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12年後・・・・・
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それから、12年後・・・・
「はぁあ・・・」
若い男が部屋にため息をつきながら入ってきた。その男は疲れた様子でぼやいた。
「兄上はどこにいったんだろう?」
「さぁ、知らないわ。」
誰もいないはずのその部屋には十二単を思わせる様な色とりどりの布を纏った若い少女が座ってこちらを向いて意味ありげな含み笑いをした。
「え・・・・・?」
その男は少女の漆黒の目に吸い寄せられた。
「知らないわ。と言ったの。だぁれ?それ。ふふふふっ」
少女はそう言うと立って歩きだした。
ゴトン・・・ゴロゴロゴロゴロ・・・・
「ゴトン?」
少女が立ち上がった瞬間に何か重たいものが足元に落ちて鈍い音をたてて転がってきた。戸口で不気味な微笑みを浮かべている少女を見ながら、ふと足元に目をやった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
大きな叫び声をあげて、男は腰を抜かして後ずさった。そこには彼の探していた兄の顔が、驚愕の表情を浮かべて転がっていた。
「き、君は一体・・・?あ、あれ?」
目に涙を浮かべながら、年の離れた兄の変わり果てた姿に驚きながら、戸口に立っているはずの少女に声をかけた。しかし、そこには誰もおらず、だた窓から入ってくる風が通り過ぎるだけだった。
彼はバタバタと階段を駆け下りた。
「お、叔父上に・・・し、知らせなきゃ・・・」
階段を駆け下りる彼の上では誰かがクスリと笑った。
「叔父上ー!!叔父上はどこですかー?」
天井の高いホールに男の声が響く。どこまでも続く赤い絨毯の上を息を切らしながら、南に位置する叔父の部屋まで走ってきた。
一方、遠くから響いて近づいてくる甥の声に眠っていた叔父=志津緒=は、眠い目をこすりながらゴソゴソとベットから這い出てきた。ガウン一枚を羽織った姿はどこか気品を思わせたが腹が出ていて、全然似合わないガウンを脱ぎ捨てると傍の椅子に掛けてあった服をつかむとゆっくりと着た。
そして、丸い眼鏡と葉巻をくわえると眉間にしわを寄せて扉を開けた。
「どうした?帰ってきた早々、何だ?うるさい。心地よく寝られないではないか。」
「あ、兄上が・・・」
「はぁ?階段から転げ落ちていたか?それとも女装でもしていたか?」
「ち、違います!いいから来てください!」
「まったく・・・この前の様なことだったら承知しないぞ。薫」
ぶつくさと文句を言いつつ、薫と呼ばれた男の後ろからめんどくさそうに先程の部屋に行った。が、兄の生首も血だまりも跡形もなく消え去っていたのだ。
「またか、この前もそうだったじゃないか。」
「今度は違うんです!十二単の様な色とりどりの布を纏った少女が立った後に兄上の首が落ちてきたんだ。・・・・でもどこかで見た事があるな・・・まさか。」
「どうした?」
突然考え込んでしまった甥の顔をのぞき見ると、ふと呼ばれた様な感じがしたので、彼はホールに飾ってある『人形』のもとに歩いて行った。それを見た薫は、黙って付いていくと、叔父は脚立を持ってくるように薫に言った。
「こんなものを持ってきてどうするんですか?叔父上?」
「いいから、組み立てて『人形』の足元を見ろ。まさか・・・かもしれん。」
言われるがままに、薫は脚立を上り絶句した。そして、目線を感じ上を向いてみると、動くはずのない『人形』が小さい椅子に座って笑って下を向いた。
「うわぁぁぁぁぁ!!『人形』の下に、兄上と姉上と二日前に消えた僕の友達のが・・あ・・・・・・・っ・た・・・・・」
ガタガタと音をたてながら落ちてきた薫は、目を見開いてカクカクとあごを動かしながら必死にしゃべった。
「あはははははっ、やぁっと気付いてくれたっ♪ふふふふっ、あははははははは。」
甲高い声で少女の人形はくるくると重そうな服をつかんで、その場で回り始めた。
そして何かを思い出した様に外に向かって走り出した。
「はぁあ・・・」
若い男が部屋にため息をつきながら入ってきた。その男は疲れた様子でぼやいた。
「兄上はどこにいったんだろう?」
「さぁ、知らないわ。」
誰もいないはずのその部屋には十二単を思わせる様な色とりどりの布を纏った若い少女が座ってこちらを向いて意味ありげな含み笑いをした。
「え・・・・・?」
その男は少女の漆黒の目に吸い寄せられた。
「知らないわ。と言ったの。だぁれ?それ。ふふふふっ」
少女はそう言うと立って歩きだした。
ゴトン・・・ゴロゴロゴロゴロ・・・・
「ゴトン?」
少女が立ち上がった瞬間に何か重たいものが足元に落ちて鈍い音をたてて転がってきた。戸口で不気味な微笑みを浮かべている少女を見ながら、ふと足元に目をやった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
大きな叫び声をあげて、男は腰を抜かして後ずさった。そこには彼の探していた兄の顔が、驚愕の表情を浮かべて転がっていた。
「き、君は一体・・・?あ、あれ?」
目に涙を浮かべながら、年の離れた兄の変わり果てた姿に驚きながら、戸口に立っているはずの少女に声をかけた。しかし、そこには誰もおらず、だた窓から入ってくる風が通り過ぎるだけだった。
彼はバタバタと階段を駆け下りた。
「お、叔父上に・・・し、知らせなきゃ・・・」
階段を駆け下りる彼の上では誰かがクスリと笑った。
「叔父上ー!!叔父上はどこですかー?」
天井の高いホールに男の声が響く。どこまでも続く赤い絨毯の上を息を切らしながら、南に位置する叔父の部屋まで走ってきた。
一方、遠くから響いて近づいてくる甥の声に眠っていた叔父=志津緒=は、眠い目をこすりながらゴソゴソとベットから這い出てきた。ガウン一枚を羽織った姿はどこか気品を思わせたが腹が出ていて、全然似合わないガウンを脱ぎ捨てると傍の椅子に掛けてあった服をつかむとゆっくりと着た。
そして、丸い眼鏡と葉巻をくわえると眉間にしわを寄せて扉を開けた。
「どうした?帰ってきた早々、何だ?うるさい。心地よく寝られないではないか。」
「あ、兄上が・・・」
「はぁ?階段から転げ落ちていたか?それとも女装でもしていたか?」
「ち、違います!いいから来てください!」
「まったく・・・この前の様なことだったら承知しないぞ。薫」
ぶつくさと文句を言いつつ、薫と呼ばれた男の後ろからめんどくさそうに先程の部屋に行った。が、兄の生首も血だまりも跡形もなく消え去っていたのだ。
「またか、この前もそうだったじゃないか。」
「今度は違うんです!十二単の様な色とりどりの布を纏った少女が立った後に兄上の首が落ちてきたんだ。・・・・でもどこかで見た事があるな・・・まさか。」
「どうした?」
突然考え込んでしまった甥の顔をのぞき見ると、ふと呼ばれた様な感じがしたので、彼はホールに飾ってある『人形』のもとに歩いて行った。それを見た薫は、黙って付いていくと、叔父は脚立を持ってくるように薫に言った。
「こんなものを持ってきてどうするんですか?叔父上?」
「いいから、組み立てて『人形』の足元を見ろ。まさか・・・かもしれん。」
言われるがままに、薫は脚立を上り絶句した。そして、目線を感じ上を向いてみると、動くはずのない『人形』が小さい椅子に座って笑って下を向いた。
「うわぁぁぁぁぁ!!『人形』の下に、兄上と姉上と二日前に消えた僕の友達のが・・あ・・・・・・・っ・た・・・・・」
ガタガタと音をたてながら落ちてきた薫は、目を見開いてカクカクとあごを動かしながら必死にしゃべった。
「あはははははっ、やぁっと気付いてくれたっ♪ふふふふっ、あははははははは。」
甲高い声で少女の人形はくるくると重そうな服をつかんで、その場で回り始めた。
そして何かを思い出した様に外に向かって走り出した。
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