ショートショート集

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犬とだるまは絶対死なない映画

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■あらすじ

元最強の殺し屋だが引退し現在はかなり性癖はアレだが平穏な暮らしをしていた男は最愛の妻を最近病気で亡くし失意に暮れていた。

しかし彼女が亡くなる直前手配していた子犬がやって来て、先住のペットの励ましもあり男は元気を取り戻しつつあった。


だがそんなある日子犬の散歩中、心無いチンピラの青年達に子犬を無残に殺されついでに愛車ももう修復不可能なレベルでぶっ壊されてしまう。

即座に男はチンピラ達をそれはもうえげつなく皆殺しにしたが、そのリーダー格は実はその国で一番のマフィアのボスの息子だった。

報復で男の自宅は襲撃を受け、最愛の先住ペットのだるま少年(妻公認)も連れ去られてしまった。

最強の殺し屋が、今再び目覚める。



俺は知り合いの天才科学者(相当マッドだが良識は一応ある)に愛車のパーツを一部使用したモンスターバイクを作成してもらい、マフィアのボスの屋敷の門扉をぶち破り乗り込んだ。

当然無数の警備員や用心棒がいたが俺の敵では無かった。

アレ科学者がペットの少年の位置を割り出してくれ、彼の部屋を避けて遠隔操作で爆撃してもらい気を引かせ、ついでに昔のよしみで助っ人を頼んだ陽気なメキシコ人二人もギターケースマシンガンやロケットランチャーをぶっ放し屋敷はあっという間に爆炎に包まれた。

ただ雇われただけの使用人やメイドは見逃してやったがそれ以外は皆殺しにし少年の監禁されている部屋に俺は近付いて行った。

その部屋に乗り込むと、ボスの部下の悪趣味な男に少年は暴行されていた。

俺はそいつの手足を即座に斬り落とした後アレもぶった切り、あらゆる所を潰し最後に首を切断し殺した。


「…辛い目に遭わせてしまい、済まなかった」
「…うん、大丈夫」

俺はすぐに備え付けのシャワールームで少年の体を清め、そういった事はせずに静かに抱きしめた。

「…遅くなってごめんな。帰ろう」
「…うん、ありがとう」

「…だが、君に最低な事をしたクソ野郎とのケリは付けなければいけない。少しだけ待っていてくれ」
「…分かった。気を付けて」


俺は親玉のクソ野郎をこの上なく残酷な殺し方をし地獄へ落とす事を決意し部屋を出た。

あといつの間にかメキシコ人の片方は自爆し、もう片方は強い用心棒にぶっ殺されていた。


俺は残党の用心棒をぶっ殺しメキシコ人の片割れの仇を討ち、クソ野郎の隠れていた最上階の部屋に乗り込んだ。

「…か、金ならいくらでも出す。命は取らないでくれ」

「…貴様は、金では買えない物を奪い取った」

俺は静かにそいつの眉間を撃ち抜き、その後肉塊になるまでナイフを振り下ろし続けた。


(長いのでここで休憩が入る)


■第二部

ペットの少年を背中に括り付けモンスターバイクに乗り無事帰還したが自宅は壊滅状態になっていたためすぐに金を積み、少年のメンタルケアも兼ね山深くの小さい町に俺達は移り住んだ。

当然ペットの少年を養っている事は公表しないが、しばらく経ち気心が知れて来た周辺住民には打ち明ける事があった。やはり大半から引かれた。

引かれつつも一部住民は性癖を理解してくれ、数か月が経つ頃には少年の心の傷もだいぶ癒えて来た。

だがそんな時、偶然近所に住んでいたアレ科学者のかつての恩師でありやっぱり相当なマッドサイエンティストが開発していた恐ろしい生物兵器(サメをベースにショゴスやモケーレムベンベや遮光器土偶の要素も組み込まれている)が逃げ出し大暴れし、町は阿鼻叫喚の地獄絵図へと包まれた。

自宅はまたもや襲撃を受け、俺は少年を連れ急ぎ町の中心部にある大型スーパーマーケットに逃げ込んだ。


スーパーマーケット内は同じく這う這うの体で逃げ込んだ住民達が多数居て、皆先の見えない恐怖に怯えていた。

アレ気味な町のスーパーのため銃火器も十分にあったので、俺は少年を信頼できる初老の町医者に預け数名の腕に覚えのある町民と共にサメ的ななんかの討伐に出る事にした。

同行した町民は過去にどうしようも無い失敗からやさぐれた不良神父、一見普通の中年親父だがやたら銃の腕が立つスーパー店員、臆病だが共に逃げ込んだ彼女を救うため勇気を出して討伐隊に参加した青年、四半世紀引きこもりだったがヒーロー願望を拗らせ毎日FPS漬けだったので反射神経はある肥満男とかそんな感じの奴等だった。


町の大きめの湖にその凶悪サメキメラはいた。

俺達は銃撃を加えるも自己再生能力を持つそいつはすぐに回復してしまい、スーパー店員と肥満男をあっという間に喰らってしまった。

「ひ、ひいい。もう駄目だ、神様あああああ」

青年が泣き叫びながら銃を取り落としたが、不良神父がぶん殴り喝を入れた。

「馬鹿野郎、そんないもしねえ奴に助けなんざ求めるな。自分の身は自分で守れ」

「…ああ、それは俺も同感だ」

「…は、はい。すみません」

青年はよろめきながらも銃を取り、どうにか名状し難いサメに銃撃を再開した。


「…ちっ、あの偏屈マッドじいさんめ。厄介な物作りやがって」
「…自己再生は厄介だな。何か弱点は無い物か」

「あ、あの。いくら再生できるとはいえ細胞はあるはずなので、思い切り冷却したりしたらダメージを与えられないでしょうか」
「ああ、確かにそいつは試す価値があるかもな」
「ふん、モヤシ男の割には気の利いた事言うじゃねえか」

「だが、あの巨体には多少の冷却では効かないだろうな」
「あ、ちょうどすぐ近くに工場があって、液体窒素のタンクがあります。ほらあそこです」
「よし、じゃあこのロケットランチャーを打ち込めばいけるな」

不良神父がロケットランチャーを打ち込み液体窒素が溢れ出しサメのような物は苦悶の叫びを上げ凍り付き体はバラバラに崩壊して行った。

「よーし、これだけバラバラにすりゃ再生するにしてもかなり時間がかかるだろうな」
「ああ、今の内に早く皆に伝え脱出しよう」
「ぎ、犠牲は二人出てしまったけれど良かったです」


俺達は急ぎスーパーマーケットに戻ったが、様子がおかしくなっていた。

恐慌と疑心暗鬼から誇大妄想とヒステリー気味な中年女性が、一種の終末思想のカルト宗教のような物を作り上げていたのだ。

「あの化け物はこの停滞した世の中に変革をもたらす神の使いなのです!脱出など不要です、皆御使い様にその身を捧げなさい」

「…ったく、どいつもこいつもろくでもねえ神ばかり信じやがって」
「でも、皆怯え切っててあのおばさんの演説に聞き入ってしまっていますね。どうしましょう」
「…好きにさせておけ。まともな奴等だけで逃げれば良いだろう」

だがその時、バラバラになった破片から復活変異し飛行能力も身に着けた元サメクリーチャーが複数体店を襲撃した。

「ひ、ひいい。もう弾が切れそうなのに」
「落ち着け、まだ店内には十分に補充がある」


「ああ、御使い様。可愛らしいこの子を捧げます。どうぞ私達に救いを」
「お、お前この子に何をする気だ」
「こ、殺し屋さん。助けて」

制止しようとする町医者の腹を撃ち抜き絶命させ、女性とその信望者はペットの少年を抱き上げクソクリーチャーに喰わせてしまった。

「…貴様、何て事を」

俺はすぐにクリーチャーを銃撃し仕留めたが、少年はもう口の中には居なかった。

「…てめえ、本当に救いのない愚か者だな。あんたこそ生贄になるべきだろうよ」
「…ええ、僕もあなたは許せません」

不良神父と青年がクソ中年女を何発も銃撃し、女はすぐに息絶えた。


「…もう俺は、全て失ってしまったな」
「…気の毒にな」

「…気安い事は言えません。でもきっといつかは良い事があるはずです。どうか、生きて下さい」
「…そいつは、どうだろうな」


俺はもう全てがどうでも良くなっていたが、せめて彼の仇だけでも討とうと思い力無く銃撃を残ったクリーチャーに与え続けた。

最後に残った一際大きなクリーチャーに青年が喰われそうになった時、不良神父が突き飛ばし庇い神父の下半身は食いちぎられた。

「…馬鹿野郎、ここまで来て死んだら彼女が可哀想だろうが」
「…す、すみません」

俺と青年は残虐なクリーチャーにとどめを刺し、もうどう見ても助からない神父を静かに看取った。

「…ごめんなさい。僕なんかのために命を落とす事になってしまって」

「…まあ、いいさ。最後にあの時の罪滅ぼしが出来たと思えばな」
「…罪滅ぼしとは?」


「…俺はこう見えて若い頃は正義感に満ちて、それなりの都市の立派な教会で神父をやっていた。悪人もいるが大抵は熱心に教えを説けば改心出来ると性善説を信じていた。…あの時まではな」

「…俺を慕ってくれていた町の有力者の息子の少年が、実はクソッタレな親から酷く虐待されていたんだ。優しくて気弱な子だったから誰にも打ち明けられず、ボンクラの俺はそれに気付いてやれなかった。…気付いた時には、もう遅すぎた」
「…ああ」

「…流石にクソ親は批判を浴びたがすぐに揉み消され、数年後にはもうほとんど無かった事にされちまった。俺はその時この世に神なんざ居ないと悟った」

「それからは神と不甲斐ない自分を呪って酒に逃げ続け、気付けばこんなしみったれた町の神父になっていた。…このまま死んだように余生を送るよりは、遥かに有意義だったと思うよ」
「…それなら良かった」

「…あんた、顔は違うがその気弱な雰囲気があの子を思い出すんだ。あの子の分も長生きしな」
「…はい、ありがとうございます」

「…はは。相当なサド野郎だが、何だかんだで神様もいるのかもな」

そう満足そうに眼を閉じ、神父は事切れた。


「…神父さん、ありがとうございます。あなたとその子の分も、僕はきっと幸せになります」

青年が手を合わせたその時、ペットの少年を飲み込んだクリーチャーの死骸がのたうち始めた。

「な、何事でしょうか」
「…ちっ。また復活しやがるのか」

俺は苦々しく銃を取ったが、クリーチャーの様子がおかしかった。

クリーチャーが変形し、手足のある姿のペットの少年が現れたのだ。

「こ、これはどういう事でしょうか」
「…はは。奇跡って奴かもな」

「殺し屋さん。僕こいつの細胞と融合したみたいで、こいつを取り込んで復活できたんだ」
「…ああ、そいつは本当に良かった」

「うん、殺し屋さんにまた会えて僕も嬉しいよ。でも手足付いちゃったから性癖じゃ無いよね。ごめんね」
「ははは、その程度の事どうでも良いさ。君が生きていてくれればな」


そうしてクソクリーチャーは完全に討伐され、すぐに乗り込んで来た軍隊に俺達は救助された。
クソ中年女が殺され大半は正気に戻っていたが、まだ気の狂っているクソ女信望者は全員逮捕され連行されて行った。

サメのような何かが暴走した後すぐ一人で町を脱出していたマッドサイエンティストもすぐに捕まり、即刻処刑物だが責任を取らせクソ女のようなアレな奴を除いた犠牲者全員をクローン再生させる事で極刑は免れる事となった。

不良神父は遺体の損傷が激しく遺品もほとんど遺されていなかったため残念ながら再生は出来なかったが、殺された少年との再会を考えるとこれで良かったのかもしれない、と俺達は思った。

そして迷惑をかけた詫びにという事で殺された子犬も再生してもらい、倫理的には完全にアレだが俺達は幸福な暮らしを取り戻した。

妻も同様に復活させられるという事で俺は悩んだが、彼女も自身の運命は受け入れ納得していたので断った。


それから再び自宅が壊滅させられてしまいペットの少年も心身ともにすっかり元気になったので、俺達はかつて暮らしていた街に戻り思い出深い自宅を修復しまたそこで暮らし始めた。

街で成長した愛犬を少年と共に散歩させ、俺は幸福を嚙みしめた。

やっぱり過去相当やらかしているので時折アレな奴に襲われる事もあるが、クリーチャーを取り込み変身能力を身に付け相当強くなった少年が毎回フルボッコにしてくれるのでもう犬が殺される事は無かった。


※犬が死ぬか否かの情報サイトでは一度死ぬけど最終的には無事判定。
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