TS巫女が圧倒的強者足る雄に惨めにも全裸土下座にて安産型のむち尻掲げた挙句の果てに交尾を懇願する程に雌落ちした隷属花嫁に至るまでの軌跡

ユキリス

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ミコという少女

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 既に時分は、交戦から一夜明けていた。

 時は日付を跨ぎ、朝日を迎えての早朝の事である。

 先程に狙われたマナとセラの両名の無事を張り巡らせた魔力防壁の存在により豪鬼は確認した。

 その尭孝に加え、どうやらセラの槍を素手で受け止めたソウメイも傷こそ負ったものの命に支障は無い様だ。

 ただ流石に先程セラが放った槍での予想外な投擲は見逃せない。

 故にその様なあまりに想定外の反撃をしたセラの危険性を、再び理解させられた豪鬼だ。

 幾度となく槍を生み出しているのにも関わらず、一向に底が見えないその膨大なまでの魔力量。

 だが幸いにして目前にはセラとは異なり、魔力の欠乏からか、片膝をついた女騎士が居る。

 その為恐らくだがあのシスターはこのメルビナという女騎士の救出を優先するだろう。

 彼女の顔色は傍目にも青白く、額にそれとわかるほどに脂汗が滲む。

 その姿は敵ながら思わず同情してしまうまでに酷く苦しげだ。

 無論この女騎士とて強敵には違い無かった。

 仮にその実力の程は魔剣の力に頼り切りだとはいえども、鬼人にも勝るとも劣らない手練れに他ならない。

 それ程までにメルビナが先の豪鬼との戦闘において魔剣に対して注いだ魔力量は、彼女が自身が騎士という階級であるにも関わらず並の魔術師を遥かの超越していた。

 恐らく突出した一流の魔術師の中でもこれ程の魔力を誇る者は稀だろう。

 だが所詮はその程度だ。

 己が生において豪鬼は、幾度となくその様な例外中の例外との死闘を演じてきた。

 故に今に己が見下ろす女騎士はその中の一人に過ぎない。

 豪鬼相手に善戦はしたものの、やはりその経験の差と、圧倒的なまでの単純な実力の違いにより、敗北を期したメルビナである。

 だがメルビナの豪鬼を見上げる瞳は最早肉体のみじろぎすらままならないのにもか関わらず迸る戦意が満ち溢れていた。

 と、そこまで油断なく観察していた豪鬼は不意に己へと近付く魔力の奔流を悟る。

 加えて己ヘとまるで吸い込まれるかの如く飛来する物体の気配を感じ取るに至る。


 ─口惜しい

 女騎士の命を刈り取るに及ばなかった己の不手際と、その未熟に彼は内心で歯嚙みする。

 セラの手中より解き放たれた槍の存在を気取り、そう豪鬼は思う。

 空気を穿つそれは例え彼であっても、まともに受ければ致命傷は免れない。

 当たれば絶命は必至。

 確かに己を捉えているその一撃は一直線に狙いを違えることなく迫り来る。

 だがそれを事前に予期していたが故に、なんら気負う素振りも無く豪鬼は動いた。

 常人を遥かに上回る反射神経の元に、人外染みた身のこなしで完全な回避を見せた。

 彼の真横を轟音を纏う先程まで脅威であった槍が過ぎ去る。

 だがそれに対して何ら意を介さない豪鬼は然程すらも見向きもしなかった。

 只々通過するだけの投擲など見送るにも値しない。

 それと同時、再び城壁の前へと後退を見せた豪鬼は忌々しげにセラを見据えた。

 ─手詰まりか

 そして第一に感じた現状に対する判断はそれだった。

 ただそれも致し方無いだろう。

 あの異常なまでの魔力量を誇るシスターセラという女。

 それにより、成される彼女の放つ投擲は厄介極まりない。

 それ程までに今も余裕を感じさせる振る舞いを周囲へと見せ付けている修道女は異質な存在だった。


 *



 そんな豪鬼の考えと同様に、セラとて攻めあぐねていた。

 そんな最中、珍しくも平素から言葉少なに語る彼女より口とされた呟き。

「手詰まりですか‥」

 それは交戦を開始して今に至り漸く見せたセラの弱み。

 だがそれも束の間の事。

 すぐさま気を取り直したシスターだ。

 聡明な彼女は都市との交戦の現状に対して、己が思考を巡らせる。

 このまま膠着状態になれば此方が不利。

 だがこの様に籠城を極められると迂闊に手出しが出来ないのもまた事実。

 あの化け物染みた動きを見せる豪鬼という鬼人に対しての決め手に欠けるのが現状だ。

 豪鬼の魔の手よりメルビナを救い出せたのは無論不幸中の幸い。

 極めて稀な尭孝に他ならない。

 けれどこのままでは交戦の停滞は免れない。


 ─仕方ありません

 ただ、完全に敗走を期すよりは遥かに良い。

 そう結論付けたセラは魔術師に向けて毅然とした振る舞いでもって言い放つ。


「此方も魔力防壁を展開しなさい」

 そうして実質的なこの場の最高指揮官より命令を与えられた彼等はその言葉通りに動く。

 魔術師等の意思を反映するべくして、まるで幕の様な代物が一団を覆う。

「増援の到着まで守りに徹します」

 どうやら状況を冷戦へと持ち込むに辺り、都市からの一方的な矢での反撃や、魔術に対抗するべくして命令を下したらしい。

 事実特段物理耐性に特化した魔術での防壁は、たかが矢如きでは打ち破れない。

 無論都市側にも魔術師はいる様だが早々に突破する事など不可能に違いない。

 魔術師の軍団は、都市を相手に争うことを可能としていた。

 これが仮に術の行使ができないただの兵等であれば弓矢での反撃や、放たれた魔術により大敗を期していただろう事は想像に難く無い。

 だが同所へと居合わせているのは聖王国が誇る一流の魔術師の集団。

 やはり数の利は彼女に対して、敗北の運命から逃れる数少ない縋り付くべき希望足る、その道筋を提示する。

 それは、確かな一縷の希望を抱くに値する光明に他ならない。

 彼等がこの場にて居合わせている為、セラは如何にか敗北こそ免れた。

 ただ無論、この場に増援が到着するまでは、それ以上の結果を求めるのは望み薄だろう。

 相当な忍耐を強いられるに違いない。

 今はただ、出来うる限りの最上の結末を求めて己が出来る事を只々愚直にも遂行するのみである。

 それを、シスターセラは心底より理解していた。

 両者只々互いの動向を読み合う状況に移行した現状。

 その為都市と聖王国の戦況は今、ひたすらに冷戦に持ち込むべく動き、停滞の一途を辿る限り。

 故に本来であれば早々に決まる筈だった勝敗も現在事ここに至り、拮抗していたのであった。


 *





 ミコは憤慨していた。

 何故ならば翌朝学園へと登校したのにも関わらず強制的に帰宅を強いられた為だ。

 どうやら現在この都市へと聖王国の兵士が攻めきているらしい事実を通達された知らせににより漸く知った。

 今現在彼女が身を置くのは、都市の中でも未だかつて訪れた事のない場所だった。

 其処の広場には大勢の人々が男女例外なく集う異様な光景が見て取れる。

 男は装備で身を固め。

 女子供は陣地の用意や物資などを運ぶ。

 炊き出しなどをする女達も中には居て、今までの人生において箸より重い物を持った事のないミコはその集団に混じり、煮炊きをしていた。

 何故自分がこの様な事をしなくてはならないのか。

 彼女にはそれが理解出来なかった。

 けれどそんな彼女の抗議は儚くも拒絶された。

 今はミコがこれまで一生懸命に励んできた勉学は役に立たない様だ。

 同年代の子供たちが楽しそうに遊びまわる中で必死に耐え抜いて得た知識が現状を変える事はなかった。

 培ったそれを活かす様な場面では無いし、もしかしたら今後その様な機会は一生自身には訪れないのかもしれない。

 そんな諦観にも似た感慨をミコは抱いた。

 故に心底から仕方なく、億劫になりながらも手を動かしている。

 そんなミコとは異なり平素から何処か気弱な振る舞いが目立つ母は、愛想よく男達に対する配給をしていた。

 そうした男に媚びる姿が、子であるミコからすれば酷く無様に、そして軽蔑するべき振る舞いに思えるのだ。

 普段は気怠げにしているのにも関わらず男と関わるとなったらこうなのだ。

 ミコは何故かその姿がまるで自分自身の事であるかの様に情けなく思う。

 ─きもちわるい

 と、そんな風にすら彼女は自らの母に感じてしまう。

 己の置かれた理不尽な現状に対してミコは怒りを抱いたが、無常にもどうやら母は帰宅する気が無いらしい。

 そんな母の生き方は、常日頃から男に尽くす為に時分は生まれついたのだ、とでも言わんばかりの振る舞いだ。

 その証左として普段母の家に入り浸る野生的な肉体を誇る屈強な男達。

 彼等と母は今も仲良さげに戦前の談笑を交わしている光景が其処にはある。
 
 恐らく母と男達は戦いから、皆同様に気を逸らしたいのだろう。

 とはいえ無論、その一番に唾棄すべき存在である男達。

 そんな彼等とて特段、悪漢とは一概には称することは出来ないのだ。

 彼等は通常の労働では得られない筈の高額な対価を母の肉体に払っている。

 故に男達とて代償はある。

 例え一日の労働で得た対価を使い果たしたとしても、足繁く母の元に通う様はいっそ滑稽ですらある。

 そしてそれを喜んで迎え入れている母の姿はこれを側から見てきたミコにとってより一層無様に思えた。

 自らがこの世にその生を受けて以来、これまでにおいて幾度となく目の前で繰り返されてきた母の醜態。

 本来であれば秘匿すべき淫行。

 無論ミコの母は隠し通しているつもりでいるが、幸か不幸か聡明な自らの子供の知性には到底及ばない。

 自らの様な学の無い情婦から、まさかその様な神童が生まれる筈もない。

 突然変異と称して差し支えないそれに対してミコの母は、やはり気付いてすらいなかった。

 その様な始末であるから、ミコはこれまで誰かも知らない男が母との交わす淫行を軽蔑せざるを得なかった。

 だから彼女は、己の母がその様な淫売である事実を知っているからこそ、甘える事が出来なかった。

 幼い時分よりミコは母性にも触れた事がない。

 父親も居ないため愛情を知らずに育ってしまった。

 だが知性だけは同年代と比べて目に見張るものがあった。

 複雑、否、退廃的な家庭環境が所以か、そうして聡明な分だけミコの心は歪んだ。

 下手に賢いより子供相応に物を知らない方が余程幸福を甘受出来たに違いない。

 その為か自己防衛をするべくして人一倍高いプライドだけが成長した彼女に残された産物だ。

 それ故にミコは自らの母へと素直に甘えられなかった。

 何せ愛情を求めるより先に軽蔑が勝るのだから土台無理な話である。

 孤独を埋めるために募らせたそれは、今ではミコの枷にしかなり得ない。

 ただそんな彼女が唯一知っている事。

 それは、日夜母と行為を交わすその男達が自らの父親でないという事実。

 これは本能から得た直感により理解出来た。

 ならば果たして、一体己の父は何処に行ってしまったのか。

 母の淫乱に呆れて出ていってしまったのだろうか。

 それとも母から聞き及んでいた通り、本当に死んでしまったとでもというのか。

 だが彼女は本質的に自らの母からの言を信用しない。

 その為彼女は信じる事が出来ない。

 否、信じたく無い、と言った方が正しい。

 それ程までにミコは一度として対面した事のない父の姿を知らず知らずのうちに、無自覚のままに求めていた。

 だが彼女は母と淫行を交わす男達の邪悪な獣欲を誰よりも心得ていた。

 雄の理性は簡単にタガが外れる。

 論理感など容易く超越する邪な欲望。

 鬼人族雄特有の雌を支配したいという欲求。

 それらをミコは体の芯から身に染みて理解していた。

 けれど彼女はそれと同時に、やはり父性を男へと求めていた。

 その相反する気持ちが彼女をより深く蝕み、一層の歪みとして心の奥底へと根付いていた。

 そんな彼女は自らが手にした土に塗れた食材を前としてため息を吐く。

「はぁ‥」

 奇しくもそれは平素から嫌っていた母の気怠げな振る舞いと酷似していたがミコ自身は気付かない。

 と、そんな風にして内心の惨憺たる心境を思わず露呈させてしまった彼女へと不意に声が与えられる。

「あの‥」

 それを耳として、天幕の中に身を置くミコは伏せていた顔を挙げる。

 そうして次の瞬間に目の当たりとしたのはあまりに予想外に過ぎる人物だ。

 顔を向けて視線を移した先。

 視界へと納められた、可愛らしい声の出所の其処には、傍らにフウガを伴うアイリスの姿があった。
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