に優れた直感を、裏付けるかの如く、兵等が口にしているのは、悉くがあの麗しき漆黒の乙女の話題に限られていた。

 彼等は口々に彼女の美貌について語り合い、自らの醜悪で邪な獣欲を露わにした。

 しかし、あの麗しい絶世の美貌の少女と、己が如何に釣り合っていないかを、彼等は正確に理解していた。

 正に高嶺の花と称して差し支えない、美しい漆黒の少女を想い、彼等は諦観の面持ちで嘆息した。

 概ねの兵等は身の程知らずな己を弁えて、無情なる現実を受け入れる。

 だが、彼等の中にもとうに成人を迎えて尚、未だ性交経験がない者も存在していた。

 そんな哀れで惨めな彼等は、自らの劣った人間性さえも顧みることなく、不敬にもかの漆黒の麗しの少女に対して懸想する。

 そんな愚かしくも悍ましい、自らが他者より劣っていることにも自覚がない、劣等人種の彼等は、不敬にも己の矮小な愚息を衣服越しに屹立させていた。

 往々にして身の程を弁えていない、愚か者は何処にでも存在し得るものである。

 そんな穢らわしいまでに、唾棄すべき存在は、アレスが率いているこの小隊にも僅かながらに、その存在を見せていた。

「おい‥あんな上物、もう一生拝めねぇぞ」

 そして、一人の無精髭を生やしている不潔な男が、周囲の仲間に囁きかけるように、人目を憚り顰ませた声をかけた。

「そ、そうだよね。ぼ、ぼくもそう思うよ。で、でもだからって、ど、どうする‥の?」

 彼の唆す様な言葉に反応したのは、顔の造形が生物に対しての侮辱さえ感じてしまう程に、極めて醜悪な造りをしている男である。

「はぁ?あんな女何処にでもいるだろ?俺は別にどうとも思わなかったけどな」

 次いで返答したのは、前者の二人とは対称的に、特筆すべき点がない、凡夫極まる男だった。

「へへ、勇者はビビって何もできなかったが、俺たちは一流の兵士だ。謂わばプロだ。あんな若造に任せていなければ今頃、あの女と‥。へへっ、わかるだろう?もしも上手くいきゃあ、お前らにも回してやるからよ。それにあの女を人質に取れば、今回の任務の目的もはたせらぁ。そうだ、一石二鳥ってやつだぜぇ。勇者様と救世主様のできなかったことを、俺たちがやり遂げて、お上に報告すれば、これは勲章モンだぜ。ヒヒっ。どうだぁ?ここまで言えば頭の巡りの悪いおめーらにも理解できたよなぁ?俺の話にはそんだけ旨みがあるってこった。もちろん手柄は俺が多くもらうが、おめーらにも旨みはあるぜぇ?まずはあんな上物を抱けるってこったぁ。娼婦なんか目じゃねぇくれぇにべっぴんだぁ。こんな機会二度とねぇぜ。どうだい?俺の話に乗るか?」

 往々にして悪徳の素質を持つ輩は何処にでも存在するが、この様な手合いの話に乗る者は例外なく愚者である。

「わ、わかった。ど、どうすればいい?さ、三人で一気にかかるのか?」

 そして、愚かしくも、破滅への道を、彼等は自ら歩むこととなる。

「俺はどうでも良いけどな。それで?あくまでただの興味本位だが、どういう手段でいくんだ?」

 そう、彼等は既に抗い難い、強烈な魔性を漂わせる漆黒の少女に魅入られてしまっていた。

 そんな、自業自得ではあるが、不幸な彼等の命運や如何に─


 *
















 そんな彼等の心中を知る由もないユキは、その絶世の美貌に、平素の清廉な振る舞いを忘れて、何処か呆然とした面持ちを浮かべていた。

「行ってしまわれましたね‥」

 あまりに呆気なく、拍子抜けする程にあっさりと、当初の目的を諦めて、森の奥深くへと姿を消した彼等へと視線を送り、未だ震えが残る声で呟くユキ。

 そんな彼女の白魚の如き真っ白で繊細な指先は、恐怖も顕に小刻みに震え、龍鬼の逞しい胸板に縋り付くかの様に這わされている。

「‥その‥わたくし‥は、裸を見られてしまいました。‥それも誰かもわからぬ初対面の殿方に‥」

 そして、唐突にその美しい均整のとれた豊満な肢体を、自らのか細い両腕で掻き抱き、その絶世の麗しい美貌を羞恥により、可愛らしく林檎の様に赤く染め上げた。

 初雪の如き白磁にも勝る、純白の美貌を、可憐にも紅潮させた彼女の臀部に対して、無遠慮に手を伸ばした龍鬼は、そのまま己の肉体へと、何の躊躇いもなく引き寄せた。

「なに、美しい女であれば、なんら恥に思うことはあるまい。不本意かもしれんが、俺は誇らしいぞ」

 白く滑らかな、筋肉など一切が付いていない、柔らかな感触の裸身に手を這わせ、ユキの肩を力強く抱きすくめる龍鬼。

「‥ぁ❤️」

 筋肉が隆起した逞しい腕の感触を肌越しに感じたユキは、自身が心底から雄に屈服しいることを理解して、下腹部に甘く切ない疼きを覚えた。

「そんな‥❤️わたしくしなど‥❤️」

 はちきれんばかりにたわわに実った、豊満な乳肉を隠していた腕を、ぎゅうっ❤️と柔らかな初雪の如き真っ白なできめ細かい肌へと押し付ける。

 腕から伝わる圧迫により、むにぃ❤️と豊満な乳房が淫らにも形を歪ませて、殊更に獣欲を掻き立てるような扇状的な光景を作り出す。

「はは、愛い奴め」

 自らを卑下しながらも、宝石の如く美しい切長の瞳を揺らがせて、その儚げな美貌に喜色を浮かべている姿は息を呑むほどに華恋である。

 そんな彼女の頭部を我が物顔で無造作に撫で、不躾にも艶やかな漆黒の美しい長髪を散らした。

「ん❤️あの‥恥ずかしいので‥❤️」

 されるがままにその肢体を愛撫されていたユキだが、流石に羞恥に耐えかねたのか、丁寧に地面に折り畳まれている着物を手に取った。

「これから如何しましょう?」

 手早く熟れた動作で、着替えを終えた彼女は、自らの頭上を仰ぎ見て龍鬼の顔色を窺った。

 自身の支配者たる龍鬼の意向を予め把握して、自らの意見は二の次に置き、強者ある雄の言葉に付き従う。

 それが、龍鬼の寵愛を賜る鬼人族の雌としての、自らの最低限の務めであることを自覚していた。

 惨めで愚かなる卑しい雌であることを、深く正確に理解しているユキは、偉大で敬い、崇めるべき雄と自らの上下関係を明確に示すことで部を弁えていた。

「そうだな‥ゲンはこのまま新人の育成を続けるだろう。だが、あまり見ても面白いものではない。故に‥」

 洗練され計算された尽くしている、媚びた上目遣いでの問いかけに、龍鬼は諭すかの様に言葉を続けた後に、僅かに上体を落とす。

「きゃっ」

 次いで、ユキのむっちりとした安産型の臀部へと腕を回し、仰向けにした彼女を両腕の中へと抱き止めた。

「‥お父様❤️」

 所謂、お姫様抱っこのをされている自身の状況を把握したユキは、うっとりとした媚びを多分に含む瞳で、自らの頭上を仰ぎ見る。

 そして、甘く蕩けた声を漏らした彼女は、自らが抱かれている、鋼の如き筋肉が逞しく隆起している、龍鬼の胸板へと顔を埋めた。

「やることもあるのでな。そろそろ帰らねばならん。すまんな‥。しかし、また連れていく機会もあろう。惜しむことはない」

 豊満で蠱惑的な身を預けてくる、己の愛しい娘の漆黒の美しい長髪を無骨な指先で優しく梳いて、気遣う様子を見せる。

「いえ、違うのです。‥わたくしは今まであまりこういったことはしたことがなかったので、とても新鮮で楽しかったのです。今回はお父様の勇敢で素敵な御姿を拝見することができたので凄く嬉しかったです。お父様、本当にありがとうございました。でも少しばかりお父様との時間が終わってしまうのが寂しいです。ですので、その‥お顔失礼致します‥ん❤️‥ちゅ❤️‥ちゅる❤️」

 宝石の如く透き通る真摯な瞳で龍鬼を見上げる彼女は、嘘偽りのない心底からの感謝の口上を述べた後に、自らの臼桃色の唇を捧げた。

「んんっ❤️ちゅ❤️んっ❤️ちゅる❤️」

 舌さえ絡めているものの、先ほどのまぐわいとは異なり、そこに介在しているのは情欲ではなく、穢れのない純粋な想いのみ。

「んんっ❤️好きっ❤️すきですっ❤️ちゅる❤️ちゅ❤️」

 濃厚に互いの口腔粘膜を貪りながらも、ユキから感じられる、平素通りの上品な印象は失われることはない。

 淑やかなでゆったりとした動作で、龍鬼の無骨な指へと自らの、白魚の如き繊細な五指を絡め、濃厚に舌を絡ませ合い、ねっとりとした唾液を飲み下す。

「ちゅ❤️ちゅる❤️んん❤️んんっ❤️ぷはぁっ❤️‥ふふ‥❤️お慕い申し上げています❤️今夜もユキのことを可愛がってくださいましね❤️」

 多分に媚びを含んだ上目遣いで、龍鬼を見上げて、絡ませた五指を互いにぎゅうっ❤️と、力強く握り合う。

 うっとりと龍鬼を仰ぎ見るユキの切長の瞳は潤んで蕩け切り、眦を垂れさせる姿は強烈な色香を漂わせている。

 酷く扇状的であり美しいその様は、殊更に龍鬼の雄としての支配欲を昂らせて、己の娘への愛情が深まった。

 そうして、二人は幸福な一時を過ごした、この大自然を後にするべく帰路につく。

 来た道を再度戻るべく、改めて己の意識を鮮明に尖らせて、力強く足を踏み出そうとしたその時だった。

 後方から僅かな枝葉を掻き分ける音を拾い、龍鬼は再度踵を返し、鋭い眼光を伴う切長の鋭利な瞳で、油断なく眼前を見据えた。

「何者だ」

 腹の底から響くかの様な、低い声音での畏怖すら感じられる、圧迫感の伴う誰何の声に、未だ草花に身を隠している複数の人影が息を呑む気配が窺える。

 そんな、不審な様子を目の当たりにして、己の腰を落とし、重心を前方へとかけて、上体を傾ける。

 警戒心を露わに、ユキの全身を納めた片腕に意識を払い、力強く抱き止める。

 そんな剣呑な圧迫感を滲ませて、その巨大なる背に気炎すら伴った龍鬼の迫力に支配され、痛い程の重圧がのしかかる静寂が辺りを包み込む。

「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

 遂に耐え切ることが叶わなかった一人の男が堰を切ったかの様に、情けない甲高い叫び声をあげて龍鬼へと突進した。

 気が動転した様子の醜男は、携えていた剣を抜き放つこともなく、その四肢でもって果敢にも龍鬼へと挑みかかる。

 しかしながら、醜男の愚かしくも無謀極まる凶行は、その勇気も虚しく、無常にも砕け散ることとなる。

 出鱈目に振り上げた、重心の乗っていない拳は、当然ながら龍鬼へと至ることもない。

 醜男は龍鬼へと接敵した瞬間に、鬼人から吹き荒れた気炎に吹き飛ばされ、再度元居た森林へと姿を消した。

「おいッ、何先走ってんだよッ!これじゃあ奇襲ができねぇだようがよぉッ!」

 静寂が支配していたこの場に、耳をつんざくかの様な怒号が響き渡り、反響して森の中で木霊する。

 沈黙を打ち破った後に暗い森林から姿を現したのは、髭面の男と何処にで居そうな平凡な青年。

「へへっ、抵抗しなければ痛い目みないで済むぜぇ」

 先程の醜男の姿を見受けることはできないが、頭目と思しき髭面の男は、下卑た視線をユキへと向ける。

「お父様‥」

 そんな悍ましい男の邪悪な欲望を受けて、嫌悪感を滲ませたユキは、龍鬼の逞しい肉体へと縋り付くかの様に身を預けた。

 その類まれなる絶世の美貌を歪ませて、忌避感も露わにした彼女は、醜悪な男達から、その美しい美貌を背けて、龍鬼へと縋り付く。

「ユキ、怖いです」

 その姿は、強烈な色香を漂わせる程に魔的であり、まるで幼子の如く可憐でもある。

 それら二つの相反する要素を兼ね備えた麗しの乙女は、無常にも、男達に対して注ぐ眼差しは酷く冷ややかだ。

 宝石の如く透き通る美しい切長の、澄み渡る涼やかな瞳は侮蔑と共に僅かながらの嘲の色を称えている。

「この程度の輩など案ずるに及ばん」

 感情の機微を察した龍鬼は、まるで幼子を宥めるかの如く、その無骨でゴツゴツとした大きな手のひらをユキの頭部へと伸ばし、なんら躊躇いを見せることなく無遠慮に撫でた。

 敵前であるというのにも関わらず、ユキに対して気遣いを見せる姿からは、一貫して余裕のある立ち振る舞いが見て取れる。

「お父様の御姿、とても頼もしく素敵でございました❤️」

 自らを撫でる龍鬼の無骨で大きな手のひらへと、愛おしげに頬を寄せて、うっとりと恍惚に美貌を蕩けさせて、甘い媚びた声を漏らすユキである。

「くそッ!!」

 そんな傲った態度を見せられていた男二人は、遂に腹に据え兼ねたのか、唐突に腰元の剣帯へと手を伸ばす。

 金属同士が擦れ合う鈍い音を立てて、陽の光に当てられて刀身が、鋭利な煌めきを放っていた。

「うおおおお!!」

 次いで、勇ましくも果敢に、雄叫びをあげて、龍鬼へと突貫する青年。

 刺突の構えで繰り出された、ある程度は様になっている、己が全身全霊が伴う、この状況下での最善の一撃。

 対して対峙する龍鬼は、なんら動じた様子もなく、堂々とした立ち振る舞いで、その場で佇んでいる。

 しかしながら、その畏怖すら感じられる程に鋭い眼光は、揺らぐことなく、迫り来る脅威を見据えていた。

「なッ」

 金属同士が擦れ合う様な耳障りな甲高い音が響き渡る。

 まるで鋼鉄へと叩きつけたかの様な感触を、振るった剣身から感じて、腕を伝い全身へと、形容し難い怖気が駆け巡る。

 青年は驚愕も露わに、瞳を見開いて、自らの全力が伴う一撃が、龍鬼の赤銅色に輝く肌に、阻まれたことを理解する。

 そして当然の如く、龍鬼の指先一つで容易く受け止められていた己の一刀を前にして、戦意が喪失した青年の肉体からは、操り人形の糸が切れたかの様に力が抜けた。

「ひッ」

 無様にも腰が抜けた様に地面に尻餅をつく青年は、後ろ手に地面を這いずって後退する。

 そんな惨めで哀れな、醜態を晒す青年の矜持を気に留める様子もなく、龍鬼は一方前進して相手との距離を詰める。

「ま、まってくれ、殺さないでくれぇッ!!頼むッ!。お願いだッ!なんでもするから!!」

 遂には眼前まで接近した龍鬼の巨大なる体躯を仰ぎ見て、青年は自らの尊厳すら貶めて、惨めに身も命乞いを始める。

 手に持った剣を正面へと振り回し、息を荒らげて、酷く混乱している様子が見て取れる。

 そんな無様な醜態を晒す彼になんら構うことなく、龍鬼の手は青年の持つ剣へと向かい伸びる。

 迫り来る龍鬼の悍ましい程に巨大なる手のひらに、強烈な畏怖と共に怖気をも覚えた青年は、恐れも露わに瞳を閉じた。

 そして、遂に龍鬼の手が刀身を捉えると、そのまま自らの手へと力を込めた。

 正に人外たる鬼人族の圧倒的な握力が、鋼の強度を誇る刀身をも軋ませる。

 そして─

「あ‥あぁぁぁ‥たすけ‥たすけて‥おねがいします‥おねがいします」

 甲高い硝子が割れたかの様な音を立てて、青年の矜持と共に、白銀の刃が龍鬼の手中で砕け散った。

 気がつけば青年の下半身からは、湯水の如く、据えた匂いのする液体が溢れ出て、地面を濡らしている。

 それから匂い立つ異臭に、その美貌を顰めたユキは、龍鬼の顔へと、その艶やか薄桃色の唇を寄せ、何事かを耳打ちする。

「‥お父様、あの‥なんだか可哀想です。わたくしは彼等に怒りを抱いているわけではございません。どうか御慈悲を頂けませんか?」

 目の前で穴という穴から液体を垂れ流しにする青年の姿を目の当たりにしたユキは、侮蔑の眼差しから一転、聖母の如く優しげな哀れみの表情へと変じていた。

「ふむ‥」

 己の腕の中で身を寄せて、その豊満で肉感的な肢体を押し付けて、耳元で囁いてくるユキ。

 彼女の提案に暫し、一考する様子を見せた龍鬼はその精悍ながらも厳しい強面の顔を青年に近づけて言い放つ。

「─失せろ」

 それはまるで、地獄の底から這い出てきた鬼の如く、畏怖すら覚える程に悍ましい、冷徹な声だった。

「ひ‥ひいぃぃぃぃぃぃッ!!」

 冷酷無慈悲な鬼人の鋭い眼光に射抜かれて、青年は脱兎の如く跳ね上がり、森の奥深くへと消えていった。

「ちぃッ!おいッ!まてよッ!クソッ!ふざけやがってッ!お、覚えてろよっ!」

 次いで、青年の逃走を呆然と眺めていた髭面の男も同様に、恐怖に頬を引き攣らせ、負け犬の遠吠えと思しき捨て台詞を残して姿を消した。

 目を凝らすと森林の中で倒れている醜男の身体も抜け目なく回収して、目覚ましい程に見事な遁走を見せていた。

「ふふ‥お父様。彼等に御慈悲を頂き感謝致します。流石はお父様でございます❤️その慈悲深さ本当に尊敬致します❤️」

 未だ絶叫をあげて、獣道を駆けていく彼等の姿を慈愛さえ滲ませる聖母の如き、穏やかな笑みで見送るユキ。

 その宝石の如く透き通る、澄み渡る涼やかな切長美しい瞳には、心底からの慈愛が満ち満ちていた。

 元来争いを好まない彼女の暖かく慈悲深い精神性が、殊更の滲み出ている様子が窺える。

 そんなユキの神秘的なまでに幻想的で、儚げに美しい姿に、龍鬼は己の娘に対して心底から溢れんばかりの深い愛欲を感じて囁いた。

「愛しているぞ」

 低く力強い、硬い意志が感じられる声で愛の言葉を捧げられて、逞しい腕の中に抱き止められる。

「あん‥❤️わたしもお慕い申し上げています❤️お父様ぁ❤️」

 ユキは自らの父が、如何に強者であり、この世にあまねく、ありとあらゆる生き物とは遥かに超越し、隔絶した存在であることを、改めて思い知らされる。

「んん❤️お父様の御身体とっても素敵でございます❤️こんなにも逞しくて‥❤️わたくしなどとは比べ物になりませんね❤️本当に‥❤️お父様はお強くあられますね❤️」

 鋼の如き逞しい筋肉が隆起した胸板に、甘える様に顔を埋めたユキは、肌を触れ合わせるだけで、自らの下腹部が甘い疼きを覚えるのを自覚する。

「何、ユキとて魅力的だろう。おなごであるのだから、不要な筋肉など要らぬであろう。それに‥」

 白魚の如き繊細な指先を艶かしくも龍鬼の胸板へと這わせるユキは、艶やか薄桃色の唇から甘く悩ましげで切ない吐息をこぼした。

 蠱惑的で豊満な肢体を、鋼の如き筋肉に覆われた龍鬼の肉体へと押しつけて、硬い赤銅色の肌へと、うっとりとした羨望の眼差しを向けている。

 その姿は、自らのむっちりとした肉感的であり、蠱惑的で淫猥な肢体よりも、逞しく男らしい肉体を切望しいるかの様だった。

 彼女のその様な趣向は、幼少期の時分に多く見られた傾向ではあったが、龍鬼はさして気に留めることはなかった。

「こんなにも魅力的なのだから、なんら変わる必要はあるまい」

 言葉と同時に、なんの躊躇いもなくユキの柔からかな乳肉を下から掬い上げるかの様に、無遠慮に揉みしだく龍鬼。

「あんっ❤️ん❤️もう‥❤️本当に仕方がないお方でございますね❤️所用があったのではなかったのですか?この様なことをしていては日が暮れてしまいますぅ❤️んんっ❤️もう‥❤️そんなに強くしたら跡が残ってしまいますっ❤️ん❤️あっ❤️んんっ❤️」

 窘めるかの様な口調で、抗議の視線を龍鬼へと向けるユキであるが、宝石の如く透き通り、美しく澄み渡る切長の瞳には、確かな喜悦の色が垣間見えた。

 龍鬼のゴツゴツとした無骨な五指に、自らの豊満な乳肉をぐにぐにと弄ばれる彼女は、悩ましげにむっちりとした安産型の尻を、艶かしい動作でその臀部をくねらせる。

「お父様っ❤️ダメですっ❤️今夜はしっかりと御奉仕致しますので、どうか何卒っ❤️床での夜伽にてお父様の子種を受け賜りたくっ❤️んんっ❤️あんっ❤️んんっ❤️」

 更にはその柔からかな尻肉に当たる、龍鬼の逞しく屹立している男根の感触にユキは甘く上擦る、僅かに掠れた囁き声でささやかな抵抗を示す。

「ほう‥、それならば今宵の伽を待つとするか」

 豊満な双丘からなぞるように、無骨な五指を伝わせて、突き出しているむっちりとした色白の尻たぶを鷲掴む。

 はちきれんばかりに育った柔らかな尻肉が、むにぃ❤️圧迫している五指の隙間から、その脂肪が漏れ出ている。

「は、はい❤️一生懸命御奉仕させて頂きますので、どうか偉大なるお父様の子種をお恵みくださいまし❤️」

 自らの雌としての卑猥な程に豊満な肢体を弄ばれるユキは、初々しくも林檎の様に頬を赤く染める。

 初雪の如ききめ細かい肌を紅潮させ、可憐にも微笑を称えた彼女は、多分に媚びを含んだ甘い声で懇願の言葉を述べた。

「ならば、望み通り早急に帰り、床の用意をせねばならんな」

 彼女の羞恥に震えながらの甘いささやきを受けて、龍鬼は口の端を吊り上げ、精悍な顔立ちに豪快な笑みを形作る。

 荒々しく腕の中に抱いたユキの頭を撫でる龍鬼は、己の昂る本能のままに、低く獣の唸り声の様に、力強く彼女の耳元で囁いた。

「は、はい❤️偉大なるお父様の寵愛を賜ることができることを、とても光栄に思います❤️そして、卑しくも淫らなこのわたしくしに、お情けを頂けることに、心底から感謝申し上げます❤️」

 男らしい宣言を受けて、自らの下腹部に切なく甘い疼きを覚えたユキは、その湧き上がる愛欲に身を震わせて、龍鬼の頬に艶かしい動作で指を伝わせた。

「ああ、精魂尽き果てるまで愛でてやろう」

 そして心底からの喜悦を入り混じらせた声音で、その力強い意志の宿る、澄み渡る切長の双眸に、激しい獣欲の炎を滾らせる龍鬼であった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

性転のへきれき

廣瀬純七
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

処理中です...