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更衣室で自らの衣装へと着替えるべくして、麗しの絶世の乙女達は、豊満な肢体に身につけている着物を脱ぎ去っていく。
まるでその様は、成熟して熟れた果実の皮が丁寧に剥かれていくかの如く、酷く魅力的な光景であった。
「あーっ、ユキねえのお胸、また大きくなってるぅ」
自らの幼馴染である氷華と着替えを共にしている事実に対して、今更ながらに羞恥心を覚えたユキは手早く衣服を身につけるべく手を動かした。
しかしながら、目敏くも、着物を着崩した彼女の襟元から覗かせる豊満な乳房を瞳に捉えて、何処か揶揄う様な声をあげる氷華である。
「きゃっ、だ、だめです氷華さん。や、やめてください」
ユキの背後へと周り込んだ氷華は、豊満な二つの乳肉を、背後から鷲掴みして、なんの躊躇いもなく揉みしだいた。
抵抗を試みることさえ叶わず、自らの二つの豊満な双丘へと与えられる性的な快感に対して、甘い吐息を零し、頬を紅潮させて身悶えるユキ。
「うわぁ❤️やっぱり、すっごくおっきいねぇ❤️」
されるがままのユキの耳元で甘く蕩けた声で囁いた氷華は、自らの手中へと納められている豊満な乳肉を掬い上げる様にして弄ぶ。
「もうっ、それならわたしだって!」
敏感な肢体を良い様に嬲られていることに堪え兼ねたユキは、自らの片腕を後ろ手に回して、氷華の首筋を捉えた。
「ふふっ、どうしたのぉ?」
完全にユキの背後をとっているが故の慢心から、僅かながらに口角を釣りげて、嬉々とした表情を浮かべている氷華。
「‥」
唇を噛み締めて与えられる恥辱を堪えるユキは、挑発的な言葉に応じることなく、氷華の首筋を撫でる。
「んっ、もう‥ユキねえってばくすぐったいってばぁ」
だが、当然ながらその様な儚い抵抗は、この屈辱的な状況を打開する一手にはなり得ない。
身動きさえ取ることがままならない、無力なユキの姿を前にして、嘲る様に美しい微笑を浮かべる氷華。
しかし次の瞬間─
「ひゃっ!」
そんな、唐突にも幼子の様に可愛らしい悲鳴をあげた彼女は、自らの首筋に触れた冷たい冷気の感触に、驚きから瞳を見開いた。
「えいっ!」
不意を突かれた形になり、表情を強張らせて、身を硬直させる氷華。
そんな彼女の背後へと間髪入れることなく、すかさず回り込んだユキは、自らがされたことと同様の仕返しをするべく行動に移る。
「きゃっ❤️」
無防備な姿を晒している背中側から両脇へと腕を差し込み、前方ヘと突き出た豊満な乳肉を手中へと納めた。
「ひゃっ、ひゃんっ❤️」
次いで、自らの手中に納められた豊満な乳肉を五指で鷲掴み、圧迫されている柔肉をぐにぐにと揉みしだく。
「お・か・え・し・です❤️ふふっ❤️どうですか?氷華さん。気持ちいいですかぁ❤️」
与えられる快感に身悶える氷華の視界の端に映るのは、未だに冷気が迸るユキの人差し指の先端である。
「あっ❤️んんっ❤️魔法使うなんてユキねえの卑怯者~❤んっ❤️」
胸の先端の硬くなり尖った突起を指腹でこねくり回されて、恨み節を唱えながらも、酷く蠱惑的で、甘く蕩けた嬌声をあげる氷華。
「うふふ❤️氷華さん❤️これは魔法じゃなくて、ま・じゅ・つ・です❤️ふ~っ❤️」
しかしながらそんな、屈辱極まる痴態を晒して、赤面もかくやの恥辱に震える彼女を前にして尚、更に追撃と言わんばかりに、耳元へ甘い吐息を吹きかけるユキである。
「ひゃっ❤️ひゃうっ❤️ほ、本当にだめだってばぁ❤️もう大会始まっちゃうからぁ❤️」
放たれた彼女の吐息が、自らの脳髄までをも侵食してくるかの様な錯覚に陥った氷華は、眦に涙を溜めて嘆願する。
「ふふっ❤️許して欲しいのであれば、どうすればいいのかわかりますよね?悪いことをしたらしっかりと謝らなければならないことは、氷華さんならちゃんと理解しているはずですが❤️」
赤く染めた頬を蒸気させ、艶やかな薄桃色の唇から漏れ出る悩ましげな甘い吐息を漏らす彼女達の姿は、酷く淫靡な光景だ。
この様な大いに獣欲を刺激して、昂らせる現場を前にする男の姿が、もしもこの場に在るのなら、固唾を飲み下さずにはいられまい。
魔性と称してなんら差し支えなく美しい、麗しの絶世の乙女二人の戯れは、それ程までに蠱惑的な魅力を見せていた。
「ちゅ❤️ほら❤️言うのです❤️心を込めて‥」
唐突に形の良い氷華の耳朶へと唇を落とすユキは、艶かしい口付けの音を響かせると同時に、甘く蕩けた声で何事かを囁いた。
「‥うう~」
ユキから自らに課せられた、屈辱極まる無理難題への葛藤に、可愛らしくも潤ませていた、大きくてクリクリとした愛らしい瞳を閉じて、苦悩する氷華。
「ほら❤️どうするのですか?わたしが今言った通りの言葉を一言一句違わずに、口に出して繰り返すのであれば、慈悲を与えましょう」
しかしながら、自らの羞恥心を咀嚼しながらも、逡巡する彼女の退路は既に断たれ、あるのは従順に従う道のみである。
あまりにも躊躇われる要求に、唇からこぼれでる猫の様な可愛らしい唸り声が、ユキの神経を昂らせて、興奮を促す。
「んんっ❤️あんっ❤️」
言葉と同時に勃起した乳首をつねられた氷華の甲高い喘ぎ声が、この閉鎖されている密閉空間に響き渡り木霊する。
「わ、わかった言うからぁっ❤️だ、だから離してぇっ」
遂には嬲られることへの快楽による責め苦に根をあげた彼女は、心底からの懇願を懸命に叫ぶ。
「そうですか‥。残念です」
必死な氷華の物言いを受けて、一段声音を落としたユキは、僅かながらに気落ちした様子を見せている。
躊躇いつつも豊満な乳肉を手放したユキは、心底から名残惜しげな面持ちで、氷華の肢体を解放する。
「ふぅ‥。もう‥ユキねえってば、ほんとうに容赦ないんだから‥」
ようやくユキの魔の手から逃れることが叶い、人心地ついた氷華は、溜息混じりで愚痴をこぼす。
「何か言いましたか?」
気怠げな様子で肩をすくめる彼女の様子を受けて、聖母の如き慈愛に満ち満ちた微笑を称えるユキ。
しかしながら、極上の美しい笑顔からは、彼女と相対する者への、牽制するかの如き威圧感が発せられていた。
口角は吊り上げられてはいるものの、長く艶かしい眉毛に彩られている眦は、微動だにすることなく静止している。
宝石の如く透き通る切長の双眸は、戯けた調子で真正面から対峙する氷華を、なんら容赦することなく射抜く。
「わ、わかったよぉ。いうからぁ」
眼光揺らめく怜悧な視線に晒さらされて、呑気な様子の先程とは一転、佇まいを正して眦を垂れる氷華である。
「んんっ‥」
その場に縫いとめられたかの如き錯覚に見舞われて、一度咳払いをこぼした氷華は、恐る恐るといった様子で言葉を紡ぐ。
「ゆ、ユキお姉さんに悪戯してごめんなさい。許して欲しいにゃんっ❤️」
麗しきかんばせを、可愛らしくも初々しく羞恥心に染めて、張りのある純白の太腿を、もじもじと擦り合わせる。
吐き出された甘く蕩けてしまいそうな声は、鼓膜を通して脳の髄まで浸透し、この場の全てを支配する。
矜持は既に失われ、あまりにむごい屈辱を晒す羽目に至る氷華は、艶かしくも可憐な薄桃色の唇を戦慄かせる。
眦に溜められている涙の粒は、今にも零れ落ちてしまいそうな程に、揺れている。
後ろ手に組まれた両手の五指は、焦れているかの様に擦り合わされて、彼女がどれほどの恥辱を覚えているのかが見て取れる。
平素であれば流石の娼婦とて繰り出すことのない、浅ましいまでに媚びた言葉への、多分な後悔の念が窺えた。
「ええ、無論です。許しましょう」
それでも、一瞬の静寂がもたらされたのちに、ユキから下された判決を受けて、息を呑んだ氷華は、我に帰ると同時にホッとため息を吐く。
「もう‥ユキねえは冗談が通じないんだから」
威圧感の込められた笑顔から一転、再度浮かべられたユキの微笑には、心底からの慈愛が滲み出ている。
「何か言いましたか?」
しかしながら続けれられた氷華の抗議の言葉を受けて、みたびに渡り作られた笑顔には先程と同様に、怖気の走る様な迫力が感じられた。
「な、なんでもないよぉ。それよりも、早く着替えないと大会に遅れちゃうよっ。ユキねえも早く応援の登録しないとっ!」
自らに向けられた怜悧な眼差しから顔を逸らして、話題を転換するべく、いつの間にか手中に納められていた用紙をユキへと手渡す氷華である。
「‥ええ、そうですね。お父様をお待たせするのも申し訳ないですし‥手早くお着替えを済ませてしまいましょう」
用紙を受け取るユキは、一切の淀みなく慣れた手つきで、記載されている要項の欄に自らの名を書き記す。
幾度となく繰り返した動作を切り替えも素早くこなし、自らのはだけさせた着物を完全に脱ぎ去った。
「相変わらずですね」
上品な召し物から打って変わって、対称的な印象を受ける露出過多である、酷く蠱惑的な洋服を前にして、僅かばかりに美貌を強張らせるユキである。
「ふーん、でもでもぉ、このお洋服結構可愛いよぉ❤️」
娼婦もかくやの淫猥な衣服を身につけることへの躊躇いを、僅かながらに垣間見せる彼女とは対称的に、既に着替えを終えている氷華。
目も見張る早業に、瞠目するユキであるが、諦観を美貌に滲ませながらも、渋々と蠱惑的な衣服へと手を伸ばす。
「はい。ですがこれは‥何方かといえば可愛いというより、些か‥はぁ‥」
続く言葉を呑み込んだ彼女は、呆れた様に嘆息しながらも、衣装を身につける手際は酷く手慣れている。
「わぁっ!やっぱりユキねえってなんでも似合うねぇ❤️すっごくえっちで可愛いよぉ❤️」
神業と称してなんら差し支えないユキの立ち振る舞いを眺めていた氷華は、甲高く黄色い歓声をあげた。
「‥ありがとう御座います。それでは、会場へと向かいましょう」
不本意ながらも賞賛の言葉を受け入れたユキは、怜悧な美貌を研ぎ澄まし、美しい完成されたかんばせを形作る。
「‥ユキねえって結構切替早いよね‥」
自らの賛辞を、軽く受け流された氷華は、彼女にしては珍しくも微苦笑を浮かべて、誰に聞かせるでもなく、小声で独りごちた。
「さぁ、氷華さんもお早く。わたし達が遅れてしまっては皆様に迷惑をおかけしてしまいます」
彼女の呆れが篭った呟きは、欠けらすらも聞き届けられることはなく、無常にも一蹴される。
半眼になった氷華の視線をなんら意に解することなく、更衣室の木扉を開け放ち、武闘会の会場へと踵を向けるユキである。
「あ‥もう‥待ってよぉ、ユキねえってばぁ」
既に楚々とした立ち振る舞いで歩を進めているユキの歩幅自体は、距離を稼ぐことはないものの、幾分か足早に思える。
そんな彼女の後を追い縋る様に足をもつれさせながらも、どうにか追従する健気な氷華の姿は、酷く庇護欲を誘う光景だ。
この鬼人族の村において落ちこぼれていた男だった面影は既に見る影もなく、そこには雄に媚びを売るだけしか能がない、卑しくも淫乱で、豊満な肢体を持て余す、浅ましい雌の姿だけがあった。
まるでその様は、成熟して熟れた果実の皮が丁寧に剥かれていくかの如く、酷く魅力的な光景であった。
「あーっ、ユキねえのお胸、また大きくなってるぅ」
自らの幼馴染である氷華と着替えを共にしている事実に対して、今更ながらに羞恥心を覚えたユキは手早く衣服を身につけるべく手を動かした。
しかしながら、目敏くも、着物を着崩した彼女の襟元から覗かせる豊満な乳房を瞳に捉えて、何処か揶揄う様な声をあげる氷華である。
「きゃっ、だ、だめです氷華さん。や、やめてください」
ユキの背後へと周り込んだ氷華は、豊満な二つの乳肉を、背後から鷲掴みして、なんの躊躇いもなく揉みしだいた。
抵抗を試みることさえ叶わず、自らの二つの豊満な双丘へと与えられる性的な快感に対して、甘い吐息を零し、頬を紅潮させて身悶えるユキ。
「うわぁ❤️やっぱり、すっごくおっきいねぇ❤️」
されるがままのユキの耳元で甘く蕩けた声で囁いた氷華は、自らの手中へと納められている豊満な乳肉を掬い上げる様にして弄ぶ。
「もうっ、それならわたしだって!」
敏感な肢体を良い様に嬲られていることに堪え兼ねたユキは、自らの片腕を後ろ手に回して、氷華の首筋を捉えた。
「ふふっ、どうしたのぉ?」
完全にユキの背後をとっているが故の慢心から、僅かながらに口角を釣りげて、嬉々とした表情を浮かべている氷華。
「‥」
唇を噛み締めて与えられる恥辱を堪えるユキは、挑発的な言葉に応じることなく、氷華の首筋を撫でる。
「んっ、もう‥ユキねえってばくすぐったいってばぁ」
だが、当然ながらその様な儚い抵抗は、この屈辱的な状況を打開する一手にはなり得ない。
身動きさえ取ることがままならない、無力なユキの姿を前にして、嘲る様に美しい微笑を浮かべる氷華。
しかし次の瞬間─
「ひゃっ!」
そんな、唐突にも幼子の様に可愛らしい悲鳴をあげた彼女は、自らの首筋に触れた冷たい冷気の感触に、驚きから瞳を見開いた。
「えいっ!」
不意を突かれた形になり、表情を強張らせて、身を硬直させる氷華。
そんな彼女の背後へと間髪入れることなく、すかさず回り込んだユキは、自らがされたことと同様の仕返しをするべく行動に移る。
「きゃっ❤️」
無防備な姿を晒している背中側から両脇へと腕を差し込み、前方ヘと突き出た豊満な乳肉を手中へと納めた。
「ひゃっ、ひゃんっ❤️」
次いで、自らの手中に納められた豊満な乳肉を五指で鷲掴み、圧迫されている柔肉をぐにぐにと揉みしだく。
「お・か・え・し・です❤️ふふっ❤️どうですか?氷華さん。気持ちいいですかぁ❤️」
与えられる快感に身悶える氷華の視界の端に映るのは、未だに冷気が迸るユキの人差し指の先端である。
「あっ❤️んんっ❤️魔法使うなんてユキねえの卑怯者~❤んっ❤️」
胸の先端の硬くなり尖った突起を指腹でこねくり回されて、恨み節を唱えながらも、酷く蠱惑的で、甘く蕩けた嬌声をあげる氷華。
「うふふ❤️氷華さん❤️これは魔法じゃなくて、ま・じゅ・つ・です❤️ふ~っ❤️」
しかしながらそんな、屈辱極まる痴態を晒して、赤面もかくやの恥辱に震える彼女を前にして尚、更に追撃と言わんばかりに、耳元へ甘い吐息を吹きかけるユキである。
「ひゃっ❤️ひゃうっ❤️ほ、本当にだめだってばぁ❤️もう大会始まっちゃうからぁ❤️」
放たれた彼女の吐息が、自らの脳髄までをも侵食してくるかの様な錯覚に陥った氷華は、眦に涙を溜めて嘆願する。
「ふふっ❤️許して欲しいのであれば、どうすればいいのかわかりますよね?悪いことをしたらしっかりと謝らなければならないことは、氷華さんならちゃんと理解しているはずですが❤️」
赤く染めた頬を蒸気させ、艶やかな薄桃色の唇から漏れ出る悩ましげな甘い吐息を漏らす彼女達の姿は、酷く淫靡な光景だ。
この様な大いに獣欲を刺激して、昂らせる現場を前にする男の姿が、もしもこの場に在るのなら、固唾を飲み下さずにはいられまい。
魔性と称してなんら差し支えなく美しい、麗しの絶世の乙女二人の戯れは、それ程までに蠱惑的な魅力を見せていた。
「ちゅ❤️ほら❤️言うのです❤️心を込めて‥」
唐突に形の良い氷華の耳朶へと唇を落とすユキは、艶かしい口付けの音を響かせると同時に、甘く蕩けた声で何事かを囁いた。
「‥うう~」
ユキから自らに課せられた、屈辱極まる無理難題への葛藤に、可愛らしくも潤ませていた、大きくてクリクリとした愛らしい瞳を閉じて、苦悩する氷華。
「ほら❤️どうするのですか?わたしが今言った通りの言葉を一言一句違わずに、口に出して繰り返すのであれば、慈悲を与えましょう」
しかしながら、自らの羞恥心を咀嚼しながらも、逡巡する彼女の退路は既に断たれ、あるのは従順に従う道のみである。
あまりにも躊躇われる要求に、唇からこぼれでる猫の様な可愛らしい唸り声が、ユキの神経を昂らせて、興奮を促す。
「んんっ❤️あんっ❤️」
言葉と同時に勃起した乳首をつねられた氷華の甲高い喘ぎ声が、この閉鎖されている密閉空間に響き渡り木霊する。
「わ、わかった言うからぁっ❤️だ、だから離してぇっ」
遂には嬲られることへの快楽による責め苦に根をあげた彼女は、心底からの懇願を懸命に叫ぶ。
「そうですか‥。残念です」
必死な氷華の物言いを受けて、一段声音を落としたユキは、僅かながらに気落ちした様子を見せている。
躊躇いつつも豊満な乳肉を手放したユキは、心底から名残惜しげな面持ちで、氷華の肢体を解放する。
「ふぅ‥。もう‥ユキねえってば、ほんとうに容赦ないんだから‥」
ようやくユキの魔の手から逃れることが叶い、人心地ついた氷華は、溜息混じりで愚痴をこぼす。
「何か言いましたか?」
気怠げな様子で肩をすくめる彼女の様子を受けて、聖母の如き慈愛に満ち満ちた微笑を称えるユキ。
しかしながら、極上の美しい笑顔からは、彼女と相対する者への、牽制するかの如き威圧感が発せられていた。
口角は吊り上げられてはいるものの、長く艶かしい眉毛に彩られている眦は、微動だにすることなく静止している。
宝石の如く透き通る切長の双眸は、戯けた調子で真正面から対峙する氷華を、なんら容赦することなく射抜く。
「わ、わかったよぉ。いうからぁ」
眼光揺らめく怜悧な視線に晒さらされて、呑気な様子の先程とは一転、佇まいを正して眦を垂れる氷華である。
「んんっ‥」
その場に縫いとめられたかの如き錯覚に見舞われて、一度咳払いをこぼした氷華は、恐る恐るといった様子で言葉を紡ぐ。
「ゆ、ユキお姉さんに悪戯してごめんなさい。許して欲しいにゃんっ❤️」
麗しきかんばせを、可愛らしくも初々しく羞恥心に染めて、張りのある純白の太腿を、もじもじと擦り合わせる。
吐き出された甘く蕩けてしまいそうな声は、鼓膜を通して脳の髄まで浸透し、この場の全てを支配する。
矜持は既に失われ、あまりにむごい屈辱を晒す羽目に至る氷華は、艶かしくも可憐な薄桃色の唇を戦慄かせる。
眦に溜められている涙の粒は、今にも零れ落ちてしまいそうな程に、揺れている。
後ろ手に組まれた両手の五指は、焦れているかの様に擦り合わされて、彼女がどれほどの恥辱を覚えているのかが見て取れる。
平素であれば流石の娼婦とて繰り出すことのない、浅ましいまでに媚びた言葉への、多分な後悔の念が窺えた。
「ええ、無論です。許しましょう」
それでも、一瞬の静寂がもたらされたのちに、ユキから下された判決を受けて、息を呑んだ氷華は、我に帰ると同時にホッとため息を吐く。
「もう‥ユキねえは冗談が通じないんだから」
威圧感の込められた笑顔から一転、再度浮かべられたユキの微笑には、心底からの慈愛が滲み出ている。
「何か言いましたか?」
しかしながら続けれられた氷華の抗議の言葉を受けて、みたびに渡り作られた笑顔には先程と同様に、怖気の走る様な迫力が感じられた。
「な、なんでもないよぉ。それよりも、早く着替えないと大会に遅れちゃうよっ。ユキねえも早く応援の登録しないとっ!」
自らに向けられた怜悧な眼差しから顔を逸らして、話題を転換するべく、いつの間にか手中に納められていた用紙をユキへと手渡す氷華である。
「‥ええ、そうですね。お父様をお待たせするのも申し訳ないですし‥手早くお着替えを済ませてしまいましょう」
用紙を受け取るユキは、一切の淀みなく慣れた手つきで、記載されている要項の欄に自らの名を書き記す。
幾度となく繰り返した動作を切り替えも素早くこなし、自らのはだけさせた着物を完全に脱ぎ去った。
「相変わらずですね」
上品な召し物から打って変わって、対称的な印象を受ける露出過多である、酷く蠱惑的な洋服を前にして、僅かばかりに美貌を強張らせるユキである。
「ふーん、でもでもぉ、このお洋服結構可愛いよぉ❤️」
娼婦もかくやの淫猥な衣服を身につけることへの躊躇いを、僅かながらに垣間見せる彼女とは対称的に、既に着替えを終えている氷華。
目も見張る早業に、瞠目するユキであるが、諦観を美貌に滲ませながらも、渋々と蠱惑的な衣服へと手を伸ばす。
「はい。ですがこれは‥何方かといえば可愛いというより、些か‥はぁ‥」
続く言葉を呑み込んだ彼女は、呆れた様に嘆息しながらも、衣装を身につける手際は酷く手慣れている。
「わぁっ!やっぱりユキねえってなんでも似合うねぇ❤️すっごくえっちで可愛いよぉ❤️」
神業と称してなんら差し支えないユキの立ち振る舞いを眺めていた氷華は、甲高く黄色い歓声をあげた。
「‥ありがとう御座います。それでは、会場へと向かいましょう」
不本意ながらも賞賛の言葉を受け入れたユキは、怜悧な美貌を研ぎ澄まし、美しい完成されたかんばせを形作る。
「‥ユキねえって結構切替早いよね‥」
自らの賛辞を、軽く受け流された氷華は、彼女にしては珍しくも微苦笑を浮かべて、誰に聞かせるでもなく、小声で独りごちた。
「さぁ、氷華さんもお早く。わたし達が遅れてしまっては皆様に迷惑をおかけしてしまいます」
彼女の呆れが篭った呟きは、欠けらすらも聞き届けられることはなく、無常にも一蹴される。
半眼になった氷華の視線をなんら意に解することなく、更衣室の木扉を開け放ち、武闘会の会場へと踵を向けるユキである。
「あ‥もう‥待ってよぉ、ユキねえってばぁ」
既に楚々とした立ち振る舞いで歩を進めているユキの歩幅自体は、距離を稼ぐことはないものの、幾分か足早に思える。
そんな彼女の後を追い縋る様に足をもつれさせながらも、どうにか追従する健気な氷華の姿は、酷く庇護欲を誘う光景だ。
この鬼人族の村において落ちこぼれていた男だった面影は既に見る影もなく、そこには雄に媚びを売るだけしか能がない、卑しくも淫乱で、豊満な肢体を持て余す、浅ましい雌の姿だけがあった。
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